国連安保理決議第2401号採択にもかかわらず、東グータ地方で戦闘激化、ダルアー県にも戦火は飛び火(2018年2月25日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月25日付)によると、シリア解放戦線(シャーム自由人イスラーム運動)、ラフマーン軍団、シャーム解放機構などからなる「彼らが不正を働いた」作戦司令室が、ハラスター市近郊のダマスカス・ヒムス街道(国際幹線道路)一帯に進攻したシリア軍と交戦した。

「彼らが不正を働いた」作戦司令室によると、この戦闘でシリア軍兵士20人を殺害、20人以上を負傷させた。

また、イスラーム軍も東グータ地方のズライキーヤ村、ハズラマー村、フーシュ・ダワーヒラ村、リーハーン農場一帯でシリア軍と交戦した。

イスラーム軍のハムザ・ビークダール報道官によると、この戦闘でシリア軍兵士25人以上を殲滅したという(シリア人権監視団によると、シリア軍・親政権民兵側に13人、イスラーム軍側に6人の死者が出たという)。

シリア人権監視団によると、25日の戦闘で双方に19人の死者が出たという。

ドゥラル・シャーミーヤ(2月25日付)が複数の活動家の話として伝えたところによると、ロシア・シリア軍による東グータ地方への爆撃・砲撃が続き、フーシュ・ダワーヒラ村で7人、ドゥーマ市で3人、ナシャービーヤ町で3人、サクバー市で2人、フーシュ・サーリヒーヤ町で2人、ミスラーバー市で2人、ハムーリーヤ市で1人、マディーラーで1人、ウーターヤーで1人、シャイフーニーヤで1人、バイト・サワーで1人、合計27人が死亡した(シリア人権監視団によると、ロシア・シリア両軍の爆撃・砲撃での死者数は26人)。

al-Durar al-Shamiya, February 25, 2018

一方、SANA(2月25日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団(シャーム・ファトフ戦線)が撃った迫撃砲弾16発がハラスター市郊外のダーヒヤト・アサド町に着弾した。

なお、シリア人権監視団によると、18日以降のロシア・シリア両軍の爆撃・砲撃による民間人死者数は527人、うち129人が子供だという。

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ダマスカス県では、SANA(2月25日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団が撃った迫撃砲弾5発がバーブ・トゥーマ地区に着弾し、住民1人が負傷した。

このほか、SANAによると、シリア軍はジャウバル地区で、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団に違法に供与されようとしていた大量のイスラエル製の武器弾薬を押収した。

SANA, February 25, 2018

 

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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月25日付)によると、ウマリー旅団連合の特攻自爆戦闘員(インギマースィー)複数人がイズラア市近郊のシリア軍第12旅団基地近くのシリア軍陣地に対して特攻攻撃を行い、シリア軍兵士多数を殲滅した。

これを受けシリア軍は、反体制武装集団が活動を続けるラジャート拘置一帯の砲撃、反体制武装集団も第12旅団基地、第175連隊基地一帯のシリア軍拠点に対して応戦した。

また、スンナ青年師団と革命軍がヒルバト・ガザーラ町近郊の発電所一帯のシリア軍拠点を攻撃した。

シリア軍はこれらの攻撃に対抗して、ダルアー市各所、ムサイカ村、ガラズ刑務所一帯を砲撃した。

一方、SANA(2月25日付)によると、シャーム・ファトフ戦線がダルアー市マハッタ地区、北部一帯、イズラア市を砲撃し、女性2人が負傷した。

al-Durar al-Shamiya, February 25, 2018

AFP, February 25, 2018、ANHA, February 25, 2018、AP, February 25, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 25, 2018、al-Hayat, February 26, 2018、Reuters, February 25, 2018、SANA, February 25, 2018、UPI, February 25, 2018などをもとに作成。

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