ヒムス市を含む各地で軍・治安部隊による掃討作戦が続くなか、米国務長官が「シリアの友連絡グループ会合にシリア国民評議会が参加すること」が参加各国のコンセンサスだと述べる(2012年2月23日)

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国内の暴力

2月22日にヒムス市の反体制勢力の「プレス・センター」に対する軍・治安部隊の攻撃で負傷した記者の一人、エディット・ブヴィエ女史(フランス人)はインターネットを通じてビデオを配信し、自身が「大腿骨を骨折しており…、早急に手術を受ける必要がある」と述べ、即時の停戦と自身のレバノンへの搬出を求めた。

http://www.youtube.com/watch?v=eS9PkoNJSlU&feature=related

ブヴィエール女史は『ル・フィガロ』紙の現地ルポ執筆のため、違法にシリアに密入国していた、という。

22日の攻撃で負傷した記者はブヴィエール女史のほか、英国人カメラマンのポール・コンロイ氏、ウィリアム・ダニエル氏の2名がいる。

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア軍に発砲停止と人道支援の受け入れ許可を早急に行うよう「命令した」と述べた。

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ヒムス県では、ヒムス市各地区で軍・治安部隊による掃討作戦が続いた。

アブドゥッラー・ハーディーを名のる活動家によると「爆発がヒムス全土を震撼させている」という。

またウマル・シャーキルを名のる活動家によると「住民は爆撃ではなく、飢えと渇きで死ぬかもしれない」と現地の惨状を伝えるとともに、「活動家たちとの連絡が途絶えており、彼らとはスカイプでも衛星電話でも連絡がとれない」と述べた。

国際人権団体Avaazによると、医療活動などを行っていたシリア人ボランティア活動家ら7人が「粛清に遭い」、2人(うち1人は外国人)が依然として行方不明だという。

一方、SANA(2月23日付)によると、武装テロ集団がヒムス市アルメニア地区でムハンマド・リヤード・ダルウィーシュさん一家(6人)を惨殺した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、スカイラビーヤ市・ムハルダ市間で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士8人が殺害された。

またカフル・トゥーン町では、14人(うち13人が一家族)の民間人が治安部隊に殺害された、という。

一方、SANA(2月23日付)によると、ムハルダ市で武装テロ集団の発砲により治安維持部隊兵士2人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市、ジスル・シュグール市で市民2人が殺害されたほか、反体制武装集団がしかけた爆弾の爆発で、治安部隊兵士3人が殺害された。

一方、SANA(2月23日付)によると、ジスル・シュグール地方の対トルコ国境沿いで、トルコ領内から武器を密輸しようとした武装テロ集団と交戦し、多数を死傷させ、その侵入を阻止した。

またイドリブ市では、武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安部隊兵士3人が殺害され、マアッラト・ニウマーン市では武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、前者のメンバー2人が殺害された、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊が民間人7人を殺害した。

また軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士5人が殺害された、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学理学部前で学生約2,000人が反体制デモを行ったが、治安部隊が催涙ガス、実弾を用いて強制排除、12人の学生を逮捕した。

またマンナグ村で8歳の子供が殺害された、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月23日付)によると、ハラスター市で武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、前者のメンバー多数が死傷した。

また治安維持部隊がカーラ市、サクバー市、ハムーリーヤ市などで、武装テロ集団の拠点を発見し、大量の武器弾薬などを押収した、という。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(2月23日付)によると、マッザ・バサーティーン地区に多数の治安部隊が展開し、若者100人以上を逮捕した。

また『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、マッザ86地区で、治安部隊がシャッビーハ1人を殺害した。

殺害されたシャッビーハは軍・治安部隊が設置した検問所で車を停車させなかったため、射殺されたという。

一方、『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、空軍情報部がハール市場で市民数十人を逮捕した。

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シリア人権監視団によると、各地での死者は、約70人に及んだという。

アサド政権の動き

「アフバール・シャルク」(2月23日付)は、西側外交筋の話として、西側諸国の経済制裁でシリアの外貨準備高が「あと3ヵ月から5ヵ月」で底をつくだろう、と報じた。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行う、国民的諸勢力祖国連立は声明を出し、新憲法の国民投票を「国民殺戮のための時間稼ぎ」と非難し、投票をボイコットすると発表した。

