イラクの動き(2014年7月22日)

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月22日付)によると、治安部隊はサーマッラー市南部のティグリス川で銃殺された住民の遺体10体を発見した。

またムウタスィム地方、ダジュラ地区で、イラク軍に従軍する志願兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、10人が負傷した。

さらにサーマッラー郡では、覚醒評議会メンバーの家に爆弾を仕掛けようとしていたダーイシュの司令官をイラク治安部隊が逮捕した。

**

ニナワ県では、マダー・プレス(7月22日付)によると、スィンジャール郡にあるヤズィーディー派の居住区ダーイシュ(イスラーム国)が迫撃砲などで攻撃した。

AFP, July 22, 2014、AP, July 22, 2014、ARA News, July 22, 2014、Champress, July 22, 2014、al-Hayat, July 23, 2014、Kull-na Shuraka’, July 22, 2014、al-Mada Press, July 22, 2014、Naharnet, July 22, 2014、NNA, July 22, 2014、Reuters, July 22, 2014、SANA, July 22, 2014、UPI, July 22, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラクの動き(2014年7月21日)

ニナワ県では、マダー・プレス(7月21日付)によると、モスル市南東に位置するキリスト教修道院のダイル・マール・バフナームを占拠、修道士らを追放した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月21日付)によると、イラク軍・治安部隊はファッルージャ市周辺のジャズィーラト・カルマ地区などで、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員26人を殺害・逮捕し、同地を奪還した。

これに対し、ダーイシュは、ラーワ郡でラーウィーイーン部族のシャイフの墓を爆破、破壊した。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月21日付)によると、ダルーイーヤ郡のムシャイリファ村に治安部隊と部族民兵が突入し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員5人を殺害し、同村を奪還した。

AFP, July 21, 2014、AP, July 21, 2014、ARA News, July 21, 2014、Champress, July 21, 2014、al-Hayat, July 22, 2014、Kull-na Shuraka’, July 21, 2014、al-Mada Press, July 21, 2014、Naharnet, July 21, 2014、NNA, July 21, 2014、Reuters, July 21, 2014、SANA, July 21, 2014、UPI, July 21, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラクの動き(2014年7月20日)

アンバール県では、マダー・プレス(7月20日付)によると、治安部隊が部族民兵の支援のもとに県西部でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員31人を殲滅、36人を逮捕した。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月20日付)によると、ラシャード地方近郊を通行中のダーイシュ(イスラーム国)の車列の近くで爆弾が爆発し、司令官のサーリフ・ファルハーン氏を含むダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

またイラク軍は、フワイジャ地区全体に展開するダーイシュの拠点を空爆した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月20日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍と義勇兵がダーイシュ(イスラーム国)を攻撃し、ダーイシュ戦闘員15人が死亡した。

AFP, July 20, 2014、AP, July 20, 2014、ARA News, July 20, 2014、Champress, July 20, 2014、al-Hayat, July 21, 2014、Kull-na Shuraka’, July 20, 2014、al-Mada Press, July 20, 2014、Naharnet, July 20, 2014、NNA, July 20, 2014、Reuters, July 20, 2014、SANA, July 20, 2014、UPI, July 20, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラクの動き(2014年7月19日)

バービル県では、マダー・プレス(7月19日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍と義勇兵が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員7人が死亡、軍兵士2人が死亡した。

**

ディヤラ県では、マダー・プレス(7月19日付)によると、ヌーファル村とスドゥール地方においてイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)戦闘員11人を殲滅し、同地の浄化を完了した。

AFP, July 19, 2014、AP, July 19, 2014、ARA News, July 19, 2014、Champress, July 19, 2014、al-Hayat, July 20, 2014、Kull-na Shuraka’, July 19, 2014、al-Mada Press, July 19, 2014、Naharnet, July 19, 2014、NNA, July 19, 2014、Reuters, July 19, 2014、SANA, July 19, 2014、UPI, July 19, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラクの動き(2014年7月18日)

マダー・プレス(7月18日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ニナワ県モスル市のキリスト教徒住民に対して、19日正午までにイスラーム教への改宗、特別税(ジズヤ)の納付、モスル市からの退去のいずれかを求め、これに従わない場合、「彼らに残されるのは剣しかない」と脅迫した。

これを受け、モスル市のキリスト教徒たちが避難を始めたという。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月18日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がスパイカー軍事基地を襲撃、ヘリコプター発着所に対して自爆攻撃を行い、ヘリコプター3機を破壊した。

その後サラーフッディーン県作戦司令室は、治安部隊がスパイカー軍事基地を完全制圧したと発表した。

また、ダルーイーヤ郡では、治安部隊とダーイシュの交戦で、ダーイシュ戦闘員1人が死亡、警察官4人が死傷した。

**

ディヤラ県では、警察の発表によると、治安部隊がミクダーディーヤ郡の三つの地区をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に奪還した。

マダー・プレス(7月18日付)が伝えた。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月18日付)によると、キルクーク市西部の各所で、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガとダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、50人以上が死傷した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月18日付)によると、ファッルージャ市東部のカルマ郡をイラク軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員7人が死亡した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月18日付)によると、ジュルフ・サフル地方・イスカンダリーヤ地方間でイラク軍、治安部隊、義勇兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、イラク軍側が5人、ダーイシュ側が14人死亡した。

AFP, July 18, 2014、AP, July 18, 2014、ARA News, July 18, 2014、Champress, July 18, 2014、al-Hayat, July 19, 2014、Kull-na Shuraka’, July 18, 2014、al-Mada Press, July 18, 2014、Naharnet, July 18, 2014、NNA, July 18, 2014、Reuters, July 18, 2014、SANA, July 18, 2014、UPI, July 18, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラクの動き(2014年7月17日)

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月16日付)によると、バイジ製油所のイラク軍守備隊が、製油所に侵入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)を撃退し、ダーイシュ司令官のハリール・ムフスィン・ファルハーン氏を殺害した。

またティクリート市南部入口一帯で、イラク軍、義勇兵からなる合同部隊がダーイシュと交戦し、双方合わせて17人が死亡した。

**

キルクーク県では、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガ軍事作戦司令室によると、キルクーク・フワイジャ検問所(タッル・ワラド地方)の制圧を試みたダーイシュ(イスラーム国)をペシュメルガが撃退し、ダーイシュ戦闘員65人を死傷させた。

ペシュメルガ司令官1人と隊員6人も負傷したという。

またマダー・プレス(7月16日付)によると、フワイジャ部族評議会の民兵がダーイシュと交戦し、戦闘員7人を殺害した。

AFP, July 17, 2014、AP, July 17, 2014、ARA News, July 17, 2014、Champress, July 17, 2014、al-Hayat, July 18, 2014、Kull-na Shuraka’, July 17, 2014、al-Mada Press, July 17, 2014、Naharnet, July 17, 2014、NNA, July 17, 2014、Reuters, July 17, 2014、SANA, July 17, 2014、UPI, July 17, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月16日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市から到着したダーイシュ(イスラーム国)の車列が未明、アフタリーン市およびその一帯を砲撃した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区で、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線シャリーア法廷判事のチュニジア人を銃殺処刑した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市のイマーム・ヌーリー・モスクで説教を行ったダーイシュ(イスラーム国)のエジプト人説教師が、水、ガス、電気の不足への不満を口にした礼拝者らに対し、「現世の快楽に過ぎない水、ガス、電気のことを聞くな。カリフであるアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠に専念しろ」と述べた。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は安保理に提出した報告のなかで、イラクにおけるダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に関して、イラ周辺国を含む加盟国に結束とイラクによる「テロとの戦い」への支援を呼びかけた。

イラク国内の戦況

アンバール県では、ARA News(7月16日付)によると、ラアス地方にある警察・覚醒評議会の合同検問所でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘が発生し、警官3人が死亡、2人が負傷、覚醒評議会メンバー2人が負傷した。

一方、ブー・フラージュ地方では、イラク軍ヘリコプターによる空爆で、ダーイシュの司令官であるハーミド・シャーキル・サブア氏、フサイン・カドリー氏と、外国人戦闘員8人が死亡した。

**

キルクーク県では、ARA News(7月16日付)によると、トゥーズフールマートゥー郡アーミルリー村がダーイシュ(イスラーム国)の砲撃を受け、住民数十人が負傷した。

またキルクーク市の西方25キロの地点に位置するタッル・ワルド地方では、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガがダーイシュの攻撃を受け、ペシュメルガ隊員21人が負傷した。

**

バービル県では、ARA News(7月16日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)の拠点などを砲撃し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

**

ナジャフ県では、ARA News(7月16日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー6人が県内で警察・治安機関によって逮捕された。

AFP, July 16, 2014、AP, July 16, 2014、ARA News, July 16, 2014、Champress, July 16, 2014、al-Hayat, July 17, 2014、Kull-na Shuraka’, July 16, 2014、al-Mada Press, July 16, 2014、Naharnet, July 16, 2014、NNA, July 16, 2014、Reuters, July 16, 2014、SANA, July 16, 2014、UPI, July 16, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月15日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が14日に制圧したダイル・ザウル市各所をシリア軍が空爆した。

一方、ダーイシュは、スワイダーン・ジャズィーラ村郊外の油田(ウマル油田に帰属)複数カ所を制圧した。

これらの油田は、部族民兵が掌握していたが、ダーイシュに引き渡したが、一部の家族は依然として引き渡しを拒否しているという。

**

クッルナー・シュラカー(7月15日付)は、アレッポ県マンビジュ市で、ダーイシュ(イスラーム国)アレッポ州が「信徒たちの長(アミール)への忠誠とカリフ制宣言強化のための第6回部族会合」と銘打った集会を開催したと報じ、ツイッターで公開された写真の一部を転載した。

集会では、ダーイシュが制圧するマンビジュ市、バーブ市の部族長ら、クルド人代表がカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明する一方、昼食会が催されたという。

Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014
Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014

 

