イドリブ県各所でアサド政権打倒とシャーム解放機構退去を求めるデモ、バーブ・ハワー国境通行所近くではトルコ軍に代わってシャーム解放機構がデモ参加者の接近を阻止(2019年9月20日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(9月20日付)、ザマーン・ワスル(9月20日付)などによると、イドリブ市、サラーキブ市、カフルタハーリーム町、マアッラト・ヌウマーン市で、「アサド打倒は平和への扉だ」と銘打った反体制デモが行われ、アサド政権の打倒とシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の退去が要求された。

スマート・ニュース(9月20日付)によると、イドリブ市でのデモ参加者は250人以上、カフルタハーリーム町は数百人、マアッラト・ヌウマーン市は数十人。

デモ参加者は、19日の国連安保理会合で、ロシア(そして中国)がイドリブ県での「人道停戦」を求めたドイツ、ベルギー、クウェート提出の決議案に拒否権を発動したことに対しても抗議の意を示した。

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また、トルコ国境に面するバーブ・ハワー国境通行所近くでも、同様のデモが行われ、数千人が参加した。

デモ参加者のほとんどは国内避難民(IDPs)で、アサド政権の打倒、最近の戦闘でシリア軍が制圧した地域からの撤退と同地への帰村、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の退去が求められるとともに、トルコに対して、ロシアに圧力をかけイドリブ県への攻撃を停止させるよう呼びかけられた。

デモ参加者は国境通行所に接近したが、デモ参加者は国境通行所に向けて行進したが、シャーム解放機構が検問所を設置し、戦闘員を展開させるなどして進行を阻止した。

同様のデモは8月30日にも行われたが、そのときは、シャーム解放機構ではなく、トルコ軍が催涙ガスなどを発射し、デモ参加者を強制排除した。

なお、クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHA(9月20日付)によると、デモ参加者はトルコの撤退も求めたという。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SMART News, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019、Zaman al-Wasl, September 20, 2019などをもとに作成。

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