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シリア国民評議会運営委員会のハイサム・マーリフ弁護士は、『ハヤート』(2月24日付)に対して、同評議会を「シリア革命の政治的傘下組織として承認する」ようシリアの友連絡グループに対して求める、との意思を明示した。

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「アフバール・シャルク」(2月23日付)は、シリア当局が反体制運動弾圧を非難する説教を行ったシャイフ、アブドゥッラフマーン・クーキー師を軟禁したと報じた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『ナハール』(2月23日付)に対して、「アサド政権がヒムス市を破壊するのを西側諸国は待っているかのようだ」と述べた。

ジュンブラート党首は、国連安保理でのロシア、中国の対シリア決議への拒否権発動に関して「西側が無力であることのアリバイのようなものだ…。我々は少なくとも停戦を実現し、ヒムスとシリア国民を救うことができるのを知っている」と述べた。

諸外国の動き

複数の外交筋によると、シリアへの内政干渉と不安定化を目的とするシリアの友連絡グループ会合は西側諸国、アラブ諸国など約70カ国が参加し、閉幕声明(案)では、アサド政権の「人道に対する罪」非難、「シリア危機の非軍事的な平和的解決」、アラブ連盟外相会議の行程表への支持、連盟監視団の再派遣、「シリア国民の正当な代表としてのシリア国民評議会の承認、「平和的反体制勢力の支持」、反体制勢力への「移行期間における統一的文書および調整のしくみの構築」の呼びかけ、などを宣言する、という。

なお、ロシアと中国は会合をボイコットする。

AFP(2月23日付)は、西側外交筋が、フランスが提案している人道回廊構想に関して、「政権の実質的協力がない場合、軍事力に訴えなければ実行は困難だ」と考えていると報じた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先のロンドンで、シリアの友連絡グループ会合に関して、シリア国民評議会の参加が参加各国のコンセンサスだと述べるとともに、アサド政権による弾圧を「卑劣で許せない」と批判した。

ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、シリアの友連絡グループ会合に関して、アサド政権を孤立させ、平和的な体制転換を実現することが目的だと述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、ロシアと中国がシリアへの外国の介入を拒否し、アサド政権と反体制勢力の対話を支援するとの姿勢を改めて表明した。

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国連人権理事会の国際独立調査委員会は、シリア首脳の承知のもとに人道に対する罪が行われていることを指摘した報告書を理事会に提出し、同犯罪に関与した容疑者(首脳ら)の氏名を示した「極秘リスト」の作成と人権高等弁務官への提出を準備している、と発表した。

同報告書は2011年11月以降に委員会が関係者ら136人に対して行った面談などをもとに作成されたもので、「信頼に値できる消息筋」から得た情報をもとに、2011年3月以降の死者数を8,079人に達したとしている。

その一方同委員会は、自由シリア軍も、アサド政権と比べると程度は低いもの、人道に対する犯罪を犯していることへの懸念を表明した。

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トルコの野党共和人民党のケマル・クルチュダロール党首は、『ヒュッリイェト・デイリー・ニュース』(2月23日付)に対して、「トルコは、イスタンブールでシリアの反体制勢力、アサド政権の代表、ロシア、イランの会合を主催することで大きな進展を実現できたはずだ」と述べ、西側諸国に追随してアサド政権との関係を絶ったレジェップ・タイイップ・エルドアン首相の政策を批判した。

クルチュダロール党首はまた、「シリアへの干渉がシリアだけでなく、トルコをも震撼させ、中東の危機的混乱を招く」と警鐘をならした。

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ファルス通信(2月23日付)によると、イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師は、シリア情勢への西側諸国などの介入に関して、「イスラームの覚醒とシオニストに対抗する体制への復讐だ」と述べた。

アリー・アクバル・ヴェラーヤティー元外務大臣が明らかにした。

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『ナハール』(2月23日付)は、英仏がヒムス市で22日に負傷した記者・カメラマンのレバノンを出国させるため、レバノンの赤十字を通じて水面下の調整を行っている、と報じた。

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国連の潘基文事務総長とアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はコフィ・アナン前事務総長をシリア危機担当合同特使に任命した。

AFP, February 23, 2012、Akhbar al-Sharq, February 23, 2012、Facebook, February 23, 2012、al-Hayat, February 24, 2012、Kull-na Shuraka’, February 23, 2012, February 24、2012、al-Nahar, February 23, 2012、Naharnet.com, February 23, 2012、SANA, February 23,
2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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