アトリー内閣が総辞職、各都市では政権を支持する「100万人規模の民衆大行進」が組織される(2011年3月29日)

アサド政権の動き

大統領府が声明を出し、バッシャール・アサド大統領が「ムハンマド・ナージー・アトリー内閣の総辞職を受理し、新内閣組閣までの期間、同内閣を暫定移行内閣に任じた」と発表した。

アトリー内閣の変遷については「シリア内閣」(現代東アラブ地域の政治主体に関する包括的研究:非公的政治空間における営為を中心に科学研究費補助金(基盤研究(B))」を参照。

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SANA(3月29日付)は「100万人規模の民衆大行進」がダマスカス県、アレッポ市、イドリブ市、ハサカ市、ラッカ市、タルトゥース市、ダイル・ザウル市、ハマー市、スワイダー市など、シリア各県で行われた、と報じた。

ダマスカス県のウマウィーイーン広場には数十万人が集まった。

同行進は「祖国への忠誠」と銘打たれ、アサド大統領支持、大統領が指導する「包括的改革プログラム支持」、「挙国一致」の確認、外国による「暴動扇動」の試みの拒否が訴えられた。

シリア国旗が家々のバルコニーや車に掲げられ、プラガードには「挙国一致は試されるまでもない」、「シリアがめざすものはレジスタンスのプログラムがめさすもの」、「腐敗反対、改革プログラム賛成」、「改革賛成、我々はあなたとともにある」などと書かれていた。image

al-Hayat, March 30, 2011
al-Hayat, March 30, 2011

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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人民議会は今日予定されているアサド大統領の演説に先だって、マフムード・アブラシュ議長のもと臨時会を招集し、「シリアが享受し、最近の事件で強化された挙国一致」、「シリアに対する挑戦や陰謀に立ち向かう能力、国民の生活状況改善のための決定や立法の重要性、腐敗との戦い、戒厳令解除、政治生活への参加拡大」の必要を確認した。

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複数の人権擁護活動家によると、シリア当局は、ダマスカスの裁判所前で3月27日(日曜日)に逮捕されたフサイン・イーサー氏など、反体制デモを支持した弁護士4人を釈放したと述べた。

なおシリア人権監視団はフサイン・イーサー弁護士(ダマスカスの裁判所前で逮捕)、ターミル・ジャフマーニー弁護士(ダマスカスのジャーナリスト・クラブで逮捕、スライマーン・ヌハイリー弁護士(ヒムス市のデモに参加したとの理由で逮捕)、ニダール・シャイフ・ハンムード弁護士(ヒムス市のデモに参加したとの理由で逮捕)、ムハンマド・イブラーヒーム・イーサー弁護士(ダマスカス郊外県でフェイスブック上での活動が原因で逮捕)されたと発表していた。

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『シャルク・アウサト』(3月29日付)は、ダルアー県で反体制運動が最初に噴出した遠因として、ハーフィズ・アサド前大統領のもとで培われていた政権とハウラーン地方の政治エリートとの関係が、アサド政権のもとで崩壊した事実があることを示唆する記事を掲載した。

この記事によると、ハーフィズ・アサド政権のもと、ダルアー出身のファールーク・シャルア、マフムード・ズウビー、ルストゥム・ガザーラがそれぞれ外務大臣、首相、レバノン駐留シリア軍治安偵察機構課次長(その後課長)に登用され、政権とハウラーン地方の政治エリートの間に「友好関係」が築かれていたが、アサド現政権のもと、シャルア外務大臣は副大統領という閑職に追いやられ、ズウビー首相は「自殺」に追い込まれ、ガザーラは少将に昇進したもの、「反逆罪」で粛清することを脅迫されるようになった、という。

反体制運動

DP-News(3月31日付)は、29日にラタキア市内のカルア地区、スライバ地区などで始まった座り込みの解散を説得するために、ラタキア県のリヤード・ヒジャーブ県知事、県議会議員らが現場で市民と対話を行ったと報じた。

同報道は、ラタキア県議会議員の一人が匿名を条件に以下のように述べたと報じた。

「座り込みを行っている人々の要求のほとんどは個人的なものだった。住宅、仕事、ヒッティーン(サッカー・チーム)に関するものなどである。むろんこのほかにも、政治犯釈放を求める声もあったが…」。

同議員によると、ヒジャーブ県知事が政治犯釈放を拒否する姿勢を示すと、座り込みを行う人々は憤慨し、県知事らに投石したという。

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SANA(3月30日付)は、シリア・アラブ・テレビがレバノンのトリポリ市からシリア国内に武器が密輸されていると報じたと伝える。同報道によると、武器密輸にはムスタクバル潮流が関与しているというが、ムスタクバル潮流のアフマド・ハリーリー報道官はこれを否定した。

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Akhbar al-Sharq, March 29, 2011
Akhbar al-Sharq, March 29, 2011

 

 

 

 

 

 

「アフバール・シャルク」(3月29日付)は、タルトゥース県バーニヤース市で反体制デモを指導しているシャイフ、アナス・アイルート師が脅迫を受けていると報じる。

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「アフバール・シャルク」(3月29日付)は、経済学者のアーリフ・ダリーラ氏(ラタキア出身)が、宗派主義反対のため、ラタキア市で様々な宗派の識者と会談していると報じる。

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AFPやロイター通信(3月29日付)は、シリアの複数の有識者と人権活動家が「国民誓約」と題した声明を出し、「民主的民生国家の建設」、「多様性の尊重」、「宗派主義反対」、「あらゆる状況下での非暴力」を主唱したと報じた。

同声明の署名者のなかには、思想家のサーディク・ジャラール・アズム氏、脚本家のムハンマド・ムリッス氏、同じく脚本家のサミール・ズィクラー氏、風刺漫画家のアリー・ファルザート氏が含まれた。

また同声明には政治活動家や人権活動家も署名しており、そのなかにはハイサム・マーリフ氏、アーリフ・ダリーラ氏、ミシェル・キールー氏、フィダー・アクラム・ハウラーニー氏、リヤード・サイフ氏、アブドゥルカリーム・リーハーウィー氏、フサイン・アウダート氏、アブドゥルハミード・ダルウィーシュ氏、ガッサーン・ナッジャール氏、ワッザーン・ザイトゥーナ氏、ムンタハー・スルターン・アトラシュ氏、アフマド・トゥウマ氏、ファーイズ・サーラ氏、ファウワーズ・タッルー氏が名を連ねた。

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アラブ社会主義連合民主党のラジャー・ナースィル氏はシャアバーン顧問の記者会見の内容を「依然として曖昧さがぬぐえない」としたうえで、アサド政権が政治的対話を無視して、治安機関を通じた圧力の行使という対話を認めるのみである」と非難した。

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シリア・クルド政治評議会は声明を出し、各地での反体制抗議行動との連帯、支持を表明するとともに、憲法改正を通じたクルド民族の存在の保障、一般的自由の保障、すべての政治犯・言論犯の釈放を求めた。

諸外国の動き

ロイター通信(3月29日付)は、ヒラリー・クリントン米国務長官がシリア政府によるデモ弾圧を改めて激しく非難し、マーク・トナー国務省副報道官が、シリア大統領が政治改革のさらなる進展を実現し、国民の要望に応えねばならないと述べたと報じた。

ロンドンでのリビア問題に関する国際会議に出席中のクリントン国務長官は「会議と並行して行われた一連の会合で、シリアなどの問題について議論する機会があった」と述べた。

また「シリア政府がデモ参加者に対して行った厳しい弾圧、とりわけ治安部隊による市民への暴力と殺戮に対して強い非難の意を表明する」と付け加えた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリアに対して政治改革の導入、国民との対話の開始を求めたが、現状において国連による制裁や介入はふさわしくないと述べた。

またシリアが新内閣の組閣を決定したことにフランスが何を期待するかとの質問に対して、ジュペ外務大臣は「国民のデモに対するあらゆる暴力と抑圧を非難する」と述べたうえで、「我々は改革と対話を求めているが、現時点において安保理による制裁や決議を検討してはいない」と付け加えた。

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米国務省のマーク・トナー報道官は29日、米国人3人がシリアで逮捕され、うち1人が釈放されたことを確認したと発表した。

3月27日にシリア・アラブ・テレビが米国籍を持つエジプト人の証言映像を放映していた。

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複数の消息筋によると、ロイター通信のヨルダン人記者2人、スライマーン・ハーリディー特派員と写真家のハーリド・ハリーリー氏が3月29日に失踪。

シリア当局は「2人の行方を捜査中」と述べているが、治安組織に拘束されたと考えられている。

Akhbar al-Sharq, March 29, 2011, March 30, 2011、DP-News, March 31, 2011、al-Hayat, March 30, 2011, April 1, 2011、Kull-na Shuraka’, March 29, 2011, March
30, 2011, March 31, 2011、Reuters, March 29, 3011、SANA, March 30, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, March 29, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

トルコのエルドアン首相がアサド大統領と電話会談を行い、シリア国民に耳を傾けるよう求める(2011年3月28日)

反体制運動をめぐる動き

ダルアー県では、現地の目撃者によると、シリア治安部隊がダルアー市で非常事態反対を連呼するデモ参加者数百人に発砲した。

デモ参加者は市内の広場に表れ、自由を要求し、戒厳令を拒否するシュプレヒコールを繰り返し、治安部隊は数分にわたって空に向かって威嚇射撃を行ったが、デモ参加者は発砲が終わると、再び抗議行動を続けたという。

Akhbar al-Sharq, March 28, 2011
Akhbar al-Sharq, March 28, 2011

 

 

 

 

 

 

 

 

ダルアー市内の治安部隊はその後規模を縮小させていたが、住民が明らかにしたところによると、再び増強されたという。

ある商人は、ダルアー市でのデモの中心地となったウマリー・モスクを指さして、治安部隊が「モスク近くのあらゆる群衆に向けて弾丸を浴びせた」と述べた。

ダルアー市住民の一人でモスクの近くに家を持つアブー・タマーム氏によると、兵士と治安要員が「ほぼ1メートル間隔で」配置されていた。

ジャワービラ家の別の市民によると、狙撃手が重要な施設の屋上に再配備されたため、「誰も動こうとはしなかった」。

ダルアー市の商業地区は麻痺状態となっており、またシリア・ヨルダン国境の往来も減少していたという。

しかしインターネット上では、ダルアー市などでハーフィズ・アサド前大統領の像が破壊される映像、アサド大統領および前大統領の写真が破られる映像、マーヒル・アサド大佐を批判するシュプレヒコールを連呼する市民の映像などがアップされ続けた。

http://www.youtube.com/watch?v=D57SZpiH0Lo

http://www.youtube.com/watch?v=IsiFxi9uRGg

http://www.youtube.com/watch?v=9flGn0y2_d0&feature=player_embedded#at=61

http://www.youtube.com/watch?v=H9_BOjkD2wY

アフマド・バドルッディーン・ハッスーンがダルアー県のサナマイン市を訪問し、犠牲者遺族を弔問。

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『ハヤート』(3月29日付)によると、ラタキア市は平静を取り戻した。

