アレッポ県西部でヌールッディーン・ザンキー運動がシャーム解放機構幹部を誤って殺害(2018年2月16日)

シャーム解放機構に近いイバー通信(2月16日付)は、シャーム解放機構のムハージリーン(外国人戦闘員)問題担当局の教育責任者を務めていたアブー・アイマン・ミスリー氏が、アレッポ県西部のフータ村で発砲を受けて死亡、また一緒にいた妻も負傷した、と伝えた。

同通信によると、ミスリー氏夫妻は、フータ村にあるヌールッディーン・ザキー運動のタイヤール検問所で襲われたという。

シリアの複数の活動家によると、ミスリー氏は、アフガニスタンでの対ソ連戦にムジャーヒディーンとして参加、2011年には「アラブの春」が波及するかたちで情勢が悪化したリビアに参加、その後、「シリア革命」に参加するためにシリアに入ったという。

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一方、ドゥラル・シャーミーヤ(2月16日付)は、ヌールッディーン・ザンキー運動の検問所監督者であるアリー・ジャーティーラー氏の話として、ミスリー氏夫妻は乗っていた車に爆弾が仕掛けられていると疑われ、誤って撃たれた、と伝えた。

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シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構の幹部(法務委員会メンバー)でサウジアラビア人説教師のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏と同委員会幹部のムスリフ・アルヤーニー氏は共同声明を出し、ヌールッディーン・ザンキー運動によるシャーム解放機構幹部のアブー・アイマン・ミスリー氏殺害に関して、弔意を示すとともに、両組織に対して対立を回避するため、司法委員会を設置し、その判断に従うよう呼びかけた。

al-Durar al-Shamiya, February 16, 2018

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ヌールッディーン・ザンキー運動の法務局は声明を出し、シャーム解放機構幹部のアブー・アイマン・ミスリー氏殺害に関するムハイスィニー氏とアルワーニー氏の共同声明に従い、司法委員会の判断に従うとの意思を示しつつ、「ミスリー氏はシャーム解放機構とはつながりはない」として、シャーム解放機構がこの問題に関与することに疑義を呈した。

al-Durar al-Shamiya, February 16, 2018

AFP, February 16, 2018、ANHA, February 16, 2018、AP, February 16, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2018、al-Hayat, February 17, 2018、Reuters, February 16, 2018、SANA, February 16, 2018、UPI, February 16, 2018、Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, February 16, 2018などをもとに作成。

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