英国で活動する反体制組織のシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、アラビーヤ・チャンネル(11月9日付)に対して、政権内部から得た情報だとして、シリア軍およびムハーバラート(諜報機関)所轄の拘置所・刑務所で10万4000人の拘置者・逮捕者が死亡したと述べた。
アブドゥッラフマーン代表は、「政権内部から得た情報」の詳細については明らかにしなかったが、死亡した拘置者・逮捕者の約83%が2013年3月から2015年10月にかけて死亡し、30万人がダマスカス郊外県のサイドナーヤー刑務所で収監されていたという。
シリアの拘置所・刑務所は、イラン・イスラーム革命防衛隊とシリアのムハーバラートによって監視され、両組織が拘置者・逮捕者の殺害を黙認、サイドナーヤー刑務所では1日2~3人が病気や飢えで死亡していたのだという。
また、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領も、シリア政府に対する国際世論の批判を回避するために、こうした拘置所・刑務所を監督していたのだという。
アブドゥッラフマーン代表は、イラン・イスラーム革命防衛隊、ジャミール・ハサン少将を長とする空軍情報部をはじめとするムハーバラートの手によって10万4000人が殺されたと断じたうえで、現在も80万人あまりが各地の拘置所・刑務所に収監されており、政府は拘置者・逮捕者がすでに死亡したと、家族に対して伝えていたが、新たな軍事作戦のための条件として彼らの身柄を利用しようとしているのだという。
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AFP, November 11, 2018、ANHA, November 11, 2018、AP, November 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 11, 2018、al-Hayat, November 12, 2018、Reuters, November 11, 2018、SANA, November 11, 2018、Syriahr.com, November 9, 2018、UPI, November 11, 2018などをもとに作成。
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