東カラムーン地方(ダマスカス郊外県)の武装集団が停戦に応じ退去を開始(2018年4月17日)

ダマスカス郊外県では、SANA(4月17日付)によると、ロシアの仲介によるシリア政府と東カラムーン地方で活動を続けてきた反体制武装集団との停戦合意に基づき、同地方の中心都市であるドゥマイル市から、イスラーム軍の戦闘員と家族約1,000人が、中火器・重火器を放棄し、トルコの実質占領下にあるアレッポ県ジャラーブルス市への退去を開始した。

また、戦闘員約60人が免罪を求めて、当局に投降した。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(4月17日付)は、シリア政府と東カラムーン地方で活動する多くの武装集団がドゥマイル市での停戦に合意したと伝えた。

SANA, April 17, 2018

syria.liveuamap.com, April 17, 2018

また、東カラムーン地方でロシアおよびシリア政府の代表と停戦協議を行っていた「統一司令室」は声明を出し、停戦合意の内容を明らかにした。

合意は以下13項目からなり、その骨子は以下の通り:

1. 都市部から武器、戦闘員、軍事関連施設を排除する。
2. 軍治安部隊は進駐しない。
3. 投降・免罪希望者をリストに登録する。
4. 域外への退去希望者がいた場合、彼らをリストに登録する。
5. 投降・免罪後に、地元出身者からなる自衛部隊をロシアとの連携のもとに設置する。
6. 逮捕者にかかる問題の検討を行う。
7. 都市部の福祉を復旧させ、政府機関が入る。
8. 上記プロセスを監督する三者委員会を設置する。
9. これらすべてを希望しない者は山岳部に退去する。
10. 山岳部の武装勢力との対話を行う。

なお、この合意に対して、東カラムーン地方は19日正午までに最終回答が求められており、拒否した場合、戦闘が再開されるとしている。

al-Durar al-Shamiya, April 17, 2018


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一方、ドゥラル・シャーミーヤ(4月17日付)によると、東カラムーン地方では、シャーム解放軍と米国の支援を受ける殉教者アフマド・アブドゥー軍団は抵抗を続け、シリア軍と交戦した。

AFP, April 17, 2018、ANHA, April 17, 2018、AP, April 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 17, 2018、al-Hayat, April 18, 2018、Reuters, April 17, 2018、SANA, April 17, 2018、UPI, April 17, 2018などをもとに作成。

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