ロイター通信(4月18日付)が複数の消息筋の話として伝えたところによると、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で7日に発生した塩素ガス使用疑惑事件を調査するためにドゥーマー市入りしようとしていた化学兵器禁止機関(OPCW)の専門家チームは、群衆が支援を求める抗議行動を行うなか、発砲が繰り返されたために首都ダマスカスに引き返した。
政権に近い高官によると、この群衆は支援ではなく、米英仏の空爆を非難していたが、発砲はなかったという。
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OPCWの英国代表を務めるピーター・ウィルソン在オランダ英大使は、アフマド・ウズムジュ事務総長が専門家チームの実査延期を決定したことを明らかにした。
ウィルソン大使は、記者団に対して、専門家チームの実査に先立って、ドゥーマー市に入ろうとした国連安全保安局(UNDSS)の偵察隊が同市に入ろうとした際に発砲を受け、また爆発事件が発生したために、首都ダマスカスに引き返したと述べた。
また、これに関して、ウズムジュ事務総長は「現下のセキュリティ・リスクのもとでは、専門家チームがいつドゥーマー市に入れるか明言できない…。現地の治安状況を評価するため、シリア政府、ドゥーマー市地元評議会(反体制派)、ロシア軍憲兵隊と作業を継続している」と付言したという。
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米国務省のヘザー・ナウアート報道官は「専門家チームのドゥーマー市入りが延期になる度に…、現地での証拠が隠滅されることを懸念している」と述べた。
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SANA(4月18日付)は、シリア政府の支配下に復帰したダマスカス郊外県東グータ地方でイスラーム軍が「改悛拘置所」として使用していた施設の写真と画像を公開した。
AFP, April 18, 2018、ANHA, April 18, 2018、AP, April 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 18, 2018、al-Hayat, April 19, 2018、Reuters, April 18, 2018、SANA, April 18, 2018、UPI, April 18, 2018などをもとに作成。
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