イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月13日)

シリア国内の動き

イドリブ県では、スマート・ニュース(7月13日付)によると、ビンニシュ市を拠点とするシャーム自由人イスラーム運動がイスラーム戦線各部隊とともに、同市でダーイシュ(イスラーム国)と、ダーイシュに忠誠を誓ったダーウド旅団、シャーム軍などの掃討を開始した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったダーウド旅団がマンビジュ市方面に進軍し、アイン・アラブ市郊外でのダーイシュと西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊との戦闘に参加した。

この戦闘で、人民防衛隊の戦闘員12人とダーイシュ戦闘員11人が死亡するとともに、ダーイシュの司令官(エジプトのスエズ市出身の薬剤師)が負傷し、人民防衛隊に捕捉されたとう。

一方、アフタリーン市周辺のハルダーナー村などでは、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がダーイシュと交戦した。

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ARA News, July 13, 2014
ARA News, July 13, 2014

ダイル・ザウル県では、ARA News(7月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するマヤーディーン市ダウワール・ナーディー地区のダーイシュの検問所近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発、市民数十人とダーイシュ戦闘員複数が死傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム戦線(イスラーム軍など)が交戦した。

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ハサカ県では、ARA News(7月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャッダーディー市郊外のジャブサ油田が再稼働させた。

イラク国内の戦況

イラク・バアス党のイッザト・イブラーヒーム・ドゥーリー書記長はインターネットを通じて音声声明を出し、現下のイラクの混乱を「サファビー朝植民地主義に対する革命」を形容するとともに、ダーイシュ(イスラーム国)など、モスル市、ティクリート市制圧に参加した武装集団を「慈愛と誇り」をもって祝福、また「バグダード解放はすぐそこだ」と唱導した。

マダー・プレス(7月13日付)が伝えた。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月13日付)によると、ティクリート市南部のダルーイーヤ郡とバラド市を結ぶ橋で爆弾を仕掛けた車を爆破させ、橋を破壊した。

またダルーイーヤ郡の警察部隊と住民がダーイシュの襲撃に応戦し、ダーイシュ戦闘員10人が死傷した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月13日付)によると、ハディーサ郡で、治安部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員13人が死亡、治安部隊隊員6人が死傷した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、サラーフッディーン県、アンバール県、ニナワ県などでのイラク軍による掃討作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員41人を殺害、車輌250台を破壊したと発表した。

AFP, July 13, 2014、AP, July 13, 2014、ARA News, July 13, 2014、Champress, July 13, 2014、al-Hayat, July 14, 2014、Kull-na Shuraka’, July 13, 2014、al-Mada Press, July 13, 2014、Naharnet, July 13, 2014、NNA, July 13, 2014、Reuters, July 13, 2014、SANA, July 13, 2014、SMART News, July 13, 2014、UPI, July 13, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月12日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アフタリーン市郊外のマスウーディーヤ村、ハラファトリー村、バフールタ村で、クルド人戦線旅団およびジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、前者がハラファトリー村を、後者がマスウーディーヤ村をそれぞれ制圧した。

またダーイシュは、アイン・アラブ市郊外のジャッル・グーグリー村で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦、同村を制圧、多数の住民が村から避難した。

同監視団によると、民主統一党とラッカ革命家旅団が、ダーイシュと、アイン・アラブ市南部のスィッリーン村の穀物庫で会合を開き、捕虜交換について協議した。

交渉では、人民防衛隊などが拘束しているダーイシュ戦闘員捕虜70人、遺体50人と、ダーイシュが拉致した子供130人(5月末に拉致された中学生)を含む住民400人、人民防衛隊とラッカ革命家戦線の戦闘員捕虜32人、遺体68人の交換が協議された。

ARA News, July 12, 2014
ARA News, July 12, 2014

交渉は、シリア・クルド国民評議会、西クルディスタン人民議会、拉致被害者家族がアイン・アラブ市で結成したコバネ国民和解委員会が仲介したが、捕虜らの引き渡し方法をめぐって合意できず決裂、ダーイシュは仲介を行っていた和解委員会の青年を拉致した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍機が、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するムーハサン市を空爆した。

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ハサカ県では、ARA News(7月12日付)によると、カーミシュリー市東部のカフターニーヤ市近郊のジャズア村近くで、西クルディスタン移行期民政局の人民防衛隊が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

またシリア軍も、カーミシュリー市南部のアブー・カサーイブ村、タッル・ブラーク町、タッル・ハミース市などのダーイシュ拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、ARA News(7月12日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動(イスラーム戦線)の戦闘員3人がアーフィス村で襲撃され、負傷した。

