アスタナ22会議は、イスラエルのシリア攻撃、米国による石油資源盗奪を非難、「テロとの戦い」継続、分離主義的アジェンダを拒否、レバノンからの避難民支援を訴えて閉幕(2024年11月12日)

カザフスタンの首都アスタナで11日開幕したアスタナ22会議は、閉幕声明を採択し、閉会となった。

閉幕声明では、イスラエルがシリアに対して繰り返す攻撃を国際法、国際人道法違反、主権と領土の一体性への侵害だとしたうえで、地域の安定を揺るがし、緊張を高めるものだと非難した。

また、米国によるシリアの石油資源の盗奪と、欧米諸国の一方的な制裁がシリア情勢に悪影響を与えると非難、石油資源はシリア国民の財産であるべき、と主張した。

一方、イスラエルのレバノン攻撃激化に伴いレバノンからの避難民の流入については、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)をはじめとする国連各機関や人道支援組織に対して支援を行うよう呼びかけた。

保証国であるロシア、トルコ、イランは、さらに「テロとの戦い」への取り組みを継続するとともに、分離主義的アジェンダを拒否すると表明した。

閉会時の記者会見で、ロシア使節団を率いるアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使は、シャーム解放機構をはじめとするテロ組織と外国勢力が中東情勢の緊張に乗じて、イドリブ県などでの事態を悪化させようとしていると指摘する一方、会議ではイスラエルのレバノン攻撃激化に伴い、レバノンから帰還した約40万のシリア人の状況について議論されたとしたうえで、シリア経済が欧米諸国の制裁で疲弊しているなかで、国際社会による避難民支援についてゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表と意見を交わしたことを明らかにした。

一方、トルコによるシリア領内での新たな軍事作戦の是非については、「我々はトルコ側にこうした措置を控えることを望んでいる。なぜなら、シリアそのものに悪影響が生じるからだ」と述べた。

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シリアの使節団を代表するアイマン・ラアド外務在外居住者省次官は、会議がシリアの統合、領土保全を維持するための結果を実現するうえで重要だとしたうえで、「テロとの戦い」と、米国とトルコの占領からの領土解放を実現することを望むと表明した。

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SANA(11月12日付)が伝えた。

AFP, November 12, 2024、ANHA, November 12, 2024、‘Inab Baladi, November 12, 2024、Reuters, November 12, 2024、SANA, November 12, 2024、SOHR, November 12, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県カフルタハーリーム町で、住民らがジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモ(2024年11月11日)

イドリブ県では、テレグラムの「シリア革命の咆哮者たち」(https://t.me/s/mzmgr_syria)によると、シャーム解放機構の支配下にあるカフルタハーリーム町で、住民らがアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモを行った。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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スワイダー市で抗議デモの主要な支持者であるアラブ山(ジャバル・アラブ)自由人連合のスライマーン・アブドゥルバーキー司令官が襲撃を受ける(2024年11月11日)

スワイダー県では、イナブ・バラディー(11月11日付)、スワイダー24(11月11日付)などによると、反体制組織のアラブ山(ジャバル・アラブ)自由人連合のスライマーン・アブドゥルバーキー司令官が乗った車がスワイダー市のスワイダー国立病院近くで何者かの発砲を受けた。

アブドゥルバーキー司令官は、スワイダー市のサイル広場でのデモの主要な支持者の1人。

 