**

Kull-na Shuraka', July 15, 2014
Kull-na Shuraka’, July 15, 2014

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(7月15日付)によると、タッル・タムル町北部でダーイシュ(イスラーム国)のアブー・アブドゥッラー・ジャヌービーを名乗る戦闘員が、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の検問所に対して爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行った。

**

シリア人権監視団は、アレッポ市アイン・アラブ市一帯でのダーイシュ(イスラーム国)の侵攻により、過去数日間で少なくも800人のクルド人住民がトルコ領内に避難した、と発表した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、県作戦司令室のアリー・フライジー大将が声明を出し、イラク空軍がバイジ郡知事舎を空爆し、同施設内で会合を開いていたイスラーム国(ダーイシュ)のメンバー5人を殺害することに成功したと発表した。

殺害されたダーイシュ・メンバーのなかには、ダーイシュのサラーフッディーン県における無不ティーでアブー・ウサーマ・カフターニーを名乗るサウジ人も含まれているという。

またダルーイーヤ郡のハズラジュ村、ジャワーリー村をイラク軍戦闘機が空爆し、ダーイシュ戦闘員数十人を殺傷したという。

さらにイラク空軍の支援を受けた軍・警察合同部隊は、ティクリート市浄化作戦を開始し、同市シーシーン地区に突入、ダーイシュとの交戦の末、気象観測局、爆発物処理局、警察訓練局、文化芸術館などを制圧した。

マダー・プレス(7月15日付)が伝えた。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月15日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がフワイジャ郡にあるキルクーク県副知事のラーカーン・サイード氏の自宅などを接収した。

またキルクーク市南部のウジャイル油田から原油を運びだそうとしていたダーイシュの車輌が爆発し、7人が死亡した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月15日付)によると、ラマーディー市周辺で軍・警察合同部隊が掃討作戦を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員16人を殲滅、10人を逮捕した。

**

バービル県では、ジュルフ・サフル地方での軍・警察合同部隊の治安作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員10人が死亡した。

諸外国の動き

『インディア・トゥデイ』(7月15日付)は、マハーラーシュトラ州治安当局が、イラクに不法入国し、ダーイシュ(イスラーム国)による戦闘行為に参加しているとされるインド人青年3人についての捜査を行っている、と報じた。

同紙によると、ダーイシュに参加しているインド人青年はこの3人以外にも多数いるが、当局は彼らに関する情報を持っていないという。

**

「ビン・ラーディンの駐欧大使」と呼ばれたヨルダン人のウマル・マフムード・ウスマーン氏(アブー・カッターダ)は自身のツイッターで、ダーイシュ(イスラーム国)に関して「イスラーム・カリフ制国家宣言は無効」だとしたうえで、カリフ制の樹立には、「シリア、イエメン、アフガニスタン、チェチェン、ソマリア、アルジェリア、リビアなどアッラーの敵と戦うムジャーヒディーン」の同意が必要だとの見解を示した。

AFP(7月15日付)が伝えた。

**

イスラーム・マグレブ諸国のアル=カーイダ機構はSNSを通じて声明を出し、イスラーム国によるカリフ制樹立を拒否、アイマン・ザワーヒリー氏に忠誠を誓っていることを改めて表明した。

ロイター通信(7月15日付)が伝えた。

AFP, July 15, 2014、AP, July 15, 2014、ARA News, July 15, 2014、Champress, July 15, 2014、al-Hayat, July 16, 2014、The India Today, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 15, 2014、al-Mada Press, July 15, 2014、Naharnet, July 15, 2014、NNA, July 15, 2014、Reuters, July 15, 2014、SANA, July 15, 2014、UPI, July 15, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月14日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市からシャームの民のヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動が撤退したのを受け、ダーイシュ(イスラーム国)が同市に入り、両組織の本部に黒旗を掲揚、同市の一部を制圧した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュはダイル・ザウル市の工業地区の一部、ハラービシュ地区全土、ラサーファ地区の一部、労働者住宅地区の一部、ジャウラ地区全土、クスール地区全土、ブガイリーヤ地区全土、ハウィーカ地区の一部、ラシュディーヤ地区の一部、ムワッザフィーン地区の一部を制圧し、ダイル・ザウル市の95%、約3万6,000平方キロメートルを制圧したと発表した。

ダーイシュがシリア国内の県庁所在地を制圧するのはラッカ市に次いで二カ所目。

これを受け、シリア軍はダイル・ザウル市内やダイル・ザウル航空基地など郊外の支配地域の守備を強化し、ダーイシュの攻撃に備えた。

またダイル・ザウル市西部郊外では、ダーイシュへの忠誠拒否と、西武郊外への侵入拒否を訴えるデモが住民によって行われた。

ヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動はダイル・ザウル市の本部からの撤退に先立って、ダーイシュと停戦協議を行っていたが、ダイル・ザウル・シャリーア委員会の判事を務めるヌスラ戦線のアミールが、市内のスィヤーサ橋でダーイシュによって射殺されていた。

ダーイシュがダイル・ザウル市に入るにあたり、撤退を拒否したヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動の一部戦闘員と、ダーイシュを支持する武装集団との間で戦闘があったという。

なおこれに関連して、ARA News(7月14日付)は、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ハミーディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区、カナーマート地区、ウルフィー地区、ジュバイラ地区、ラシュディーヤ地区、ムワッザフィーン地区、旧空港地区、労働者住宅地区、ヒサーラート地区を占拠していたヌスラ戦線をはじめとするジハード主義武装集団、そして自由シリア軍を名乗る武装集団が、ダーイシュに対して秘密裏に忠誠を誓い、ダーイシュによるダイル・ザウル市支配に同意した、と報じた。

なおダーイシュのダイル・ザウル市制圧を受け、ダイル・ザウル市労働者住宅地区などで活動するムハンマド大隊が声明を出し、ダーイシュとの戦闘を続けるアサーラ・ワ・タンミヤ戦線と絶縁、ダーイシュとの戦闘を行わないと宣言する一方、「我々がアッラーのお許しのもとに戦い続ける唯一の敵とは、バッシャール・アサドの軍に代表されるヌサイリー体制だ」と表明した。

シリア人権監視団はその後、ダイル・ザウル市からの撤退に先立って、ヌスラ戦線が、ダーイシュを支持するジュンド・アズィーズ旅団司令官(拘束中)を処刑したと発表した。

**

同じくダイル・ザウル県では、アフバール・アーン(7月14日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がハトラ村でシャームの民のヌスラ戦線の「ダイル・ザウルのアミール」を名乗るサフワーン・ハント氏(通称アブー・ハーズィム)を拘束、処刑した。

ハント氏はダーイシュ支配地域からダマスカス郊外県カラムーン地方、ないしはダルアー県ハウラーン地方に向かって逃走を図っていたところを拘束されたという。

ハント氏は、ダイル・ザウル市出身で、アル=カーイダとの関係を疑われ逮捕された経験を持ち、2011年の紛争発生後は、アンサール大隊を結成し、反体制武装闘争を指導、その後、ムサンナー大隊を編成し、ヌスラ戦線に忠誠を誓っていた。

また、シリア人権監視団によると、ズィーバーン町の検問所で、ダーイシュ(イスラーム国)が離反士官1人を含む男性2人を拘束、「ダーイシュに犯行し、自由シリア軍参謀委員会と関係がある」との理由で処刑した。

さらに、ブーカマール市では、ダーイシュによるタバコ販売禁止に抗議して、住民がデモを行うとともに、ムサッラブ村、ムハイティーヤ村では武装集団がデモを行い、ダーイシュとの戦闘継続、和解拒否を訴えた。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月14日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がダルーイーヤ軍の約40%を制圧する一方、イラク軍ヘリコプターがシャルカート郡サディーラ村を空爆し、同県のシャリーア法学者を殺害した。

またティクリート市に展開するダーイシュの司令官の一人、ファフド・ティクリーティー氏(アブー・ジャアファル)と副官のアブー・ウマル・トゥーニスィー氏が、同市南部でのイラク軍との戦闘で死亡した。

**

ヒッラ県では、マダー・プレス(7月14日付)によると、軍、民兵からなる合同部隊がジュルフ・サフル地方でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、同地方のワーリーを名乗るアブー・ムスアブ・イーサーウィー氏を含む戦闘員60人以上を殺害した。

またジュルフ・サフル地方各所で、治安部隊がダーイシュ戦闘員9人を逮捕した。

**

ニナワ県では、マダー・プレス(7月14日付)によると、イラク軍戦闘機がモスル市内のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、ダーイシュ司令官のユーヌス・ハミード・マイーリー氏と、ウマル第9軍団司令官のアブー・ムスアブ・リービー氏が死亡した。

**

ディヤラ県では、国防相がヤアクーバ市東部のナダー地方でイラク軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、同地の戦闘員を殲滅したと発表した。

マダー・プレス(7月14日付)が伝えた。

AFP, July 14, 2014、Akhbar al-An , July 14, 2014、AP, July 14, 2014、ARA News, July 14, 2014、Champress, July 14, 2014、al-Hayat, July 15, 2014、July 16, 2014、Kull-na Shuraka’, July 14, 2014、al-Mada Press, July 14, 2014、Naharnet, July 14, 2014、NNA, July 14, 2014、Reuters, July 14, 2014、SANA, July 14, 2014、UPI, July 14, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)の動き(2014年7月13日追記)

AFP(7月14日付)は、複数の目撃者や医療筋の話として、アンバール県カーイム市で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員が、シリア人避難民4人を射殺したと報じた。

目撃者によると、戦闘員は「こいつらはシリア政府の手先でスパイだ」と声を上げて、避難民を射殺したという。

AFP, July 14, 2014をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月13日)

シリア国内の動き

イドリブ県では、スマート・ニュース(7月13日付)によると、ビンニシュ市を拠点とするシャーム自由人イスラーム運動がイスラーム戦線各部隊とともに、同市でダーイシュ(イスラーム国)と、ダーイシュに忠誠を誓ったダーウド旅団、シャーム軍などの掃討を開始した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったダーウド旅団がマンビジュ市方面に進軍し、アイン・アラブ市郊外でのダーイシュと西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊との戦闘に参加した。

