アスタナ13会議を翌日に控え、シリア・ロシア軍はイドリブ県、ハマー県への砲撃を続ける一方、シリア軍と反体制派が激しく交戦、市民9人を含む55人が死亡(2019年8月1日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから92日目となる8月1日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より55人(民間人9人(うち女性2人、子供4人)、シリア軍兵士25人減少!、反体制武装集団戦闘員31人)増えて2,195人となった。

うち、864人が民間人(女性160人、子供215人を含む)、982人がシリア軍兵士、1,069人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は72回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」53発を投下、ロシア軍も25回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は620発におよんだ。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市、カフルナブル市、マアッラト・ヌウマーン市に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がジルス・シュグール市を砲撃し、女児2人が死亡した。

ロシア軍もハーン・シャイフーン市、バスィーダー村を爆撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(8月1日付)によると、ロシア軍特殊部隊がマアッラト・ヌウマーン市近郊のスィンジャール町一帯に潜入しようとしたが、シャーム解放機構、国民解放戦線、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室がこれを撃破した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でムーリク市、カフルズィーター市、ラターミナ町、ラトミーン村、ザカート村、アルバイーン村、ハスラーヤー村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでムーリク市、カフルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村、アルバイーン村、ラトミーン村、ハスラーヤー村一帯に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県北部と北西部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市、ラターミナ町を爆撃した。

この戦闘により、シリア軍はハスラーヤー村を制圧した。

クッルナー・シュラカー(8月1日付)によると、ラトミーン村に対するシリア軍の爆撃で市民1人が死亡した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下した。

ロシア軍もカッバーナ村一帯を爆撃した。

一方、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(8月1日付)によると、シャーム解放機構がクバイナ丘一帯でシリア軍の進軍を阻止し、兵士18人を殺害した。

AFP, August 1, 2019、ANHA, August 1, 2019、AP, August 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 1, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 1, 2019、Reuters, August 1, 2019、SANA, August 1, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, August 1, 2019、SOHR, August 1, 2019、UPI, August 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.