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一方、スワイダー市サイル広場(カラーマ広場)などで政治改革、体制打倒、アサド大統領の退任、生活状況の改善、国連安保理決議第2254号の履行、逮捕者釈放などを訴えた。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024、Suwayda 24, November 11, 2024などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ県西部を自爆型無人航空機で攻撃し、民間人3人が負傷する一方、シャーム解放機構はラタキア県ナフシャッバー村を砲撃し、シリア軍兵士2人が死亡(2024年11月11日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にある県西部のハッバータ村、カスル村、タカード村を6機の自爆型無人航空機で攻撃し、民間人3人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がシリア政府の支配下にあるナフシャッバー村を砲撃し、シリア軍兵士2人が死亡した。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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ダーイシュがヒムス県スフナ市近郊の砂漠地帯にあるシリア軍の陣地複数ヵ所を中火器や機関銃などで攻撃、ロシア軍戦闘機複数機が同地一帯を複数回にわたって爆撃(2024年11月11日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、スフナ市近郊の砂漠地帯にあるシリア軍の陣地複数ヵ所を中火器や機関銃などで攻撃、戦闘となった。

ダーイシュの攻撃に対処するかたちで、ロシア軍戦闘機複数機が同地一帯を複数回にわたって爆撃した。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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イランの支援を受ける地元武装集団がダイル・ザウル県ジュナイナ村にあるシリア民主軍の陣地複数ヵ所を機関銃やロケット弾で攻撃(2024年11月11日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イランの支援を受ける地元武装集団が、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア地域民主自治局)の支配下にあるジュナイナ村にある人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の陣地複数ヵ所を機関銃やロケット弾で攻撃し、戦闘となった。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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アサーイシュはフール・キャンプ一帯で「持続的安定」作戦を継続し、指名手配中のダーイシュのメンバー1人を逮捕したと発表(2024年11月11日)

ハサカ県では、ANHA(11月11日付)によると、北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、女性防衛隊(YPJ)とともにフール・キャンプ一帯で「持続的安定」作戦を継続し、指名手配中のダーイシュ(イスラーム国)のメンバー1人を逮捕したと発表した。

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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北・東シリア地域民主自治局はイスラエルの攻撃激化を受けて、レバノンからシリアに避難し、同自治局の支配地に入ったシリア人およびレバノン人の数が20,369人に達していると発表(2024年11月11日)

北・東シリア地域民主自治局はフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/aanes.official)などを通じて、イスラエルの攻撃激化を受けて、レバノンからシリアに避難し、同自治局の支配地に入ったシリア人およびレバノン人の数が20,369人に達していると発表した。

自治局によって設置されたレバノンからの入国者を担当する危機管理チームによると、内訳は以下の通り:

男性:7,549人
女性:6,228人
子供:6,470人

レバノン人:94人
遺体:28体

AFP, November 11, 2024、ANHA, November 11, 2024、‘Inab Baladi, November 11, 2024、Reuters, November 11, 2024、SANA, November 11, 2024、SOHR, November 11, 2024などをもとに作成。

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トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域の拠点都市の一つアアザーズ市(アレッポ県)で、活動家らがシリア軍との戦闘再開、シリア政府との和解・関係正常化拒否、アスタナ22会議拒否を訴えるデモ(2024年11月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域の拠点都市の一つアアザーズ市で、貨物車輛のドライバーら数十人が灯油などの燃料の価格高騰に抗議するデモを行い、タイヤを燃やすなどして抗議の意思を示した。

アアザーズ市では、晩にも、アスタナ22会議を前に、活動家らがシリア軍との戦闘再開、シリア政府との和解・関係正常化をへの拒否を訴えるデモを行い、アスタナ22会議開催に異議を唱えた。

AFP, November 10, 2024、ANHA, November 10, 2024、‘Inab Baladi, November 10, 2024、Reuters, November 10, 2024、SANA, November 10, 2024、SOHR, November 10, 2024などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県ナイラブ村南の農園でオリーブの実を収穫していた労働者らを砲撃し、2人が負傷する一方、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるアレッポ県西部の第46中隊基地一帯を砲撃し、兵士1人死亡(2024年11月10日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるナイラブ村南の農園でオリーブの実を収穫していた労働者らを砲撃し、2人が負傷した。

シリア軍はまた、サーン村近郊にあるトルコ軍拠点の土塁を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にある第46中隊基地一帯を砲撃し、シリア軍兵士1人が死亡した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

