シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから22日目(爆撃を激化させてから143日目)を迎えた9月22日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。
シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より2人?(民間人0人、シリア軍兵士1人?、反体制武装集団戦闘員0人)多い4,147人となった。
内訳は、民間人1,065人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,409人、反体制武装集団戦闘員1,673人。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフル・ウワイド村、カフルサジュナ村、マアッルズィーター村、ハーッス村、マアッラト・ハルマ村、ラカーヤー村、アブー・ズフール町一帯を砲撃した。
これに対して、反体制武装集団はマダーヤー村一帯のシリア軍拠点を砲撃した。
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アレッポ県では、ANHA(9月22日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市ラーシディーン地区、ライラムーン地区、サビール地区、ラームーサ地区、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、カフルハムラ村を砲撃した。
シリア軍がサビール地区に部隊を派遣し、イドリブ県のカフル・ウワイド村への砲撃を開始したのを受けた反撃だという。
一方、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルハムラ村を砲撃した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がフワイズ村を砲撃した。
これに対して、反体制武装集団はカルカート村一帯でシリア軍士官(少尉)1人を狙撃し、殺害した。
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スワイダー県では、HFL(9月22日付)によると、ダーラ村とサカーカー村を結ぶ街道に仕掛けられていた爆弾が爆発し、第52機械化旅団の車輌が巻き込まれ、複数の兵士が死傷した。
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ダルアー県では、HFL(9月23日付)によると、ブスル・ハリール市とイズラア市を結ぶ街道では、第5師団所属の大佐が乗った車が即席爆弾の爆発に巻き込まれ、この大佐を含む2人が負傷した。
AFP, September 22, 2019、ANHA, September 22, 2019、AP, September 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 22, 2019、HFL, September 22, 2019、September 23, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 22, 2019、Reuters, September 22, 2019、SANA, September 22, 2019、SOHR, September 22, 2019、UPI, September 22, 2019などをもとに作成。
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