フランスのナタリー・ロワゾー・ヨーロッパ問題担当大臣は、ドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことに関して、CNW(12月20日付)に対し、「我々はシリアに当面とどまる。なぜなら、ダーイシュ(イスラーム国)との戦いが依然として主要な問題だからだ」と述べた。
ロワゾー大臣は「テロとの戦いは終わっていない。大きな戦火が実現していることは確かで、我々は有志連合とともにシリアで多くのことを行った。だが、闘いは続いているし、我々はそれを継続する」と主張、「我々は、欧州が決定を下すにあたって戦略的な独自性を確保する必要を改めて検討しなければならない。直接的な脅威に直面したとき、我々は独自の判断、行動をしなければならない」と付言した。
また、フランスのフロランス・パルリ国防大臣も「我々は当面シリアにとどまる」と述べた。
なお、スプートニク・ニュース(12月19日付)は、米軍撤退開始を受けて、フランス軍も撤退を開始したと伝えていた。
一方、フランス外務省報道官は、有志連合諸国とフランスが米国とシリアからの米地上部隊撤退の時期や条件について協議を行っていることを明らかにした。
さらにフランスのフランソワ・デラットル国連大使は、「フランスは向こう数週間、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を含むシリア国内の米国のすべての同盟者の安全を保障するため活動することになる」と述べた。
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こうしたなか、民主統一党の駐フランス代表部のハーリド・イーサー代表は、AFP(12月20日付)に対して、フランス政府が、シリア民主評議会執行委員会のイルハーム・アフマド氏(前共同議長)とリヤード・ダッラール氏(共同議長)を招聘することを決定したことを明らかにした。
AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、CNW, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、Sputnik News, December 19, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。
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