市内商業地区の中心に位置するシャイフ・ダーヒル地区には、武装集団と治安部隊との激しい交戦による破壊や放火の痕跡が残ったという。

環境社会開発センターのイサーム・フーリー調整役はAFP(3月28日付)との電話で、「市内で次第に普通の生活が戻りはじめ、門を開けた学校もある」と述べたが、「住民は子供たちを通学させることをいまだ恐れている」と指摘した。

また「開店している商店もあり、車の往来も各地区で見られる」と付け加えた。

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しかし『シャルク・アウワト』(3月29日付)はラタキア市スライバ広場(スライバ地区)で約2,000人が宗派主義反対の集会を行ったと報じた。

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『シャルク・アウワト』(3月29日付)は、ヒムス県ヒムス市のアナーウーラ市場とマスクーフ市場で28日、平和的座り込みを行おうとした市民多数(30人以上)が逮捕されたと報じる。また数百人が参加したこの座り込みに対して、治安部隊が発砲したという。

シリア人権委員会は声明を出し、3月25日のヒムス市でのデモ発生後、多くの市民が失踪したと発表する。

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、アサド政権による各地でのテロ弾圧を批判、犠牲者に哀悼の意を示すとともに、「現体制のもとで武器弾薬の貯蔵はゴラン解放のために自由でなされてきたが、国民、子供たちを殺すために用いるためではない」と非難した。

アサド政権の動き

ファールーク・シャルア副大統領はマナール・チャンネル(ヒズブッラーのテレビ放送)で、バッシャール・アサド大統領が2日以内に「シリア国民の幸福向上」のための重要な諸決定を発表すると述べた。

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AFP(3月28日付)によると、人民議会のムハンマド・ハバシュ議員は、「政権にどのような措置を講じるのか明示させるよう」人民議会に求めるべきだとしたうえで、「我々は大統領が人民議会に来て、必要な手順について説明するよう求めた」と述べた。

また「国民を宗派に分断し亀裂を助長することをねらったシリアに対する宗派主義的陰謀」の存在に関して、人民議会には「宗派主義的陰謀を拒否するという一致した立場が存在する」と述べた。

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当局は身柄拘束していたロイター通信の記者2人を釈放した。

女性テレビ・プロデューサーのアーヤート・バスマ氏とカメラマンのイッザト・バルタジー氏は同僚との電話で話したところによると、2人は現在レバノンに向かって越境中で、ともに無事だという。

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DPI(3月28日付)は、シリア政府に近い消息筋が、一部メディアで報じられていたファールーク・シャルア副大統領殺害を否定したと報じた。

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『アルワタン・オンライン』(3月28日付)は、カタールのハマド・ブン・ジャースィム・アール・サーニー首長の代理としてシリアを訪問したタミーム・ブン・ハムド・ブン・ジャースィム・アール・サーニー皇太子がアサド大統領と会談し、ユースフ・カラダーウィー師の発言に関して謝罪したと報じる。

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国内の政権寄りの有識者、芸術家などが、「祖国の屋根の下で」と題した声明を出し、ダルアー市などで続く自由・民主主義を求める平和的デモへの支持を表明するとともに、混乱、破壊をもたらすような煽動に反対の意思を示した。

また改革路線への支持を表明し、戒厳令解除、政治犯・言論犯の釈放、政党法制定、国民対話の開始などを求めた

同声明には、ドゥライド・ラッハーム氏、バッサーム・クーサー氏、バースィム・ヤーフール氏、ニダール・スィージャリー氏ら数十人が署名した。

諸外国の動き

またトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は昨日、過去3日の間に行った2度のアサド大統領との電話会談で、シリア国民に耳を傾けるよう求めたが、「消極的」な回答しか得られなかったことを明らかにした。

イラクへの公式訪問に先立ってアンカラで記者会見したエルドアン首相は、アサド大統領が改革実行を拒否する発言をしなかったとしたうえで、非常事態令解除、政党法制定の作業を実際に開始したと告げられたことを明らかにした。

また首相は、改革について国民と直接対話するようアサド大統領に忠告したと述べ、リビアの試練が繰り返されないよう、そしてシリア人が懸念を生み出すような遺憾で悲しい事件を繰り返さないよう望んでいるとの意思を示して会見を締めくくったという。

エルドアン首相の記者会見を受け、『ハヤート』(3月29日付)は、シリア国内の反体制デモの背後に外国勢力がいるとの疑念をアサド政権が繰り返すなかで、シリア情勢をめぐるトルコの懸念が増していると報じた。

またトルコはシリアでの政情不安がトルコと中東地域に消極的に作用すること、そして「革命」の火が地域全体のクルド人に波及することを恐れているという。

トルコの複数の高官は、シリアでの事態悪化がトルコに波及した場合の影響の深刻さを指摘しており、シリアでリビアのシナリオが繰り返され、シリアが分割の脅威に曝されることに警戒感を示しているという。

なぜならそれによって最終的には、地域におけるクルド国家建国が促され、トルコ南東部に新たな戦争の火種が及ぶかもしれないからである。

それゆえトルコは、真に抜本的・根本的な改革実施の必要をダマスカスが理解し、治安対策のみに依拠しないよう呼びかけているのだという。

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SANA(3月29日付)は、サウジアラビアのアブドゥッラー国王がアサド大統領と電話会談し、両国関係および中東地域情勢に関して意見を交わしたと報じた。

会談において、アサド大統領はシリア情勢は安定していると述べ、シリアとその国民に対して関心を寄せる国王に感謝の意を示したという。

これに対して、アブドゥッラー国王は、「シリアの治安と安定に打撃を与えようとする陰謀に対抗するシリアを支持する」と述べたという。

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フランスはラタキア市とダルアー市に訪問しないよう在留フランス人に勧告した。

フランス外務省はホームページで、「ラタキア市、ダルアー市への訪問、シリア・ヨルダン間の移動に際してのナスィーブ・ジャービル国境通行所の使用を避ける」よう在留フランス人に忠告する注意を発した。

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レバノンの首都ベイルート県内ハムラー地区にあるシリア大使館前で、前日に引き続き数300人のシリア人労働者がバッシャール・アサド大統領と政府との団結を訴えるデモを行った。

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ユースフ・カラダーウィー師が会長を務める世界ムスリム・ウラマー連盟はシリアでのデモ弾圧を批判。

AFP, March 28, 2011、Akhbar al-Sharq, March 28, 2011, March 29, 2011, March 30, 2011、Alwatan Online, March 28, 2011、DPI, March 28, 2011、al-Hayat, March 29, 2011、Kull-na Shurakā’, March 28, 2011、Naharnet.com, March 28,
2011、Reuters, March 28, 2011、SANA, March 29, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, March 29, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

クウェートやバーレーンの元首がアサド大統領への支持を表明、また米国務長官はシリアへの軍事介入の可能性を否定(2011年3月27日)

反体制デモをめぐる動き

複数の住民が述べたところによると、ダルアー市やラタキア市に、軍・治安部隊、ムハーバラートの増援部隊が派遣され、市内制圧を支援する一方、監視態勢を強化し、大規模なデモは発生しなかった。

ただし、ダルアー市内には、戦車、兵員輸送車輌は投入されていないという。

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複数の通信社によると、衛星テレビ局アフバール・スーリーヤは、当局が約300人を逮捕し、そのなかにはイラク人、ヨルダン人、レバノン人、アルジェリア人が含まれていたと報じた。

彼らは3月26日(土曜日)、ラタキア市で、ビルの屋上を占拠し、通行人に発砲したという。

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『クッルナー・シュラカー』(3月27日付)は、「クルド青年革命」を名乗るグループが、フェイスブックなどでダルアー市との連帯を表明するため、カーミシュリー市での座り込みを呼びかけたと報じる。

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アラブ社会主義連合民主党は声明を出し、「平和的な手段による愛国的、民主的な運動のただ中にを見出す」と述べ、反体制抗議行動支持を表明。

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人民議会の審議で、ユースフ・アブー・ルーミヤ議員(75歳、ダルアー県選出、無所属)が、ダルアー市で治安部隊が「執拗に」デモ参加者に発砲したと非難した。

アブー・ルーミヤ議員は「ハウラーン地方で起きているのは、大統領ではなく、ヘリコプターを投入して市民に発砲した…ダルアーの政治治安部の無思慮に抗議するものだ」と述べた。

この発言はYoutubeで配信された。

アサド政権の動き

大統領府声明によると、バッシャール・アサド大統領はクウェートのフバーフ・アフマド・ジャービル・スバーフ首長、バーレーンのハマド・ブン・イーサー・アール・ハリーファ国王と電話会談した。

同声明によると、スバーフ首長は「クウェートが治安と安定を揺るがそうとする試みに対抗するシリアを支持するとの意思」を示し、この試みを退けるシリア政府および国民の能力を信頼していると述べた。

一方ハマド国王は「アサド大統領に対して、バーレーンが治安と安定を標的とした陰謀に立ち向かうシリア政府および国民を支持し、この陰謀を排除し、克服するシリア国民の意思と能力を信頼している」と述べた。

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SANA(3月28日付)は、公式筋の情報として、「武装集団が2日間にわたってラタキア市民、街区を攻撃し、治安部隊兵士、市民、10人と、武装集団メンバー2人がした。同集団は市内を徘徊し、家々の屋根を占拠して、市民に無差別に発砲、市民をパニックに陥れた…。約200人が負傷した。そのほとんどが治安要員で、武装集団はまた、ラタキア市内の公共施設、私有施設、福祉施設、焦点を破壊し、家々に押し入り、住民を脅迫した」と報じた。

またその際、市内の国立病院も襲撃され、多数の救急車両や医療クルーを攻撃した、という。

しかし、「ラタキア市民は、すべての地区で治安部隊に協力し、武装集団の居場所を知らせ、メンバー多数の逮捕、尋問に寄与した」。

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AFP(3月27日付)によると、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報顧問は、ラタキア市での3月26日(土曜日)の事件に関して「治安要員と市民2人、武装した男2人がラタキア市の住民や市街地に対する武装集団の攻撃によって死亡した」と公式筋の発表を繰り返した。

シャアバーン顧問はまた「攻撃の背後には過激派がおり、国内に宗派主義的亀裂をもたらそうとしていた」と疑った。

そのうえで「非常事態令解除は決定済みだが、それがいつ実施段階に入るかは分からない」と付言した。

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シリア・アラブ・テレビの報道によると、米国籍を持つエジプト人は外国から金銭を受け取り、シリアで撮影した映像を送っていたという。

シリア・アラブ・テレビで公開されたムハンマド氏の証言映像で、同氏はインターネットでコロンビア人からダマスカスでのデモの映像を撮影したら100EPの報酬を与えると持ちかけられたと述べた。

