2014年1月28日のシリア情勢:諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブの国連本部で、シリア政府代表団とシリア革命反体制勢力国民連立代表団の会合(直接会談)を開催した。

前日に引き続き、シリア政府代表団はバッシャール・ジャアファリー国連代表大使によって、連立代表団はハーディー・バフラ氏によって率いられた。

SANA(1月28日付)によると、4日目となる直接交渉では、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言をめぐって、政府代表団がこの動きに抗議する声明を文書で提出するとともに、シリア領内のテロ集団に武器供与を行う米国以外の国々を、国際テロの撲滅を謳った国連安保理決議第1373号に反しており、またジュネーブ2会議を頓挫させるものだと非難、こうした「無責任な行為から直ちに手を引く」よう求めた。

シリア革命反体制勢力国民連立はこれを拒否した、という。

『ハヤート』(1月29日付)によると、シリア政府代表団による二つ目の声明提出を受けて、議事は再び停滞し、直接交渉が始まって以降、初めて会合が午前中だけで打ち切られた。

午後に会合が再開されなかったのはこれが初めて。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は会合後、記者会見で「この交渉が困難だと繰り返し述べてきた。今日も容易ではなかった。ここ数日容易だったこともなかった。今後も容易ではない」としたうえで、「誰も去ったり、逃げようとはしていない」と強調、会合継続の意思を改めて示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のリーマー・フライハーン氏はAFP(1月28日付)に、会合でブラーヒーミー共同特別代表が、政治プロセスについての審議に入ることと、ヒムス市の包囲解除など、人道問題への対応について議事の一部を割くことを提案したが、「政府側が何の回答もしていないため、ブラーヒーミー氏が会合を中止した」ことを明らかにした。

そして「ヒムス市の包囲解除に関して、政府は何もしていない。移行期統治機関に関しても何もしていない。何のイメージを示していない」と批判した。

フライハーン氏はまた、4日目の直接会談で、連立が「今後のシリア、新生シリア、多元的民主的文民国家シリアに関するヴィジョン…の詳細を示した。政府代表団にシリア国民の合法的な意思に応じるよう求めた…。しかし政府代表団はこの問題の審議を拒否した」と述べた。

シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官は、記者団に対し「自由シリア軍の戦闘員は、アレッポ市北部のヌッブル市、ザフラー町、イドリブ市郊外のフーア市への圧力を弱める用意がある」と述べ、政権支持者が多く住む村への包囲解除の可能性を示唆した。

サーフィー報道官は「反体制勢力は政府にすべての都市の包囲解除を要求した。そして反体制勢力は自由シリア軍がシリアのどの町・都市であっても包囲解除すると同意した」うえで、これらの村がアレッポ市に対する軍の攻撃拠点となっているがゆえに包囲していると自己弁護した。

SANA, January 28, 2014
SANA, January 28, 2014

 

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、ジュネーブで記者団に対して「ジュネーブ2会議を支援し、政治的解決を求めてきた…米国が同時にどうして、テロ、暴力、軍事的解決を支援できるのか?」と非難した。

またブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官も、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、ジュネーブで記者団に対して「国際社会の努力に背く動き」と非難した。

さらにファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、「もっとも悪い知らせ」としたうえで「ジュネーブ2大会を失敗に追い込もうとする米国からのプレゼント」だと酷評した。

ミクダード副大臣はまた、シリア革命反体制勢力国民連立の代表団について「無責任で、嘘つきで、武装集団、すなわちイラク・シャーム・イスラーム国とシャームの民のヌスラ戦線を養う以外何もしていない」と非難した。

SANA(1月28日付)が伝えた。

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米国務省のエドガー・ヴァスケーズ報道官は、シリア政府代表団の声明に関して「我々がテロリストを支援しているとするシリア政府高官の発言はとるに足らず、論理を逸脱している。アサド政権こそがテロリストを惹き付けたのだ。体制の野蛮さこそがシリアでの過激化の原因だ」と非難した。