同報道によると、この襲撃は、数日前にシャーム自由人イスラーム運動が、最近になってダーイシュ(イスラーム国)に合流したダーウド旅団の戦闘員複数名を逮捕したことを受けた動きだという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点の一つで、拷問の跡が見られる男性の遺体が発見された。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、ファッルージャ市東部のハヤーキル地方で、テロ撲滅特殊部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、「結婚ジハード」を奨励するファトワーを発していた「アブー・リハーブ」を名乗る人物とその副官2人が死亡した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、ジュルフ・サフル地方のファーディリーヤ地区、バフバハーン地区で、イラク軍ヘリコプターがダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所を空爆し、ダーイシュ戦闘員12人が死亡した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、イラク軍戦闘機がトゥーズ郡南部のヤンカジャ地方で、ダーイシュ(イスラーム国)のアミールの邸宅を空爆し、同邸宅で会合を開いていたダーイシュ戦闘員26人全員が死亡した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、イラク軍戦闘機がキルクーク市西部のリヤード地区にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員多数と市民3人が負傷した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(7月12日付)によると、同県警察署長が、ヤアクーバ市北東部のスドゥール地区で、軍・警察合同部隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、ダーイシュ戦闘員22人を殺害・逮捕した、と発表した。

AFP, July 12, 2014、AP, July 12, 2014、ARA News, July 12, 2014、Champress, July 12, 2014、al-Hayat, July 13, 2014、Kull-na Shuraka’, July 12, 2014、al-Mada Press, July 12, 2014、Naharnet, July 12, 2014、NNA, July 12, 2014、Reuters, July 12, 2014、SANA, July 12, 2014、UPI, July 12, 2014などをもとに作成。

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イスラム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月11日)

シリア国内の動き

ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)は声明を出し、ダイル・ザウル県のジハード主義武装集団などに対して、18日金曜日までに「改悛」し、忠誠を誓うよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka', July 11, 2014
Kull-na Shuraka’, July 11, 2014

これに関して、『ハヤート』(7月12日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル県で活動するヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動など複数のジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったと報じた。

ただし、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動は、ダマスカス郊外県、アレッポ県などではダーイシュとの交戦を続けているという。

クッルナー・シュラカー(7月11日付)によると、シュハイル市への住民の帰宅に関する合意を無視し、ダーイシュ(イスラーム国)が住民の帰宅を阻止、またこれに先立ち接収中の家屋7棟を爆破し、破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(7月11日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が拉致していた国防隊兵士と警官の遺体がタッル・ハミース市郊外で発見された。

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イスラーム戦線政治委員会のアブー・アブドゥッラー・ハマウィー議長はツイッターで「アレッポでアサド軍が進軍するのに時を合わせて、アレッポの解放地区内でダーイシュ(イスラーム国)が拡大を続けている」と綴った。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、フワイジャ郡ズィラーア地区で、同地の部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)が接収・使用していた家屋を破壊し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

またフワイジャ郡カーディスィーヤ地区では、イラク軍がダーイシュ拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員多数と民間人2人が死亡、子供を含む複数人が負傷した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点・武器庫を空爆し、ダーイシュ戦闘員25人を殲滅した。

また同地方ファーディリーヤ地区では、軍と民兵からなる合同部隊が、ダーイシュの拠点を急襲し、戦闘員8人を殺害した。

さらに同地方フジャイル地区では、治安部隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員3人、治安部隊隊員2人が死亡した。

またバービル県議会は、ジュルフ・サフル地方のバフバハーン地区、アズラク地区で、軍警察合同部隊がダーイシュを掃討し、治安を回復したと発表した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月11日付)によると、カーイム郡で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、アブー・ムアーウィヤ・スーリー氏、アブー・アリー・サーマッラーイー氏、アフマド・アワド・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラフマーン・アフガーニー氏、マーズィン・アイヤーシュ・スライマーニー氏、アブー・アブドゥッラー・アドナーニー氏らダーイシュ司令官複数を含む戦闘員多数を殺害した。

諸外国の動き

al-Hayat, July 12, 2014
al-Hayat, July 12, 2014

オーストラリア連邦警察特殊部隊が、フィリピン中部のラプラプ市でフィリピン人にシリア、イラクでのジハードへの呼びかけていたオーストラリア人ムーサー・セラントニオ氏(29歳)を逮捕した。