これに対して、アブー・バクル・ラドワーン氏(エジプト人)が3月27日晩にアラビーヤの電話取材に対して、息子のムハンマド氏がダマスカスで3月25日に逮捕されたと語った。

ムハンマド氏はウマイヤ・モスクで発生したデモを携帯電話のデジカメで撮影しただけであるにもかかわらず、シリア当局はイスラエルのスパイとの容疑をかけたという。

しかし、アブー・バクル氏は、ムハンマド氏がヨルダン経由でイスラエルに入国したことを認める。

ムハンマド氏は米国生まれの32歳で、テキサス大学を卒業。米在住。石油技師。

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AFP(3月27日付)はミシェル・シャンマース弁護士の話として、3月16日に内務省舎前で座り込みを行い「ダマスカスで逮捕されたディヤーナー・ジャワービラ女史ら17人の釈放を当局が決定した」と報じた。

ジャワービラ女史の逮捕は出身地であるダルアー市でのデモを激化させる原因ともなった。

この措置は、3月23日の女性参加者釈放に次ぐ動きであった。

しかし、シャンマース弁護士は9人が依然身柄拘束中で、そのなかには人権活動家のスハイル・アタースィー女史、ナーヒド・バダウィーヤ女史が含まれていると付け加えた。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、米国にはシリアへの軍事攻撃の意思がないと明言した。

リビアでの軍事攻撃に関する米テレビ局CBSの質問に対して、国務長官は「いいえ、(中東での)情勢にはそれぞれ個別の特性がある」と答えた。

そのうえで、国際的な連携のもと、国連での「グローバル」な合意のもとで暴力行為が非難された状況下において、軍事的介入を考慮することが初めて可能になるとの見解を示し、「今後こうしたことは起きないだろう。なぜなら我々は現在何が起きており、その結果何が生じ得るかを完全には把握していないからである」と述べた。

さらに「もちろん、シリアでの暴力行為を遺憾に思っており、平和的なデモを認め、経済・政治改革の開始を呼びかけている」と付け加えた。

そしてシリアで起きていることを「大いに懸念しているが、それでも航空機を動員した無差別な都市への空爆と、我々の誰もが期待していなかったような過剰な実力行使を明白に伴う警察活動とは異なっている」と述べた。

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Naharnet.com, March 27, 2011
Naharnet.com, March 27, 2011

ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、シリアでの反体制デモに関して「彼(アサド大統領)を退任させようとする帝国主義の新たな運動」と非難、「社会主義指導者」にして「兄弟」のアサド大統領への支持を表明した。

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レバノンの首都ベイルート県内ハムラー地区にあるシリア大使館前で、数百人のシリア人がバッシャール・アサド大統領と政府との団結を訴えるデモを行った。

参加者はアイン・ムライサ地区に集まり、ハムラー地区に向かって行進、アサド大統領を支持するプラカード、大統領の写真、父ハーフィズ・アサド前大統領の写真を掲げ、「アッラー、シリア、バッシャールのみ」と連呼した。

またダナー地区近くでも約200人が集まり、イマーム・アリー・モスクに向かって行進、アサド大統領支持を訴える写真やプラカードを掲げて、ジュダイダ街道地区を通過した。

デモ参加者がコーラ地区に到着すると、地元住民との間で小競り合いが起き、殴り合いに発展したが、現場にいたレバノン軍が事態を収拾した。

この衝突に関して、『アフバール・シャルク』(3月28日付)は、ムスタクバル潮流の支持者と、アサド政権を支持するヒズブッラーの支持者が衝突し、1人が銃で撃たれて負傷したと報じた。

ベイルート郊外のブルジュ・ハンムード(レバノン山地県)のナブア地区では、アサド大統領の写真を掲げるアラブ人労働者が集まり、大統領を支持するシュプレヒコールを連呼した。

一方、レバノン国営通信社NNAが伝えたところによると、シリア大使館周辺で、アサド政権に反対する約50人が行進を行った。

AFP, March 27, 2011、Akhbar al-Sharq, March 27, 2011, March 28, 2011, March 30, 2011, April 3, 2011、al-Hayat, March 28, 2011、Kull-na Shuraka’, March 27, 2011, March 28, 2011、Naharnet.com, March 27, 2011、NNA, March 27, 2011、Reuters, March 27, 2011、SANA, March 28, 2011などをもとに作成。

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ラタキア市で治安部隊によって2名が殺害され、ダルアー市では再び抗議デモが発生(2011年3月26日)

反体制活動

ラタキア県では、ラタキア市で2人が殺害された。

人権活動家のアンマール・カルビー氏は、カイロのロイター通信(3月26日付)の取材に対して、この2人がバアス党ラタキア支部ビルに放火しようとして治安部隊に射殺されたと述べた。

しかし、SANA(3月26日付)は、シリア高官の話として、「武装集団がラタキア市内の幾つかのビルの屋上を占拠し、通行人、市民、治安部隊に発砲し」、午後に「武装集団の狙撃手」の発砲により、「2人が死者、2人が負傷した」と報じた。

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ダルアー県では、ダルアー市で再びデモが発生した。

目撃者によると、同市では、市内の主要な広場の一つで座り込みを行い、「国民は政権打倒を望む」と書かれた旗などを掲げていたデモ参加者を排除するため、治安部隊が催涙ガスを発射した。

ダルアー市中心部で数百人がデモに参加し、バアス党ダルアー支部や警察署に放火した。

また、人権活動家によると、タファス市では、「数千人が犠牲者3人の葬儀に参加し、同村内の警察署に放火した」。

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ヒムス県では、ヒムス市のハーリド・ブン・ワリード・モスクでの礼拝を終え、いつも通りに街頭に出た市民約60人が逮捕された。

逮捕された市民はデモを行っていなかったという。

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フェイスブックの「シリア怒りの日」や「シリア革命2011」は、すべての都市で26日に「ダルアー市を救援」するため「民衆インティファーダ」を行うよう呼びかけた。

しかしダルアー市、タファス市、ラタキア市以外では大規模なデモは発生しなかった。

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ダマスカス宣言在外国民会議のアブドゥッラッザーク・イード議長は『ドイッチェ・ヴェーレ』(3月26日付)のインタビューに応え、シリア国内での反体制デモに関して、「これらの都市は沈黙を打ち破り、恐怖の壁を破壊した」と指摘するとともに、アサド政権による改革プログラムの提示に関して、「時間稼ぎ」に過ぎないと批判した。

アサド政権の動き

ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官は、複数の記者との会見で、「シリア特有の生活様式を標的とすることで、シリアに暴動をもたらそうとする企てがあることは明らか」としたうえで、この動きが「新しいものではなく、シリア国民はその存在を常に意識しており、このような破壊行為や標的は克服されるだろう」と述べた。

また「平和的なデモの権利はシリアのすべての国民に保障されている。しかし現在起きていることは宗派主義的な暴動を扇動し、治安、安定、国民生活を標的としている」と指摘し、「シリアはその治安と安定が奪われることを認めない」と強調した。

さらに「ほとんどのシリア国民は先日宣言された改革を大胆な改革だと見ている。我々はシリア国民が望む物を支持し、その実現のために働く」と付け加えた。

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SANA(3月26日付)によると、シリア・アラブ・テレビは「シリアの幾つかの都市で発生した事件での逮捕されたのが、シリア人でない様々な国籍の外国人であることが判明した」と報じ、逮捕者のなかに「シリアで就労する米国籍のエジプト国民であることが判明し、この人物が今回の事件に先立ってシオニスト政体(イスラエル)を訪問し、外国から資金を得てシリアに関する写真やビデオを送信していたことを認めた」と報じた。

SANA(3月26日付)は、ユースフ・カラダーウィーが金曜日(25日)の説教でシリアでの出来事に干渉したことに複数のシリア消息筋が「大いなる不快感」を表明し、「宗教関係者に暴動を扇動する権利などない」と非難したと報じた。

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複数の人権活動家はシリア政府が3月25日晩にイスラーム主義者やクルド人を含む260人の政治犯を釈放したことを明らかにした。

これはシリア政府が数日前に宣言した一連の措置実施の第一歩と見られる。

ある弁護士が明らかにしたところによると、釈放者のなかには「イスラーム主義者が含まれ、彼らは刑期の4分の3を減刑されて出所した」。

またシリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー会長がAFP(3月26日付)に述べたところによると、「釈放された者のなかにはクルド人14人が含まれ…、その大多数がイスラーム組織に属するという理由で逮捕されていた」。

同氏はまた「この措置は、シリアにおける公共の自由にかかわる状況改善のため先日なされた一連の約束の始まりとなる」と述べた。

諸外国の動き

キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、デモ参加者の「合法的要求」に対するシリアの「厳しい」反応を批判した。

上級代表は声明で、「デモ参加者への激しい抑圧継続にショックを受けた」と述べ、シリア政府に「対話、緊急の政治、社会経済改革を通じて国民の合法的な要求や希望に応える」よう呼びかけた。

また「激しい抑圧を厳しく非難する。とりわけ、暴力は武器の使用は決して許されるものではなく、直ちに停止されるべき」と述べ、「非常事態令は解除されなければならない」とした。

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ナバメセム・ピレー国連人権高等弁務官は、シリアに対して、デモに対する厳しい抑圧を「暴力の連鎖」へと帰結させないよう警告し、他のアラブ諸国での事例を教訓とするよう呼びかけた。

またシリア政府の政治経済改革に関する発表を注目するとしつつも、「行動は発言よりも数段重要である」ことを強調した。

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在欧イスラーム機構連合は声明を出し、シリアでのデモで国民との連帯を表明。

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レバノンからシリアに取材のために入ったロイター通信の記者2人、女性テレビ・プロデューサーのアーヤート・バスマ氏とカメラマンのイッザト・バルタジー氏との連絡が途絶える。

AFP, March 26, 2011、Akhbar al-Sharq, March 26, 2011, March 27, 2011, March 28, 2011, March 29, 2011、Deutsche Welle, March 26, 2011、al-Hayat, March 27, 2011、Kull-na Shuraka’, March 27, 2011、Reuters, March 26, 2011、SANA,
March 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県内で混乱が続くなか、ダマスカス県、ヒムス市、アレッポ市、バーニヤース市、ラタキア市などでダルアー市との連帯を求める抗議デモが発生(2011年3月25日)

反体制運動

AFP(9月25日付)によると、ダルアー県サナマイン市で金曜の礼拝の直後にデモが始まり、デモ参加者と治安部隊が衝突、10人が殺害された。

また同消息筋によると、ダマスカス県、ヒムス市、アレッポ市、バーニヤース市、ラタキア市など複数の都市でダルアー市との連帯を求める抗議デモが発生した。

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ダルアー県では、人権活動家がAFP(9月25日付)に明らかにしたところによると、サナマイン市からダルアー市に向かっていた17人のデモ参加者が治安部隊の発砲で殺害された。