この戦闘で、人民防衛隊の戦闘員12人とダーイシュ戦闘員11人が死亡するとともに、ダーイシュの司令官(エジプトのスエズ市出身の薬剤師)が負傷し、人民防衛隊に捕捉されたとう。

一方、アフタリーン市周辺のハルダーナー村などでは、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がダーイシュと交戦した。

**

ARA News, July 13, 2014
ARA News, July 13, 2014

ダイル・ザウル県では、ARA News(7月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するマヤーディーン市ダウワール・ナーディー地区のダーイシュの検問所近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発、市民数十人とダーイシュ戦闘員複数が死傷した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム戦線(イスラーム軍など)が交戦した。

**

ハサカ県では、ARA News(7月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャッダーディー市郊外のジャブサ油田が再稼働させた。

イラク国内の戦況

イラク・バアス党のイッザト・イブラーヒーム・ドゥーリー書記長はインターネットを通じて音声声明を出し、現下のイラクの混乱を「サファビー朝植民地主義に対する革命」を形容するとともに、ダーイシュ(イスラーム国)など、モスル市、ティクリート市制圧に参加した武装集団を「慈愛と誇り」をもって祝福、また「バグダード解放はすぐそこだ」と唱導した。

マダー・プレス(7月13日付)が伝えた。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月13日付)によると、ティクリート市南部のダルーイーヤ郡とバラド市を結ぶ橋で爆弾を仕掛けた車を爆破させ、橋を破壊した。

またダルーイーヤ郡の警察部隊と住民がダーイシュの襲撃に応戦し、ダーイシュ戦闘員10人が死傷した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月13日付)によると、ハディーサ郡で、治安部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員13人が死亡、治安部隊隊員6人が死傷した。

**

イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、サラーフッディーン県、アンバール県、ニナワ県などでのイラク軍による掃討作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員41人を殺害、車輌250台を破壊したと発表した。

AFP, July 13, 2014、AP, July 13, 2014、ARA News, July 13, 2014、Champress, July 13, 2014、al-Hayat, July 14, 2014、Kull-na Shuraka’, July 13, 2014、al-Mada Press, July 13, 2014、Naharnet, July 13, 2014、NNA, July 13, 2014、Reuters, July 13, 2014、SANA, July 13, 2014、SMART News, July 13, 2014、UPI, July 13, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月12日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アフタリーン市郊外のマスウーディーヤ村、ハラファトリー村、バフールタ村で、クルド人戦線旅団およびジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、前者がハラファトリー村を、後者がマスウーディーヤ村をそれぞれ制圧した。

またダーイシュは、アイン・アラブ市郊外のジャッル・グーグリー村で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦、同村を制圧、多数の住民が村から避難した。

同監視団によると、民主統一党とラッカ革命家旅団が、ダーイシュと、アイン・アラブ市南部のスィッリーン村の穀物庫で会合を開き、捕虜交換について協議した。

交渉では、人民防衛隊などが拘束しているダーイシュ戦闘員捕虜70人、遺体50人と、ダーイシュが拉致した子供130人(5月末に拉致された中学生)を含む住民400人、人民防衛隊とラッカ革命家戦線の戦闘員捕虜32人、遺体68人の交換が協議された。

ARA News, July 12, 2014
ARA News, July 12, 2014

交渉は、シリア・クルド国民評議会、西クルディスタン人民議会、拉致被害者家族がアイン・アラブ市で結成したコバネ国民和解委員会が仲介したが、捕虜らの引き渡し方法をめぐって合意できず決裂、ダーイシュは仲介を行っていた和解委員会の青年を拉致した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍機が、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するムーハサン市を空爆した。

**

ハサカ県では、ARA News(7月12日付)によると、カーミシュリー市東部のカフターニーヤ市近郊のジャズア村近くで、西クルディスタン移行期民政局の人民防衛隊が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

またシリア軍も、カーミシュリー市南部のアブー・カサーイブ村、タッル・ブラーク町、タッル・ハミース市などのダーイシュ拠点を砲撃した。

**

アレッポ県では、ARA News(7月12日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動(イスラーム戦線)の戦闘員3人がアーフィス村で襲撃され、負傷した。

同報道によると、この襲撃は、数日前にシャーム自由人イスラーム運動が、最近になってダーイシュ(イスラーム国)に合流したダーウド旅団の戦闘員複数名を逮捕したことを受けた動きだという。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点の一つで、拷問の跡が見られる男性の遺体が発見された。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、ファッルージャ市東部のハヤーキル地方で、テロ撲滅特殊部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、「結婚ジハード」を奨励するファトワーを発していた「アブー・リハーブ」を名乗る人物とその副官2人が死亡した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、ジュルフ・サフル地方のファーディリーヤ地区、バフバハーン地区で、イラク軍ヘリコプターがダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所を空爆し、ダーイシュ戦闘員12人が死亡した。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、イラク軍戦闘機がトゥーズ郡南部のヤンカジャ地方で、ダーイシュ(イスラーム国)のアミールの邸宅を空爆し、同邸宅で会合を開いていたダーイシュ戦闘員26人全員が死亡した。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、イラク軍戦闘機がキルクーク市西部のリヤード地区にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員多数と市民3人が負傷した。

**

ディヤラ県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、同県警察署長が、ヤアクーバ市北東部のスドゥール地区で、軍・警察合同部隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、ダーイシュ戦闘員22人を殺害・逮捕した、と発表した。

AFP, July 12, 2014、AP, July 12, 2014、ARA News, July 12, 2014、Champress, July 12, 2014、al-Hayat, July 13, 2014、Kull-na Shuraka’, July 12, 2014、al-Mada Press, July 12, 2014、Naharnet, July 12, 2014、NNA, July 12, 2014、Reuters, July 12, 2014、SANA, July 12, 2014、UPI, July 12, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月11日)

シリア国内の動き

ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)は声明を出し、ダイル・ザウル県のジハード主義武装集団などに対して、18日金曜日までに「改悛」し、忠誠を誓うよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka', July 11, 2014
Kull-na Shuraka’, July 11, 2014

これに関して、『ハヤート』(7月12日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル県で活動するヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動など複数のジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったと報じた。

ただし、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動は、ダマスカス郊外県、アレッポ県などではダーイシュとの交戦を続けているという。

クッルナー・シュラカー(7月11日付)によると、シュハイル市への住民の帰宅に関する合意を無視し、ダーイシュ(イスラーム国)が住民の帰宅を阻止、またこれに先立ち接収中の家屋7棟を爆破し、破壊した。

**

ハサカ県では、ARA News(7月11日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が拉致していた国防隊兵士と警官の遺体がタッル・ハミース市郊外で発見された。

**

イスラーム戦線政治委員会のアブー・アブドゥッラー・ハマウィー議長はツイッターで「アレッポでアサド軍が進軍するのに時を合わせて、アレッポの解放地区内でダーイシュ(イスラーム国)が拡大を続けている」と綴った。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、フワイジャ郡ズィラーア地区で、同地の部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)が接収・使用していた家屋を破壊し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

またフワイジャ郡カーディスィーヤ地区では、イラク軍がダーイシュ拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員多数と民間人2人が死亡、子供を含む複数人が負傷した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点・武器庫を空爆し、ダーイシュ戦闘員25人を殲滅した。

また同地方ファーディリーヤ地区では、軍と民兵からなる合同部隊が、ダーイシュの拠点を急襲し、戦闘員8人を殺害した。

さらに同地方フジャイル地区では、治安部隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員3人、治安部隊隊員2人が死亡した。

またバービル県議会は、ジュルフ・サフル地方のバフバハーン地区、アズラク地区で、軍警察合同部隊がダーイシュを掃討し、治安を回復したと発表した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、カーイム郡で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、アブー・ムアーウィヤ・スーリー氏、アブー・アリー・サーマッラーイー氏、アフマド・アワド・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラフマーン・アフガーニー氏、マーズィン・アイヤーシュ・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラー・アドナーニー氏らダーイシュ司令官複数を含む戦闘員多数を殺害した。

諸外国の動き

al-Hayat, July 12, 2014
al-Hayat, July 12, 2014

オーストラリア連邦警察特殊部隊が、フィリピン中部のラプラプ市でフィリピン人にシリア、イラクでのジハードへの呼びかけていたオーストラリア人ムーサー・セラントニオ氏(29歳)を逮捕した。

セラントニオ氏は17歳のとき、メルボルンでイスラーム教徒に改宗、インターネットでダーイシュ(イスラーム国)を支持する説教師として知られていた。

ロイター通信(7月11日付)が伝えた。

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月10日)

シリア国内の動き

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市のダーイシュ(イスラーム国)をイスラーム軍が攻撃、制圧した。

この戦闘で、複数の司令官を含むダーイシュ戦闘員5人が死亡したという。

これに関して、イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官はツイッターを通じて、ダーイシュのアミールの一人、アブー・マーリヤ・ウルドゥンニー氏を含むダーイシュ・メンバー4人を殺害したと綴った。

**

アレッポ県で活動するシャームの鷹旅団のアブー・イーサー・シャイフ司令官は、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったシャーム軍とダーウド旅団に対して、12時間以内に武器を引き渡すよう最後通告を出した。

シャイフ司令官はまた、この二つの武装集団を事実上指揮するハッサーン・アッブード氏がアレッポの武装集団を何度も裏切ってきたと批判した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ヒシャーム村名士とダーイシュ(イスラーム国)が、同市から強制退去を命じられていた住民1万5,500人以上の帰宅について合意した。

住民は10日正午から帰宅を開始するという。

イラク国内の戦況

ロイター通信(7月10日付)によると、国際原子力機関(IAEA)は、イラク政府から、ニナワ県モスル市の大学に保管されていた核物質が奪われたとの連絡を受けたと発表した。

