2014年1月26日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

イスラーム戦線とムジャーヒディーン軍が共同声明を出し、サウジアラビアの説教師アブドゥッラー・ムハイスニー氏による「ウンマ・イニシアチブ」(23日)を受諾すると発表した。

Kull-na Shuraka', January 27, 2014
Kull-na Shuraka’, January 27, 2014

「ウンマ・イニシアチブ」は1月28日までにイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団の戦闘を停止するよう呼びかけている。

 

Kull-na Shuraka’, January 27, 2014をもとに作成。

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2014年1月26日のシリア情勢:諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は前日に引き続き、ジュネーブの国連本部でシリア革命反体制勢力国民連立代表団、シリア政府代表団と早朝に個別会合を開き、また午前中に直接会合を開催し、逮捕者釈放、人道支援物資搬入、拉致による失踪者の捜索などが議論された。

直接会談は前日に引き続き、バッシャール・ジャアファリー国連代表大使がシリア政府代表団を、ハーディー・バフラ氏がシリア革命反体制勢力国民連立代表団を率い、約2時間にわたって行われた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は記者会見で、ヒムス市での部分停戦と人道支援物資搬入をめぐる協議に関して「シリア政府は女性と子供であれば直ちに退去できる旨伝えてきた…。部分停戦が明日開始され、女性と子供がヒムス市旧市街から退去できる見込みだ」と述べた。

また「明日、人道支援物資を積んだ車輌がヒムスに入ることを希望している…。ヒムス市の武装集団が車輌を攻撃しないと我々や複数の当事者に伝えてきた」と付言した。

そのうえで直接会談に関して「互いを尊重する」姿勢が見受けられたと高く評価した。

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『ハヤート』(1月27日付)などによると、連立代表団は、シリア政府の刑務所に収監されている女性および子供の逮捕者2,300人の名簿をブラーヒーミー共同特別代表に提出、それ以外の逮捕者に先立って「即時釈放」するよう求めた。

これに関して、シリア革命反体制勢力国民連立のウバイダ・ナッハース氏は、『ハヤート』(1月27日付)に、連立代表団が女性、子供を含む数万人の釈放を要求したことを明らかにしたうえで、「政府がこの問題に「敵意」をもって対処し、「テロとの戦い」に集中しようとしている」と非難、「交渉の会場の外で国際社会が圧力をかけ、シリア政府に人道的な問題に対処するよう」呼びかけた。

また「政府代表団には決定を下す十分な権限がないことを理解している。それゆえ、この要求をダマスカスに持ち帰り、答えを持ってくるよう求めた」ことを明らかにした。

一方、拉致をめぐる問題に関して「政府使節団は、拉致された人々を捜索準備ができており、拉致犯と理解し合う可能性があるなら…可能だと言っている」ことを明らかにした。

さらに、ヒムス市での人道支援配給に関して、「ダマスカスで物資を積んだトラック12輌が待機しているが、ヒムスには今のところ人道支援物資は入っていない…。しかし、ブラーヒーミー共同特別代表は、今日か明日には搬入したいとの希望を伝えてきた」と述べた。

他方、移行期統治機関(移行期政府)に関しては、27日から協議が始まることを明らかにした。

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SANA(1月26日付)によると、これに対して、シリア政府代表団は、人道支援物資搬入をめぐる問題がジュネーブ2会議の議事とは無関係で、国家(シリア政府)と国連との合意に関わる問題だと指摘し、シリア政府が、人道支援に関していかなる差別も行わず、ヒムス市だけでなく、アドラー市ウンマーリーヤ地区(ダマスカス郊外県)、ファウワ村(イドリブ県)、ヌッブル市(アレッポ県)、ザフラー町(アレッポ県)などに対しても支援物資を配給する用意があると伝えたという。

そのうえで、政府代表団が、部分停戦、人道支援をめぐる協議で、連立使節団に、シリア各地を支配しているどの武装集団に対して連立の権威が及んでいるのかを明らかにするよう求めたが、連立代表団は何も示すことができず、「武装集団に対して何らの権威も有さず、連絡経路があるだけだ」と答えたという。

またブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官はAFP(1月26日付)に「すべてがその日その日に行われている。日程は存在しない」としたうえで、「問題は先方が昨日(25日)の会合で、些細なことばかりに議論を集中させようとしたことにある。シリア政府には、すべての県でいつでもこのテロでの被災者を救済するための完全な装置がある…。支援物資の搬入は重要だが、このことに終始すると、大会そのものも、そしてその目的の重要性が失われてしまう…。テロ停止、深刻な人道状況への対処、支援搬入、治安状況改善、政治プロセス開始(という順で進められねばならない)」と述べた。