AFP, November 10, 2024、ANHA, November 10, 2024、‘Inab Baladi, November 10, 2024、Reuters, November 10, 2024、SANA, November 10, 2024、SOHR, November 10, 2024などをもとに作成。

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アサーイシュが実施している「持続的安定」作戦の作戦司令室は、ダーイシュのメンバー7人をフール・キャンプ内の隠れ家で新たに逮捕したと発表(2024年11月10日)

ハサカ県では、ANHA(11月10日付)によると、北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、女性防衛隊(YPJ)とともにフール・キャンプ一帯で継続している「持続的安定」作戦の作戦司令室は、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー7人をキャンプ内の隠れ家で新たに逮捕したと発表した。

AFP, November 10, 2024、ANHA, November 10, 2024、‘Inab Baladi, November 10, 2024、Reuters, November 10, 2024、SANA, November 10, 2024、SOHR, November 10, 2024などをもとに作成。

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シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県のサルキーン市、バータブー村で、住民らがジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモ(2024年11月10日)

イドリブ県では、テレグラムの「シリア革命の咆哮者たち」(https://t.me/s/mzmgr_syria)によると、シャーム解放機構の支配下にあるサルキーン市、バータブー村で、住民らがアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモを行った。


AFP, November 10, 2024、ANHA, November 10, 2024、‘Inab Baladi, November 10, 2024、Reuters, November 10, 2024、SANA, November 10, 2024、SOHR, November 10, 2024などをもとに作成。

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トルコ軍がシリア国民軍とともにアレッポ県、ハサカ県を砲撃(2024年11月9日)

アレッポ県では、ANHA(11月9日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア地域民主自治局の共同支配下にあるマンビジュ市近郊のアウン・ダーダート村一帯を集中的に砲撃した。

トルコ軍とシリア国民軍はまた、タッル・リフアト市近郊のズィーワーン村を砲撃した。

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ハサカ県では、ANHA(11月9日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア地域民主自治局の共同支配下にあるマーリキーヤ(ダイリーク)市にある工場を無人航空機1機で攻撃、カラ・ジューフ山一帯を砲撃した。

AFP, November 9, 2024、ANHA, November 9, 2024、‘Inab Baladi, November 9, 2024、Reuters, November 9, 2024、SANA, November 9, 2024、SOHR, November 9, 2024などをもとに作成。

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アサーイシュが「持続的安定」作戦を継続し、フール・キャンプ内の「女性移住者」が収容されている区画とイラク人が収容されている区画で捜索活動を実施(2024年11月9日)

ハサカ県では、ANHA(11月9日付)によると、北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、女性防衛隊(YPJ)とともに「持続的安定」作戦を継続し、フール・キャンプ内の「女性移住者」が収容されている区画とイラク人が収容されている区画で捜索活動を実施、「女性移住者」が収容されている区画での作戦を完了した。




アサーイシュは6日に開始した作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーやその協力者ら47人を逮捕したほか、地下トンネルなどを発見している。

9日には、23人をフール・キャンプやその一帯地域で新たに逮捕している。

AFP, November 9, 2024、ANHA, November 9, 2024、‘Inab Baladi, November 9, 2024、Reuters, November 9, 2024、SANA, November 9, 2024、SOHR, November 9, 2024などをもとに作成。

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イスラエル軍はイドリブ県を初めて爆撃したほか、アレッポ県、スワイダー県、ヒムス県を爆撃:前後してシリア軍とシャーム解放機構がイドリブ県で交戦(2024年11月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がサフィーラ市近郊の防衛工場機構一帯を多数のミサイルで攻撃し、「イランの民兵」のシリア人4人が死亡、6人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がシリア政府の支配下にあるサラーキブ市一帯の複数ヵ所に対して2回の爆撃を行い、身元不明者1人が死亡、シリア軍兵士6人が負傷した。