核物質の種類や量は明らかにしていないが、「低い等級のもので安全上の問題は小さい」としている。

ロイター通信によると、奪われたのは研究用ウラン化合物約40キロ。

イラクの国連大使が8日、潘基文国連事務総長宛ての書簡で、「テロ集団に奪われた」と伝えたという。

**

ニナワ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がモスル市各所でイラク軍元士官30人を逮捕した。

逮捕の理由は明らかでないという。

一方、モスル市南部のタヤラーン地区にあるイラク軍ニナワ県作戦司令室をイラク軍戦闘機が空爆した。

同司令室はダーイシュが占拠し、本部として使っていたという。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍、警察、民兵からなる合同部隊がジュルフ・サフル地方でダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を続け、ダーイシュ戦闘員22人を殺害、車輌8台を破壊した。

**

ラマーディー県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍・警察合同部隊がラマーディー市北部のジャズィーラ地区でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員13人を殺害した。

**

マダー・プレス(7月10日付)は、信頼できる消息筋の話として、イラクの特殊諜報機関が、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏の弟を逮捕したと伝えた。

逮捕されたバグダーディー氏の弟はバグダードなどでの「テロ活動」を統括していたという。

**

ディヤラ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ヤアクーバ市北部のスドゥール地方で、警察部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、同地襲撃の「首謀者」1人を含むダーイシュ戦闘員7人と警官2人が死亡した。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月9日)

シリア国内の動き

ガド・プレス(7月9日付)は、複数の活動家の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)ラッカ州のワーリーを名乗るアブー・ルクマーン・マグリビー氏が離反し、自らを「シャームのカリフ」に就任させるよう要求したと報じた。

同報道によると、アブー・ルクマーン氏は、ダーイシュの指導者であるアブー・バクル・バグダーディー氏よりも「自分の方がカリフにふさわしい」と主張しているという。

なおアブー・ルクマーン氏による「シャームのカリフ」宣言を受け、約3,000人のダーイシュ・メンバーが同氏に忠誠を誓ったという。

アブー・ルクマーン氏については、2014年1月7日にラッカ市での戦闘で死亡したとの情報が流れていた(https://syriaarabspring.info/wp/?p=379)。

algadpress, July 9, 2014
algadpress, July 9, 2014

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)の「訓練センター」およびダーイシュが包囲を続ける第17師団基地周辺をシリア軍が空爆し、ダーイシュ戦闘員20人以上が死亡した。

**

ARA News, July 9, 2014
ARA News, July 9, 2014

ARA News(7月9日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)のアレッポ州ジャラーブルス地区のアミールが、すべてのダーイシュ・メンバーに対して、「ダーイシュに敵対的な思想の持ち主」の監視を行うよう要請する布告を発したと報じ、その写真を公開した。

**

ダマスカス郊外県では、ARA News(7月9日付)によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム軍が交戦し、民間人3人が戦闘に巻き込まれ負傷した。

イラク国内の戦況

バービル県では、マダー・プレス(7月9日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍戦闘機の支援を受けた治安部隊がダーイシュ(イスラーム国)を攻撃し、ダーイシュ戦闘員15人を殲滅した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月9日付)によると、ラマーディー市西方のラーワ郡で、イラク軍戦闘機・ヘリコプターの支援を受けた治安部隊が、ダーイシュ(イスラーム国)の車列を攻撃し、ダーイシュ戦闘員14人を殲滅した。

AFP, July 9, 2014、Algadpress, July 9, 2014、AP, July 9, 2014、ARA News, July 9, 2014、Champress, July 9, 2014、al-Hayat, July 10, 2014、Kull-na Shuraka’, July 9, 2014、al-Mada Press, July 9, 2014、Naharnet, July 9, 2014、NNA, July 9, 2014、Reuters, July 9, 2014、SANA, July 9, 2014、UPI, July 9, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月8日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県西部の名士・部族長、ジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)と停戦交渉を続けた。

同監視団によると、ジハード主義武装集団らは、①県西部に現状の組織を維持したまま残留し、ダーイシュに忠誠を誓う、②軽火器、重火器のいずれもダーイシュには引き渡さない、③ダーイシュの進駐は限定的なものとし、進駐する部隊はムハージリーン(外国人)のみとする、④ダーイシュはいかなる指名手配者も逮捕しない、⑤アサド政権に対する戦闘を共同で行う、⑥合同のシャリーア委員会を設置する、ことを求めているという。

しかし、ダーイシュは、交渉の前提条件としてジハード主義武装集団の武器の放棄を要求しているという。

**

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県西部での停戦交渉を尻目に、反体制武装集団17組織と、ユーフラテス河畔のスバイハーン市、ダブラーン村、ガリーバ村、キシュマ村、ドゥワイル村住民が、ダーイシュ(イスラーム国)とカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した。

ダーイシュに忠誠を誓ったのは武装集団は以下の通り:

1. ムウタスィム・ビッラー

2. ヌール・イスラーム

3. ジュンドッラー

4. ハーリス

5. ハーリド・ブン・ワリード

6. 信徒の母アーイシャ

7. 戦線

8. ユーフラテスの鷹

9. スバイハーン殉教者

10. イスラームの盾

11. ジャッラース・アキード

12. ユーフラテス特殊部隊

13. 誇り高きスバイハーン革命家大隊

**

イドリブ県で活動するシャーム軍ダーウド旅団が、ダーイシュ(イスラーム国)への忠誠を誓った。

ARA News(7月8日付)によると、ダーウド旅団は、アレッポ市北東部へのシリア軍の攻勢を受け、同地で戦う反体制武装集団を支援するためにイドリブ県からアレッポ県に向かったが、その後、ラッカ県に進路を変更し、タッル・アブヤド市一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と戦うダーイシュに参加したという。

**

ハサカ県では、ARA News(7月8日付)が地元活動家の話として、シャッダーディー市を制圧しているダーイシュ(イスラーム国)が、ラマダーン月を祝して、市内の貧困層に穀物などの食糧を配給していると報じた。

**

ダーイシュ(イスラーム国)は、機関紙『ダービク』を創刊し、ウェブ(https://ia902504.us.archive.org/14/items/HMC_DBQ1/dbq01_mobile_en.pdf)上で公開する一方、シリア国内の制圧地域での配布を開始した。

創刊号は英語で書かれている。

「ダービク」という紙名は、アレッポ県北部の「マルジュ・ダービク」地方に由来しており、同地は16世紀、オスマン朝のセリム1世の軍とカーンスーフ・ガウリー率いるマムルーク軍が戦った「マルジュ・ダービクの戦い」の古戦場として知られる。

Dabiq
Dabiq

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線の拠点だったシュハイル市で、ヌスラ戦線司令官の自宅2件を爆破、破壊した。

一方、シリア軍はダーイシュが制圧するマヤーディーン市各所を空爆した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市南西部郊外で、ダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦した。

またラッカ市北部のアイン・イーサー市にある人民防衛隊の検問所に対して、ダーイシュ戦闘員が自爆攻撃を仕掛け、クルド人隊員4人を殺害した。

**

ダマスカス郊外県では、ARA News(7月8日付)によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム戦線所属のイスラーム軍が交戦し、後者の戦闘員6人が死亡した。

レバノンをめぐる動き

LBCI(7月8日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外からダーイシュ(イスラーム国)メンバー複数名が同村に侵入し、住民のムスタファー・ナジーブ・イッズッディーン氏を自宅で処刑した。

ダーイシュはイッズッディーン氏に死刑宣告をしており、同氏の息子ハーリド氏(14歳)も6月5日に同じように処刑されたという。

しかし2人の殺害に関して、レバノンの声(7月8日付)は、ダーイシュではなく、シャームの民のヌスラ戦線のメンバーの犯行だと報じ、またLBICもハーリド氏殺害はヌスラ戦線の犯行だと報じていた。

**

『アフバール』(7月8日付)は、7日にイラクの首都バグダードでの自爆テロの実行犯が、北部県トリポリ市出身のムスタファー・アブドゥルハイ氏(22歳、自称アブー・ハファス)だったと報じた。

同紙によると、アブドゥルハイ氏は2年前に、シリアで武装活動を行うシャーム自由人イスラーム運動に参加、その後レバノンに帰国し、イスラーム国(ダーイシュ、当時はイラク・シャーム・イスラーム国)に忠誠を誓い、イラクに転戦していたという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月8日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がバイジ市北部のザウィーヤ地方を制圧した。

同地方制圧に際して、ダーイシュは迫撃砲約60発を発射、住民13人が死亡、民家10棟が破壊された。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月8日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、軍・警察合同部隊が、空軍の支援のもとにダーイシュ(イスラーム国)の掃討を継続し、ダーイシュ戦闘員16人を殺害した。

また掃討作戦に参加したイラク軍戦闘機は、ダーイシュ拠点などを空爆し、戦闘員24人を殺害した。

さらに、イスカンダリーヤ地方では、警察部隊がダーイシュ(イスラーム国)戦闘員5人を逮捕した。

諸外国の動き

エリック・ハンプトン・ホルダー米法務長官は、シリアとイラクに戦闘目的で渡航した米国人約100人の調査を法務省が開始したと発表した。

AFP, July 8, 2014、al-Akhbar, July 8, 2014、AP, July 8, 2014、ARA News, July 8, 2014、Champress, July 8, 2014、al-Hayat, July 9, 2014、Kull-na Shuraka’, July 8, 2014、LBCI, July 7, 2014、al-Mada Press, July 8, 2014、Naharnet, July 8, 2014、NNA, July 8, 2014、Reuters, July 8, 2014、SANA, July 8, 2014、UPI, July 8, 2014、Voice of Lebanon, July 8, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「イラクとシャームのイスラーム国」は何に挑戦しているのか」(『世界』)

髙岡豊「イラクとシャームのイスラーム国」は何に挑戦しているのか」
『世界』第859号、2014年8月、 pp. 20-24

中東が大きく揺れている。内戦の続くシリアから国境を越えてイラクへ進撃し、首都バグダッドに迫る勢いのイスラーム過激派武装勢力ISIS。どういう組織なのか。そしてその登場の歴史的意味とは?・・・

