シリア政府はダーイシュの支配下にあったヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ハジャル・アスワド市を解放し、首都ダマスカスおよびダマスカス郊外県全域を制圧(2018年5月21日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月21日付)が複数の地元消息筋の話として伝えたによると、ハジャル・アスワド市、ダマスカス県ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、タダームン区で活動を続けてきたダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員とその家族が、シリア政府によって用意された大型バスに分乗して、ヒムス県とダイル・ザウル県の砂漠地帯でダーイシュが温存する支配地域に向けて退去した。

シリア人権監視団によると、21日に大型バス複数台が首都ダマスカス南部からシリア東部のダーイシュ支配地域に向かったという。

SANA(5月21日付)は、軍消息筋の話として、「20日晩に人道的理由により、一時停戦が行われ、女性、子供、老人のハジャル・アスワド市からの退去が行われた」と伝えた。

同消息筋によると「一時停戦は今日(21日)正午に終わり、シリア軍はダーイシュ(イスラーム国)に対する作戦を直ちに再開した」という。

なお、ANHA(5月21日付)によると、戦闘員退去はロシアの仲介によるという。

SANA, May 21, 2018

SANA, May 21, 2018

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一方、シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市とダマスカス県ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプでダーイシュ(イスラーム国)の掃討を完了、ダマスカス郊外県東西グータ地方全域からテロ組織を完全に浄化し、首都ダマスカスとダマスカス郊外県が安全地域となったと宣言した。

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UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)は声明を出し、シリア政府によって解放されたヤルムーク・パレスチナ難民キャンプおよび隣接する地域への人道支援を行う用意があると表明した。

AFP, May 21, 2018、ANHA, May 21, 2018、AP, May 21, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 21, 2018、al-Hayat, May 22, 2018、Reuters, May 21, 2018、SANA, May 21, 2018、UPI, May 21, 2018などをもとに作成。

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