反体制派はシリア軍との戦闘の末にハーン・シャイフーン市東の2カ村を奪還(2019年8月27日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから118日目を迎えた8月27日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は52回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」44発を投下、ロシア軍も46回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は630発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より72人(民間人12人(うち女性3人、子供3人)、シリア軍兵士29人、反体制武装集団戦闘員31人)増えて3,972人となった。

うち、1,016人が民間人(女性180人、子供251人を含む)、1,366人がシリア軍兵士、1,590人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でタッフ村、ダイル・シャルキー村、シャイフ・ムスタファー村、タマーニア町、マアッラト・スィーン村、ジャルジャナーズ町、カフルサジュナ村、ハーン・シャイフーン市東方一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでタッル・マンス村、マアッルシューリーン村、ザアラーナ村、フワイン村一帯に「樽爆弾」を投下した。

これによりマアッルシャムシャ村では女性1人と子供1人を含む一家4人が、マアッルシューリーン村では女性2人と子供1人を含む民間人4人が、タッル・マンス村でラフマ・モスクのイマームが、カフルナブル市では男性1人が死亡した。

またシリア軍は地上部隊がマアッラト・ハルマ村、スィフヤーン村、ヒーシュ村、バーブーリーン村、ジャルジャナーズ町、マウカ村、ダイル・シャルキー村、アーミリーヤ村、マアッル・シャマーリーン村、マアッルズィーター村、カフルサジュナ村、カフルナブル市、ハーッス村などを砲撃した。

ロシア軍もカフルナブル市、タッフ村、マアッラト・ヌウマーン市一帯、マアッラト・ハルマ村、ハーミディーヤ村、タマーニア町一帯、フワイン村一帯、ハーン・シャイフーン市東方一帯、を爆撃した。

同監視団によると、反体制武装集団はシリア軍との激しい戦闘の末、ハーン・シャイフーン市東のサルーミーヤ村、アブー・ウマル村を奪還し、シャンム・ハワー村一帯に侵攻した。

一方、SANA(8月27日付)によると、シリア軍がシャンム・ハワー村一帯でシャーム解放機構と交戦し、これを撃退した。

シリア軍はまた、イフスィム村、スフーフン村、カフル・ウワイド村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、バスカラー村、カフルルーマー村、ファッティーラ村、ブサンクール村灌木地帯、マアッラト・ヌウマーン市、ヒーシュ村、マアッラト・マーティル町、カフルナブル市、アブディーター村、カフルシャラーヤー村にある反体制武装集団の拠点を攻撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカッバーナ村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターで同地に「樽爆弾」を投下した。

ロシア軍も同地を爆撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を25件(ラタキア県13件、アレッポ県11件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を10件(イドリブ県4件、ハマー県3件、ラタキア県2件、アレッポ県1件)確認した。

AFP, August 27, 2019、ANHA, August 27, 2019、AP, August 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 27, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 27, 2019、Reuters, August 27, 2019、SANA, August 27, 2019、SOHR, August 27, 2019、UPI, August 27, 2019などをもとに作成。

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