また「治安部隊はダルアー県庁前で集会を行ったデモ参加者に集中砲火を浴びせた」。

一方、別の目撃者によると、「20人以上が殉教者」となり、治安部隊は無差別に発砲したという。

AP(9月25日付)がもう一人の目撃者の証言として伝えたところによると、「10,000人以上がダルアー市内の広場でデモを行い、参加者はハーフィズ・アサド前大統領の銅像を倒し、焼き討った」。

また「治安要員とバアス党(ダルアー)支局本部にいた何人かの要員がデモ参加者に発砲し、少なくともその一人が反撃にあった」。

ダルアー市住民の一人が電話でAFP(9月25日付)に述べたところによると、「数十人の葬儀参列者」がウマリー・モスクで行われた。

市内での衝突で犠牲者2人の葬儀の礼拝後に「君に魂と血を捧げよう、殉教者よ」と叫んだ。

AFPはまた、ダルアー市に隣接するイズラア市で軍の大部隊が展開し、市内に向かう各村の分岐路に軍用バスが配置されたと付け加えた。

ダルアー市で3人の青年がハーフィズ・アサド前大統領の銅像を破壊した。

ダーイル町では、「デモ参加者300人がオートバイ数十台に乗って街頭に出て、『ダーイルとダルアーは恐れない』と連呼し、児童たちがクーフィーヤを振った。

また「シャイフ・マスキーン市では数十人が集まり、車に乗ってダルアー市に向かっていった」。

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ダマスカス県では、AFP(9月25日付)によると、約300人が旧市街の中心に位置するウマイヤ・モスクでの金曜礼拝の後、ハミディーヤ市場に向かって「アッラー、シリア、自由のみ」、「ダルアーはシリアだ」、「我々はみなダルアーの殉教者だ」と連呼しながらデモを行った。

また「少なくとも5人が逮捕された」。

インターネット上にはダマスカス県内にあるリファーイー・モスクでの別のデモの映像が公開された。

またAFP(9月25日付)が複数の目撃者の証言として伝えたところによると、治安部隊がダマスカス中心のアマーラ地区でのデモを強制排除した。

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ダマスカス郊外県では、複数の目撃者によると、治安部隊はムウダミーヤト・シャーム市で3人を殺害した。

住民の一人は「ダルアーでの殺人を非難する住民のデモが発生したら、(政権支持者が乗った)車列がムウダミーヤに入ってきた」と述べた。

またAFP(9月25日付)が複数の目撃者の証言として伝えたところによると、タッル市ではダルアー市との紐帯を求める約1,000人がデモを行った。

『クッルナー・シュラカー』(3月30日付)は、ドゥーマー市のデモに参加したマムドゥーフ・アドワーン氏(25歳、作家マルワーン・マムドゥーフの息子)が逮捕・拘束されたと報じた。

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ハマー県では、ハマー市でデモが発生し、住民によると、デモ参加者は金曜礼拝の後に街頭に出て、自由とダルアー支持を叫んだ」。

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ラタキア県では、シリア人権機構によると、先週金曜に引き続き「約3,000人が海岸のバーニヤース市でデモを行った」。

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このほか、複数の衛星テレビ局やインターネット・サイトがヒムス市、ラタキア市の街頭やモスクでのデモの映像を公開した。

デモには数千人が参加したという。

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なおフェイスブックでは、「誇りの金曜日」と銘打ったデモへの参加が呼びかけられていた。

フェイスブック上の「シリア青年連合」と名付けられたページで公開された声明は「政権を完全に一掃し、すべてのシリア国民を代表する暫定政府を発足して国を指導し、自由を保障し、戒厳令を解除し、政治犯を釈放する」ことが求められた。

また「シリア革命2011」ページは、「シリア革命を収束させ、喜劇じみた方法で国民の要求に応えるのを回避しようとしている。しかし、彼らは国民が自由を手にするまで街頭に出て引き返さないことを知らない」と非難し、24日に発表されたアサド政権の改革プログラムを拒否するとともに、街頭でのデモを主唱した。

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クルド人シャイフ、ムルシド・ハズナウィー氏はユーチューブ(http://www.youtube.com/watch?v=Bn-5iBJZNSk&feature=player_embedded)で反体制デモへの参加を呼びかけた。

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シリア・クルド国民行動統一機構は声明を出し、反体制デモへの支持を表明。

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クルド民族主義諸政党は「シリア・クルド諸政党」(Majmū‘ al-Aḥzāb al-Kurdīya fī Sūrīya)の名で共同声明を出し、反体制デモへの支持を表明。

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シリア・インティファーダ支援国民イニシアチブ委員会(シリア・ムスリム同胞団、バヤーヌーニー)は25日に声明を出し、反体制デモでの犠牲はアサド大統領に責任がある、と非難。

アサド政権の動き

各地での反体制デモに対抗するかたちで、各県でバッシャール・アサド大統領の改革路線(24日に発表)を支持する行進が組織された。

SANAによると、ダマスカスをはじめとする各県で、「昨日(24日)に出された政令や決定の意義、アサド大統領の指導のもとにシリアが享受する国民統合、シリアを標的とする外国の動きに断固として立ち向かう政権の姿勢を支持するための行進」が行われた。

また参加者が「シリアの治安、安定、国民統合を標的として、外国がシリア国民に対して行う組織的な働きかけを拒否する姿勢を明示した」としたうえで、「経済、政治、福祉、生活にかかわる決定と政令はシリア国民の意思に合致しており、(中東)地域が直面する様々な事件へのシリア国民の政治的・経済的関与を伴うものである」と報じた。

SANAによると、「複数の県での多くの国民が行った集会のなかには、地元の要求を掲げ、改革政策や腐敗撲滅の早期実施を唱道するものがあった」として、反体制デモがあったことを暗に認めた。

しかし「外国のメディアや幾つかの通信社が偽のニュースを流し、シリアの現状に関する偽りの情報を報道し、福祉、経済、政治に関する決定と政令が出された直後にシリア国内を包んだ肯定的な雰囲気を乱すべく無秩序と暴動を喚起した」と非難した。

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ムフスィン・ビラール情報大臣は、「テロリストの逮捕」によって各都市は平静さを取り戻したと発表した。

また「彼らが何者だったのか近く世界に公開する」と述べた。

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ブサイナ・シャアバーンは『ハヤート』(3月26日付)の取材に対して、アサド政権が「祖国の屋根の下で行われるあらゆる問題、要求を議論する用意がある」と述べ、国民の要求に応じた「日程」を設けて改革が実施されることを強調した。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン師やムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティーがシリア・アラブ・テレビに出演し、ダルアー市住民に対して、同市での出来事に耐えるよう呼びかけるとともに、「見ず知らずの者に従わないよう」、「内乱(フィトナ)」に荷担しないよう警鐘をならした。

諸外国の動き

フランスのニコラ・サルコジ大統領がブリュッセルで、デモ参加者への暴力停止をシリアに求めたうえで、また国際社会の反応に関して「その都度行われるだろう」と述べた。

またフランス外務省は「フランスは最近の(シリアでの)暴力を最も厳しく非難する」と発表した。

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一方、ドイツのギド・ウェスターウェレ外務大臣は、アラブ世界での民間人が弾圧されるたびに軍事干渉することを示唆したサルコジ大統領の発言を批判した。

シリアでのデモ参加者への暴力行使を批判しつつ、同外務大臣は「アラブの指導者に国際社会や欧州が軍事介入をすると脅迫しても解決策にはならない」と述べた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官が「シリア政府がデモ参加者を抑圧・脅迫しようとすることを強く」非難すると述べた。

そのうえでシリア政府に対して、デモ参加者への暴力停止、人権活動家逮捕停止を求めた。

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カナダはデモに対する「激しい抑圧」への「深い懸念」を表明し、デモ参加者の「勇気」をたたえ、シリア政府にデモ参加者が自由かつ安全に意見を表明する権利を保障するよう求めた。

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トルコ外務省は、シリアに経済、社会改革実施の約束を誠実かつ早急に果たすよう呼びかけた。

そしてシリアでの暴力拡大による犠牲者の発生に遺憾の意を示し、遺族に自制を求めた。

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『ナハール』(9月25日付)は、ヒズブッラーがダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ町などシリアへの訪問を控えるよう党員に通達したと報じる。

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ユースフ・カラダーウィーは金曜日のモスクでの礼拝後の説教で、「到達せねばならない場所に革命の列車が到着した」と述べ、シリアでの反体制デモへの支持を表明した。

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バアス党シリア地域民族治安局は、情報省に対してロイター通信・ダマスカス支局のハーリド・ヤアクーブ・ウワイス支局長の取材許可を取り消すよう通達。

プロフェッショナリズムを欠いた根拠のない報道を行ったのがその理由。

AFP, September 25, 2011、Akhbar al-Sharq, September 25, 2011, September 26, 2011、al-Hayat, September 26, 2011、Kull-na Shuraka’, March 25, 2011, March 27, 2011,
March 30, 2011、al-Nahar, September 25, 2011、Naharnet.com, September 25, 2011、Reuters, September
25, 2011などをもとに作成。

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アサド政権が一連の政治改革案を発表するなか、欧米諸国は同政権に対し「暴力の停止」を勧告(2011年3月24日)

ダルアー市での反体制運動

ダルアー県では、ダルアー市でウマリー・モスクでの弾圧の犠牲となった9人の葬儀が行われ、数万人が参列し、その後、市内で街頭行進を行った。

外国メディア特派員の市内での取材は制限され、AP通信記者が午後に散発的な銃声を聞いたと報じただけであった。

これらの特派員は軍・治安部隊高官が随行するかたちでウマリー・モスクへの訪問を許された。

道中、市内の店舗はすべて閉められ、幹線道路には車はほとんど走っていなかった、という。

また兵士と警官が市の入り口に検問所を設置し、道路は閉鎖されていた。

ロイター通信(3月24日付)は、前日までにウマリー・モスクを制圧した軍・治安部隊が同モスクからの撤退を開始したと報じた。

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3月23日早朝にウマリー・モスクで殺害されたハーリド・ミスリー兵卒(ヒムス県タッルカラフ市出身)に関して、『アフバール・シャルク』(3月24日付)は、モスク襲撃命令を拒否したために殺害されたとシリア人権委員会が発表したと報じた。

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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が死者数を「10人」と述べたのに対して(後述)、人権活動家のアイマン・アスワド氏はAFP(3月24日付)の電話取材に対して、(23日までのダルアー市での弾圧で)「100人以上が殺害された…。ダルアー市では殉教者を埋葬するのに1週間はかかるだろう」と述べた。

また別の活動家は、「死者は150人を越えるだろう…。犠牲者の多くは、ダルアー市の近隣の村々から葬儀に参列するためにやってきたが、治安部隊が彼らに発砲した」と述べた。