 

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月7日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機が、ダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているハリータ砂漠のハッラータ油田を3度にわたって空爆した。

またクーリーヤ市では、住民がデモを行い、ダーイシュへの忠誠拒否、同組織の市内への進入反対、シュハイル市との連帯を表明した。

同市で反ダーイシュのデモが行われたのは6日に続き2度目だという。

**

アレッポ県では、ARA News(7月7日付)によると、アイン・アラブ市南部のカウン・アフタール村をダーイシュ(イスラーム国)が襲撃、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦した。

ダーイシュは人民防衛隊の検問所を攻撃する一方、村に砲撃を加え、学校などを破壊したという。

またフェイスブックのページ「バッシャール・アサドに対するシリア革命」は、ダーイシュが占拠するバーブ市で、女性が「背教」のかどで処刑されたと発表した。

レバノン国内の動き

NNA(7月7日付)によると、レバノン軍事裁判所のサクル・サクル長官は、ダーイシュ(イスラーム国)に所属し、自爆テロを計画したとの容疑でレバノン人28人を起訴した。

うち7人は既に身柄拘束中だという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、ARA News(7月7日付)によると、イラク軍戦闘機がトゥーズ・フールマートゥー村(クルド人の村)を空爆し、18歳の少女1人が死亡、8人が負傷したほか、住宅などが倒壊した。

この空爆に関して、イラク軍戦闘機がイラク・クルディスタン民主党の事務所を狙っていたとの情報が流れているという。

また、マダー・プレス(7月7日付)によると、ザウィーヤ地方、マスハク地方で、ダーイシュ(イスラーム国)と部族民兵が激しく交戦し、ダーイシュ戦闘員35人と部族民兵3人が死亡、ダーイシュ戦闘員70人が負傷した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月7日付)によると、ジュルフ・サフル地方のアンバール県境の地域でイラク軍・警察合同部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

**

ラマーディー県では、マダー・プレス(7月7日付)によると、ラマーディー市東部のマラーヒマ地区で、イラク軍・警察合同部隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、兵士3人が死亡、5人が負傷した。

AFP, July 7, 2014、AP, July 7, 2014、ARA News, July 7, 2014、Champress, July 7, 2014、al-Hayat, July 8, 2014、Kull-na Shuraka’, July 7, 2014、al-Mada Press, July 7, 2014、Naharnet, July 7, 2014、NNA, July 7, 2014、Reuters, July 7, 2014、SANA, July 7, 2014、UPI, July 7, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月6日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線の一大拠点シュハイル市を制圧したダーイシュ(イスラーム国)は、住民約3万人以上を市外に強制移住させた。

ダーイシュはまたシュハイル市に先立って制圧したヒシャーム村の住民約1万5,500人と、タービヤ村の住民約1万5,000人も追放し、帰宅を認めていない。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているシャッダーディー市一帯を空爆した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市のマルトゥー広場で、ダーイシュ(イスラーム国)が、「ヌサイリー体制(アサド政権のこと)と協力」した罪で男性2人を公開処刑した。

またジャラーブルス市郊外のズール・マガール村、バイヤーダ村、ズィヤーラ村の奪還をめざす西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、ダーイシュと交戦した。

一方、ARA News(7月6日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、ダーイシュが占拠していたジュッブ・ファルジュ村、ハッラーブ・アトゥー村を奪還した。

このほか、シリア人権監視団によると、アフタリーン市郊外では、ジハード主義武装集団がダーイシュ戦闘員2人を拘束した。

**

シリア人権監視団によると、ワルド油田を除くダイル・ザウル県内の油田を掌握したダーイシュ(イスラーム国)は、原油の販売を開始した。

ダーイシュは業者に1バレルあたり12ドル(2,000シリア・ポンド)で原油を販売するとともに、業者に対しては「シリア国民の人道的危機を考慮」し、ダーイシュ制圧地区で1バレルあたり18ドル(3,000ポンド)で流通させるよう求めているという

**

シリア・ムスリム同胞団のイスラーム法源解釈委員会は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言に関して、「無効であり、シャリーアに則したものとはみなし得ない」と批判した。

同胞団はまた、ダーイシュについては、「イスラーム教徒、民革命家さらには自由シリア軍の英雄への背教宣告」によって、無実の人々を殺害したと断罪し、「これらの者に忠誠」を誓うことはないと強調した。

そのうえで「カリフとは、弱肉強食でも流血でもなく、至高なるアッラーの法に根ざした政治・宗教職」だと主張、イスラーム国のカリフ制が「独裁者を別の独裁者にとりかえること」だと非難した。

イラク国内の戦況

キルクーク市に駐留するイラク・クルディスタン地域のペシュメルガ第1旅団司令官のシールクー・ファーティフ・シャワーニー准将は、ダーイシュ(イスラーム国)の侵入を防ぐため、キルクーク県南部に全長50キロの土塁を建設すると発表した。

**

イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、サラーフッディーン県バイジ製油所一帯、アンバール県、バービル県ジュルフ・サフル地方、ニナワ県タッルアファル郡などでのイラク軍による掃討作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員82人を殺害、車輌18台を破壊したと発表した。

AFP, July 6, 2014、AP, July 6, 2014、ARA News, July 6, 2014、Champress, July 6, 2014、al-Hayat, July 7, 2014、Kull-na Shuraka’, July 6, 2014、al-Mada Press, July 6, 2014、Naharnet, July 6, 2014、NNA, July 6, 2014、Reuters, July 6, 2014、SANA, July 6, 2014、UPI, July 6, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月5日)

イラクの戦況

イスラーム国のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏がモスル市のモスクで説教を行う映像(https://www.youtube.com/watch?v=0PjTSKOMpGk)がインターネットを通じて公開された。

バグダーディー氏が姿を現したのは、モスル市内のヌーリー大モスクで、ラマダーン月に合わせて説教を行った。

Youtube
Youtube

説教のなかでバグダーディー氏は「アッラーは、我々にアッラーの敵と戦い、アッラーのためにジハードを行い、そうすることで宗教を確立するよう命じられた…。アッラーは、あなた方の同胞であるムジャーヒディーンの勝利と制服を祝福された。彼らが長年にわたりジハードを行い耐える力を与え、彼らが目的を実現できるようになさった。それゆえ、彼らは迅速にカリフ制を宣言し、イマームを指名できた。これは数世紀にわたって失われてきたイスラーム教徒にとっての義務なのだ」と述べた。

なおイラクの複数のメディアは、バグダーディー氏がアンバール県での空爆によって負傷したと報じていた。 

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、サクラーウィーヤ地方ファッルージャ郡で、ラマーディー市と首都バグダードを結ぶ国際幹線道路に架かる橋を爆破、破壊した。

また同地ではイラク軍とダーイシュが交戦し、ダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

このほか、ラマーディー市では、ダーイシュが警察と覚醒評議会の検問所を襲撃し、警官と覚醒評議会メンバー7人が死傷した。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、イラク軍がバイジ製油所に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を撃退、12人を殲滅した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を続け、ダーイシュの南部州司令官ムハンマド・ジャナービー氏を含むダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、ラシャード地区近郊で、部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)の司令官の一人サッターム・ジャッブーリー氏が乗った車を攻撃、同氏を殺害した。

またダーイシュはウバイド部族のシャイフ1人をスース村近くで拉致、連行した。

シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するラッカ市北部のサッカ地区をシリア軍戦闘機が空爆した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するカスラ村各所、ジュダイダ・アカイダート村をシリア軍戦闘機が空爆、またダイル・ザウル市各所をシリア軍が砲撃した。

またアブー・ハマーム市では、ハムザ大隊、イブン・カイイム旅団が、ダーイシュと交戦した。

一方、同監視団によると、ガラーニージュ市、アブー・ハマーム市、カシュキーヤ村で、停戦とダーイシュへの忠誠の宣誓のための交渉が続けられた。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が展開するアフタリーン市郊外のバフーリタ村の丘陵地、バルアーン村、ワーシュ山に対して、ジハード主義武装集団が手製の迫撃砲で攻撃、ダーイシュ戦闘員2人が死亡した。

AFP, July 5, 2014、AP, July 5, 2014、ARA News, July 5, 2014、Champress, July 5, 2014、al-Hayat, July 6, 2014、Kull-na Shuraka’, July 5, 2014、al-Mada Press, July 5, 2014、Naharnet, July 5, 2014、NNA, July 5, 2014、Reuters, July 5, 2014、SANA, July 5, 2014、UPI, July 5, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「カリフ制樹立を宣言した「イラクとシャームのイスラーム国」の過去・現在・将来」(Synodos)

髙岡豊「カリフ制樹立を宣言した「イラクとシャームのイスラーム国」の過去・現在・将来」
Synodos、2014年7月4日
http://synodos.jp/international/9659

2014年6月、「イラクとシャームのイスラーム国」[*1]の攻勢を前にイラク軍が脆くも敗走、イラク中部の諸都市や、西部のシリアやヨルダンとの国境通過地点が「イスラーム国」などの武装勢力の手に落ちた。・・・

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月4日)

シリア国内の戦況

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア委員会が占拠していたタナク油田(シュアイタート砂漠)をダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

またマヤーディーン市西部にあるブクルス遺跡からヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団が撤退し、ダーイシュが同地を制圧した。

同地制圧に際して戦闘はなかったという。

一方、ダイル・ザウル県で活動するジュンド・ラフマーン旅団総司令部が声明を出し、イスラーム国のカリフの支配を受け入れると発表した。

他方、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するジュダイド・アカイダート村をシリア軍が砲撃した。