移行期統治機関(移行期政府)については、「この表現だけでなく、シリアが卑劣なテロに苦しんでいる…なかでこの問題が提起されていることに慎重な姿勢を示している…。ジュネーブ合意には、暴力停止について言及されているが、今日行われているのは、暴力ではなくテロです」と述べた。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立代表団との交渉に関して「緊張はない…。バッシャール・ジャアファリー駐国連大使が、テロ停止を求める国民の意思に沿うよう建設的な雰囲気作りに尽力している」と述べた。

またウムラーン・ズウビー情報大臣は、ジュネーブで記者団に対して、移行期統治機関(移行期政府)の審議について、「困惑してはいない」としたうえで、すべての問題に「胸襟を開いている」ことを強調しつつ、「人道支援問題はシリア政府の優先事項の一つだが、我々は搬入方法に関して現実的でなければならない…。この問題は治安措置によって可能になる第2の措置だからだ」と強調した。

他方、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は記者会見で、ヒムス市での部分停戦に関して、反体制武装集団が道を開放すれば、女性と子供がヒムス市を去ることを認める、と述べた。

また「過去2年間、私は女性と子供を退去させることに直接関心があった。しかし武装集団が我々を阻止し、いかなる人が退去することも認めてこなかった…。シリア政府は必要なすべての場所に支援物資を届けてきた。しかし、二つの要素に阻まれてきた。第1にテロリスト、第2に人道支援の搬入を許すような雰囲気の欠如…。我々は先月だけで、各地に400万箱の支援を届けた」と述べた。

しかし、ミクダード副大臣は「ジュネーブ2会議で議論しなければならない最初の問題はテロに関する問題であり…、シリア国民がテロの危険に曝されている限り、シリアの現在そして未来に関わる人道的問題の審議は継続できない」と強調した。

SANA(1月26日付)などが伝えた。

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UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)は、予定していたダマスカス県ヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)への脱脂粉乳、ポリオワクチンなどの人道支援物資の搬入ができなかったと発表し、シリア政府への「失望」を表明した。

『ハヤート』(1月27日付)などが伝えた。

AFP, January 27, 2014、AP, January 27, 2014、Champress, January 27, 2014、al-Hayat, January 28, 2014、Iraqinews.com, January 27, 2014、Kull-na Shuraka’, January 27, 2014、Naharnet, January 27, 2014、NNA, January 27, 2014、Reuters, January 27, 2014、Rihab News, January 27, 2014、SANA, January 27, 2014、UPI, January 27, 2014などをもとに作成。

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2014年1月26日のシリア情勢:レバノンの動き

ジャディード・テレビ(1月26日付)は、ナバティーヤ県ハースバイヤー郡マーリー村の農地でロケット弾の残骸を発見したと報じた。

その後の調べで、残骸の一部は、2013年12月29日にレバノン領内からイスラエルに向けて発射されたロケット弾だということが判明した。

AFP, January 27, 2014、AP, January 27, 2014、Champress, January 27, 2014、al-Hayat, January 28, 2014、Iraqinews.com, January 27, 2014、Kull-na Shuraka’, January 27, 2014、Naharnet, January 27, 2014、NNA, January 27, 2014、Reuters, January 27, 2014、Rihab News, January 27, 2014、SANA, January 27, 2014、UPI, January 27, 2014などをもとに作成。

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2014年1月26日のシリア情勢:国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市カラム・シャーミー地区に反体制武装集団が撃ったと思われる迫撃砲弾2発が着弾する一方、ダール・カビーラ村に対して軍が砲撃を砲撃、またマヒーン町の中学校で手榴弾が爆発し、2人が死亡した。

また、SANA(1月26日付)によると、ザーラ村、サアン村一帯、カフルアブド村、タッルドゥー市、ダール・カビーラ村、ヒムス市クスール地区、クサイル市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カッサーア地区に迫撃砲弾1発が着弾する一方、ジャウバル区では軍と反体制武装集団が交戦した。

またカダム区での戦闘でも、軍と反体制武装集団が交戦し、軍がダマスカス・ダルアー街道を一時閉鎖した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月26日付)は、ダマスカス大学学生寮(マッザ区)で、「年長の女性シャッビーハ」のマヤーダ・ムハンマド氏(ウンム・アリー)が、構内で女性5人を拉致し、人民保護委員会や国防隊に身柄を引き渡したと報じた。

他方、SANA(1月26日付)によると、カダム区に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

またバーブ・トゥーマー地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、市民7人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ランクース市、サイドナーヤー町、ムライハ市などが軍の砲撃を受ける一方、ハーマ陸橋で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(1月26日付)によると、ハラスター市、ヒジャーリーヤ農場、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、ランクース市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の外国人戦闘員、首都の盾旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市バーブ街道地区を砲撃し、子供1人を含む4人が死亡、また同地区の検問所で若者1人が射殺された。