セラントニオ氏は17歳のとき、メルボルンでイスラーム教徒に改宗、インターネットでダーイシュ(イスラーム国)を支持する説教師として知られていた。

ロイター通信(7月11日付)が伝えた。

AFP, July 11, 2014、AP, July 11, 2014、ARA News, July 11, 2014、Champress, July 11, 2014、al-Hayat, July 12, 2014、Kull-na Shuraka’, July 11, 2014、al-Mada Press, July 11, 2014、Naharnet, July 11, 2014、NNA, July 11, 2014、Reuters, July 11, 2014、SANA, July 11, 2014、UPI, July 11, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月10日)

シリア国内の動き

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市のダーイシュ(イスラーム国)をイスラーム軍が攻撃、制圧した。

この戦闘で、複数の司令官を含むダーイシュ戦闘員5人が死亡したという。

これに関して、イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官はツイッターを通じて、ダーイシュのアミールの一人、アブー・マーリヤ・ウルドゥンニー氏を含むダーイシュ・メンバー4人を殺害したと綴った。

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アレッポ県で活動するシャームの鷹旅団のアブー・イーサー・シャイフ司令官は、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったシャーム軍とダーウド旅団に対して、12時間以内に武器を引き渡すよう最後通告を出した。

シャイフ司令官はまた、この二つの武装集団を事実上指揮するハッサーン・アッブード氏がアレッポの武装集団を何度も裏切ってきたと批判した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ヒシャーム村名士とダーイシュ(イスラーム国)が、同市から強制退去を命じられていた住民1万5,500人以上の帰宅について合意した。

住民は10日正午から帰宅を開始するという。

イラク国内の戦況

ロイター通信(7月10日付)によると、国際原子力機関(IAEA)は、イラク政府から、ニナワ県モスル市の大学に保管されていた核物質が奪われたとの連絡を受けたと発表した。

核物質の種類や量は明らかにしていないが、「低い等級のもので安全上の問題は小さい」としている。

ロイター通信によると、奪われたのは研究用ウラン化合物約40キロ。

イラクの国連大使が8日、潘基文国連事務総長宛ての書簡で、「テロ集団に奪われた」と伝えたという。

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ニナワ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がモスル市各所でイラク軍元士官30人を逮捕した。

逮捕の理由は明らかでないという。

一方、モスル市南部のタヤラーン地区にあるイラク軍ニナワ県作戦司令室をイラク軍戦闘機が空爆した。

同司令室はダーイシュが占拠し、本部として使っていたという。

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バービル県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍、警察、民兵からなる合同部隊がジュルフ・サフル地方でダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を続け、ダーイシュ戦闘員22人を殺害、車輌8台を破壊した。

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ラマーディー県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、軍・警察合同部隊がラマーディー市北部のジャズィーラ地区でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員13人を殺害した。

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マダー・プレス(7月10日付)は、信頼できる消息筋の話として、イラクの特殊諜報機関が、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏の弟を逮捕したと伝えた。

逮捕されたバグダーディー氏の弟はバグダードなどでの「テロ活動」を統括していたという。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(7月10日付)によると、ヤアクーバ市北部のスドゥール地方で、警察部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、同地襲撃の「首謀者」1人を含むダーイシュ戦闘員7人と警官2人が死亡した。

AFP, July 10, 2014、AP, July 10, 2014、ARA News, July 10, 2014、Champress, July 10, 2014、al-Hayat, July 11, 2014、Kull-na Shuraka’, July 10, 2014、al-Mada Press, July 10, 2014、Naharnet, July 10, 2014、NNA, July 10, 2014、Reuters, July 10, 2014、SANA, July 10, 2014、UPI, July 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月9日)

シリア国内の動き

ガド・プレス(7月9日付)は、複数の活動家の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)ラッカ州のワーリーを名乗るアブー・ルクマーン・マグリビー氏が離反し、自らを「シャームのカリフ」に就任させるよう要求したと報じた。

同報道によると、アブー・ルクマーン氏は、ダーイシュの指導者であるアブー・バクル・バグダーディー氏よりも「自分の方がカリフにふさわしい」と主張しているという。

なおアブー・ルクマーン氏による「シャームのカリフ」宣言を受け、約3,000人のダーイシュ・メンバーが同氏に忠誠を誓ったという。

アブー・ルクマーン氏については、2014年1月7日にラッカ市での戦闘で死亡したとの情報が流れていた(https://syriaarabspring.info/wp/?p=379)。

algadpress, July 9, 2014
algadpress, July 9, 2014

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)の「訓練センター」およびダーイシュが包囲を続ける第17師団基地周辺をシリア軍が空爆し、ダーイシュ戦闘員20人以上が死亡した。