またダイル・ザウル市郊外の航空基地周辺で、シリア軍の狙撃によりジハード主義武装集団戦闘員1人が死亡した。

このほか、シリア人権監視団によると、シュハイル市に隣接するハワーイジュ村にヌスラ戦線が設置していた拘置所から、ダーイシュ戦闘員約30人が脱走した。

ダーイシュ戦闘員らは、ヌスラ戦線の撤退を受け、拘置所の壁を破壊し、脱走したという。

**

シリア人権監視団は、インターネットにアップされた映像や複数の消息筋からの情報を総合し、7月3日にダイル・ザウル県シュハイル市で交わされたダーイシュ(イスラーム国)と市内を占拠していた反体制武装集団の停戦合意の詳細を明らかにした。

それによると、ダーイシュは、シャームの民のヌスラ戦線の拠点とされる同市を掌握するにあたって、①住民の改悛、②戦闘員および住民の武器引き渡し、③同市の安全をダーイシュが確認するまで、住民は10日間市外に退去、④ダーイシュの安全が確保されたのち住民の帰宅、を条件としたという。

これに対して、シュアイタート砂漠、とりわけガラーニージュ市で、住民がダーイシュへの忠誠拒否を訴えるデモを呼びかけたという。

しかし、シュハイル市では、シュハイル市、ハリージー村、ナムリーヤ村の各住民、イスラーム軍、イスラーム・ムウタ軍、イフラース旅団、イスラーム・ターリバーン運動が共同声明を出し、ダーイシュへの忠誠を誓ったという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団、ARA News(7月4日付)によると、ジャラーブルス市東部の対トルコ国境沿いズール・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、クルド人戦線旅団、ラッカ革命家旅団との3日間の戦闘のすえ、同村およびバイヤーダ村、ズィヤーラ村を制圧した。

両者の戦闘で、民主統一党隊員11人とダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

またアフタリーン市郊外のヤールーザ村、ズィヤーディーヤ村一帯で、ダーイシュがシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺でシリア軍とダーイシュが交戦した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市近郊のダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所をシリア軍が空爆する一方、イスラーム軍などならなるジハード主義武装集団がバーターヤー村でダーイシュと交戦した。

イラク国内の戦況

トルコのイェニ・シャファク・サイト(7月4日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がイラクのモスル市で独自のパスポートを発効し、同市およびシリア・イラク国境地帯の制圧地域住民役1万1,000人に配布したと報じた。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、イラク軍戦闘機がフワイジャ郡のダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して空爆を行った。

また同郡のアッバースィー地区、タッル・アリー地区で、部族民兵がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員17人が死傷した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ラブタ郡周辺、カダー郡入口一帯、ハディー砂漠でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員8人を殺害、9人を逮捕した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員17人が死亡した。

**

ディヤラ県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ダリー・アッバース地方ダワーリーブ地区で、イラク警察部隊とアフガン服に身を包んだダーイシュ(イスラーム国)戦闘員が交戦し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

諸外国の動き

AFP(7月4日付)は、フランスのニース市で、数ヶ月前にシリアから帰国した17歳の青年が、シリア国内で「テロ集団」に参加し、犯罪を犯した容疑で取り調べを受けていると報じた。

AFP, July 4, 2014、AP, July 4, 2014、ARA News, July 4, 2014、Champress, July 4, 2014、al-Hayat, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 4, 2014、al-Mada Press, July 4, 2014、Naharnet, July 4, 2014、NNA, July 4, 2014、Reuters, July 4, 2014、SANA, July 4, 2014、UPI, July 4, 2014、Yeni Safak, July 4, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月3日)

シリア政府の動き

ラッカ県では、ARA News(7月3日付)によると、シリア軍戦闘機がラッカ市内のダーイシュ(イスラーム国)のシャリーア法廷(ラッカ市文化センタ-)、タッル・アブヤド市東部、フナイダ市のダーイシュ拠点に対して空爆を行った。

**

シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア学者のアブー・マーリヤー・カフターニー氏はツイッターで、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言を「幻想のカリフ制宣言」と批判した。

シリアの反体制組織の動き

シリア国内最大の反体制政治連合、民主的変革諸勢力国民調整委員会はフェイスブックを通じて声明を出し、ダイル・ザウル県でのダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に関して「シリア国家の存在、領土の一体性と保全を脅かす…危険な動き…。国際社会がこれに対抗するために早急に行動しなければ、深刻な結果をもたらす」と警鐘を鳴らした。

調整委員会はそのうえで「国を危機から脱出させる唯一の方途は政権が政治的解決を受け入れ、安保理が外国人戦闘員の潜入や武器の流入阻止、テロ組織の資金源の根絶、ジュネーブ合意に基づく政治プロセスの再生のため、断固たる措置を即座に講じることで、政権に義務を履行させること」だと主張した。

シリアの反体制武装集団の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が占拠していたシリア国内最大の油田ウマル油田を、ダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

制圧に際して、ヌスラ戦線らとダーイシュとの間に戦闘はなく、ヌスラ戦線などの戦闘員は、ダーイシュの進軍を前に敗走したという。

また、ウマル油田制圧により、ダーイシュはダイル・ザウル県の油田のほぼすべてを手中にし、またダイル・ザウル県の対イラク国境に位置するブーカマール市から、ラッカ市、アレッポ県バーブ市にいたるユーフラテス河畔のほぼ全域(ダイル・ザウル市を除く)を掌握したという。

またこれに先立ち、ダーイシュは同日早朝、ウマル油田に近いマヤーディーン市にも「無血入城」し、ヌスラ戦線などは同市から退去した。

さらに、ヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市、アシャーラ市、および周辺の村落でも、ダーイシュとの戦闘が停止、これに関して、シリア人権監視団は、ヌスラ戦線とダーイシュが部族の仲介のもと停戦交渉を行っているとの情報があると指摘した。

これに関して、ARA News(7月3日付)は、ダイル・ザウル市の複数の活動家の話として、シュハイル市一帯で活動するイスラーム軍など複数の武装集団がダーイシュに忠誠を誓い、同市へのダーイシュの進入を受け入れたと報じた。

ダーイシュに忠誠を誓った武装集団は、イスラーム軍のほか、イフラース軍、イスラーム・ムウタ軍などで、ヌスラ戦線だけは忠誠を拒否しているという。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月3日付)によると、イラク軍ヘリコプターが、キルクーク市西75キロに位置するサフラー村近くで、燃料を積んだトレーラー3台を破壊した。

トレーラーはダーイシュ(イスラーム国)によって盗まれたもの。

またフワイジャ郡などの複数の部族長(スンナ派)は、マダー・プレスに対し、ダーイシュに忠誠を誓わなければ殺すと脅されていると述べた。

なおマダー・プレスによると、これに先立ち、ダーイシュは、自らの支配を拒否した部族長や政治家の邸宅などの没収を開始したという。

**

バービル県議会は、県北部のジュルフ・サフル地方各所で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員40人を殺害したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

**

ディヤラ県警察のジャミール・シャムリー署長は、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方で、イラク軍と部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員70人を殲滅、同地方の2カ所(ダワーリーブ地区、シューハーニー地区)の浄化を完了したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

レバノンの動き

ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったバアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、「特殊部隊が、レバノン、とりわけベカーア・イスラーム国のキリスト教教会を浄化する任務についた…。我々は同国(ベカーア)およびレバノンで、教会の鐘を沈黙させるべく、十字軍を標的にする」と発表、キリスト教徒へのテロを予告した。

諸外国の動き

ロイター通信(7月3日付)は、コロラド州デンバーの米連邦当局高官の話として、シリアとイラクで活動するダーイシュ(イスラーム国)への資金援助に関与している容疑で、女性1人が逮捕されたと報じた。

**

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、6月10日にモスル市でダーイシュ(イスラーム国)によって拉致されたトルコ人貨物車輌運転手32人が解放され、アルビル市のトルコ領事館に身柄を保護されたと発表した。

AFP, July 3, 2014、AP, July 3, 2014、ARA News, July 3, 2014、Champress, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014、Kull-na Shuraka’, July 3, 2014、al-Mada Press, July 3, 2014、Naharnet, July 3, 2014、NNA, July 3, 2014、Reuters, July 3, 2014、SANA, July 3, 2014、UPI, July 3, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア反体制勢力の動き(2014年7月2日追記)

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、イラクのアルビル市を訪問し、イラク・クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領と会談した。

会談では、ダーイシュ(イスラーム国)の台頭などシリア・イラク情勢について意見が交わされたという。

ARA News(7月3日付)などが伝えた。

ARA News, July 3, 2014
ARA News, July 3, 2014

ARA News, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月2日)

シリア国内の動き

アレッポ県北部、ラッカ県、ダイル・ザウル県で活動するジハード主義武装集団など11組織は共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立、同暫定政府、自由シリア軍参謀委員会といったトルコ在留の反体制組織に対して、ダーイシュ(イスラーム国)に対抗するための武器を増援しなければ、武器を放棄する、と脅迫した。

共同声明を発表したのは以下の組織:

Kull-na Shuraka', July 2, 2014
Kull-na Shuraka’, July 2, 2014

アッラーのためのジハード旅団

ラッカ革命家旅団

マンビジ大隊連合

アレッポ北部農村作戦司令室

ジャラーブルス大隊

カラーマ大隊

バーズ大隊

アフタリーン大隊

マンビジ東部戦線革命家大隊

シリア・クルド人戦線

シリア自由人東部戦線

声明において、11組織は、「1週間以内に(アブー・バクル・)バグダーディーの組織(ダーイシュ)に対抗し、同組織を我々の領土から放逐し、解放された都市への進軍を食い止めるための武器が増援されない場合…、武器を放棄し、これらの地域からムジャーヒディーンを撤退させるだろう。そうすれば皆は…我々がハワーリジュどもに抵抗していたことを知ることになる。我々は銃弾が尽きるまで抵抗を続ける」と表明した。

そのうえで「我々の革命、我々の人民と家族の革命、我々の若者や子供たちの血が失われた革命は、バグダーディーの組織がカリフ制樹立を宣言して以降、同組織によって危機に曝されている」と付言した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が1日に制圧したブーカマール市内で、強制家宅捜査を行い、多数の市民を逮捕した。

