米・トルコはマンビジュ市への両軍・諜報機関進駐や地元自治政体樹立を骨子とする「工程表」に合意(2018年6月4日)

マイク・ポンペオ米国務長官とトルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣はワシントンDCで会談し、米主導の有志連合の支援を受ける西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)の実効支配下にあるアレッポ県北東部ユーフラテス川右岸(西岸)のマンビジュ市一帯の処遇について協議した。

会談後の共同声明では、同市への対応に関する「工程表」について合意がなされたことが明らかにされた。

「工程表」の内容については明らかにされなかったが、チャヴシュオール外務大臣は、トルコ・米両軍が「工程表」に沿って、マンビジュ市の安全を確保するために行動し…、トルコ政府は米国とマンビジュ市の自治政体設置に向けて調整を行う」と述べた。

また「期限が設定されている。これは現地で実施される措置に関わるもので、6ヶ月以内の工程について話している」と付言した。

そのうえで、マンビジュ市の工程表はシリアの他の地域でも実施されることを示唆した。

なお、声明によると、会談では、シリアにおける両国の将来の協力関係、マンビジュ市の安定と治安を保証するために必要な措置についても意見が交わされたという。

一方、トルコのバクル・ブズダー副首相兼内閣報道官は、トルコと米国が「マンビジュ市からのクルド人部隊の撤退の手段や日程について合意した」と述べた。

ANHA, June 4, 2018

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他方、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のリヤード・ダッラール共同議長は、『ハヤート』(6月5日付)に対して、「米国はいかなる外国の介入に対してもマンビジュ市一帯やユーフラテス川東岸地域を防衛し、「テロとの戦い」での協力継続を制約した」と述べた。

そのうえで、「ユーフラテス川東岸やマンビジュ市を亡命しないということが、米軍の撤退を意味し、悪影響をもたらすことを米国側は承知している…。(トルコと米国の)合意は、アフリーン郡で起きたのと同じようなトルコの軍事攻撃を無力化するのが目的」と付言した。

AFP, June 4, 2018、ANHA, June 4, 2018、AP, June 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 4, 2018、al-Hayat, June 5, 2018、Reuters, June 4, 2018、SANA, June 4, 2018、UPI, June 4, 2018などをもとに作成。

 

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