また、「第80監視団アブー・アミーン」はテレグラム(https://t.me/syrianevent1/)を通じて、サラーキブ市一帯に対するイスラエル軍の爆撃で、「アライン連隊、アーシューラー連隊、アサーイブ・アフル・ハックといった「イランの民兵」の戦闘員7人が死亡、15人以上が負傷したと主張した。

イスラエル軍がイドリブ県を爆撃するのは、2020年までにシリア政府が同地の南部と東部の支配を回復して以降初めて。

イスラエル軍の爆撃と前後して、同地一帯に展開するシリア軍が「シリアのアル=カーイダ」として知られる国際テロ組織のシャーム解放機構の支配下にあるサルミーン市などイドリブ県内各所、アレッポ県のアターリブ市を砲撃するとともに、カフル・アンマ村の農園一帯を自爆型のFPV無人航空機1機で攻撃、シャーム解放機構がこれに応戦していた。

このうち、アターリブ市の住宅地や公害には20発以上の砲弾が着弾し、住居1棟で火災が発生した。

また、ホワイト・ヘルメットのX(https://x.com/SyriaCivilDefe/)などによると、サルミーン市では、シリア米医療協会(SAMS)の施設が狙われ、施設の庭が被弾、一時利用できなくなった。

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この爆撃に関して、シリアの国防省はフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/mod.gov.sy/)は、午前0時45分頃、イスラエル軍がアレッポ市南東方面からアレッポ県とイドリブ県の農村地帯の複数ヵ所を狙って航空攻撃を行い、軍関係者多数が負傷し、一部で物的損害が生じたと発表した。

シリア人権監視団によると、イスラエル軍は、米国が違法に部隊を駐留させているヒムス県のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)を経由して、ダルアー県とスワイダー県の上空に侵入、シリア軍のレーダーがこれを捕捉していたが、迎撃しなかったという。

また、スプートニク・アラビア語版(11月9日付)は、X(https://x.com/sputnik_ar/)で、航空機複数機がシリア・ヨルダン国境地帯の空域を経由して、イスラエル占領下のゴラン高原方面に飛行していったとしたうえで、これらの航空機が、55キロ地帯上空を経由して、アレッポ県とイドリブ県で爆撃を行った航空機である可能性が高いと報じた。

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スワイダー県でも、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機がシャフバー町近郊のマスィーフ丘にあるシリア軍のレーダー大隊基地の上空に飛来し、同基地を2回にわたって爆撃した。

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ヒムス県でも、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦闘機複数機が、フーシュ・サイイド・アリー村に近い「非公式」のジャルマーシュ国境通行所と、通行所に近い橋に対して2回の爆撃を実施した。

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一方、ラタキア県では、シャーム解放機構が国民解放戦線(シリア国民軍)と主導する「決戦」作戦司令室諸派がシリア政府の支配下にある県北部のナフシャッバー村一帯を砲撃した。

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シリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃は、今年に入って145回(うち119回が航空攻撃、26回が地上攻撃)となり、これにより258あまりの標的が破壊され、軍関係者279人が死亡、216人が負傷した。

同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。

イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):25人
ヒズブッラーのメンバー:54人
イラク人:28人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):82人
「イランの民兵」の外国人メンバー:25人
シリア軍将兵:62人
身元不明者:1人

また、民間人も51人が死亡、58人あまりが負傷している。

攻撃の県別内訳は以下の通りである。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県:51回
ダルアー県:17回
ヒムス県:46回
クナイトラ県:16回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:5回
アレッポ県:3回
ハマー県:4回
スワイダー県:3回
ラタキア県:2回
イドリブ県:1回

AFP, November 9, 2024、ANHA, November 9, 2024、‘Inab Baladi, November 9, 2024、Reuters, November 9, 2024、SANA, November 9, 2024、SOHR, November 9, 2024などをもとに作成。

