シリア・ロシア軍の爆撃によりイドリブ県とハマー県で民間人16人が死亡(2019年7月13日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから73日目となる7月13日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より30人(民間人16人、シリア軍兵士4人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて2,468人となった。

うち、645人が民間人(女性131人、子供168人を含む)、878人がシリア軍兵士、945人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は62回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」12発を投下、ロシア軍も15回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は360発におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市、カファルヤー町、バーブーリーン村南、ハーミディーヤ村、ハーン・スブル村、マアッラト・ハルマ村、カフル・ウワイド村、カフルルーマー村、ルブア・ジャウル村、ハザーリーン村、トゥラムラー村に対して爆撃を実施するとともにした。

ロシア軍もバスィーダー村、カフルルーマー村、ハーン・シャイフーン市を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(7月13日付)によると、シリア軍の爆撃によりカファルヤー町で民間人3人が死亡した。

一方、SANA(7月13日付)によると、シリア軍がカフルルーマー村、ハーッス村、カファルヤー町、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ハルマ村にあるシャーム解放機構など反体制武装集団の拠点を重点的に攻撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でザカート村、ラターミナ町、ムーリク市、カフルズィーター市、サルマーニーヤ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県北部および北東部の戦闘地帯を砲撃した。

ロシア軍もラターミナ町、カフルズィーター市を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(7月13日付)によると、ロシア軍戦闘機の爆撃でラターミナ町では子供4人を含む民間人8人が死亡した。

一方、SANA(7月13日付)によると、シリア軍がカフル・フード村の養畜所方面に潜入しようとしたシャーム解放機構を撃退した。

他方、ドゥラル・シャーミーヤ(7月13日付)によると、シャーム解放機構、国民解放戦線、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室が、フワイズ村の前線にあるシリア軍および親政権民兵の拠点を攻撃し、兵士3人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でICARDA地区に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県南部の戦闘地帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(アレッポ県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(アレッポ県3件、イドリブ県2件、ハマー県3件)確認した。

AFP, July 13, 2019、ANHA, July 13, 2019、AP, July 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 13, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 13, 2019、Reuters, July 13, 2019、SANA, July 13, 2019、SOHR, July 13, 2019、UPI, July 13, 2019などをもとに作成。

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