アスタナ会議に出席する反体制派「シリア軍事革命諸勢力代表団」幹部はカザフスタンで記者会見を開き、北・東シリア自治局への敵意を露わにする(2019年8月1日)

シリア軍事革命諸勢力代表団は8月2日と3日にカザフスタンの首都ヌルスルタンで開催されるロシア、トルコ、イラン仲介によるアスタナ13会議に参加するのに先だって、ヌルスルタンで会合を開き、その後記者会見を行った。

記者会見に臨んだのは、シリア革命反体制勢力国民連立のアブドゥルハリーム・バッシャール副代表、アラブ部族評議会のラーミー・ドゥーシュ議長、アフリーン地区評議会のサイード・スライマーン議長。

北・東シリア自治局とシリア政府の関係に関して,バッシャール氏は、シリア政府がシリア民主軍との間に、クルド人の革命への参加阻止、クルド・アラブ抗争の煽動などで合意したと主張、シリア民主軍がラッカ県、ダイル・ザウル県、アレッポ県マンビジュ郡で殺戮、暴行を行うことでアラブ人とクルド人の関係が悪化したと断じた。

そのうえで、ユーフラテス川東岸に「安全地帯」を設置しようとするトルコと米国の動きに支持を表明し、シリア民主軍のテロを抑止することでこの地域を安定させ、同地が地元住民からなる評議会によって運営されるべきだと主張した。

制憲委員会に関しては、現在具体的な視点は見られないとしつつ、ロシアとトルコの高官によると、合意はなされ、まもなく設置が発表されると明かした。

だが、一度制憲委員会が設置されれば、シリア政府はこれに反対し、妨害すると主張、シリア政府は政治移行の真のパートナーとはなり得ないと強調した。

ドゥーシュ氏は、ユーフラテス川以東地域の状況について言及、この地域を、クルド人とアラブ人が混住するトルコ国境地帯と、アラブ人のみが暮らす南部地帯(ユーフラテス渓谷、ダイル・ザウル県、ラッカ県など)に分離すべきだと主張した。

そのうえで、アラブ部族評議会はシリア民主軍との共存は不可能だと強調した。

スライマーン氏は、アフリーン郡情勢について言及、シリア民主軍がこの地域の安定を揺るがそうとしていると批判したうえで、ユーフラテス川以東地域でのトルコによる軍事作戦開始と合わせて、アフルーン市でシリア民主軍の活動が活発化しかねないことへの懸念を示した。

クッルナー・シュラカー(8月1日付)が伝えた。

AFP, August 1, 2019、ANHA, August 1, 2019、AP, August 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 1, 2019、Reuters, August 1, 2019、SANA, August 1, 2019、SOHR, August 1, 2019、UPI, August 1, 2019などをもとに作成。

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