シャーム解放機構などからなる反体制武装集団はブスラー・シャーム市の処遇をめぐる停戦交渉が失敗に終わったと発表する一方、停戦に向けた17項目からなる工程表を準備(2018年7月4日)

シャーム解放機構などダルアー県で活動を続ける反体制武装集団からなる南部中央作戦司令室は声明を出し、UNESCO世界文化遺産の円形劇場を擁するダルアー県ブスラーシャーム市の処遇をめぐるロシア側との停戦交渉が失敗に終わったと発表した。

声明によると、ロシア側が重火器の引き渡しに固執したために、交渉は決裂したという。

南部中央作戦司令室はまた別の声明で、「戦闘や脅迫に似た言葉での交渉は不可能だ。我々は国際社会の監視のもとで南部での交渉を行うことを要求する…住民、とりわけ革命家の権利と尊厳を保証するために交渉したい。なぜなら我々の革命は自由と尊厳のためのものだったからだ」と表明した。

そのうえで、「シリア全土で包括的な問題解決がなされるまで、この合意を現状に即した包括的合意、工程表をめざす」と述べた。

これに関して、イナブ・バラディー(7月4日付)は、3日にロシア軍代表団との停戦交渉を再開した反体制武装集団(南部中央作戦司令室)の交渉チームが、ロシア側に17項目からなる停戦のための工程表を示す準備をしていると伝え、その内容を明らかにした。


工程表の内容は以下の通りだという。

1. シリア南部で両当事者が即時戦闘停止する。
2. 「アサド軍」およびその治安部隊が同地域に進駐しないことを誓約する。
3. 「アサド軍」は攻撃以前に展開していた地域に撤退する。
4. 反体制派は随時重火器を引き渡すとともに、住民を帰還させる。
5. シリア政府の民政期間を復活させ、すべての職員を復職させる。
6. 首都ダマスカス、スワイダー県にいたる街道を再開する。
7. 地元部隊(反体制派)を支援するため、中火器で武装した中央部隊(シリア政府)を設置する。
8. 各地の治安維持を目的とする地元部隊を設置する。
9. 中央部隊はナスィーブ国境通行所一帯の防衛にあたる。
10. ナスィーブ国境通行所は文民の職人が管理し、ロシア軍憲兵隊がその警護にあたる。
11. ナスィーブ国境通行所とスワイダー県を結ぶ軍道は「アサド軍」が管理する。
12. アスタナ会議に従い逮捕者・拉致被害者問題を解決する。
13. 離反兵(脱走兵)を免罪する。
14. 免罪手続きを行うための施設を各地に設置する。
15. シリア全土で包括的な問題解決がなされるまで、この合意を現状に即した工程表と位置づける。
16. この合意はダルアー県、クナイトラ県全土に適用される。
17. ロシア政府がこの合意の保証国となる。

なお、南部中央作戦司令室のイブラーヒーム・ジャバーウィー報道官はロイター通信(7月3日付)に対して、「反体制派の交渉人が今日(3日)、ロシア軍士官とシリア南部の和平合意に向けた協議を再開した」と述べていた。

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しかし、SANA(7月4日付)によると、UNESCO世界文化遺産の円形劇場を擁するブスラー・シャーム市で活動を続けてきた反体制武装集団(スンナ青年旅団)が、ヨルダンとロシアの仲介による1日の停戦合意に従い、2日に続いてシリア軍に重火器の引き渡しを行った。

AFP, July 4, 2018、ANHA, July 4, 2018、AP, July 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 4, 2018、al-Hayat, July 4, 2018、‘Inab Baladi, July 4, 2018、Reuters, July 3, 2018、July 4, 2018、SANA, July 4, 2018、UPI, July 4, 2018などをもとに作成。

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