2014年1月31日のシリア情勢:諸外国の動き

フランスのフランソワ・オランド大統領とデヴィッド・キャメロン英首相は英ブライズノートン空軍基地で会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談後、オランド大統領は、シリアへ渡航し、ジハード主義武装集団とともに戦闘に参加している英国人やフランス人の若者の動向を両国が共同で追跡することで合意したと述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブの国連本部で、シリア政府代表団とシリア革命反体制勢力国民連立代表団の会合(直接会談)を開催した。

前日に引き続き、シリア政府代表団はバッシャール・ジャアファリー国連代表大使によって、連立代表団はハーディー・バフラ氏によって率いられた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は記者会見で、ジュネーブ2会議の会合を振り返り、「困難な始まりだったが、両当事者は一つの部屋で席をともにすることに慣れてきた…。非常にゆっくり前進してはいるが…、控え目な始まりだった。しかし、(今後の会合で)よって立つことができる始まりだ」と述べた。

そのうえで政府代表団、シリア革命反体制勢力国民連立代表団双方が以下10点を確認し合うという成果が達成されたと自己評価した。

1. 政治的解決に向けてジュネーブ合意を完全履行するため議論に専念すること。

2. ジュネーブ合意を完全実施するために、移行期統治機関の設置が必要であること。

3. 暴力を停止させることが火急に必要であること。

4. 外国が干渉することなく、シリア国民がシリアの将来を決しなければならないこと。

5. シリアの主権、独立の維持、領土保全。

6. 多様性、調和、寛容を特徴とするシリアの文化遺産、歴史を繁栄した未来を建設すること。

7. 民主的シリアの建設。

8. 人道支援問題への早急な対処、逮捕者、失踪者問題への取り組み。

9. 国家機関、公共サービスの改善を通じた国民の安全・治安の確保。

10. 過激主義、暴力の拒否。

また直接会合を2月10日に再開し、具体的な論点を議論する旨、両当事者に提案し、政府代表団からは「ダマスカスとまず協議する」との回答を得たことを明らかにした。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は記者会見で、ジュネーブ2会議の会合を振り返り「ジュネーブ合意への原則合意以外に、アサド政権の代表が真摯な誓約の発言はなかった」としたうえで、「我々の革命を自衛するため、質量両面でさらなる武装化を進め、我々の要求と尊厳を守り、バッシャール・アサドの権限を剥奪するため、ジュネーブ合意を文言通り遵守するよう政権に迫る」と強調した。

またシリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官は記者会見で、ジュネーブ2会議の交渉を振り返り、「唯一の進展があるとすれば、ジュネーブ合意の枠組みのなかで政権が交渉に応じたこと」だと述べた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、ジュネーブ2会議の交渉を振り返り、「残念ながら、今週の対話で具体的な結果に至ることはなかった…。なぜなら第1に、先方が何度も退席すると協約するなど、真剣さと成熟度を欠いていたからだ…。第2に、米国がジュネーブ2大会を緊張した雰囲気に陥れようと…、先方に武装を促すなど、あからさまに内政干渉したからだ」と述べた。

SANA, January 31, 2014
SANA, January 31, 2014

SANA(1月31日付)などによると、ジュネーブ2会議の会場となった国連本部前ではシリア人数百人が集まり、アサド大統領の写真、シリア国旗などを掲げ、シリア国民、シリア軍への支持を表明、またテロ反対を訴えた。

 

SANA, January 31, 2014
SANA, January 31, 2014

 

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UNRWA報道官は、前日に引き続き、ダマスカス県ヤルムーク区に人道支援物資が搬入され、配給作業を行ったと発表した。

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:イラクの動き

イラキー・ニュース(1月31日付)によると、アンバール県ラマーディー市のフッリーヤ警察署をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃したが、軍・治安部隊が応戦、撃退した。

またディヤーラー県ヒルマイン地方では、第12歩兵師団がダーイシュの戦闘員9人を殺害し、拠点2カ所を破壊した。

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(1月31日付)によると、北部県アッカール郡のマシュター・ハンムード村、アッブーディーヤ村、ハクル・ジャニーン村、アムラ村、クブール・ビード村の郊外に、シリア領内から発射されたロケット弾14発が着弾し、1人が死亡、複数が負傷した。

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市、ジャブアディーン町、ダーライヤーシを軍が「樽爆弾」などで空爆、またダーライヤー市周辺では軍と反体制武装集団が交戦した。

さらにザマーニーヤ地方、ビラーリーヤ村周辺では、軍、国防隊、ヒズブッラー民兵がジハード主義武装集団と交戦し、前者の兵士・戦闘員25人、後者の戦闘員4人が死亡した。

一方、SANA(1月31日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプおよび同市周辺、ダーライヤー市、ヤブルード市、ラアス・アイン市、アイン・ハドラー村、サルハ市、ジャブアディーン町、アドラー市ウンマーリーヤ地区、アーリヤ農場、アルバイン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動、使徒末裔大隊、ダジャーナ旅団、イッズ連隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がスワイサ村周辺で軍と交戦の末、同村を制圧した。

この戦闘で軍兵士30人が殺害されたという。

またジハード主義武装集団は、アフマル丘を包囲、これに対して軍が砲撃で対抗しているという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、イズラア市で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(1月31日付)によると、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムーリク市北部の軍大隊基地周辺や検問所で、軍とジハード主義武装集団が交戦し、武装集団が市内の軍の拠点3カ所を制圧する一方、軍がカフルズィーター市周辺を「樽爆弾」で攻撃した。

