アサド大統領はサイドナーヤー町聖トーマス修道院でシリア・カトリック教徒の若者が企画した対話集会に参加「アラブ・アイデンティティとは、エスニックな概念ではなく、文明的なありようで、人々の歴史的なアイデンティティが奪われることを拒んできた」(2019年7月4日)

アサド大統領は、ダマスカス郊外県サイドナーヤー町にある聖トーマス修道院でシリア・カトリック教徒の若者が企画した対話集会(3日に開幕)に参加し、若者や教会関係者らと懇談した。

集会のなかで、アサド大統領は、シリアのキリスト教徒は、中庸の意識を高め、多様性を深めるうえで必要だとしたうえで、キリスト教徒は、歴史を通じて、その姿勢や愛国心を通じて中東地域を分断しようとする幾田の計画を頓挫させるのに貢献し、シリアの敵やテロを保護する者たちに、すべての帝国主義的分断計画は頓挫するというメッセージを送り続けていると称賛した。

また、愛国的な論理のもとで、西側が押しつけようとしているようなマイノリティやマジョリティの論理は受け入れられることはなく、多様な国民は今後のシリアにおいて一つであり続け、この多様性を維持し、シリアの敵の道を閉ざすことが、対話を通じてすべてのシリア人が果たすべき責任だと強調した。

そのうえで、アラブ・アイデンティティとは、エスニックな概念ではなく、文明的なありようであり、アラブ文明は、すべての人々を統合はするが、人々の歴史的なアイデンティティが奪われることを拒み、それが維持されることを支えてきたと付言、キリスト教を標的とすることは、シリア社会における文明、文化、宗教の多様性を標的としようとするもので、その目的は、この地域を宗派主義的小国家群に分断し、占領下のパレスチナに「ユダヤ国家」に正当性を与えようとするものだと批判した。

SANA(7月4日付)が伝えた。

AFP, July 4, 2019、ANHA, July 4, 2019、AP, July 4, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 4, 2019、al-Hayat, July 5, 2019、Reuters, July 4, 2019、SANA, July 4, 2019、SOHR, July 4, 2019、UPI, July 4, 2019などをもとに作成。

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