停戦合意の発効を受け、シリア・ロシア軍は爆撃を停止するも、ハマー県、イドリブ県で散発的戦闘が発生(2019年8月2日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから93日目となる8月2日、シリア軍とシリア軍事革命諸勢力代表団(アスタナ会議に参加する反体制派の代表団)の停戦がロシア・トルコの仲介により発効したことを受け、シリア・ロシア軍は爆撃を停止したが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の戦闘は続き、双方が撃った砲撃は410発におよんだ。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より1人(民間人1人、シリア軍兵士は0人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて2,196人となった。

うち、856人が民間人(女性160人、子供215人を含む)、982人がシリア軍兵士、1,069人が反体制武装集団戦闘員。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルズィーター市、ザカート村、ラハーヤー村、アルバイーン村、ラターミナ町、ラトミーン村、シャリカ村を砲撃した。

これに対して反体制武装集団はジューリーン村、タッル・フワーシュ村、フワイズ村、カルカート村を砲撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月2日付)は、シリア軍が停戦合意に違反し、ラトミーン村、ザカート村、アルバイーン村、ザイズーン村、カフルズィーター市を砲撃し、市民1人が負傷したと伝えた。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がシャッアーラ村、ムシャイリファ村、ハーン・シャイフーン市、カッサービーヤ村、フバイト村を砲撃、イウジャーズ村、ムシャイリファ村一帯で反体制武装集団と交戦した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月2日付)は、シリア軍が停戦合意に違反し、ビダーマー町を砲撃したが、これに対してシャーム解放機構は応戦しなかったと伝えた。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 2, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.