ロシアのラヴロフ外務大臣「クルド人民兵を「テロリスト」とみなすか否かに関して、ロシアとトルコの間に合意はない」(2019年2月24日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、訪中越に先だって、ヴェトナム・テレビジョンと中国中央電子台のインタビューに応じ、「クルド人民兵を「テロリスト」とみなすか否かに関して、ロシアとトルコの間に合意はない」と述べた。

ラブロフ外務大臣は「米国はアラブ人の土地を掌握し始めたクルド人を利用して、さまざまな問題をもたらし、それがトルコの感情と懸念を煽っている…。米国の狙いは、さらなる問題を作り出して、自分たちにとって都合が良いように司令部を今後も(シリア領内に)設置できるようにするなのだろう」と述べた。

トルコがシリア北東部に設置を画策している安全地帯については「トルコとシリアが1998年に交わした合意(アダナ合意)に基づいて安全地帯を設置する協議が(ソチでのロシア・トルコ・イラン首脳会談で)行われた。合意は、国境地帯でのテロの脅威を排除するために両国が協力ことのみを定めており、その枠内でトルコはシリア領内の一部での活動を認められている」としたうえで、「クルド人をテロリストとみなす共通の認識を我々は持っていない。これに対してトルコは独自の姿勢とっている。我々は彼らの懸念を理解しているが、麦と殻は分けて考えねばならない。実際に過激なクルド人勢力がトルコの安全保障にとって脅威となる」と述べた。

そのうえで「トルコは安全保障上の脅威への懸念を表明した。これに対して、シリア政府は領内にトルコ軍が駐留していることに抗議している」と付言、アスタナ会議での緊張緩和地帯設置にかかる合意を踏襲するかたちで、トルコがシリア北東部に設置を画策している安全地帯へのロシア軍憲兵隊の展開を提案したことを明らかにした。

AFP, February 24, 2019、ANHA, February 24, 2019、AP, February 24, 2019、CCTV, February 24, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 24, 2019、al-Hayat, February 25, 2019、Reuters, February 24, 2019、SANA, February 24, 2019、UPI, February 24, 2019、VTV , February 24, 2019などをもとに作成。

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