シリア軍ヘリコプターがアル=カーイダ系組織の支配下にあるラタキア県北東部に対する「樽爆弾」での爆撃を再開するも、死傷者はなし(2019年9月18日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから18日目(爆撃を激化させてから139日目)を迎えた9月18日、シリア軍ヘリコプターが「樽爆弾」による爆撃を再開した。

また、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘も続き、シリア軍が反体制派拠点に対して325回以上の砲撃を行った。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,144人だった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,407人、反体制武装集団戦闘員1,673人。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプター2機が、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構や同組織が主導する「必勝」作戦司令室の支配下にあるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

クッルナー・シュラカー(9月18日付)によると、爆撃はクバイナ丘一帯に対して行われたが、死傷者はなかった。


シリア人権監視団によると、シリア軍はまた、地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がヒーシュ村、カフルサジュナ村、シャイフ・ムスタファー村、ビダーマー町、ナージヤ村、マアッラト・ハルマ村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を37件(イドリブ県15件、アレッポ県13件、ラタキア県13件、ハマー県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を44件(イドリブ県20件、ラタキア県11件、ハマー県11件、アレッポ県2件)確認した。

AFP, September 18, 2019、ANHA, September 18, 2019、AP, September 18, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 18, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 18, 2019、Reuters, September 18, 2019、SANA, September 18, 2019、SOHR, September 18, 2019、UPI, September 18, 2019などをもとに作成。

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