そのうえで「我々は穏健な反体制政治・軍事勢力を支援しており、彼らはシリア国民の自由と尊厳のために戦っている。一方、シリア政府は国民に樽爆弾を投下し、飢えた人々に食糧を届けることを拒否している。米国がシリア国民の苦しみを終わらせるために行動する。それゆえ、我々はジュネーブ2会議を前進させる可能なすべてを行う」と強調した。

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フランス外務省報道官は定例記者会見で、ヒムス市旧市街からの女性・子供の退去と人道支援物資配給に関して「一部の地区の住民は政権による事実上の兵糧攻めに直面している」と非難した。

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世界食糧計画(WFP)の報道官は、ヒムス市旧市街への人道支援に関して、2,500人が1ヶ月必要な物資を配給する準備ができており、すべての当事者からの青信号待ちの状態だと述べた。

『ハヤート』(1月28日付)などが伝えた。

AFP, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014などをもとに作成。

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2014年1月28日のシリア情勢:イラクの動き

内務省のサアン・マアン報道官は声明を出し、アンバール県の対シリア国境に位置するカーイム市一帯で、国境警備隊(第6旅団)がシリア領から潜入しようとした「テロリスト」と交戦し、複数名を殺害したと発表した。

またイラキー・ニュース(1月28日付)は治安筋の話として、ラマーディー市北部で、治安部隊と部族の民兵がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

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合同作戦司令部は声明を出し、ニナワ県モスル市南部で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員15人を逮捕したと発表した。

AFP, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014などをもとに作成。

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2014年1月28日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍がアレッポ市南東部一帯で「若干進軍」し、カルム・カスル地区を制圧した。

ラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、この進軍に関してAFP(1月28日付)に、2012年以来、軍はほぼ毎日アレッポ市東部への進軍と試みてきたが、今回それが初めて成功したと述べた。

これに関して『ワタン』(1月28日付)は、軍がアレッポ市東部のナイラブ航空基地、南部のアズィーザ村の奪還作戦を皮切りに、アレッポ市のバルワラ地区、カルム・カスル地区、カルム・タッラーブ地区の制圧に向けた作戦を本格化させたと報じた。

またシリア人権監視団によると、軍はアレッポ市カーディー・アスカル地区、マイサル地区を空爆し、少なくとも3人が死亡した。

同監視団によると、軍の進軍と反体制武装集団の戦闘を恐れ、マイサル地区、マルジャ地区、インザーラート地区の住民が避難を開始したという。

一方、SANA(1月28日付)によると、アレッポ市のカーディー・アスカル地区で軍が反体制武装集団の武器庫を破壊し、またジャズマーティー地区、シャッアール地区、ナイラブ地区、ハナーヌー地区、ラーシディーン地区、ダウワール・ハーウーズ周辺、ナイラブ陸橋周辺の農場、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ中央刑務所周辺、マアーッラト・アルティーク村、マンスーラ村、アンジャーラ村、ヒーラーン村、ダフラト・ブライジュ村、クワイリス村、ラスム・アッブード村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、カフルラーター村、アブー・ズフール町、タッル・サラムー村、マアッラト・ヌウマーン市郊外、マアッラーター村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、ラジオ・ロザナ(1月28日付)によると、キリスト教徒が多く住むいわゆる「ナサーラー(キリスト教徒)地方」で、シリア民族社会党が編成した民兵(国防隊、ないしは人民諸委員会)と「ジュンド・シャーム」を名乗る反体制武装集団が交戦した。

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ラッカ県では、アフバール・アーン(1月28日付)が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が制圧したラッカ市内で、女性警官がニカーブを着用していない女性を公衆の面前で罵倒し、ダーイシュの拘置所に連行する事件が散見されている、と報じた。

AFP, January 28, 2014、Akhbar al-An, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、al-Quds al-‘Arabi, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014al-Watan, January 28, 2014などをもとに作成。

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2014年1月28日のシリア情勢:シリア政府の動き

ヒムス県のタラール・バラーズィー県知事は、ヒムス市旧市街からの女性・子供の退去と人道支援搬入に関して、「婦人警察、医師、シリア赤新月社は女性・子供退去に向けた直ちに調整を行う準備ができおり、旧市街に立てこもる「武装集団」との調整を続けている駐国連代表からの回答を待っている」と述べた。

