モゲレーニEU外相は、アレッポ市東部に対する爆撃を続けるロシアへの制裁は行わないと述べる(2016年10月17日)

フェデリカ・モゲレーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、ルクセンブルグで記者団に対して、アレッポ市東部に対する空爆を続けるロシアに対して制裁を行う意思はないと述べた。

ロシア、そしてシリアへの追加制裁に関しては、16日にロンドンで開催された「シリアの友連絡グループ」外相級会合で協議され、英国とフランスが制裁を求めたが、決着を見なかった。

『ハヤート』(10月18日付)などが伝えた。


AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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シリアの諜報機関トップ、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長がエジプトを公式訪問(2016年10月17日)

アリー・マムルーク国民安全保障会議議長(シリアの諜報機関のトップ)がエジプトの首都カイロを公式訪問し、エジプトの国家安全保障機構のハーリド・ファウズィー副議長らエジプトの治安関係幹部と会談した。

会談では、シリアとエジプト両国の政治姿勢および「テロとの戦い」における連携強化が合意された。

SANA(10月17日付)が伝えた。

SANAは、マムルーク議長らシリア治安当局使節団の訪問が、エジプト政府の要請に基づくものだと伝えたが、『ハヤート』(10月18日付)がカイロの複数の消息筋から得た情報によると、訪問は、8日にロシアが提出したアレッポ市東部での停戦や人道支援物資搬入を定めた国連安保理決議案にエジプトが賛成票を投じたことへの謝意を示すためとして、シリア政府側が要請したのを受け、実現したという。

なお10月8日には、フランス・スペインの主導のもとに56カ国が共同提案した決議案も採決され、エジプトは賛成票を投じたが、いずれの決議も否決された。

同消息筋によると、マーリク議長とエジプト治安関係者との会談は、政治問題および安全保障問題の二つを問題について意見を交わし、政治問題をめぐっては、マーリク議長は、エジプト側に対して、アレッポ市からの「テロ組織」の排除に向けて、国連安保理などでの連携を継続することを要請するとともに、シリアを中東地域に拡散しようとしている「テロ」の脅威に対処すると位置づけ、支援するよう求めたという。

また安全保障問題に関しては、エジプト側がシリア国内で活動する「テロ組織」に参加しているエジプト人の個人情報の開示や身柄引き渡しをシリア側に要請、情報交換などでの協力を行うことで合意したという。

SANA, October 17, 2016
SANA, October 17, 2016

 

AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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ヒムス県東部でシリア軍がダーイシュ拠点を爆撃(2016年10月17日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がスフナ市、タドムル市郊外穀物サイロ地区一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

一方、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がシャーイル油田、フワイスィース村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

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スワイダー県では、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がマシュバク・ワドヤーン地区でダーイシュ(イスラーム国)のタンクローリーを攻撃、これを破壊した。


AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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ロシア軍は、アレッポ市東部からの戦闘員退去と住民避難のため20日に8時間の人道停戦を実施すると発表(2016年10月17日)

ロシア軍参謀本部機動総局のセルゲイ・ルドスコイ局長はモスクワで記者会見を開き、10月20日午前8時(現地時間)から16:00までの8時間、人道停戦を発効するとしたうえで、ロシア・シリア両軍はこの間、空爆を含む一切の攻撃を中止する、と発表した。

またルドスコイ局長は、この停戦期間中に、シリア軍の包囲下にあるアレッポ市東部と外界を結ぶ回廊を8カ所設置し、同地からイドリブ県方面への戦闘員の退去と同地からアレッポ市西部への民間人の避難を認めると付言した。

Euronews, October 17, 2016
Euronews, October 17, 2016

AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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トルコ軍と有志連合の支援を受ける反体制武装集団はアレッポ県におけるダーイシュ最後の拠点バーブ市解放に向けた作戦を開始(2016年10月17日)

アレッポ県北部でのダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局の排除を目的とする「ユーフラテスの盾」作戦に参加する反体制武装集団の一つスルターン・ムラード師団のアフマド・ウスマーン総司令官(大佐)は、SNN(10月17日付)に対して、17日早朝、アレッポ県におけるダーイシュの最後の拠点都市バーブ市解放に向けた作戦を開始したと発表した。

ウスマーン総司令官はまた、「レッドラインはない」と述べ、同作戦遂行に際して、シリア軍、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍との交戦も辞さないことを強調した。

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アレッポ県では、ARA News(10月17日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、トルコ軍と有志連合の援護を受ける反体制武装集団と交戦し、マーリア市郊外のグール村を制圧

AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、SNN, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合所属と思われる無人戦闘機がイドリブ県でシャーム・ファトフ戦線の司令官が乗った車を爆撃する一方、ロシア・シリア両軍はアレッポ市東部を激しく爆撃し、30人以上が死亡(2016年10月17日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(シリア軍かロシア軍かは判別不明)が反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)の支配下にあるアレッポ市東部のマルジャ地区を空爆し、子供9人を含む13人が死亡、数十人が負傷した。

民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット)は、この空爆がロシア軍によるものだと断じたうえで、一家14人全員が死亡したと発表した。

またこれに先だって、16日には、ロシア軍がカーティルジー地区を空爆し17人が死亡、16日の1日だけで30人以上が死亡したのだという。

一方、アレッポ市南西部の第1070集合住宅建設地区、ハーン・トゥーマーン村一帯では、シリア軍、親政権武装勢力が反体制武装集団(ファトフ軍)と交戦、シリア軍側がハーン・トゥーマーン村近郊の複数拠点を制圧した。

他方、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がアレッポ市南部のシャイフ・サイード地区、シャルファ地区、ウワイジャ地区で反体制武装集団(シャーム・ファトフ戦線やアレッポ・ファトフ軍作戦司令室)と交戦し、戦闘員49人を殲滅した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市ワーディー・ナスィーム地区シャーム・ファトフ戦線司令官が乗った車が、無人航空機の空爆を受け、乗っていた司令官が死亡した。

クッルナー・シュラカー(10月17日付)によると、空爆を行ったのは有志連合の無人戦闘機だと思われる。

また、ハーミディーヤ町にあるシャーム自由人イスラーム運動の拠点近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

SNN, October 17, 2016
SNN, October 17, 2016

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマアルダス村、イスカンダリーヤ村一帯で反体制武装集団(ファトフ軍)と交戦、反体制武装集団戦闘員10人が死亡した。

また戦闘機(所属明示せず)がラターミナ町一帯を空爆し、1人が死亡した。

一方、SANA(10月17日付)によると、シリア軍が県北部のタイバト・イマーム市、スーラーン市、ムーリク市南部、ラターミナ町でファトフ軍の拠点を空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がザーキヤ町を砲撃、戦闘機(所属明示せず)がハーン・シャイフ・パレスチナ難民キャンプ郊外の農場地帯を空爆した。

一方、SANA(10月17日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともにハーン・シャイフ・パレスチナ難民キャンプ郊外の農場地帯でシャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団に対して特殊作戦を敢行し、アブー・スィーヤ丘南東部の4つの建物群を制圧した。

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ダルアー県では、ARA News(10月17日付)によると、シリア軍がイブタア町に突入を試みた。

一方、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がダルアー市ビラール・ハバシー・モスク一帯、旧税関地区北東部、アルバイーン地区、タファス市でシャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ヒムス県では、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がラスタン市南部一帯でシャーム・ファトフ戦線の拠点を空爆した。

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ラタキア県では、SANA(10月17日付)によると、シリア軍がカッバーニー村一帯、カフルサンドゥー山行った、バアルバーヤー村一帯の反体制武装集団の拠点を空爆した。

AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は14~16日の3日間でシリア領内で26回の爆撃を実施(2016年10月17日)

米中央軍(CENTCOM)は、10月14~16日の3日間のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

10月14日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して18回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は7回で、ブーカマール市近郊(2回)、シャッダーディー市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、アイン・イーサー市近郊(1回)、マーリア市近郊(2回)、タドムル市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

10月15日はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して19回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は13回で、ブーカマール市近郊(1回)、ラッカ市近郊(4回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(3回)、タドムル市近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

10月16日はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は6回で、ブーカマール市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

AFP, October 17, 2016、AP, October 17, 2016、ARA News, October 17, 2016、Champress, October 17, 2016、al-Hayat, October 18, 2016、Iraqi News, October 17, 2016、Kull-na Shuraka’, October 17, 2016、al-Mada Press, October 17, 2016、Naharnet, October 17, 2016、NNA, October 17, 2016、Reuters, October 17, 2016、SANA, October 17, 2016、UPI, October 17, 2016などをもとに作成。

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ホワイト・ヘルメットとは何者か?

シリア:ホワイト・ヘルメットとは何者か?

