ロシア外務省は米国の支援を受ける「武装ギャング」がルクバーン・キャンプの難民に多額の金銭を要求し帰国を阻止していると非難(2019年3月7日)

ロシア外務省は、5日に続いてロシア連邦シリア・アラブ共和国合同調整本部の名で声明を出し、米国がヒムス県南西部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)を2014年春以降違法に占領し、その南側に位置するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプで暮らすシリア難民の帰国が、米国の支援を受ける武装ギャングの存在によって阻止されていると批判した。

ルクバーン・キャンプのシリア難民は深刻な人道危機に見舞われているが、武装ギャング(革命特殊任務軍)は、キャンプを立ち去るにあたって多額な金銭を要求しているという。

ヨルダン政府は、治安状況や困難な経済状況を鑑み、キャンプに身を寄せるシリア難民の入国を認めていない。

一方、シリア政府はロシア政府とともに、「人道移送団」を設置し、シリア難民の帰還を試みているが、米国は55キロ地帯の通過を認めていない。

なお、5日の声明によると、キャンプには現在約4万人が暮らしており、そのうちの3万5000人以上がシリア政府支配地域に帰還する意思を示している。

こうした事態を鑑み、ロシア・シリア両政府は、ヒムス県、アレッポ県、ダマスカス郊外県に難民で受け入れる準備を整えるとともに、3月1日に「人道移送団」を発足させ、55キロ地帯を経由して難民の移送を行おうとしている。

しかし、米国、そしてその支援を受ける反体制武装集団(革命特殊任務軍)がこれを阻止しているという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 7, 2019をもとに作成。

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