さらにもう一人の活動家は、「数万人が周辺の村々からやって来て、バリード交差点と県知事邸交差点にさしかかったところを治安部隊に発砲された」と述べた。

同活動家によると、ダルアー市には、タファス市、ヒルバト・ガザーラ町、フラーク市、ジャースィム市、インヒル市などから人々が訪れたという。

複数の消息筋によると、負傷者、行方不明者の多くは、政治治安部ダルアー支部やバアス党のビル前で抗議行動を行っていた、という。

反体制運動をめぐるその他の動き

シリア・クルド人権委員会、シリア民主的自由人権擁護諸委員会、シリア・クルド人権・一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権機構(Maf)は共同声明を出し、ダルアー市などで行われている抗議行動への支持を表明、市民の殺戮・暴行の真相を調査するための委員会設置、非常事態令・戒厳令解除、すべての政治犯・言論犯・良心犯の釈放、例外法廷の廃止、平和的デモを保障する法律の制定、クルド人の権利回復、政党法制定などを求めた。

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シリア・クルド・イェキーティー党が声明を出し、ダルアー市などでの反体制デモへの支持を表明。

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ゴラン高原住民46人が声明を出し、「祖国がそのくびきから解放されることなく、ゴランの解放はない」と述べ、反体制デモへの支持を表明した。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は24日夜、給与引き上げ、国境地帯への国民の往来手続の簡略化などに関する政令を発令した。

またこの措置に先立って、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が「戒厳令施行停止の早急の検討」、「情報法および政党法の制定」、「司法の強化、恣意的逮捕禁止」など、政治に関する一連の決定を発表した。

さらに、これらの決定に加えて、生活福祉状況改善に関する複数の決定がなされたことを明らかにした。

そのなかには、ダルアー住民の意見を聴取するための「最高指導委員会の発足」が含まれており、ダルアーでの「事件の状況、曖昧な点の究明、そして事件発生に関与した者の処罰が行われるという。

シャアバーン大統領府政治情報補佐官は、午前中と晩に二度にわたって内外の記者団を前に会見を行った。

バアス党シリア地域指導部の会合後に行われた午前中の記者会見において、シャアバーン補佐官は同会合で「政治情勢の進展、国民福祉の現状、政府の施政」を審議されたとしたうえで、以下の通り述べた。

「党指導部は二段階からなる一連の決定を下した――第1段階は「生活・福祉の領域」に関する決定で、そのなかには最高指導委員会の設置が含まれている。同委員会の任務は、ダルアー市民と連絡をとり、意見聴取を行い、事件の状況、その曖昧な点を究明し、事件発生に関与した者、任務を行った者の処罰することにある。またこれ以外にも、公務員の賃金の即時引き上げおよび福利厚生のための資金調達、青年層失業者への雇用先の創出や臨時雇用者の正規雇用などを通じた就労機会増大のため必要な資源の確保、政府および地方自治体の施政の広範な矯正の実施とそのための早急な決定が行われる」。

「第2段階の決定は「政治レベル」に関するもので、腐敗一掃のための新たな効率的しくみの構築、戒厳令施行停止の早急の検討、祖国と国民の安全を保障するための法制定などが含まれる。また同決定のなかには、政党法案の準備、さらなる自由、透明性を求める国民の意思に合致した新たな情報法の制定、国民の往来手続の簡略化するための国境地帯に関する政令第49号の改正およびその適用への不満の解消」も含まれている。また政治決定の6番目の項目として、司法の強化、恣意的逮捕禁止、国民が抱える案件の迅速な処理があげられている。

シャアバーン補佐官は『ハヤート』(3月25日付)などの質問に対して、一連の決定は発令とともに実施に移されると述べた。

また最近発生した事件の調査は「進行中」と述べたうえで、「ダルアー市民をはじめとするシリア国民が行い得る当然の要求があり、それは平和的かつ期待に添うような速度で対処されるべき問題である」としつつも、「シリアの安定を乱そうとする者の意見とは相容れない」かたちでこれらの決定がなされたことを明らかにした。

また「外国からシリアへ武器や資金が流入している確かな証拠がある…。武装活動が行われており、モスクが武器庫として利用され、治安部隊や医師が発砲を受けている…。外国がダルアーを選んだのは、資金や武器を流入させるに好都合な国境付近に位置するという地理的な理由であろう…。アラブ諸国や外国のメディアが「シリアを標的とすべく…、メディアを動員している」と述べた。

またダルアー市での死者数に関して「昨日晩の段階で9人が死亡したが、今日重傷を負っていた1人が死亡し、犠牲者数は10人になった」と述べた。

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『ニューヨーク・タイムズ』(3月24日付)は、ある顧問の話として、アサド大統領がダルアー市でのデモ参加者に対して発砲しないよう命令していたと報じた。

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ムハンマド・ナージー・アトリー首相はドゥンヤー・チャンネルのインタビューに答え、ダルアーでのデモに関して、県民の要求のなかには当然のものがあり、内閣は、適切な対処方法を検討し、正当な要求については内閣のプログラムの枠内で対応すると指摘した。

諸外国の動き

ヨルダンのターヒル・アドワーン情報通信担当国務大臣兼内閣報道官は、「ヨルダンからシリア領内に武器や戦闘員を搭載した複数の車が入っていった」との情報を否定した。

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米国務省は、シリアを訪問する予定の米国人に対して、「政治的、社会的混乱ゆえに警戒するよう」呼びかけた。

また国務省高官の一人は、『ハヤート』(3月25日付)に対して、ワシントンが「集中的に状況を監視しており…、シリア政府による暴力、脅迫、恣意的逮捕を大いに懸念している」と述べた。

国務省は「米国民にシリアの政治的、社会的混乱に警戒する」声明を発表し、「デモ発生地域に近づかないよう」勧告した。

また同勧告は6月24日まで続くとした。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は「ダルアーをはじめとする地域でのデモ参加者への暴力を停止し、対話と民主的変革を進める」するようシリアに呼びかけた。

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また英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は「シリア政府に平和的デモを行う国民の権利を尊重し、合法的な彼らの要求に対処するための措置を講じる」よう呼びかけた。

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ドイツもまた、西欧諸国とともにデモ参加者への暴力停止をシリアに呼びかけた。

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国連事務総長報道官もまた、シリア政府に対して暴力停止と人権に関する国際的なとりきめを遵守するようを求めた。

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ドバイのシリア領事館前でシリア人が反体制デモを実施し、約100人が参加。

AFP, March 24, 2011, Akhbar al-Sharq, March 24, 2011, September 25, 2011、AP, March 24, 2011, al-Hayat, March 25, 2011、Kull-na Shurakā’, March 24, 2011、The New York Times, March 24, 2011、Reuters, March 24, 2011などをもとに作成。

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ダルアー市で混乱が続くなか、治安部隊が同市内のモスク前で座り込みを行う人々に発砲(2011年3月23日)

ダルアー市での反体制運動をめぐる動き

ダルアー県では、複数の通信社が人権活動から得た情報によると、ダルアー市のウマリー・モスク前で座り込みを行う人々とデモ犠牲者の葬儀に参列した人々に治安部隊が発砲し、少なくとも15人が死亡した。

この二つの事件に関して、SANA(3月23日付)は公式筋の話として、「外国勢力」が「嘘を放送」し「虐殺が行われたと主張」することで、市民を煽動しようとしている、と報じた。

同報道によると、「武装集団」がウマリー・モスク近くで救急車に乗った医療スタッフを襲撃し、医師1人、衛生士1人、救急車ドライバー1人を殺害した。

これに対して現場近くの治安部隊が応戦し、武装集団の多くを負傷させ、数人を逮捕したが、その際兵士1人が殉職した。

また武装部隊が「ダルアー市で市民を脅迫し、殺戮、窃盗、放火を行う武装集団の追跡を行った」としたうえで、武装集団がウマリー・モスク内に武器弾薬を隠し、子供たちを誘拐し「人間の盾」として利用したと報じた。

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またシリア・アラブ・テレビは押収した武器、爆弾、装備を公開し、それらがモスクで発見されたと報じた。

しかし活動家らは、デモが平和的で武器は存在してないと反論した。

一方、SANA(3月23日付)によると、「外国勢力がダルアーの状況に関して嘘を広め…、住民を扇動、脅迫しようとした。しかし住民は武装集団を追跡する治安部隊と協力している」。

公式筋が伝えたところによると、「100万通以上の携帯電話のメッセージが外国から送られてきた。そのほとんどがイスラエルから発信されており、シリア人に、モスクを利用して暴動を行うよう呼びかけていた」。

しかし活動家らは、治安部隊がモスクで座り込みをする人々を排除するために攻撃したと非難した。

ある人権活動家はAFP(3月23日付)に「シリアの治安部隊がウマリー・モスク前で座り込みを行う人々に対して早朝に行った攻撃による死者は6人で、その内訳は女性2人、幼児1人、医師1人、治安部隊隊員2人である」と語った。

また早朝に殺害された犠牲者の葬儀から戻る途中で「参列者に治安部隊が発砲して6人が殺された」と述べた。

一方、別の活動家によると、「ウマリー・モスク前で13人が死亡し、そのうちの少なくとも5、6人が参列者に対する攻撃の犠牲者である」という。

さらにもう一人の活動家は、死者が「ダルアー市で11人、近隣の村々で2人」と述べた。一方、目撃者によると、早朝に民間人が殺害されたのを受け、住民と連帯するために北部からダルアー市内に行進してきた若者数百人に対して、治安部隊が発砲した。

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活動家らはシリア公式筋の報道を否定し、電話回線、電気が攻撃前に遮断されたと指摘し、シリア治安部隊がダルアー市内のウマリー・モスク前で座り込みを行う人々を排除するため攻撃したと非難、犠牲者の一部の氏名を公表した――「アリー・マハーミード博士、ターヒル・ムサーラマ氏、マーヒル・ムサーラマ氏、ウマル・アブドゥルワーリー・ムサーラマ氏、ムサーラマ氏(女性、名前は不明)、マーリク・アクラード氏、アシュラフ・ミスリー氏、アリー・ラワーシド氏、ハーティム・マハーミード氏、アブー・ヌブード氏(女性、名前は不明)」。

住民の一人によると、犠牲者のなかに、アリー・ガッサーブ・マハーミード氏も含まれているという。

同氏はダルアー市の名望家出の医師で、早朝に発生した攻撃での負傷者治療を支援するためダルアー・バラド地区のモスクへ向かっていた。

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なお、複数の消息筋によると、ダルアー市で自由を求めるデモが発生し、数百人が参加した。ダルアー市のデモはウマリー・モスク前で行われたが、治安部隊が強制排除に乗り出し、「デモ参加者はモスクに退散した」。シリア人権監視団によるとデモ参加者の数は1,000人に達した。

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また複数の消息筋によると、ナワー市でも自由を求めるデモが発生し、数百人が参加した。

反体制運動をめぐるその他の動き

国内の反体制活動家がダルアー市などでの反体制運動に対する武力弾圧を非難する声明を出す。声明は「シリア国民への声明」と題され、「シリア国民の権利、そして自由、公正、民主主義を求める若者の平和的インティファーダに対する弾圧行為」を非難し、アサド政権に、戒厳令解除、政治犯釈放、一般的自由の保障、複数政党制の実現、汚職撲滅などを実現するための早急な改革を求めた。