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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):イスラエルのレバノン攻撃激化を受けて、レバノンからシリア北西部(イドリブ県、アレッポ県)に約7,800世帯が避難・帰還(2024年11月8日)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はシリア北西部にかかる速報#7を発表し、イスラエルのレバノン攻撃激化を受けて、レバノンからシャーム解放機構の支配下にあるシリア北部西部」に避難したシリア人が約7,800人に達していると発表した。

彼らの多くは、トルコ占領下の「ユーフラテス盾」地域の拠点都市であるアレッポ県のジャラーブルス市一帯、「オリーブの枝」地域の中心都市であるアレッポ県のアフリーン市、シャッラーン町一帯、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県のイドリブ市、マアッラトミスリーン市、ジスル・シュグール市、アリーハー市、イフスィム町一帯、ダーナー市一帯など30の区に身を寄せているという。

また10月4日以降、北・東シリア地域民主自治局の支配地とトルコ占領地を結ぶアレッポ県のアウン・ダーダート村の通行所を通過してシリア北部に入ったシリア人は4,184人(866世帯)、
うち約70~80%がレバノンからの帰還者、20~30%がシリア国内の移動者だという。

一方、シリア政府の支配地とトルコ占領地を結ぶアレッポ県のアブー・ザンディーン村の通行所を開放すると発表したが、同通行所を経由したシリア人の移動は確認されていない。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024などをもとに作成。

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スワイダー市サイル広場(カラーマ広場)で政治改革、体制打倒、アサド大統領の退任、生活状況の改善、国連安保理決議第2254号の履行、逮捕者釈放などを訴える(2024年11月8日)

スワイダー県では、スワイダー24(11月9日付)によると、スワイダー市サイル広場(カラーマ広場)で政治改革、体制打倒、アサド大統領の退任、生活状況の改善、国連安保理決議第2254号の履行、逮捕者釈放などを訴えた。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024、Suwayda 24, November 8, 2024などをもとに作成。

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シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県とアレッポ県の各所で、住民らが金曜日の集団礼拝後にジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモ(2024年11月8日)

イドリブ県では、テレグラムの「シリア革命の咆哮者たち」(https://t.me/s/mzmgr_syria)、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の支配下にあるビンニシュ市、クールカーニヤー村、アリーハー市、ダイル・ハッサーン村、カフルタハーリーム町、アティマ村で、住民らが金曜日の集団礼拝後にアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の打倒や逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモを行った。






アレッポ県でも、サッハーラ村、ダーラト・イッザ市で同様のデモが行われた。

また、イドリブ県のサルキーン市では、夜間にも抗議デモが行われた。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024などをもとに作成。

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トルコ軍の無人航空機がアレッポ県マンビジュ市北の農村地帯を攻撃(2024年11月8日)

アレッポ県では、ANHA(11月8日付)、シリア人権監視団によると、トルコ軍の無人航空機1機がシリア政府と北・東シリア地域民主自治局の共同支配下にあるマンビジュ市北の農村地帯を攻撃、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会がこれを迎撃した。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024などをもとに作成。

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ダーイシュのスリーパーセルがヒムス県の砂漠地帯にあるシリア軍の陣地複数ヵ所を軽火器と中火器で攻撃、シリア軍兵士複数を殺傷(2024年11月8日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルがスフナ市近郊の砂漠地帯にあるシリア軍の陣地複数ヵ所を軽火器と中火器で攻撃、シリア軍兵士1人を殺害、複数人を負傷させた。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024などをもとに作成。

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イドリブ県、アレッポ県でシリア軍とシャーム解放機構が主導する反体制派が無人航空機で攻撃の応酬(2024年11月8日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティ―ラ村、バーラ村一帯、カンスフラ村一帯を砲撃した。

一方、ロシア当事者和解調整センターのオレグ・イグナシュク副センター長は、シャーム解放機構の支配下にあるマンタフ村から「テロリスト」がハーン・スブル村近くのシリア軍の陣地複数ヵ所を無人航空機で爆撃行い、シリア軍兵士4人が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍の自爆型無人航空機1機がシャーム解放機構の支配下にあるカフル・アンマ村一帯を攻撃した。

