シリア・ロシア軍がハマー県北部、イドリブ県南部を激しく爆撃・砲撃するも、民間人死者は出ず(2019年8月9日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから100日目を迎えた8月9日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は75回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」80発を投下、ロシア軍も38回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は820発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より40人(民間人0人、シリア軍兵士16人、反体制武装集団戦闘員24人)増えて3,047人となった。

うち、887人が民間人(女性161人、子供218人を含む)、1,024人がシリア軍兵士、1,136人が反体制武装集団戦闘員。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でサイヤード村、カフルズィター市、ラターミナ町、ラトミーン村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルズィター市、ラターミナ町に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県北部および北西部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市を爆撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月9日付)によると、トルコの支援を受ける国民解放戦線がザルズール村一帯に進攻したシリア軍を撃退した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市、フバイト村、タッルアース村、カフル・アイン村、マアッラト・ハルマ村、タマーニア町一帯、マダーヤー村、ラカーヤー村、スカイク村、カフルサジュナ村、フワイン村、ザルズール村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハーン・シャイフーン市、タッル・アース村、フバイト村、マダーヤー村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もタマーニア町、ハーン・シャイフーン市、カフルサジュナ村、フバイト村一帯、フワイン村一帯を爆撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月9日付)によると、トルコの支援を受ける国民解放戦線がアブー・ダーリー村、シャンム・ハワー村にあるシリア軍拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、SANA(8月9日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がアレッポ市イザーア地区、ハーリディーヤ地区、ムーカムブー地区、アレッポ大学キャンパス近くを砲撃し、女児1人を含む住民6人が負傷した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でバウワービーヤ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

ロシア軍がカッバーナ村一帯を爆撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月9日付)によると、トルコの支援を受ける国民解放戦線がクルド山のラシュー丘にあるシリア軍拠点複数カ所を攻撃し、兵士10人を殺害した。

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スワイダー県では、スワイダー24(8月9日付)によると、サルハド市にある政治治安部の詰め所に何者かが手榴弾を投げ込み、その直後、同地で激しい戦闘が起きた。

AFP, August 9, 2019、ANHA, August 9, 2019、AP, August 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 9, 2019、Reuters, August 9, 2019、SANA, August 9, 2019、SOHR, August 9, 2019、Suwayda 24, August 9, 2019、UPI, August 9, 2019などをもとに作成。

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