声明にはハイサム・マーリフ、ジャウダト・サイード、ムアーッズ・ハティーブ・ハサニー、ガッサーン・ナッジャール、ダアド・ムーサー、ムハンマド・アンマール、ヤースィル・アイティーが署名。

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複数の弁護士たちが明らかにしたところによると、当局はダマスカスの内務省本舎前で先週政治犯釈放を求めて行われた平和的デモの参加者6人を釈放した。

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アサド大統領のいとこで亡命中のリーバール・アサド氏(民主主義・自由のための機構代表)は、「アサド政権には改革か、崩壊しか選択肢はない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は『シャルク・アウサト』(3月23日付)の電話取材に応え、「エジプト、チュニジア、リビアで革命を発生させた要因はシリアにも存在する。自由の欠如、専制、腐敗、貧困、失業はシリアにも存在する。また反体制活動家の逮捕も続いている。改革の約束は全く実現されてない」としたうえで、「改革はシリアではあまりに遅れている。国民の前には現状に対するインティファーダしかない。改革要求が実現するまで各都市での民衆のインティファーダは止まないだろう」と述べた。

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治安当局はアフマド・アブ・ハイイル(本名アフマド・ムハンマド・フザイファ)氏(バーニヤース市出身、ダマスカス・イスラーム・ファトフ学院学生)をダマスカスの自宅で逮捕した。フェイスブックを通じてダルアー市での反体制デモを支持する活動を行ったのが逮捕の理由。

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治安当局は人権活動家のマーズィン・ダルウィーシュ氏を尋問のち逮捕。

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シリア・クルド人権委員会、シリア民主的自由人権擁護諸委員会、シリア・クルド人権・一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権機構(Maf)は共同声明を出し、3月半ば以来の活動家らの逮捕を非難、釈放を求めた。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビはアサド大統領が政令第120号(2011年3月23日)を発令しダルアー県のファイサル・クルスーム県知事を解任したと発表した。

DPIなど複数のメディアが3月20日にすでに同氏が解任されたとの報道を流していた。

Defence Syria, March 20, 2011
Defence Syria, March 20, 2011

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は、ダルアー市での「平和的デモ参加者に対する暴力」を批判した。

またマーティン・ネシルキー国連報道官は「この虐殺に対する透明性のある調査が行い、その責任者が追求されねばならない」と述べた。

そのうえで「事務総長はシリア政府に対して、力の行使を止め、平和的集会の権利をはじめとする人権に関する国際的な誓約を遵守するよう呼びかける…。またシリア政府は、市民保護の義務を履行し、国民の合法的な要求に対して、対話と改革を通じて責任をもって答えるよう求める」と述べた。

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フランスはダマスカスに対して、延滞のない政治改革の実施と人権尊重を呼びかけた。

またダルアー市での犠牲者に関する調査、抗議行動参加者の釈放を求め、「過剰な力の行使」は停止されねばならない、との意思を表明した。

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米国務省によると、米国はシリアの治安部隊がダルアー市民に対して行使した暴力に懸念を表明し、その行為を非難した。

AFP, March 23, 2011, Akhbar al-Sharq, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Hayat, March 24, 2011、 Kull-na Shuraka’, March 23, 2011、Reuters, March 23, 2011、SANA, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Sharq al-Awsat, March 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県で抗議デモと弾圧が行われるなか、ダルアー県の名士がバアス党使節団と会談(2011年3月22日)

ダルアー県でのデモ

ダルアー市と近郊のナワー市で抗議行動が行われ、『ハヤート』(3月22日付)によると、数百人、アフバール・シャルク(3月21日付)によると数千人が参加、「自由、自由…、平和的に、平和的に」と連呼し、自由を要求した。

ダルアー市でのデモはウマリー・モスク近くで行われた。

しかし、匿名の活動家によると、「軍と治安部隊がウマリー・モスク前で始まったデモを排除し」、「デモ参加者はモスクに退却した」。

また治安部隊の「突入を警戒し、デモ参加者はモスクの周りに人間の盾を作った」としたうえで、モスクが負傷者を受け入れる「野戦病院」と化していると述べた。

同活動家はまた、「反体制のスローガンを掲げるデモ参加者は数千人に及び、その後、数を増していった」と述べ、シリア政府が「(午後)5時以降、モスクへの援軍を増派した」と指摘した。

なお、アフバール・シャルク(3月21日付)によると、ウマリー・モスク前に数千人が集まり、人間の盾を作り、治安部隊の突入に備えた。

Akhbar al-Sharq, March 22, 2011
Akhbar al-Sharq, March 22, 2011

ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県でも抗議デモと弾圧

アフバール・シャルク(3月22日付)は、ダマスカス県のサーリヒーヤ区、ダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市でデモが発生し、治安当局と衝突したと報じた。

また、政治犯の家族たちが午後2時にダマスカス県の裁判所前で政治犯釈放を求める座り込みを呼びかけた。

これを受け、ダマスカス県裁判所周辺に民間人の服を着た治安要員が多数展開した。

座り込みには数十人が参加したが、治安要員に強制排除された。

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複数の消息筋によると、アレッポ市でダルアー市の反体制デモを支持するデモを組織しようとした10代後半の少年4人が治安当局に逮捕された。

逮捕されたのは、マスアブ・シャイフ・アミーン(14歳)、アブドゥッラー・アミーン(17歳)、サーリフ・アブー・ガールーン(18歳)、ラーフィウ・アブー・ガールーン(16歳)。

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シリア人権監視団によると、治安当局は「3月22日火曜日に、作家で活動家のルワイユ・フサイン氏を(ダマスカス郊外県の)サフナーヤー地区にある自宅で逮捕した」との声明を発表した。

同声明によると、フサイン氏の家族はこのとき「外出中で、帰宅してドアが壊されているのを見て驚いた」という。

また現在までのところ、彼の「行方は不明である」。

同声明によると、フサイン氏(1960年生まれ)は「昨日(月曜)、平和的デモと表現の自由の保障を求めて、ダルアーの住民およびすべての国民との連帯を呼びかける声明への署名をインターネットで呼びかけた」。

また彼は「1984年から1991年にかけて共産主義行動党員として投獄されていた政治犯として経歴を持っている」という。

そのうえでシリア人権監視団は「作家ルワイ・フサイン氏、青年ラーミー・イクバール氏、シリアの刑務所に収監されているすべての政治犯・言論犯の即時釈放と逮捕に係る問題の解消」を求めた。

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『カースィユーン』(3月22日付)は、共産主義者統一委員会メンバーのワリード・ファーリス・ファーリス氏がダルアーで逮捕されたと報じた。

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シリア人権国民機構は声明を出し、当局がダルアー市および郊外、ダマスカス郊外県マダーヤー町、ヒムス市、アレッポ市、バーニヤース市、ダマスカス県で主に19代後半から20代半ばの青年を無差別に逮捕していることを批判、すべての政治犯・言論犯の即時釈放を求めるとともに、戒厳令解除、例外的法廷の廃止、亡命者の帰国、政治的権利の保障、一般的自由の保障、司法の独立、1980年法律第49号、組合活動の自由の保障、クルド人の国籍回復、汚職撲滅、選挙法制定などを要求。

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ハキーカ・ドゥワリーヤ(3月22日付)は、在アンマン・シリア大使館前で3月21日から自由を求めるための座り込みを行ってきた芸術家のムハンマド・イブラーヒーム氏がシリア大使館職員に殴打されたと報じた。

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ラタキア県の有識者ら数十人が共同声明を出し、国内での破壊行為に反対の意思を表明するとともに、アサド大統領に対して、国民対話開催のイニシアチブをとり、民主的市民国家建設に向けた議論と計画の策定を行うよう呼びかけた。

同声明に署名したのは、ナビール・スライマーン氏、ムンズィル・ミスリー氏ら。

シリア政府の対応

クッルナー・シュラカー(3月22日付)は、ダルアー市でのデモと弾圧を調査する内務省の調査委員会が、ファイサル・クルスーム県知事解任と、身柄拘束中の青年の釈放を行うべきとの暫定的決定を下した、と報じた。

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『ワタン』(3月21日付)は、ダルアー県の名士らが3月20日にバアス党シリア地域指導部使節団と行った交渉で提示した要求の詳細を報じた。

使節団はダルアー県出身のルストゥム・ガザーラ少将などからなる。

同紙によると、要求は抗議運動を停止し、事態の正常化に向けた条件として提示されていた。

Kull-na Shurakā’, March 22, 2011
Kull-na Shurakā’, March 22, 2011

具体的な内容は以下の通り。

1. ダルアー県知事、同県の治安機関責任者の解任。
2. 犠牲者およびその遺族への謝罪、ダルアー県民を「潜入者、破壊分子」と非難したことへの謝罪。
3. デモ参加者に発砲した者、発砲を命じた者の処罰。催涙ガスなどで市民を死傷させた者、それを命じた者の処罰。
4. 平和的デモ参加者の逮捕の停止。
5. すべての政治犯の即時釈放。
6. 最近逮捕された大学生の釈放。
7. 非常事態の解除。
8. 不動産売買、経済活動にかかる治安当局の認可制の廃止。
9. 減税。
10. 汚職撲滅に向けた断固たる措置の実施。
11. (ニカーブ着用を理由に)解雇された女性教員の復職。
12. 亡命者の帰国許可。
13. 所有権の剥奪を認めた1979年法律第60号(2000年法律第26号による改正)の廃止。
14. 土地価格の見直し。
15. ダマスカス県にあるダルアー県方面の旅客バス・ターミナルのスーマリーヤからの移転。
16. ヒジャーズ鉄道公社のスーク・シュハダーの店舗の処遇改善。
17. 社会福祉部門への非常勤労働者の採用。

しかし、アフバール・シャルク(3月22日付)は、名士たちの話として、バアス党シリア地域指導部の使節団がダルアーの市民を虐殺すると脅迫したと報じた。

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ファールーク・シャルア副大統領は記者会見を行い、「ダルアーで発生した不幸な出来事」に対して遺憾の意を示すとともに、「政府がこの事件を収束させるべく迅速に対処し、混乱を発生させようとする試みを遮断しようとしている」と述べた。

またアラブ諸国のデモに関して、「祖国建設のためのインセンティブでなければならず、市民の統合や結束に抵触すべきでない」と述べた。

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ムハンマド・ナージー・アトリー首相は、ドゥンヤー・チャンネルで「国民統合を解体しようと計画している者がいる」としたうえで、「ダルアーの市民が求めている愛国的要求を利用して、それをまったく別の問題にすり替えようとする集団がいる」と指摘、こうした動きが近隣諸国などからもたらされていることが明らかになりつつあると述べた。

