東カラムーン地方では、親米の殉教者アフマド・アブドゥー軍団が米国の通達を無視してシリア軍を襲撃する一方、砂漠特殊任務旅団はシリア政府との停戦を受諾(2018年4月16日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月16日付)によると、米国の支援を受ける殉教者アフマド・アブドゥー軍団が、シャーム解放軍とともに東カラムーン地方でシリア軍の拠点複数カ所を奇襲、これを制圧した。

なお、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月15日付)は、14日の米英仏によるシリア攻撃の実施の前後、米主導の有志連合がシリアの反体制武装集団に、爆撃の詳細を説明しない旨通知していたと伝えた。

米国の支援を受ける革命特殊任務軍の司令官の一人ムハンナド・タッラー氏の話として同誌が伝えたところによると、「有志連合は、反体制派が政権を攻撃することを懸念していた」という。

また革命特殊任務軍の報道官を務めるマザーヒム・サッルーム氏も「グループのメンバーに対して同様のメッセージが、フェイスブック、ツイッター、ワッツアップを通じて回付された」と証言した。

サッルーム氏によると、有志連合のメッセージは「我々(有志連合)は政権軍と戦争状態にはない…。政権軍を攻撃するな。誰であれ、政権軍を攻撃した場合、有志連合の支援を受けることはできなくなるだろう」と警告していたという。

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一方、東カラムーン地方で活動を続けてきた砂漠特殊任務旅団の司令官を務めるムハンマド・シャアバーン氏は、ディマシュク・アーン(4月16日付)が配信したビデオ声明(https://www.facebook.com/dimashq.now/videos/1609065192552420/)で、シリア政府との停戦に応じると表明した。

東カラムーン地方で活動を続ける武装集団のなかで停戦に応じたのはシャアバーン氏が初めて。

『ハヤート』(4月17日付)が複数の消息筋から得た情報によると、停戦合意は①東カラムーン地方への「イランの民兵」の進入を認めないこと、②ロシア軍憲兵隊はドゥマイル市の治安監視のみを行うこと、③希望者が同地を退去することを認めること、などを骨子としているという。

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なお、東カラムーン地方には、ドゥマイル市、ルハイバ市、ナースィリーヤ村、アトナ村、マンスーラ村などに約8万人が暮らしている。

AFP, April 16, 2018、ANHA, April 16, 2018、AP, April 16, 2018、Dimashq al-An, April 16, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 16, 2018、al-Hayat, April 17, 2018、Reuters, April 16, 2018、SANA, April 16, 2018、UPI, April 16, 2018、The Wall Street Journal, April 15, 2018などをもとに作成。

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