ロシア・シリア両軍の一方的停戦により爆撃が停止するなか、反体制派はロシア軍の無人偵察機を撃墜(2019年8月31日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を発効した8月31日、シリア・ロシア軍の爆撃は記録されなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。

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シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より3人(民間人3人(うち女性0人、子供1人)、シリア軍兵士は0人、反体制武装集団戦闘員6人?)増えて4,102人となった。

うち、1,046人が民間人(女性185人、子供261人を含む)、1,391人がシリア軍兵士、1,665人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルナブル市、タッフ村、ジャルジャナーズ町、ハーッス村、マアッラト・ハルマ村、ダイル・シャルキー村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、ウライニバ村、バーブーリーン村、ナキール村、ヒーシュ村、ウンム・ジャラール村を砲撃し、カフルナブル市で市民1人が死亡した。

これに対して、反体制武装集団はヒーシュ村近郊でロシア軍の無人偵察機を撃墜した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月31日付)によると、無人偵察機はヒーシュ村に近いルブウ・ジャウ村に墜落した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がジューリーン村一帯のシリア軍に対して砲撃を行った。

一方、SANA(8月31日付)によると、シリア軍がラターミナ町で、反体制武装集団によって殺害された市民を埋葬したと思われる集団墓地を発見、遺体10体を回収した。

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ダルアー県では、HFL(8月31日付)によると、東カラク村と東ガーリヤ村を結ぶ街道で空軍情報部が乗ったバスが何者かの襲撃を受け、複数人が死傷した。

AFP, August 31, 2019、ANHA, August 31, 2019、AP, August 31, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 31, 2019、HFL, August 31, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 31, 2019、Reuters, August 31, 2019、SANA, August 31, 2019、SOHR, August 31, 2019、UPI, August 31, 2019などをもとに作成。

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