諸外国の動き

ブリュッセルでは、キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表がシリアでのデモ参加者抑圧に関して「受け入れられない」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は『ヒュッリーイェト』(2011年3月22日)付に対して、「変化の風があらゆる所に吹いている。先日のシリア訪問でアサド大統領と会談した際、同様のことが彼の国でも起き、宗派主義的手法が脅かされるだろうと述べた」と語った。

そのうえで、シリア大統領に地域で起きていることを教訓とし、地域の他の指導者たちとは異なった民主的な方法で国民と近づくべきだと呼びかけたことを明らかにした。

AFP, March 22, 2011、Akhbar al-Sharq, March 22, 2011, March 23, 2011、al-Haqiqa al-Duwaliya, March 22, 2011、al-Hayat, March 23, 2011, March 24, 2011、Kull-na Shuraka‘, March 22, 2011、Qasiyun, March 22,2011、al-Watan, March 22, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県で混乱が続く一方、当局は政権批判の落書きをした少年15人を釈放(2011年3月21日)

ダルアー県での混乱続く

ダルアー県では、『ハヤート』(3月21日付)などにようと、ダルアー市でのデモが4日目に入ってさらに拡大、南部のジャースィム市、インヒル市にも波及した。

ダルアー市内では、3月20日のデモでの犠牲者(ラーイド・カッラード氏、23歳)の葬儀に約1,000人が参列、一昨日死亡した犠牲者の写真を掲げ、「恐れていない…恐れていない」、「平和的に、平和的に」、「君に血と魂を捧ぐ、殉教者よ」と連呼した。

目撃者によると、デモは平和的に行われていた。

ダルアー市入口などには、同市を包囲する軍が展開、また市内ではカラシニコフ銃を携帯した警官隊数百名が道路の両脇に配備された。

しかし、葬儀後のデモ参加者数千人に対して、軍・警官隊が介入することはなかった。

ダルアー市の現状に関して、住民の1人が述べたところによると、「デモ参加者は、カッラード氏の埋葬後、「革命、革命」、「アッラー、シリア、自由のみ」と連呼して、墓地からウマリー・モスクへと行進を始めた」。また「旧市街の入口には武装部隊が結集していた」。

別の目撃者がAFPに語ったところによると、ウマリー・モスク近隣では「催涙ガスが原因の窒息状態が散見され、集中的に展開する治安部隊が複数名を逮捕した」。

また「治安部隊は葬儀に多くの参列者が参加するのを阻止しようとしたが、数千人が参列した」。一方「治安部隊はまた、ダルアー市入口にも集中的に展開した」。

デモ参加者の一人はAFPに対して「自由を求める我々の要求が実現するまで街頭で座り込みを続ける」と述べた。

他方、ダルアー県の著名人らが、政治犯の釈放、秘密警察本部の解体、県知事の解任、(デモでの市民)殺害の責任者の公開裁判、秘密警察への財産売買の許可取得規定の廃止を求めた。

Akhbar al-Sharq, March 21, 2011
Akhbar al-Sharq, March 21, 2011

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目撃者の1人によると、デモはダルアー市北部約50キロに位置するジャースィム市にも波及した。

治安当局はデモに対して実力行使を控えた。

一方、ダルアー市から40キロの距離に位置するインヒル市でも数百人が集会を行い、シュプレヒコールを繰り返し、警察署を襲撃した。

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ダルアー市中心にあるウマリー・モスクのシャイフ、バッサーム・ミスリー氏が3月21日晩に逮捕された。

一方、ダルアー県でのデモ参加者と当局の衝突に巻き込まれて、日曜日(3月20日)に負傷したムンズィル・ムウミン君(11歳)が3月21日に死亡した。

フェイスブックでのデモ呼びかけ、反体制派の動き

フェイスブックの「シリア革命2011」、「シリア怒りの日」が、各地でデモを行うよう呼びかけた。

クルド人シャイフ、マアシューク・ハズナウィー師の息子でシャイフのムルシド・ハズナウィー氏も、フェイスブックでシリア国民、そしてクルド人に対して、ノウルーズにあたる3月21日に決起を呼びかけた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権を「手遅れになるまえに目覚め、国民の要求に応える」よう求めた。

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シリア人権委員会は、3月17日にサイドナーヤー刑務所から釈放された元政治犯の証言として、3月16日の内務省前での政治犯家族の要求に応えるかたちで、当局は「判決が下されていないすべての政治犯の刑期が8年とされた」、「既に判決が下された政治犯の刑期が大統領の指示で4分の1軽減になった」と発表した。

クッルナー・シュラカー(3月21日付)は、シリアの治安当局が、ダルアー市などでの反体制デモにジュンド・シャームやファタハ・イスラームが関与していると疑っている、と報じた。

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マシュリク・チャンネル(本社UAE)のオーナーでビジネスマンのガッサーン・アッブード氏は、ダルアー市での反体制デモとその弾圧に関する同チャンネルの報道を自粛するよう、シリアの治安機関高官から脅迫を受けたと述べた。

政権を批判する落書きをした少年15人釈放

ムハンマド・アフマド・ユーヌス法務大臣が事態収束とデモ参加者との対話のためダルアー県庁(ダルアー市)に入った。

ダルアー県内の緊張が緩和することが期待されているなか、当局は、壁に反体制的スローガンを落書きし、逮捕されていた少年15人を釈放した。

諸外国の動き

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は記者会見で、パリが「(シリア政府に対して、改革を通じて国民が表明した願望に対処するよう求める」と述べた。

またフランスが「すべての国での平和的デモを行う自由」を支持し、「シリアに人権および表現の自由の分野での国際的な義務を履行するよう」求めると強調した。

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ドイツのギド・ウェスターヴェレ外務大臣が逮捕者の釈放を求めるとともに、デモ弾圧を非難した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「少なくとも5人の死者」を出した「過剰な力の行使」を非難し、「シリアがデモ参加者に対する実弾使用をはじめとするあらゆる過剰な暴力行使を停止すること」を呼びかけた。

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米国家安全保障会議(NSC)のトミー・ビーター報道官は、ダルアー市での反体制抗議行動に対するアサド政権の弾圧に関して「その背後にいる者は制裁を受けねばならない」と述べた。

AFP, March 21, 2011、Akhbar al-Sharq, March 21, 2011, March 22, 2011, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Hayat, March 22, 2011、Kull-na Shurakā’, March 21, 2011、 Reuters, March 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー市で犠牲者の葬儀後に再び抗議デモ、タルトゥース県でも抗議行動(2011年3月19日)

ダルアー市で犠牲者の葬儀後に再び抗議デモ

ダルアー県では、ダルアー市でのデモ参加者と治安当局の衝突で犠牲となった2人の葬儀が行われ、約10,000人が参列した。

当局が葬儀の実施を認めないなか、遺体は墓地に埋葬された。

会葬者らはその後、ダルアー市中心に向かってデモ行進を行った。

これに対して、治安当局は催涙ガスを使用して強制排除を試み、複数名が負傷した。

会葬者は「アッラー、シリア、自由のみ」など自由を求めるシュプレヒコールを連呼した。

 

タルトゥース県でも抗議行動

タルトゥース県バーニヤース市とバイダー町の市民は、反体制デモへの強制排除による物的・人的被害に対して、大統領府が行った一世帯あたり補償金30,000シリア・ポンドの支払いの提案を拒否し、責任者の処罰、両市に対する治安部隊の包囲解除を求めた。

反体制派の動き

シリア人権機構、シリア人権監視団、シリア人権擁護連盟、シリア・アラブ人権連盟、ダマスカス理論研究市民権センター、シリア・アラブ刑事改革機構、シリア政治犯支援センター、シリア・ジャーナリスト擁護委員会、シリア人権国民機構は共同声明を出し、3月16日の内務省前での座り込みで逮捕された女性全員が、ドゥーマー女性刑務所で無期限のハンストを開始したと発表した。

ハンストを開始した女性活動家は以下の通り:スハイル・アタースィー、ナーヒド・バダウィーヤ、スィーリーン・フーリー、ラバー・ルブワーニー、ダーナ・イブラーヒーム・ジャワ-ビラ、ファヒーマ・サーリフ・ウースィー、ナスリーン・ハーリド・ハサン、ワファー・ムハンマド・ラッハーム、ライラー・ルブワーニー、サバー・ハサン。

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フェイスブックの「シリア革命2011」は、3月19日(土曜日)もダルアー市でデモを行うと発表し、参加を呼びかけた。

またハウラーン地方諸部族が3月18日の反体制デモでの犠牲者の葬儀への参列と、葬儀後の自由、尊厳を求める平和的デモを19日(土曜日)に行うと発表、参加を呼びかけた。

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シリア共産主義者統一国民委員会が声明を出し、ダルアー市での反体制デモを強制排除するために治安当局が実弾を発射したことを強く非難、責任者の処罰を求めた。

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シリア人権監視団は3月18日(金曜日)にダルアー市などで発生したデモで、数十人が逮捕されたと発表した。

シリア政府の対応

SANA(3月19日付)は、内務省が3月18日のダルアー市でのデモとその弾圧に関して、調査委員会を設置し、「不幸」な事件の発生に関与した人物の処罰などを含む必要な措置を講じると発表した。

諸外国での動き

英ロンドンのシリア大使館前で在外シリア人約120人が反体制デモを行い、自由を要求した。ドイツでも同様のデモが発生した。

AFP, March 19 , 2011、Akhbar al-Sharq, March 19, 2011, March 20, 2011、al-Hayat, March 20, 2011, March 21, 2011、Kull-na Shurakā’, March 19, 2011、Reuters,
March 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県、ヒムス県、ラタキア県、ダマスカス県、ダイル・ザウル県で抗議デモ発生(2011年3月18日)

各地で抗議デモ

シリアの複数の都市で、モスクでの午後の礼拝後にデモが発生し、自由と腐敗撤廃が要求された。

デモ参加者は治安当局と衝突し、ダルアー県では複数が殺害された。

治安当局は強制排除に際して、放水車、催涙ガス、棍棒などを使用したほか、実弾を発射した。

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もっとも激しい衝突はダルアー県で発生した。

これに関して、SANA(3月19日付)は以下の通り伝えた。

金曜日午後にダルアー県にあるウマリー・モスクの近くに多くの市民が集まっているなかで、潜入者がそれを利用し、無秩序と暴動を発生させた

公共財産や私有財産が被害を受け、多くの自動車、店舗が破壊・焼き討ちに遭ったことを受け、治安維持部隊が市民とその財産を保護すべく介入した。暴動の扇動者たちは治安維持部隊に攻撃を加えたが、排除された…。

時を同じくして、(地中海岸の)バーニヤース市でも多くの人々が集まったが、上述のような事件もなく収束した…。

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複数の住民らによると、デモには200人以上が参加し、治安当局は、消防車が放水し強制排除を試み、汚職撲滅を叫ぶデモ参加者と治安当局が衝突した。