また軍はアレッポ市カーティルジー地区、サーリヒーン地区を爆撃し、子供6人を含む18人が死亡する一方、旧市街のウマイヤ・モスク周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、マンビジュ市では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が活動家らの自宅を家宅捜索した。

他方、SANA(1月26日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、フライターン市北部、クワイリス村、アルバイド村、ダイル・ハーフィル市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、カルム・ジャズマーティー地区、ファルドゥース地区、シャッアール地区、カーディー・アスカル地区、カルム・フーミド地区、マサーキン・ハナーヌー地区、シャバービー地区、サーフール地区、バーブ・ナイラブ地区、ジュダイダ地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、SANA(1月26日付)によると、アレッポ市ジャミーリーヤ地区、ファイサル地区で、住民がデモ行進を行い、ジュネーブ2会議のシリア政府代表団支持、軍による「テロとの戦い」支持などを訴えた。

SANA, January 26, 2014
SANA, January 26, 2014

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マーヒディーヤ基地周辺で、軍と反体制勢力が交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市マルアブ地区南部の軍検問所で爆弾を積んだ自動車が爆発し、複数の兵士が死傷した。

また軍は、ハマー市ジャラージマ地区、バーブ・クブリー地区で活動家の摘発活動を行う一方、マジュダル村出身の青年が当局の拷問を受け死亡した。

さらにハラファーヤー陸橋南部のナースィリーヤ検問所周辺で軍と反体制武装集団が交戦、カフルズィーター市周辺が軍の砲撃を受けた。

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ラタキア県では、SANA(1月26日付)によると、ラビーア町一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員19人を殲滅、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(1月26日付)によると、フラーク市、ダルアー市各所、インヒル市、ブスラー・シャーム市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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シリア・ニュース(1月26日付)は、ラッカ県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の反体制武装集団の交戦激化と、ラッカ県、ダイル・ザウル県でのダーイシュの優勢を受け、ラッカ市の人口の約30%以上がトルコ方面に避難を余儀なくされていると報じた。

AFP, January 27, 2014、AP, January 27, 2014、Champress, January 27, 2014、al-Hayat, January 28, 2014、Iraqinews.com, January 27, 2014、Kull-na Shuraka’, January 27, 2014、Naharnet, January 27, 2014、NNA, January 27, 2014、Reuters, January 27, 2014、Rihab News, January 27, 2014、SANA, January 27, 2014、Syria-news.com, January 27, 2014、UPI, January 27, 2014などをもとに作成。

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2014年1月26日のシリア情勢:シリア政府の動き

ジハード・マクディスィー前外務在外居住者省報道官は、フランスでクウェート紙『ラアユ』(1月26日付)の取材に応じ、2012年11月に報道官職を放棄するに至った経緯に関して、「政権が終わっており、実質的崩壊が時間の問題だが、時間はかかるだろうと考えていた」と振り返った。

AFP, January 27, 2014、AP, January 27, 2014、Champress, January 27, 2014、al-Hayat, January 28, 2014、Iraqinews.com, January 27, 2014、Kull-na Shuraka’, January 27, 2014、Naharnet, January 27, 2014、NNA, January 27, 2014、Reuters, January 27, 2014、al-Ra’y, January 27, 2014、Rihab News, January 27, 2014、SANA, January 27, 2014、UPI, January 27, 2014などをもとに作成。

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2014年1月26日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は声明を出し、アレッポ県カフルハムラ村、フライターン市で外出禁止令を発した。

Kull-na Shuraka', January 26, 2014
Kull-na Shuraka’, January 26, 2014

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シリア革命反体制勢力国民連立のムンズィル・アークビーク氏は、クッルナー・シュラカー(1月26日付)に対し、シリア政府代表団がジュネーブ合意の履行を国際社会から強いられ、ジュネーブ2会議から近く逃げ出すだろうとの見方を示した。

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ヒムス市で活動しているというシリア革命総合委員会のアブー・ラーミー報道官は、ジュネーブ2会議で審議されているヒムス市の部分停戦・人道支援物資搬入に関して、ベイルートのAFP(1月26日付)に「我々には大量の食糧と医療物資が必要で、女性、子供、負傷者を逮捕しないという保障が必要だ」と述べた。

AFP, January 27, 2014、AP, January 27, 2014、Champress, January 27, 2014、al-Hayat, January 28, 2014、Iraqinews.com, January 27, 2014、Kull-na Shuraka’, January 27, 2014、Naharnet, January 27, 2014、NNA, January 27, 2014、Reuters, January 27, 2014、Rihab News, January 27, 2014、SANA, January 27, 2014、UPI, January 27, 2014などをもとに作成。

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