アル=カーイダ系のシャーム解放機構と「自由シリア軍」諸派はダマスカス郊外県北西のバイト・ジン村一帯からの退去に向けシリア軍と取引(2017年12月27日)

ダマスカス郊外県南西部のバイト・ジン村一帯でシャーム解放機構とともに活動を続けるシャイフ山作戦司令室(シャイフ山部隊連合)のアブー・ヤマーン・ディマシュキーを名のる報道官は、ドゥラル・シャーミーヤ(12月27日付)に対して、同地の戦闘員をダルアー県に退去させるための交渉をシリア政府と行っていることを明らかにした。

これに関して、『ハヤート』(12月28日付)は、シャーム解放機構の戦闘員のイドリブ県への退去と「自由シリア軍」諸派のダルアー市への退去に向け、反体制武装集団とシリア軍の「取引」が行われようとしていると伝えた。

アフバール・クナイトラ(12月27日付)によると、シリア人権監視団が言うところの「バイト・ジン合意」は、一部武装集団の停戦違反により履行が延期されており、親政権の複数のサイトによると、武装集団は退去希望者と残留希望者のリストの提出をいまだ行っていないという。

また、戦闘員を搬送する予定の旅客バスは27日に同地に入る予定だったが見送られたという。

こうしたなか、「自由シリ軍」のイブラーヒーム・ジャッバーウィーを名のる司令官によると、シリア軍は72時間以内に投降するよう反体制武装集団に最期通告を発した。

syria.liveuamap.com, December 27, 2017

バイト・ジン村、マガル・ミール村一帯の地域は、イスラエル占領化のゴラン高原とクナイトラ県ハドル村、バアス市一帯のシリア政府支配地域によって、ダルアー県一帯の反体制派支配地域と隔てられ、事実上孤立している。

なお、シリア軍による同地制圧により、シャイフ山北部のシリア・レバノン国境地帯がシリア政府、およびレバノンのヒズブッラーの支配下に入ることをイスラエルは懸念しているという。

AFP, December 27, 2017、Akhbar al-Qunaytra, December 27, 2017、ANHA, December 27, 2017、AP, December 27, 2017、ARA News, December 27, 2017、Champress, December 27, 2017、al-Durar al-Shamiya, December 27, 2017、al-Hayat, December 28, 2017、al-Mada Press, December 27, 2017、Naharnet, December 27, 2017、NNA, December 27, 2017、Reuters, December 27, 2017、SANA, December 27, 2017、UPI, December 27, 2017などをもとに作成。

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