2016年10月07日付 その他紙

■ホワイト・ヘルメット:疑惑に満ちた人道事業

【ベイルート:al-Safir*】

2016年のノーベル平和賞受賞者の氏名が今日発表されるノルウェーの首都オスローに注目が集まっている。ノーベル研究所発表によると、今年の受賞候補者は、376の個人・団体に達するが、有力な候補者のなかにあって、欧米諸国から異例とも言える支援を受けるシリアの団体の存在がとりわけ目立っている。「ホワイト・ヘルメット」、あるいは「シリア民間防衛隊」の名で知られる組織が、ローマ法王フランシスコ、アンゲラ・メルケル独首相、昨年欧州諸国の海岸に押し寄せた難民数十万人の救出や支援に貢献したギリシャの島々の住民と接戦を繰り広げているのだ。

受賞争いがヒートアップするなか、ノミネート数の多さがホワイト・ヘルメットにとって有利に働いている。彼らはまた、CNN、スカイ・ニュース、フォックス・ニュースといったテレビ・ネットワーク、『ワシントン・ポスト』、『ガーディアン』といった日刊紙など、米国や英国のさまざまなメディアで異例とも言える支持を受けてきた。さらに、ノミネートは、ホワイト・ヘルメットの隊員3人を題材としたドキュメンタリー・フィルムをネットフリックスが制作したのと時を同じくしている。このフィルムは現在、欧州諸国で公開されており、英王立国際問題研究所でも、募金活動の一環として上映会が開かれた。

■ホワイト・ヘルメットとは何者か?

ホワイト・ヘルメットは、アレッポ市民間防衛隊隊長のビーブルス・ミシュアル氏によると、「人命救助というスローガンを自らに課したチーム」だという。ミシュアル氏によると、「2011年のシリア革命開始を受けて登場した市民の(デモ)調整組織を母胎としている。これは(既存の)救援団体・組織が負傷者救出という任務を放棄したことを受けた動きで、2012年末に8県に約100のセンターを設置するかたちで成立した」という。また2013年には、アレッポ市内の複数の地区にセンターが設置されたという。

ホワイト・ヘルメットは約3,000人の「ボランティア」によって構成され、ラーイド・サーリフ氏がシリア国内の代表を務めている。彼らは声明で、シリア・ロシア両軍戦闘機の都市部に対する空爆による瓦礫のなかから5万1,000人以上を救出したと発表している。

■誰が背後にいるのか?

この組織の背景、財源について英国および米国の複数のインターネット・サイトが行ったの調査をまとめると、彼らは「欧米諸国政府が作り出し、一方で民間人救助のために活動する広告企業が売り込み、他方で米国のシリアへの軍事介入に向けたプロパガンダを拡散するのに貢献している」と言うことができる。

米国のオルターネットやカナダのグローバル・リサーチはホワイト・ヘルメットが米国の国際開発庁(USAID)、国務省、諜報機関、そして英国外務省の支援を受けて結成されたと述べている。また英国、日本、オランダがこのプロジェクトへの資金供与に貢献している。USAIDの文書によると、このプロジェクトに対して2,300万米ドルが拠出された。この額は、米国が「戦争地域の民生」を目的に行った支援のなかで最大規模だという。

個人単位で行われてきた国内での民間人の活動の取り組みをまとめ、「統合評議会」に統合する任務を負ったのが、2013年にトルコでホワイト・ヘルメットを結成した英国人のジェームズ・ルムジュリアー(James LeMesurier)氏だ。ルムジュリアー氏はサンドハースト王立陸軍士官学校を卒業し、コソヴォで北大西洋条約機構(NATO)の諜報調整官を務めた経歴の持ち主で、外交官として国連使節団で勤務した後、「民生組織」の教練分野で活動するようになった。英国、米国など多くの国から寄付金を得た彼のもとで、ボランティアの教練が開始された(米国務省はロジュムリアー氏の教練プロジェクトを支援するため、たびたび資金援助を行い、その額は一度に30万ドルに及ぶこともあった。加えて、USAIDもその後、2,300米ドルを供与した)。

■ホワイト・ヘルメットと「ヌスラ戦線」

ホワイト・ヘルメットを支援するメディアでのキャンペーンが行われるなか、世界中の複数のインターネット・サイトは、活動家レベル、そして政治志向やイデオロギー志向といったレベルでのホワイト・ヘルメットと「シャームの民のヌスラ戦線」(現「シャーム・ファトフ戦線」)の関係を監視してきた。英国のUKコラム・ニュースは、「ホワイト・ヘルメット:人道主義者か死刑執行人か?」と題した特集番組(https://youtu.be/IVVAmJ-NVN4)を放映した。この番組は、ホワイト・ヘルメットのボランティアたちが、ヌスラ戦線の犯罪を隠蔽するなどの非人道的行為に関わっていることを示す一連の証拠を紹介した。例えば、ホワイト・ヘルメットの一団がヌスラ戦線による民間人の処刑に立ち会い、処刑後に遺体を処分する様子を撮った映像は、インターネットで公開されては削除された。またこの特集番組では、多くのボランティアがヌスラ戦線に参加して戦闘するシーン、さらにはボランティアがヌスラ戦線のスローガンを連呼したり、ヌスラ戦線によって処刑されたシリア軍兵士の遺体の上でヌスラ戦線の旗を掲げたりしているシーンを撮った写真や映像が紹介された。

