ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、コートジボワールのマルセル・アモン=タノー外務大臣との会談後の共同記者会見でシリア情勢について触れ、米国がシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)をテロのブラック・リストから外し、シリア危機解決に向けた和平プロセスの当事者にすることで、「時限爆弾」を仕掛けようとしていると断じた。
ラブロフ外務大臣はまた、欧米諸国に対して、シリア難民の帰国を妨害する根拠のない口実をでっち上げるのではなく、彼らの帰還を促すような状況を作り出すために行動すべきだと批判した。
一方、米軍が駐留するシリア北東部情勢については、「我々はクルド問題に対する米国の姿勢が責任あるものだとは見ていない。米国は有志連合の支配下にあるシリア東部をクルド人に移住させようとしている」と批判した。
さらに、ロシア・イラン両軍のシリアでの協力が原因でシリア人600万人が避難生活を余儀なくされていると述べたマイク・ポンペオ米国務長官の言葉について、「この情報をどこから得たのか理解できない」と反論、ロシアが持っている情報では、31万人以上の難民がレバノンやヨルダンから帰国していると述べた。
AFP, July 17, 2019、ANHA, July 17, 2019、AP, July 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 17, 2019、Reuters, July 17, 2019、SANA, July 17, 2019、SOHR, July 17, 2019、UPI, July 17, 2019などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.