これに対して、「決戦」作戦司令室は、シリア政府の支配下にあるカフル・ハラブ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

AFP, November 8, 2024、ANHA, November 8, 2024、‘Inab Baladi, November 8, 2024、Reuters, November 8, 2024、SANA, November 8, 2024、SOHR, November 8, 2024、TASS, November 8, 2024などをもとに作成。

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アサーイシュは、ハサカ県フール・キャンプおよび周辺地域でのダーイシュ(イスラーム国)の残党を追跡、殲滅するための「持続的安定」作戦で、40人を逮捕、大量の武器弾薬を押収したと発表(2024年11月7日)

北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)は、6日に開始したハサカ県フール・キャンプおよび周辺地域でのダーイシュ(イスラーム国)の残党を追跡、殲滅するための「持続的安定」作戦で、40人を逮捕、大量の武器弾薬を押収したと発表した。

AFP, November 7, 2024、ANHA, November 7, 2024、‘Inab Baladi, November 7, 2024、Reuters, November 7, 2024、SANA, November 7, 2024、SOHR, November 7, 2024などをもとに作成。

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シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ市で女性らが逮捕・拘束中の家族らの即時釈放を訴えて抗議デモ(2024年11月7日)

イドリブ県では、テレグラムの「シリア革命の咆哮者たち」(https://t.me/s/mzmgr_syria)によると、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ市で、女性らが逮捕・拘束中の家族らの即時釈放、アブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の打倒を訴えて抗議デモを行った。


AFP, November 7, 2024、ANHA, November 7, 2024、‘Inab Baladi, November 7, 2024、Reuters, November 7, 2024、SANA, November 7, 2024、SOHR, November 7, 2024などをもとに作成。

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北・東シリア地域民主自治局はトランプ前大統領が当選に祝意を示すとともに、シリアにおいて、安定と安全の実現、民主的解決の実現への取り組みを強化することを希望すると表明(2024年11月7日)

北・東シリア地域民主自治局は、11月5日に投票が行われた米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が当選したことを受けて声明を出し、祝意を示すとともに、国際社会、中東地域、とりわけシリアにおいて、安定と安全の実現、国民統合に基づく強力なシリア建設に資する民主的解決の実現への取り組みを強化することを希望すると表明した。

AFP, November 7, 2024、ANHA, November 7, 2024、‘Inab Baladi, November 7, 2024、Reuters, November 7, 2024、SANA, November 7, 2024、SOHR, November 7, 2024などをもとに作成。

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北・東シリア地域民主自治局はイスラエルの攻撃激化を受けて、レバノンからシリアに避難し、同自治局の支配地に入ったシリア人およびレバノン人の数が20,331人に達していると発表(2024年11月7日)

北・東シリア地域民主自治局はフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/aanes.official)などを通じて、イスラエルの攻撃激化を受けて、レバノンからシリアに避難し、同自治局の支配地に入ったシリア人およびレバノン人の数が20,331人に達していると発表した。

自治局によって設置されたレバノンからの入国者を担当する危機管理チームによると、内訳は以下の通り:

男性:7,540人
女性:6,222人
子供:6,454人

レバノン人:87人
遺体:28体

AFP, November 7, 2024、ANHA, November 7, 2024、‘Inab Baladi, November 7, 2024、Reuters, November 7, 2024、SANA, November 7, 2024、SOHR, November 7, 2024などをもとに作成。

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国連OCHA:2024年1月1日から10月31日までにシリア北西部に498輌の貨物車輛がクロスボーダー(越境)で国連の物資を搬入(2024年11月6日)

国連人道問題調整事務所(OCHA)はファクトシートを発表し、2024年1月1日から10月31日までに、シリア北西部に498輌の貨物車輛がクロスボーダー(越境)で国連の物資を搬入したと発表した。

