シリアとレバノンのキリスト教諸派の司教・主教はイタリアでの会合で「我々にとって最大の恐怖は世俗的な体制が、イスラーム過激派の政府にとって代わること」と表明(2018年7月8日)

イタリア南部のバーリ市で、シリアとレバノンのキリスト教諸派の司教・主教会議が開催され、司祭・主教らは、シリア難民を帰国させるための国際社会の支援を求めるメッセージをローマ法王フランシスコに送った。

ローマ・カトリック教会のジャーン・クライマーン・ジャーンバール・アレッポ司教区長は「戦争前には17万人いたアレッポのキリスト教徒は、今はもう6万人ほどしかいない。西側諸国に去った者は戻ってこないだろう。だが、近隣諸国に避難した人々は事情が違う」と述べた。

そのうえで「アサド政権以外の唯一の選択肢はイスラーム過激派の体制だ…。シリアは西欧風の民主主義を受け入れる準備ができていない」と付言した。

ジャーンバール司教区長は「アレッポはあなた方を待っている」というスローガンを掲げ、スイスなどで寄付を募り、難民のアレッポ市への帰還を支援してきた人物。

またダマスカスに首座を構えるシリア正教アンティオキア全東方総主教区のイグナティウス・アフレム2世カリーム総主教は「西側は体制転換に力点を置いた。だが、我々にとって最大の恐怖は世俗的な体制が、イスラーム主義的な政府にとって代わることです」と述べた。

一方、レバノンのマロン派教会のビシャーラ・ラーイー総大司教は、シリア難民に帰国を促した。

ドゥラル・シャーミーヤ(7月8日付)が伝えた。

AFP, July 8, 2018、ANHA, July 8, 2018、AP, July 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2018、al-Hayat, July 9, 2018、Reuters, July 8, 2018、SANA, July 8, 2018、UPI, July 8, 2018などをもとに作成。

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