シリア軍はダルアー県東部でシャーム解放機構やダーイシュから130平方キロメートルの地域を奪還、ブスル・ハリール市への攻勢を強める(2018年6月25日)

SANA(6月25日付)は、シリア軍がダルアー県東部(およびスワイダー県西部)でのシャーム解放機構などからなる反体制武装集団およびダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦で、130平方キロメートルの地域を制圧し、治安と安定を回復したと伝えた。

シリア軍が制圧したのは、サーキラ(シーキラト・ブラーク)村、フーシュ・ハマード村、タッフ村、ハマーン村、ヒルバト・ハマーン村、ムジャッディダ村、マドゥーラ村、アラーリー村、シヤーフ・ガルビー村、シヤーフ・シャルキー村、ジャドル村、スール村、マタッラ村、シューマラ村、ブスターン村、ダイル・ダーマー村、そしてラジャート高原の複数村落。

SANA, June 25, 2018

また、シリア軍消息筋は、SANA(6月25日付)に対する声明で、シリア南部で「シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)が犯罪を犯し、住民を恐怖に晒し、シリア軍への攻撃を続けている」と非難、「こうした異常事態が続き、市民の苦難が続いていることを踏まえ…、市民を保護し、ヌスラ戦線に断固たる決意をもって対抗する」と表明した。

一方、南部中央作戦司令室によると、ロシア軍がブスル・ハリール市東部一帯を激しく爆撃するなか、反体制武装集団が同地でシリア軍、親政権民兵と交戦し、スハイル・ハサン准将の部隊を支援する民兵組織の司令官ハイサム・アフマド・アッブード大佐を殺害した。

反体制武装集団はまた、ダルアー市工業地区にあるシリア軍と親政権民兵の拠点を砲撃したという。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月25日付)によると、フラーク市、ブスル・ハリール市、ナーフタ町などに対して、25日晩までに戦闘機(所属明示せず)による爆撃が120回以上行われ、「樽爆弾」100発以上が投下されているという。

また、シリア人権監視団などによると、ブスル・ハリール市などに地対地ミサイル65発、「樽爆弾」12発が撃ち込まれたという。

なお、シリア人権監視団によると、戦闘が激化した約1週間から、少なくとも住民28人が死亡したという。

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スワイダー県では、SANA(6月25日付)によると、ダルアー県東部で活動を続けるシャーム解放機構などからなる反体制武装集団がスワイダー市(ナフダ地区、県立競技場一帯)、イラー村、ムジャイミル村を砲撃し、1人が死亡、7人が負傷した。

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クナイトラ県では、SANA(6月25日付)によると、シャーム解放機構がハドル村の植林に放火した。

AFP, June 25, 2018、ANHA, June 25, 2018、AP, June 25, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 25, 2018、al-Hayat, June 26, 2018、Reuters, June 25, 2018、SANA, June 25, 2018、UPI, June 25, 2018などをもとに作成。

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