498輌のうち、451輌はイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所を通じてシャーム解放機構の支配地に、47輌はアレッポ県のバーブ・ハワー国境通行所を通じてトルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域に物資を輸送した。

AFP, November 7, 2024、ANHA, November 7, 2024、‘Inab Baladi, November 7, 2024、Reuters, November 7, 2024、SANA, November 7, 2024、SOHR, November 7, 2024などをもとに作成。

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シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県、アレッポ県、ラタキア県各所を自爆型無人航空機で攻撃(2024年11月6日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるマアーッラト・ナアサーン村、同村とアレッポ県カフル・ヌーラーン村を結ぶ街道で、民間の車輛複数台を自爆型無人航空機複数機で攻撃した。

シャーム解放機構は1機を撃墜したものの、爆発によって戦闘員1人が死亡した。

また、シャーム解放機構とともに「決戦」作戦司令室を主導する国民解放戦線に所属する解放建設運動のメンバー1人も死亡した。


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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるダーラト・イッザ市一帯、カフル・ヌーラーン村一帯、アスウース村一帯を自爆型無人航空機複数機で攻撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるナワーラ村を自爆型無人航空機複数機で攻撃した。

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シリア軍は、FPV型の四翼ヘリコプター・ドローンに改良を加え、航続距離を伸ばすとともに、本体にRPG弾を装着して攻撃に使用しており、6日には15機が投入されたという。

AFP, November 6, 2024、ANHA, November 6, 2024、‘Inab Baladi, November 6, 2024、Reuters, November 6, 2024、SANA, November 6, 2024、SOHR, November 6, 2024などをもとに作成。

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シリア民主軍がダイル・ザウル県マヤーディーン市を砲撃、カーティルジー・グループ社の民兵1人が負傷(2024年11月6日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がシリア政府の支配下にあるマヤーディーン市を砲撃、これによりカーティルジー・グループ社の民兵1人が負傷した。

AFP, November 6, 2024、ANHA, November 6, 2024、‘Inab Baladi, November 6, 2024、Reuters, November 6, 2024、SANA, November 6, 2024、SOHR, November 6, 2024などをもとに作成。

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アサーイシュはフール・キャンプおよび周辺地域で、ダーイシュの残党を追跡、殲滅するための「持続的安定」作戦を開始したと発表(2024年11月6日)

北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)は、ハサカ県フール・キャンプおよび周辺地域でダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルの攻撃や活動が激化していることを受けて、米主導の有志連合の協力のもとに、同地のダーイシュの残党を追跡、殲滅するための「持続的安定」作戦を開始したと発表した。

 

シリア人権監視団によると、アサーイシュによる最近の掃討作戦で、ダーイシュのメンバー1人が死亡、15人が逮捕された。

AFP, November 6, 2024、ANHA, November 6, 2024、‘Inab Baladi, November 6, 2024、Reuters, November 6, 2024、SANA, November 6, 2024、SOHR, November 6, 2024などをもとに作成。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月29日に以降にシリア領内で95回のダーイシュ打倒(D-ISIS)作戦を実施し、テロリスト163人を殺害、33人を拘束したと発表(2024年11月5日)

米中央軍(CENTCOM)は声明(第20241104-01号)を出し、8月29日に以降、イラクとシリアの治安部隊と協力して、シリア領内で95回のダーイシュ打倒(Defeat ISIS, D-ISIS)作戦を実施し、テロリスト163人を殺害、33人を拘束したと発表した。

作戦のなかには、CENTCOM単独による作戦も含まれ、殺害・拘束したテロリストのなかには、ダーイシュの幹部らもいるという。

AFP, November 5, 2024、ANHA, November 5, 2024、‘Inab Baladi, November 5, 2024、Reuters, November 5, 2024、SANA, November 5, 2024、SOHR, November 5, 2024などをもとに作成。

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