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ARA News, July 9, 2014
ARA News, July 9, 2014

ARA News(7月9日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)のアレッポ州ジャラーブルス地区のアミールが、すべてのダーイシュ・メンバーに対して、「ダーイシュに敵対的な思想の持ち主」の監視を行うよう要請する布告を発したと報じ、その写真を公開した。

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ダマスカス郊外県では、ARA News(7月9日付)によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム軍が交戦し、民間人3人が戦闘に巻き込まれ負傷した。

イラク国内の戦況

バービル県では、マダー・プレス(7月9日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍戦闘機の支援を受けた治安部隊がダーイシュ(イスラーム国)を攻撃し、ダーイシュ戦闘員15人を殲滅した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月9日付)によると、ラマーディー市西方のラーワ郡で、イラク軍戦闘機・ヘリコプターの支援を受けた治安部隊が、ダーイシュ(イスラーム国)の車列を攻撃し、ダーイシュ戦闘員14人を殲滅した。

AFP, July 9, 2014、Algadpress, July 9, 2014、AP, July 9, 2014、ARA News, July 9, 2014、Champress, July 9, 2014、al-Hayat, July 10, 2014、Kull-na Shuraka’, July 9, 2014、al-Mada Press, July 9, 2014、Naharnet, July 9, 2014、NNA, July 9, 2014、Reuters, July 9, 2014、SANA, July 9, 2014、UPI, July 9, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月8日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県西部の名士・部族長、ジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)と停戦交渉を続けた。

同監視団によると、ジハード主義武装集団らは、①県西部に現状の組織を維持したまま残留し、ダーイシュに忠誠を誓う、②軽火器、重火器のいずれもダーイシュには引き渡さない、③ダーイシュの進駐は限定的なものとし、進駐する部隊はムハージリーン(外国人)のみとする、④ダーイシュはいかなる指名手配者も逮捕しない、⑤アサド政権に対する戦闘を共同で行う、⑥合同のシャリーア委員会を設置する、ことを求めているという。

しかし、ダーイシュは、交渉の前提条件としてジハード主義武装集団の武器の放棄を要求しているという。

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県西部での停戦交渉を尻目に、反体制武装集団17組織と、ユーフラテス河畔のスバイハーン市、ダブラーン村、ガリーバ村、キシュマ村、ドゥワイル村住民が、ダーイシュ(イスラーム国)とカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した。

ダーイシュに忠誠を誓ったのは武装集団は以下の通り:

1. ムウタスィム・ビッラー

2. ヌール・イスラーム

3. ジュンドッラー

4. ハーリス

5. ハーリド・ブン・ワリード

6. 信徒の母アーイシャ

7. 戦線

8. ユーフラテスの鷹

9. スバイハーン殉教者

10. イスラームの盾

11. ジャッラース・アキード

12. ユーフラテス特殊部隊

13. 誇り高きスバイハーン革命家大隊

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イドリブ県で活動するシャーム軍ダーウド旅団が、ダーイシュ(イスラーム国)への忠誠を誓った。

ARA News(7月8日付)によると、ダーウド旅団は、アレッポ市北東部へのシリア軍の攻勢を受け、同地で戦う反体制武装集団を支援するためにイドリブ県からアレッポ県に向かったが、その後、ラッカ県に進路を変更し、タッル・アブヤド市一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と戦うダーイシュに参加したという。

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ハサカ県では、ARA News(7月8日付)が地元活動家の話として、シャッダーディー市を制圧しているダーイシュ(イスラーム国)が、ラマダーン月を祝して、市内の貧困層に穀物などの食糧を配給していると報じた。

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ダーイシュ(イスラーム国)は、機関紙『ダービク』を創刊し、ウェブ(https://ia902504.us.archive.org/14/items/HMC_DBQ1/dbq01_mobile_en.pdf)上で公開する一方、シリア国内の制圧地域での配布を開始した。

創刊号は英語で書かれている。

「ダービク」という紙名は、アレッポ県北部の「マルジュ・ダービク」地方に由来しており、同地は16世紀、オスマン朝のセリム1世の軍とカーンスーフ・ガウリー率いるマムルーク軍が戦った「マルジュ・ダービクの戦い」の古戦場として知られる。

Dabiq
Dabiq

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線の拠点だったシュハイル市で、ヌスラ戦線司令官の自宅2件を爆破、破壊した。

一方、シリア軍はダーイシュが制圧するマヤーディーン市各所を空爆した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市南西部郊外で、ダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦した。

