バアス党シリア地域の最高意思決定機関にあたる中央委員会の拡大会合を開催した。
会合には、シリア地域指導部の書記長を務めるアサド大統領が出席、2011年以降のシリア情勢に対する党の姿勢や今後の方針などについて演説した。
会合には、アサド大統領のほか、シリア地域指導部メンバーも出席した。
アサド大統領は演説のなかで、6年におよぶ戦争状態のなかで、国民とコミュニケーションを深め、現状に対処するため、バアス党が自らの存在を強めるインセンティブが高まったと述べる一方、バアス党がそのパン・アラブ主義という理念ゆえに、紛争の当初から政治、メディアといったレベルで標的となってきたとの見方を示した。
具体的には、シリアに敵対する国、とりわけワッハーブ主義・ムスリム同胞団主義テロがあらゆるツールを駆使してシリアに対する戦争をしかけてきたと振り返るとともに、こうした攻撃の目的の一つが、パン・アラブ主義という理念を断念させることにあると主張した。
そのうえで、バアス党は自らの行動を再活性化するために新たな思考や行動を見出すべきだと主張し、党内でのデスク・ワークだけに専念せず、あらゆる場所で国民に触れるよう指示した。
4月7日の米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地に対するミサイル攻撃については、シリア軍が戦果を得るたびに、米国をはじめとする西側諸国はテロリストに利するような干渉を行うと非難した。
そのうえで「テロとの戦い」はシリア国内でテロリストがいる限り止むことはなく、シリアの統合や主権を脅かそうとする欧米諸国のシナリオに対抗し続けると強調した。
会合ではその後、出席者を交えたかたちで質疑応答が行われた。
また、会合は中央委員会と党の最高執行機関であるシリア地域指導部の人事改編を承認して閉幕した。
SANA(4月22日付)が伝えた。
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中央委員会拡大会合で承認された新シリア地域指導部、中央委員会、検閲査察委員会のメンバーは「現代東アラブ地域ネットワーク(http://syriaarabspring.info/alsham/syria_ba’th_rc.html#2017_04)を参照。
AFP, April 22, 2017、AP, April 22, 2017、ARA News, April 22, 2017、Champress, April 22, 2017、al-Hayat, April 23, 2017、Iraqi News, April 22, 2017、Kull-na Shuraka’, April 22, 2017、al-Mada Press, April 22, 2017、Naharnet, April 22, 2017、NNA, April 22, 2017、Reuters, April 22, 2017、SANA, April 22, 2017、UPI, April 22, 2017などをもとに作成。
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