Youtube, August 19, 2016
Youtube, August 19, 2016
al-Akhbar, April 30, 2016
al-Akhbar, April 30, 2016
al-Akhbar, April 30, 2016
al-Akhbar, April 30, 2016

ヌスラ戦線とホワイト・ヘルメットは密接な関係にあるがゆえに、ロシア政府は9月19日にアレッポ市近郊で支援物資を積んだ車列に対する攻撃の責任がホワイト・ヘルメットにあると非難した。ロシアがシリア領内で軍事作戦を開始して以降、ホワイト・ヘルメットはシリア軍やロシアに対抗するための広告塔となり、そこでは、民間人への砲撃、即決処刑、遺体切断といった過激派の犯罪行為が指摘されることはなかった。

ホワイト・ヘルメットは、様々な方法を駆使してシリア軍やロシアに嫌疑をかけるために活動している疑いもある。複数の活動家によると、2015年9月にホワイト・ヘルメットのツイッター・アカウントで公開された負傷した女児の写真とそこに添えられていた「(この女児は)ロシア軍の空爆の犠牲者で、ヒムスでは民間人33人が死亡した」という書き込みは、その一例だという。しかし、その後、この写真は、ホワイト・ヘルメットが主張した「攻撃」発生の5日前に別の場所で撮影されていたことが判明した。

al-Akhbar, April 30, 2016
al-Akhbar, April 30, 2016

ホワイト・ヘルメットは、武装勢力、具体的にはヌスラ戦線の支配下にある地域で大衆基盤を持っている点を特徴としている。アレッポ市の住民の一人アブー・ムハンマド氏は『サフィール』紙に対して「ホワイト・ヘルメットは自発的に活動していると言ってよく、事件現場にすぐさま駆けつけてくれる」と述べたうえで、親類の一人がメンバーとして活動していることを明らかにした。

一方、ボランティアの一人は、匿名を条件に『サフィール』紙に対して、ホワイト・ヘルメットが国際社会や支援諸国と関係を築いていることは承知していないとしつつも、「昨年(2015年)になって外国の専門家がやって来た」と指摘、「彼らのもとで、メディアへの登場を想定した訓練が、救助活動の基礎的訓練とともに、我々に対して施された」と明かした。

ホワイト・ヘルメットのメンバーには、その活動のすべてを記録し、写真やビデオを撮影・制作するメディア・チームが同行している。彼らは世界中のメディアで写真やビデオを拡散することに大いに貢献し、きわめて多くのメディアで共感を得ることに成功した。また、さまざまな武装勢力が、ホワイト・ヘルメットが活動できるよう便宜を図っている。

「ホワイト・ヘルメット」は、ヌスラ戦線の本拠地であるイドリブ県であれ、現在、シリア内戦における最激戦地と目されているアレッポ市であれ、シリア北部で精力的に活動している。一部の消息筋は、ホワイト・ヘルメットの任務の一つが「テロ組織のもとで市民生活が営まれているというイメージを与えることで、テロ組織の犯罪を隠蔽するために活動している」と見ている。

ホワイト・ヘルメットが欧米諸国の庇護を受けるかたちで「人道的」な「売り込み」活動を行う一方で、多くの消息筋が、ホワイト・ヘルメットの活動と米諜報機関を結びつけている。一部では、ホワイト・ヘルメットが米諜報機関と過激派を強固に結びつける要素となっているとさえ見る向きもある。また、シリア国内でのホワイト・ヘルメットの活動を統括するラーイド・サーリフ代表が2015年5月に訪米した際、米政府が彼の入国を禁じたことに関して、ホワイト・ヘルメットとテロ組織の関係を示す証拠だと考える者もいる。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、その直後「テロとつながりがある者の入国阻止を目的として、諜報機関が作成したデータベースに、サーリフ氏の名前が記載されていたか否かは明らされてない」というコメントを掲載している。

*al-Safirは、al-Naharと並ぶレバノンの大手日刊紙。2005年の「杉の木革命」まではシリア政府に批判的だったが、2006年のレバノン紛争以降はシリア政府寄りの論調が目立つようになっている。

この記事の原文はこちら

(翻訳者:メディア翻訳アラビア語班)

この論考は東京外国語大学が運営する「日本語で読む世界のメディア」(TUFS Media)の翻訳記事(記事ID:41425)をそのまま転載しました。