またクッルナー・シュラカー(1月31日付)は、「自由シリア軍」を名乗る武装集団がザイン・アービディーン山麓で軍戦闘機を撃墜したと発表したと報道した。

一方、SANA(1月31日付)によると、アルシューナ村、スーラーン町・ムーリク市間の街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、カルアト・ヒスン市、ザーラ村、軍、国防隊が、ジハード主義武装集団と交戦する一方、レバノン領内から侵入したジハード主義武装集団が、アラウィー派が多く住むバフルーニヤ村、ギータ町を襲撃し、軍兵士、国境警備隊兵士、国防隊兵士を5人殺害した。

ナハールネット(1月31日付)によると、この戦闘に関連しって、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に向けシリア領内から何者かが発砲し、レバノン軍が応戦した。

一方、SANA(1月31日付)によると、ヒムス市カラービース地区、ワアル地区、サラーム・ガルビー村、タッル・アイン・フサイン村、ダール・カビーラ村、ザーラ村、タドムル市郊外のシャーイル山(ハマー県)西部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ザバディーヤ地区、シャッアール地区、マイサル地区を軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(1月31日付)によると、アレッポ市ジャズマーティー地区、カルム・マイサル地区、カーディー・アスカル地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、サイイド・アリー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハッダーディーン村、アッザーン村、マアーッラト・アルティーク村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、アレッポ中央刑務所周辺、クワイリス村、アルバイド村、ハンダラート・キャンプで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地周辺、シュハイル村で、軍がジハード主義武装集団と交戦した。

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ダマスカス県では、SANA(1月31日付)によると、ジャウバル区、カダム区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また旧市街のウマイヤ・モスクに向けて反体制武装集団が迫撃砲を撃ち込み、子供2人を含む市民9人が負傷した。

このほか、SANA(1月31日付)によると、ダマスカス県マッザ区にある国連事務所前で、革命青年連合ダマスカス支部がデモを組織し、シリア政府代表団への支持を訴えた。

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ラタキア県では、SANA(1月31日付)によると、ラビーア町郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員38人を殲滅、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月31日付)によると、イドリブ市・ビンニシュ市間の街道、サラーキブ市近郊、上カスタン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(1月31日付)によると、シリア各地のモスクで、アサド大統領の呼びかけに応じるかたちで、金曜礼拝の後に雨乞いの集団礼拝が行われ、多数の信徒が参加した。

SANA, January 31, 2014
SANA, January 31, 2014

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SANA(1月31日付)は、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣がアレッポ県内の軍拠点複数カ所(アレッポ市軍事アカデミーなど)を視察し、兵士たちと面会・激励したと報じた。

SANA, January 31, 2014
SANA, January 31, 2014

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:国内の暴力(追記)

シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団(ダーイシュ、ヌスラ戦線以外の武装集団と思われる)がヒムス県ガイダ村、バフルーニーヤ村を襲撃後、捕捉した国防隊兵士3人を斬首し処刑した。
al-Hayat, February 2, 2014をもとに作成。

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2014年1月31日のシリア情勢:反体制勢力の動き

Syria-News(1月31日付)は、ラッカ市のカフェでビリヤードに興じるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員の写真を公開した。

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クッルナー・シュラカー(1月31日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が最近、ハンサー大隊、ウンム・ライヤーン旅団という二つの女性武装部隊を結成したと報じた。

Kull-na Shuraka', January 31, 2014
Kull-na Shuraka’, January 31, 2014

 

この部隊は18歳から25歳の女性から構成され、メンバーには月25,000シリア・ポンド(200ドル)の報酬が支払われるという。

またクッルナー・シュラカー(2月4日付)によると、ハンサー大隊は約60人の女性から編成されているという。

Kull-na Shuraka', January 31, 2014
Kull-na Shuraka’, January 31, 2014

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フザイファ・ブン・ヤマーン大隊は声明を出し、ラッカ県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団との戦闘で中立を宣言しているにもかかわらず、シャームの民のヌスラ戦線、ラッカ革命家旅団、シャーム自由人イスラーム運動が、大隊戦闘員12人を逮捕したと非難した。

しかし声明によると、大隊を構成する一つの連隊がシャーム自由人イスラーム運動に、また別の連隊がダーイシュに加わり、戦闘を行っているという。

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リハーブ・ニュース(1月31日付)は、ハサカ県マーリキーヤ(ダイリーク)市郊外のスィーマールカーとティグリス川対岸のフィーシュハーブールの間に位置するスィーマルカー国境通行所経由でのシリアからイラクへの治療目的での越境に関して、国境通行所局が新たな規則を定めたと報じた。

同報道によると、新規則では、治療目的でイラク・クルディスタン地域に入国する場合、西クルディスタン移行期民政局執行評議会の保健委員会(保健省)が発行した診断書が必要で、患者以外には親族1名のみに同行が認められている、という。

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シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者は、シリア革命反体制勢力国民連立からの脱会に関して「誤った行いになる」と述べ、脱会する意思がないことを明らかにした。

クッルナー・シュラカー(1月31日付)が伝えた。

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シリア人権監視団は、ジュネーブ2会議期間中(1月22日~30日晩)までのシリア国内での死者数が1,870人にのぼったと発表した。

うち498人が民間人、464人が反体制武装集団戦闘員、208人がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線、454人が軍兵士、国防隊、親政権民兵、3人が民主統一党人民防衛隊だという。

AFP, January 31, 2014、AP, January 31, 2014、Champress, January 31, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 31, 2014、Kull-na Shuraka’, January 31, 2014, February 4, 2014、Naharnet, January 31, 2014、NNA, January 31, 2014、Reuters, January 31, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 31, 2014、Syria-news.com, January 31, 2014、UPI, January 31, 2014などをもとに作成。

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