SANA(1月28日付)が伝えた。

AFP, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014などをもとに作成。

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2014年1月28日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は、それ以外の武装集団との戦闘停止を呼びかけたサウジアラビアの説教師アブドゥッラー・ムハイスニー氏による「ウンマ・イニシアチブ」(23日)に関して声明を出し、「戦闘を仕掛けてくるすべての者と戦うこれまでの政策を続ける」と発表した。

Kull-na Shuraka', January 28, 2014
Kull-na Shuraka’, January 28, 2014

ダーイシュは声明で、反体制武装集団との戦闘が、「サリーム・イドリースの参謀委員会やジャルバーの連立の傘下で世俗的な方法を隠し立てしようとしない部隊」、「マジャール・マアルーフ、ハーリド・ハヤーティー、アフマド・アファシュなどの腐敗した集団」に対するもので、ムジャーヒディーンを標的としていないと主張した。

そのうえで、ウンマ・イニシアチブの支持者らに対して、民主主義、世俗主義、自由シリア軍参謀委員会、シリア革命反体制勢力国民連立だけでなく、サウジアラビア、カタール、トルコなどといった国々の支配体制への姿勢を明示するよう求めた。

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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長ら複数の武装集団指導者がビデオ声明を出し、「ハズム運動」の名で新たな武装集団連合体を結成すると発表した。

イドリース参謀長らは声明で、ハズム運動が体制打倒、自由回復、自由と公正に基づくシリア国民の要求を実現することをめざすとしたうえで、声明発表をもって参加する武装集団を解体し、ハズム運動として統合すると宣言した。

また声明では、ハズム運動の司令官の氏名を以下の通り発表した:

軍司令官:アブドゥッラー・アウダ中尉(アブー・ザイド)

南部軍司令官:ムハンマド・ダヒーク(アブー・ハーティム)

北部軍司令官:ムルシド・ハーリド中尉(アブー・ムウタッス)

政治局長:ハムザ・シャマーリー(アブー・ハーシム)

書記長:ビラール・アッタール(アブー・アブドゥー・シャーム)

ハムザ運動に参加した武装部隊は以下の通り:

北部ファールーク大隊

第9師団特殊部隊

第1機甲師団

アッラーへの信仰旅団

アビー・ハーリス大隊(ハマー・ファールーク)

サラミーヤ自由人大隊(ハマー・ファールーク)

殉教者アブドゥッラフマーン・シャマーリー大隊

殉教者バクル・バッカール大隊

殉教者ハムザ・ザカリヤー大隊

ラシード大隊

アブー・アスアド・ニムル大隊

アフバーブ・アッラー旅団

ファーティフ大隊

第60歩兵旅団

アブドゥッラフマーン大隊

殉教者アブドゥルガッファール・ハーミーシュ大隊

ザアフラーナ・ファールーク大隊

殉教者アブドゥッラー・バッカール大隊

ラスタン殉教者大隊

殉教者アンマール・トゥラース・ファルザート大隊

真実の声中隊

Kull-na Shuraka', January 28, 2014
Kull-na Shuraka’, January 28, 2014

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アレッポ県マンビジュ市を制圧したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の電力供給局長を務めるというドイツ人戦闘員のアブー・ムハンマド・アルマーニー氏は声明を出し、マンビジュ市住民に1ヶ月分の電気料金を支払うよう求め、料金支払いがない場合、電気を遮断すると脅迫した。

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シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者は『クドス・アラビー』に、ジュネーブ2大会へのシリア革命反体制勢力国民連立の参加の是非を決する総合委員会での採決で、同胞団メンバーが反対票を投じたとしつつ、多数派の決定を尊重していると述べた。

シャカファ最高監督者はまた、ジュネーブ2大会を成功させるには、アサド政権が殺戮を止め、包囲を解除し、人道支援物資配給に応じたうえで、アサド大統領および政権幹部を排除したかたちでの移行期統治機関の設置を行うべきだと述べた。

AFP, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014などをもとに作成。

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