ダーイシュはまた、シャームの民のヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市を砲撃、同地北部入口付近でヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、ブーカマール市から撤退したヌスラ戦線らは、同じくダーイシュによって制圧されたブサイラ市郊外の農場、ザッル村に対して砲撃を行った。

この砲撃によりザッル市では子供2人、女性2人を含む6人が死亡した。

このほか、ブクルス遺跡一帯の砂漠地帯で、ダーイシュとジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員6人が死亡した。

他方、シリア軍はクーリーヤ市、ブサイラ市近郊を空爆し、クーリーヤ市では市民2人が、ブサイラ市ではダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

**

アレッポ県では、ARA News(7月2日付)によると、ルーズ・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)がアイン・アラブ市郊外を襲撃し、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦し、市民2人が死亡、4人が負傷した。

**

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(7月2日付)が、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立を受けて、カリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した住民(若者ら)に、「かたちだけ」の報酬と食糧を援助していると報じた。

またシリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺で、シリア軍とダーイシュが交戦した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イスラーム軍がイスラーム国家(ダーイシュ)との戦闘の末、マイダアー町を制圧した。

シリア、イラク、レバノンの有識者らの動き

シリア、イラク、レバノンの有識者約260人が共同声明を出し、三国におけるダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に異議を唱え、「宗教に基づく支配は、本質において人間が作った加工場であり…、エリート主義に基づく人種差別支配、ファシズム支配を作り出す…。このような政体は自由、女性、美、近代教育に敵対し…、奴隷制を作り出す」と批判、カリフ制樹立への拒否の姿勢を示した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍が県内をバイジ郡方面に向かって逃走中だったダーイシュ(イスラーム国)の車輌を取り押さえ、リビア人司令官のアブー・アフマド・アフガーニー氏と副官2人の合わせて3人を逮捕した。

またティクリート市北部の複数地区で、イラク軍がダーイシュの掃討作戦を行い、チェチェン人狙撃手2人、北アフリカ出身者2人、自爆ベルトを着用した湾岸出身者1人を殺害した。

さらにダーイシュが占拠・使用していたティクリート病院の燃料倉庫をイラク軍ヘリコプターが攻撃・破壊した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍戦闘機がジュルフ・サフル地方を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員40人が死傷した。

また同地区でのダーイシュとイラク軍の戦闘で、イラク軍中尉が撃たれて重傷を負った。

諸外国の動き

イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構の指導者の一人アブー・アブドゥッラー・ウスマーン・アースィミー氏は音声声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)に関して「我々とあなた方の間に友愛の綱を結びたい。あなた方は、家族や部族よりも我々にとって愛すべき存在で、我々は常にあなた方のために、祈りを捧げている」と述べ、支持を表明した。

『ハヤート』(7月3日付)が伝えた。

AFP, July 2, 2014、AP, July 2, 2014、ARA News, July 2, 2014、Champress, July 2, 2014、al-Hayat, July 3, 2014、Kull-na Shuraka’, July 2, 2014、al-Mada Press, July 2, 2014、Naharnet, July 2, 2014、NNA, July 2, 2014、Reuters, July 2, 2014、SANA, July 2, 2014、UPI, July 2, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月1日)

バグダーディー氏声明発表

ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏はイスラーム・カリフ制樹立後初となる音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=_kjajeNX-84)を発表した。

19分にわたる声明は「ムジャーヒディーンとイスラームのウンマへのラマダーン月のメッセージ」と題され、そのなかでバグダーディー氏は、イスラーム教徒に対して「イスラームの家へのヒジュラ(聖遷)」が義務だと主張、結集を呼びかけた。

バグダーディー氏は「科学専攻の学生、法学者、説教師、とりわけカーディー、軍事、行政、福祉に関する技能を持つ者たち、医師、さまざまな専門・分野の技師に呼びかける…。彼らへの号令は…、イスラーム教徒の必要に応えるための義務である…。イスラーム国の兵士たちよ、各地にいるあなたたちの同胞は、あなたたちの助けを待っている。あなたたちの前衛に期待している。中央アジア、そしてそれ以前にはビルマであなたたちに行われたことだけで十分だ…。アッラーに誓って、復讐しようではないか。今でなくとも復讐しようではないか」と述べた。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', July 1, 2014
Kull-na Shuraka’, July 1, 2014

イスラーム戦線のシャリーア評議会などイスラーム主義組織9団体が共同声明を出し、「カリフ制の条件は、とりわけ国家機関という面で、現時点においてまだ達成されていない」と表明し、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制を「ハワーリジュのカリフ制」と非難し、「無効」と断じるとともに、ダーイシュを「ビドア(婉曲)と誤導」の組織と糾弾し、参加を禁じた。

声明において9団体は、「カリフ制国家樹立宣言が、アサド政権の打倒をめざす革命家に対抗するためパワー・バランスの転換を望む外国諸勢力の口実として利用され、西側において合法的な指導者としての彼(アサド大統領)のイメージを改善することに資してしまう」と警鐘をならした。

共同声明を出したのは以下の団体:

東部ムジャーヒディーン・シューラー評議会

ムジャーヒディーン軍シャリーア委員会

イスラーム連合シャリーア委員会

アレッポ・シャリーア委員会

シリア・イスラーム教ウラマー総合委員会

地域中央シャリーア委員会

イスラーム戦線シャリーア評議会

イドリブ・イスラーム委員会

海岸イスラーム委員会

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との交戦の末、早朝にブーカマール市の大部分を制圧したと発表した。

ブーカマール市攻防戦では、ヌスラ戦線側の司令官2人を含む多数の戦闘員が死亡した。

また同市の複数の消息筋によると、ダーイシュはブーカマール市を完全制圧、早朝から戦闘は行われていないという。

一方、ARA News(7月1日付)によると、ブーカマール市でのダーイシュとヌスラ戦線らとの戦闘激化、シリア軍による空爆、ダーイシュの同市制圧を受け、住民約4,000人が市外に避難した。

ブーカマール市はヌスラ戦線などジハード主義武装集団のダイル・ザウル県における拠点と目されており、ダーイシュは同県を「ハイル州」と自称し、制圧をめざしている。

ブーカマール市を制圧したダーイシュはまた、ヌスラ戦線などとの交戦の末、キサール村も制圧し、同村の南部に位置するヌスラ戦線の拠点シュハイル市に進軍を続けたという。

さらにダーイシュは、ザッル村に進軍し、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

これを受け、シリア軍がダーイシュの拠点などを狙い、ブーカマール市各所に4度、ブサイラ市に2度、カスラー村に2度、県西部の製塩工場周辺を1度、空爆を行った。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方でダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団が未明に交戦し、後者の戦闘員2人が死亡した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するラッカ市各所およびその周辺をシリア軍が空爆した。

またARA News(7月1日付)によると、ラッカ市各所をシリア軍が空爆、また同市南部郊外にスカッド・ミサイルが着弾した。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、モスル市郊外の新市街で、武装した何者かがダーイシュを要撃し、アフガン人戦闘員ら3人を殺害した。

また、モスル市北部のモスル大学入口のダーイシュ(イスラーム国)の拠点をイラク軍戦闘機が空爆した。

**

バービル県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、イラク軍がジュルフ・サフル地方で特殊作戦を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所、車輌2台を破壊、戦闘員6人を殺害した。

**

マダー・プレス(7月1日付)は、内務省筋の話として、バグダード県北部のマシャーヒド地区で、イラク軍および義勇兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、義勇兵2人が死亡、5人が負傷、ダーイシュ戦闘員3人が負傷したと報じた。

ヨルダンの動き

ヨルダンのジハード主義潮流の理論家アブー・ムハンマド・マクディスィー氏(本名イサーム・バルカーウィー)は、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立について「きちんと目を通していない…。イラク・シャーム・イスラーム国を自称していた組織は私に危害を与えるものではないが…、時間を割いて批判するまでもなかろう…。時期尚早にことを急いだ者は、自らの禁忌を罰せられる」と消極的な姿勢を示した。

『ハヤート』(7月2日付)が伝えた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

クルド民族主義勢力の動き(2014年7月1日)

ARA News(7月1日付)は、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首がイラク・クルディスタン地域の独立を是非に関して、クルディスタンの複数のメディアに対し、「民族国家の時代は終わった」と述べたと報じた。

**

民主統一党幹部のフサイン・クージャル氏はフェイスブックで、イラク・クルディスタン地域の独立に反対の意思を表明した。

一方、民主統一党欧州広報委員会のイブラーヒーム・イブラーヒーム氏は、ARA News(7月1日付)に、イラク・クルディスタン地域の独立の是非に関して、「党ではなく個人の見解」だと前置きしたうえで、「南クルディスタン(イラク・クルディスタン)のクルド人民の意思、そして彼らが決めることを我々は支持する」と述べた。

**

イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領は、BBC(7月1日付)に対し、「イラクは現在、事実上分裂している」としたうえで、「クルディスタン独立の是非を問う国民投票を行う日にちを確定するため、クルディスタン地域議会と現在折衝中だ…。国民投票日の決定には数ヶ月を要しないだろう」と述べた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、BBC, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(旧イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月30日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言にもかかわらず、ブーカマール市でダーイシュとシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

また、ARA News(6月30日付)によると、ダーイシュがブーカマール市各所を迫撃砲で攻撃し、複数の市民が負傷した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アフタリーン市周辺、マスウーディーヤ村周辺、バールーザ村周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)が、クルド人戦線旅団やジハード主義武装集団と交戦した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マイダアー町にあるダーイシュ(イスラーム国)本部にイスラーム軍が突入、イスラーム軍戦闘員、広報関係者ら7人の遺体を発見した。

**

Reuters, June 30, 2014
Reuters, June 30, 2014

ロイター通信(6月30日付)などによると、ラッカ県ラッカ市では、29日のカリフ制樹立と、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のイスラーム・カリフ制樹立を祝うパレードがダーイシュ戦闘員らによって行われ、その写真がインターネット上に公開された。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、イラク軍がトゥーズ郡の複数の村にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員19人を殺傷した。

