米英仏軍は塩素ガス使用疑惑事件に対する制裁措置としてシリア国内3カ所を巡航ミサイルなど105発で攻撃するも、二次被害が生じかねない化学兵器そのものへの攻撃は回避(2018年4月14日)

米英仏は、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生したとされる塩素ガス使用疑惑事件に対する制裁措置として、シリア時間の14日未明にシリア国内の3カ所へのミサイル・爆撃を敢行した。

al-Durar al-Shamiya, April 14, 2018

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米国防総省によると、攻撃はシリア事件の14日午前4時頃に始まり、ダマスカス県バルザ区にある「化学兵器研究施設」、ヒムス市周辺の化学兵器貯蔵施設、同じくヒムス市周辺の機器貯蔵施設と司令所が標的となった。

攻撃には、紅海に展開する米軍ミサイル駆逐艦、巡洋艦、潜水艦、B-1戦略爆撃機、英空軍のトルネード戦闘機、フランス空軍のミラージュ戦闘機などが参加、トマホーク巡航ミサイルなど105発が発射され、「すべて命中した自信がある」という。

国別では、米軍が85発(トマホーク巡航ミサイル66発、JASSM空対地ミサイル19発)、イギリス軍が8発、フランス軍が12発だったという。

最大の標的となったのは、バルザ区の「化学兵器研究施設」で、トマホーク巡航ミサイル57発とJASSM空対地ミサイル19発が打ち込まれたという。

一方、ヒムス市近郊の「化学兵器貯蔵施設」には米英仏軍が22発、同市近郊の危機貯蔵施設と司令所には7発が打ち込まれた。

発射地点別では、紅海から37発(ミサイル巡洋艦モテレー30発、ミサイル駆逐艦ラブーン7発)、アラビア湾から23発(ミサイル巡洋艦ヒギンズ)、地中海から6発(原子力潜水艦ジョン・ウォーナー)で、このほかB-1戦略爆撃機2機が参加した。

この攻撃で、「数年分の研究開発データや特殊機器、化学兵器の原料となる物質」を破壊したという。

二次被害が生じかねない化学兵器そのものへの攻撃は控えられたという。

AFP, April 14, 2018、ANHA, April 14, 2018、AP, April 14, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 14, 2018、al-Hayat, April 15, 2018、Reuters, April 14, 2018、SANA, April 14, 2018、UPI, April 14, 2018などをもとに作成。

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