ロシアのラヴロフ外務大臣「ロシア・トルコ両軍はイドリブ県内で合同パトロールを行う」、グラハム米上院議員「欧州諸国が安全地帯設置のためにシリアに派兵するのなら、米軍も残留する」(2019年2月16日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ドイツのミュンヘンで開催されたミュンヘン安全保障会議(MSC)で、14日のソチでのロシア・トルコ・イラン首脳会談で、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握しているイドリブ県の処遇について「徐々に奪還することを合意した」ことを明らかにした。

ラブロフ外務大臣は「ロシア・トルコ両軍がイドリブ県内の緊張緩和地帯内で合同パトロールを行う地域を確定する」ことについても合意したとしたうえで、「イドリブ県にテロリストが際限なく居続けることを我慢することはできない…。ロシア軍は国際法の要請に従い計画を策定する」と述べた。

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、「米国がシリアから突如、足早に撤退することは良い考えと言えるのか? イランとロシアが再び影響を及ぼす力を強めてしまうのではないか」と述べた。

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『ワシントン・ポスト』(2月16日付)などによると、リンセイ・グラハム米上院議員(サウス・カロライナ州選出、共和党)は、出席した欧州諸国の代表らに対して、ドナルド・トランプ米大統領とシリア駐留米軍の撤退問題などについて広範な意見交換を行い、それを受けて、欧州諸国に対して、シリア北東部の国境地帯に安全地帯を設置するため、部隊を派遣するよう要請することになるだろう、と述べた。

この提案は「ポスト・ダーイシュ(イスラーム国)の戦略」の一環で、グラハム議員はまた、欧州諸国がこの要請に応じれば、トランプ大統領は一定規模の米軍部隊を安全地帯設置のために残留させるだろう、と付言した。

AFP, February 16, 2019、ANHA, February 16, 2019、AP, February 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2019、al-Hayat, February 17, 2019、Reuters, February 16, 2019、SANA, February 16, 2019、UPI, February 16, 2019、The Washington Post, February 16, 2019などをもとに作成。

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