またイラク・クルディスタン地域ペシュメルガは、バシーラ村でダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員数十人を殺害したという。

**

アンバール県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、カーイム市、ルトバ市、アーナ市、ラーワ市、ウバイディー市一帯で、イラク軍がダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員7人を殺害、9人(いずれも外国人)を逮捕した。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、ティクリート市北部のスパイカー軍事基地近郊でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

レバノン国内の動き

バアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、29日のダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立に関して「全面的に支持する」としたうえで、カリフに就任したアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した。

諸外国の動き

ロシア外務省は、ロシア・イラク政府間の合意に従い、攻撃用戦闘機Su-25を5機の納品を完了したと発表した。

イタルタス通信(6月30日付)が伝えた。

**

ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、シリア政府の管理下にないシリア産の原油の輸出入が違法であることを改めて確認し、ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線によるシリア産石油の密売と取引を禁止する国連決議の採択を呼びかけた。

『ハヤート』(7月1日付)が伝えた。

AFP, June 30, 2014、AP, June 30, 2014、ARA News, June 30, 2014、Champress, June 30, 2014、al-Hayat, July 1, 2014、Itar-tass, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 30, 2014、al-Mada Press, June 30, 2014、Naharnet, June 30, 2014、NNA, June 30, 2014、Reuters, June 30, 2014、SANA, June 30, 2014、UPI, June 30, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月29日)

イスラーム・カリフ制樹立、イスラーム国建国

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官(元シャームの民のヌスラ戦線報道官)は音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=AycoYAdtmFs)を出し、「名望家、指導者、司令官からなるアフル・ハッル・ワ・アクドおよびシューラー評議会によって代表される国家(ダーイシュ)は、イスラーム・カリフ制樹立、ダーイシュの指導者アブー・バクル・バクダーディー氏のイスラーム教徒の国家のカリフへの就任と同氏への忠誠を決定し、同氏はこの忠誠を受け入れ、イスラーム教徒のイマーム、カリフとなった」と発表した。

またアドナーニー報道官は「イラクとシャーム」という名を廃し…、本声明よりイスラーム国家を名乗る」と付言、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)」という組織名を改め、「イスラーム国」を名乗ると発表した。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', June 29, 2014
Kull-na Shuraka’, June 29, 2014

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ハーフィル市およびバーブ市で、男性8人を「覚醒評議会」(反体制武装集団のこと)に所属していた罪で、広場で貼り付けにしたうえ、処刑した。

またスマート・ニュース(6月29日付)は、シャームの民の合同作戦司令室が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の県北部での攻勢がシリア軍によるマクバラ村とラフマーニーヤ村攻略を後押しする動きだと批判している、と報じた。

同報道によると、ヌスラ戦線などからなるシャームの民の合同作戦司令室は、29日にシリア軍との戦闘の末、ラフマーニーヤ村を奪還していた。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)本部一帯をシリア軍が3度にわたって空爆した。

これに対して、ダーイシュは第17師団基地を砲撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(6月29日付)によると、ラッカ市内のマカッス検問所で、ダーイシュが、男性11人を「民間人を徴兵し、国防隊に協力した」容疑で拘束した。

ARA News, June 29, 2014
ARA News, June 29, 2014

またARA News(6月29日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の女性部隊「ハンサー大隊」が、「組織の法に反した女性」の追跡を行い、少女1人を拘束した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハムーリーヤ市周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム軍(イスラーム戦線)が交戦した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ダマスカス郊外県でダーイシュとジハード主義武装集団が交戦するのはこれが初めてだという。

また両者の戦闘は、シリア軍が攻略を進めるムライハ市郊外でも発生したという。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が対立するブサイラ市(ダーイシュが制圧中)各所をシリア軍が空爆した。

シリア軍はまたダーイシュが占拠するカスラ村に対しても空爆を行った。

また、ARA News(6月29日付)によると、ブーカマール市で、ダーイシュとヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、4人が死亡した。

**

シリア人権監視団は、2014年1月3日以降のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団のシリア各地での戦闘による死者数が、5,641人に達したと発表した。

このうち605人が民間人の犠牲者、ダーイシュ戦闘員の死者が2,196人、それ以外の武装集団の死者が2,764人。

またダーイシュによる処刑者は68人、またダーイシュの本部などで発見された身元不明の遺体が76体にのぼるという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、イラク軍部隊がティクリート大学周辺地域からイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を掃討、同地を解放した。

これに対し、ダーイシュはイスハーキー地方で、サーマッラー市警察の高官の邸宅3件を爆破し、家族6人を拉致した。

またシャルカート郡北部では、軍の士官1人を含む軍・治安部隊隊員20人を拉致した。

**

キルクーク県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、キルクーク市南部のタマース地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク・クルディスタン地方ペシュメルガが交戦し、ダーイシュ戦闘員1人が死亡、双方に14人の負傷者が出た。

またバシーラ村のトルクメン人義勇兵数十人が、同村を占拠するダーイシュと交戦したが、10人がダーイシュによって殺害された。

**

バービル県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方での2日間にわたるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘で、ダーイシュ戦闘員70人を殺害した。

また治安部隊は、イスカンダリーヤ地方でダーイシュの車列を要撃し、車2台を破壊、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

**

イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、過去24時間でイラク軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員14人を殺害、車輌51台を破壊、また軍ヘリコプターによる攻撃が102回に及んだと発表した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月29日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関する捜査で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアブドゥッサラーム・ウルドゥンニーを名乗る活動家をレバノンのアミールに任命したとの情報を捜査当局が掴んだと報じた。

LBCIによると、捜査当局は、アブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)への取り調べにより、このウルドゥンニー氏が、レバノン人仲介者のマズハル・ハサン氏を教練し、彼を介して、シュナイフィー容疑者とドゥロイ・ホテルで自爆したアブドゥッラフマーン・フマイキー氏がトルコのイスタンブール経由で送り込まれたことが明らかになったという。

AFP, June 29, 2014、AP, June 29, 2014、ARA News, June 29, 2014、Champress, June 29, 2014、al-Hayat, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 29, 2014、LBCI, July 29, 2014、al-Mada Press, June 29, 2014、Naharnet, June 29, 2014、NNA, June 29, 2014、Reuters, June 29, 2014、SANA, June 29, 2014、SMART News, June 29, 2014、UPI, June 29, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月28日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団は、ダイル・ザウル県で戦闘を続けるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が「県内での停戦に向けた非公式交渉」を行っていると発表した。

しかし同監視団によると、シュアイタート地方からヌスラ戦線が拠点を置くブサイラ市郊外シュハイル村に、100台からなるダーイシュの車輌が入ったことを受け、シュアイタート地方で活動する武装集団は停戦を拒否する姿勢を示したという。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がブーカマール市に増援部隊を派遣、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

ヌスラ戦線らは、市内の複数カ所に検問所を設置し、外出禁止令を発し、ダーイシュに武器引き渡しと、市外への退去を要求しているという。

これに対し、ダーイシュはブサイラ市郊外のクーア・イタール地方を砲撃した。

またマヤーディーン市で未明に、大きな爆発が2回発生した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、シリア軍が、ダーイシュとヌスラ戦線などが争奪戦を続けるブサイラ市を空爆した。

この空爆において、シリア軍はダーイシュの本部などを攻撃したが、女性、子供を含む10人が負傷した。

シリア軍はまた、ハトラ村、マズルーム村に対しても同様の空爆を行った。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市郊外で、シリア軍と国防隊が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)および部族民兵と交戦し、5つの村を制圧した。

軍はまた同地一帯を砲撃し、ダーイシュ戦闘員11人が死傷、また戦闘でシリア軍側も6人が死傷した。

このほか、アブー・カサーイブ村とハッラーブ・アスカル村間で爆発が発生した。爆発の原因は不明。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市内の市場で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、数十人が死傷した。

この爆弾テロに関して、反体制活動家はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の犯行だと疑っているという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するバーブ市郊外のアアブド村をシリア軍が砲撃し、子供2人が死亡した。

またダーイシュが包囲するフライターン市周辺をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、アイン・アラブ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が地元名士らとの交渉の末、拘束していた学生15人を解放した。

このほか、シャフバー・プレス(6月28日付)は、フライターン市郊外のカースティールー街道検問所で2013年11月に拘束された反体制記者のムアイイド・サッルームがダーイシュによって処刑されたと報じた。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が包囲する第17師団基地周辺をシリア軍が空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、ダーイシュがラッカ市郊外のマアダーン地方で住民に対して、7歳から14歳の子供をラマダーン月の「イスラーム教教育」のためにキャンプに差し出すよう呼びかけた。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がモスル市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点複数カ所を5回にわたり空爆した。

**

ディヤラ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍によるマンスーリーヤ地方での掃討作戦で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とナクシュバンディー教団戦闘員40人が死亡し、車輌20台が破壊された。

一方、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方での戦闘では、イラク軍、部族民兵の兵士18人が死傷した。

**

バービル県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員37人が死傷した。

**

アンバール県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がファッルージャ市北部のハーミディーヤ地方にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点を攻撃市、ダーイシュ戦闘員6人を殲滅した。

**

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍部隊がティクリート市内に2方面から突入し、南部および西部の地区の一部を制圧した。

またサーマッラー市南西部のラッカ地方では、イラク軍とダーイシュが交戦し、ダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月28日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関連して逮捕されたアブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)が、レバノンの捜査当局の取り調べに対して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシリアやイラクで石油を密売し、テロ活動のための資金を得ていると証言した、と報じた。

AFP, June 28, 2014、AP, June 28, 2014、ARA News, June 28, 2014、Champress, June 28, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 28, 2014、LBCI, June 28, 2014、al-Mada Press, June 28, 2014、Naharnet, June 28, 2014、NNA, June 28, 2014、Reuters, June 28, 2014、SANA, June 28, 2014、Shahba Press, June 28, 2014、UPI, June 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.