Akhbar al-Sharq, March 19, 2011
Akhbar al-Sharq, March 19, 2011

ダルアー市の人権活動家の1人はAP(3月18日付)に対して電話で、シリアの治安部隊によるデモ排除で4人が殺され、数百人が負傷したと述べた。

この活動家によると、治安部隊が「デモ参加者に実弾を発砲し」、「現在までのところ、アクラム・ジャワービラ氏、フサーム・アブドゥルワーリー・アイヤーシュ氏、アイハム・ハリーリー氏、アブー・アウン家の若者1人が死亡したとの確かな情報を得ている」と付言した。

また「数百人の負傷者がおり、(治安機関は)ダルアー国立病院に搬送された負傷者の多くを摘発し、ヘリコプターでどこかへ連れ去った」と続けた。

なおこれに先立ち、デモに参加していたフサーム・アブドゥルワーリー・アイヤーシュ氏とアクラム・ジャワービラ氏の2人が殺されたことと住民が明らかにしていた。

デモ参加者はいずれも「アッラー、シリア、自由」や腐敗撤廃を求めるスローガンを叫んでいたという。この住民によると、重武装の治安部隊が複数のヘリコプターで派遣され、ダルアー市のサッカー場に着陸した。

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同様の反体制デモは、ヒムス県ヒムス市のハーリド・ブン・ワリード・モスク前でも発生した。

『ハヤート』(3月19日付)によると、デモには数十人が参加し(「アフバール・シャルク」[3月19日付]によると約2,000人)、「アッラー、シリア、自由のみ」と連呼したが、治安当局によって強制排除された。

「アフバール・シャルク」(3月19日付)によると、その際約70人が逮捕された。

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ラタキア県では、複数の人権活動家筋がAPニコシア支局の電話取材に対して「約5,000人がそれ(バーニヤース市でのデモ)に参加し」、市内にあるラフマーン・モスク前では、「著名なシャイフ・アブドゥッラフマーン・アイルートの子息のアナス・アイルート氏がデモを指導した」と語った。

なお『ハヤート』(3月19日付)は「数百人」が自由と改革を要求するデモを行ったと報じた。

またダマス・ポスト(3月20日付)によると、3月18日のバーニヤース市でのデモは約50人が行い、反体制的なシュプレヒコールも行っていなかったが、やがて市街地で数百人に拡大し、公共物、私有財産などを破壊する暴動に発展した。

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ダマスカス県では、旧市街中心にあるウマイヤ・モスクの中庭でデモが発生し、APの記者が伝えたところによると、「民間人の衣服を着た複数の治安要員が中庭やモスク周辺(ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)やマサキーヤ広場)に多数展開し、デモ参加者は暴行を受け、排除され、約30人が逮捕された。

反体制デモに対抗すべく、マサキーヤ広場では、政府支持者約200人がシリア国旗とバッシャール・アサド大統領の写真を掲げて、カウンターデモを行った。

一方、アフバール・シャルク(3月18日付)によると、治安当局は、ムルーワ・ハッサーン・グムヤーン氏(17歳)、ラーマー・ハッサーン・グムヤーン氏を拘束した。

両名はダマスカス県での3月15日のデモに参加していた。

また、同デモに参加した別のグループ(アラー・キヤーリー女史ら)も拘束され、ムハンマド・アッルーシュ氏もインターネット・カフェで治安当局によって連行された。

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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市で治安当局が予定されていたサッカーの試合を延期。

フェイスブックの呼びかけ

なおフェイスブックの「シリア革命2011」が「尊厳の金曜日」と銘打って、ダマスカス県、ヒムス市、カーミシュリー市、ハサカ市、ブーカマール市、ハマー市、ラッカ市、アレッポ市、ダイル・ザウル市、イドリブ市内の主なモスクでの反体制デモの実施を呼びかけていた。

Facebook
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「バッシャールよ去れ」という落書きが各所で発見される

『クッルナー・シュラカー』(3月18日付)は、シリア各地で「バッシャールよ去れ」というスプレーでの落書きが発見されたと報じた。

またクルド消息筋の話として、ハサカ県デイリーク市で16歳の青年4人がアサド政権打倒を求める落書きを書き、当局に身柄拘束された。

4人の氏名はディヤール・アリー・アリー、ムハンマド・アリー・アリー、シールワーン・アドナーン、タイリージュ・ハーシム。

アサド政権打倒を主唱したシャイフ逮捕

ダイル・ザウル県ムーハサン市では、シャイフ、ファフド・ファイサル・ナジュラス(ファイサル・ナジュラス元人民議会議員の子息でシリア最大の部族出身)が逮捕された。

シャーム・ニュース・ネットワークを通じてアサド政権の打倒を主唱したことが原因。

これを受け、「アラブ・シリア部族連合」が声明を出し、ナジュラス氏に身体的、精神的な危害が加えられたら政権トップの責任と警告、同氏を含むすべての政治犯、言論犯の釈放を求めた。

諸外国の動き

米国家安全保障会議のトミー・ビーター報道官は、シリアでの反体制デモに対する暴力行使を強く非難、シリア政府に平和的デモを認めるよう求めた。

AFP, March 18, 2011、Akhbar al-Sharq, March 18, 2011, March 19, 2011、Damas Post, March 20, 2011、al-Hayat, March 19, 2011、Reuters, March 18, 2011、SANA, March19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県内での抗議デモで初の死者(2011年3月17日)

ダマスカス県などで、フェイスブックの「シリア革命2011」などのページの呼びかけに応じるかたちで、抗議デモが発生した。

「シリア革命2011」などは、3月8日正午に各地でデモを行うよう呼びかけた。

フッラ・テレビ(3月17日付)によると、デモはダマスカス県マイダーン地区で発生し、治安部隊が参加者を弾圧、3人を殺害し、20人を負傷させた。

またジスル・アブヤド近くのムフイーッディーン・モスク前でもデモが発生した。

抗議デモで死者が出たのは初めてだったが、デモの規模は15日に比べて散発的なものにとどまった。

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シリア人権国民機構、シリア人権監視団、シリア人権擁護連盟、シリア・アラブ人権機構、ダマスカス理論研究市民権センター、シリア・アラブ刑法改革機構、シリア収監者支援センター、シリア・ジャーナリスト擁護委員会は共同声明を出し、内務省前での政治犯の家族による抗議行動に対する治安当局の弾圧を非難した。

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アフマド・サイイド・ダマスカス第一検事は3月16日にダマスカス県の内務省前で身柄拘束した33人(16日時点では35人と報じられていた)に対して聴取を行い、ヌーリス・ラーディー氏を除く32人の逮捕状を発行した。

容疑は「民族感情を弱め」、「宗派主義的亀裂を助長」し、「虚偽の情報を発信」したこと。

ラーディー氏は釈放され、残る32人のうち、男性はアドラー刑務所、女性はドゥーマー刑務所に移送された。

逮捕状が出された身柄拘束者氏名(敬称略)は以下の通り。

1. ウマル・ルブワーニー、2. リバー・ルブワーニー、3. ライラー・ルブワーニー、4. アンマール・ルブワーニー、5. サバー・ハーフィズ・フサイン、6. スィーリーン・フーリー、7. ナーヒド・バダウィーヤ、8. ナーラト・アブドゥルカリーム、9. バドルッディーン・シャッラーシュ(身柄拘束時、目の上を殴打され流血)、10. カマール・シャイフー、11. ムハンマド・ウサーマ・ナッサール、12. バシャル・ジャウダト・サイード、13. サアド・ジャアダト・サイード、14. ガッファール・ヒクマト・ムハンマド、15. ダーナ・ジャワービラ、16. ワファー・ラッハーム、17. スハイル・アタースィー、18. ナビール・シュルバジー、19. ヒールフィーン・ウースィー(ファヒーマ・サーリフ・ウースィー)、20. アブドゥッラッザーク・タンムー、21. ライヤーン・カマール・スライマーン、22. ディヤーッディーン・ダグマシュ、23. アリー・アブドゥッラフマーン・ミクダード、24. シャーヒル・ワルウ、25. ナスル・アーディル・アースィミー、26. ヒシャーム・ハーリド・ドゥルービー、27. ナスルッディーン・ファフルッディーン・アフマ、28. ナスリーン・ハーリド・フサイン、29. アーディル・ハラーワ・ブンニー、30. ズーカーン・ヌーファル、31. マフナド・バッサーム・ヤマーニー、32. ムハンマド・ハサン・ハリール。

なおアフバール・シャルク(3月18日付)は、複数の消息筋の話として、身柄拘束されていたタイイブ・ティーズィーニー氏、アーミル・ダーウド氏、リーカールドゥー・ダーウド氏、ミームーナ・ミウマール氏が、健康状態を理由に釈放されていたマーズィン・ダルウィーシュ氏に引き続いて、16日晩に釈放されていたことを明らかにした。

またヌールス・ラーディー氏も釈放された、という。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は「デモ参加者への暴力とデモ後の逮捕」を非難した。

またヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルといった人権団体もこぞって非難声明を出した。

Akhbar al-Sharq, March 17, 2011, March 18, 2011、al-Hayat, March 18, 2011、Kull-na Shurakā’, March 17, 2011などをもとに作成。

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国営3紙は社説でムバーラク大統領の退任を歓迎(2011年2月12日)

シリアの国営日刊紙『サウラ』、『バアス』、『ティシュリーン』の各紙(2月12日付)は、エジプトとのムハンマド・フスニー・ムバーラク大統領の退任を歓迎する社説を掲載、「キャンプ・デーヴィッド体制」、ガザ封鎖に対するムバーラク政権の姿勢に対する国民の不満の結果と評した。

Kull-na Shurakā’, February 12, 2011をもとに作成。

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シリア・アラブ・テレビはムバーラク大統領退任を「キャンプデーヴィッド合意の終焉」と評価(2011年2月11日)

シリア・アラブ・テレビ(2月11日付)は、エジプトでのムハンマド・フスニー・ムバーラク大統領の退任に関して、「正統性を失っている諸合意[キャンプデーヴィッド合意]の終焉」をもたらし、「エジプトをアラブの隊列に復帰」させる動きと評価した。

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アフバール・シャルク(2月11日付)やクルナー・シュラカー(2月12日付)は、シリア国内で、ムバーラク大統領退任に歓喜の声があがっていると伝えた。

Akhbar al-Sharq, February 11, 2011、Kull-na Shurakā’ Suriya, February 12, 2011などをもとに作成。

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衛星テレビ局ジャズィーラのベンジッドゥー氏はシリアでの「怒りの日」は結実しないと述べる(2011年2月7日)

衛星テレビ局ジャズィーラのガッサーン・ベンジッドゥー氏は、シリアでの「怒りの日」は結実しないとしつつ、政府に自由と公正を求めた。

クッルナー・シュラカー(2月7日付)が伝えた。

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社会支援国民基金による補助金支給が始また。

AFP(2月7日付)が伝えた。

al-Hayat, February 8, 2011、Kull-na Shurakā’, February 7, 2011をもとに筆者作成。

 

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