またラッカ市北部のアイン・イーサー市にある人民防衛隊の検問所に対して、ダーイシュ戦闘員が自爆攻撃を仕掛け、クルド人隊員4人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、ARA News(7月8日付)によると、ミスラーバー市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム戦線所属のイスラーム軍が交戦し、後者の戦闘員6人が死亡した。

レバノンをめぐる動き

LBCI(7月8日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外からダーイシュ(イスラーム国)メンバー複数名が同村に侵入し、住民のムスタファー・ナジーブ・イッズッディーン氏を自宅で処刑した。

ダーイシュはイッズッディーン氏に死刑宣告をしており、同氏の息子ハーリド氏(14歳)も6月5日に同じように処刑されたという。

しかし2人の殺害に関して、レバノンの声(7月8日付)は、ダーイシュではなく、シャームの民のヌスラ戦線のメンバーの犯行だと報じ、またLBICもハーリド氏殺害はヌスラ戦線の犯行だと報じていた。

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『アフバール』(7月8日付)は、7日にイラクの首都バグダードでの自爆テロの実行犯が、北部県トリポリ市出身のムスタファー・アブドゥルハイ氏(22歳、自称アブー・ハファス)だったと報じた。

同紙によると、アブドゥルハイ氏は2年前に、シリアで武装活動を行うシャーム自由人イスラーム運動に参加、その後レバノンに帰国し、イスラーム国(ダーイシュ、当時はイラク・シャーム・イスラーム国)に忠誠を誓い、イラクに転戦していたという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月8日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がバイジ市北部のザウィーヤ地方を制圧した。

同地方制圧に際して、ダーイシュは迫撃砲約60発を発射、住民13人が死亡、民家10棟が破壊された。

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バービル県では、マダー・プレス(7月8日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、軍・警察合同部隊が、空軍の支援のもとにダーイシュ(イスラーム国)の掃討を継続し、ダーイシュ戦闘員16人を殺害した。

また掃討作戦に参加したイラク軍戦闘機は、ダーイシュ拠点などを空爆し、戦闘員24人を殺害した。

さらに、イスカンダリーヤ地方では、警察部隊がダーイシュ(イスラーム国)戦闘員5人を逮捕した。

諸外国の動き

エリック・ハンプトン・ホルダー米法務長官は、シリアとイラクに戦闘目的で渡航した米国人約100人の調査を法務省が開始したと発表した。

AFP, July 8, 2014、al-Akhbar, July 8, 2014、AP, July 8, 2014、ARA News, July 8, 2014、Champress, July 8, 2014、al-Hayat, July 9, 2014、Kull-na Shuraka’, July 8, 2014、LBCI, July 7, 2014、al-Mada Press, July 8, 2014、Naharnet, July 8, 2014、NNA, July 8, 2014、Reuters, July 8, 2014、SANA, July 8, 2014、UPI, July 8, 2014、Voice of Lebanon, July 8, 2014などをもとに作成。

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最新論考「イラクとシャームのイスラーム国」は何に挑戦しているのか」(『世界』)

髙岡豊「イラクとシャームのイスラーム国」は何に挑戦しているのか」
『世界』第859号、2014年8月、 pp. 20-24

中東が大きく揺れている。内戦の続くシリアから国境を越えてイラクへ進撃し、首都バグダッドに迫る勢いのイスラーム過激派武装勢力ISIS。どういう組織なのか。そしてその登場の歴史的意味とは?・・・

 

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月7日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機が、ダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているハリータ砂漠のハッラータ油田を3度にわたって空爆した。

またクーリーヤ市では、住民がデモを行い、ダーイシュへの忠誠拒否、同組織の市内への進入反対、シュハイル市との連帯を表明した。

同市で反ダーイシュのデモが行われたのは6日に続き2度目だという。

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アレッポ県では、ARA News(7月7日付)によると、アイン・アラブ市南部のカウン・アフタール村をダーイシュ(イスラーム国)が襲撃、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦した。

ダーイシュは人民防衛隊の検問所を攻撃する一方、村に砲撃を加え、学校などを破壊したという。

またフェイスブックのページ「バッシャール・アサドに対するシリア革命」は、ダーイシュが占拠するバーブ市で、女性が「背教」のかどで処刑されたと発表した。

レバノン国内の動き

NNA(7月7日付)によると、レバノン軍事裁判所のサクル・サクル長官は、ダーイシュ(イスラーム国)に所属し、自爆テロを計画したとの容疑でレバノン人28人を起訴した。

うち7人は既に身柄拘束中だという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、ARA News(7月7日付)によると、イラク軍戦闘機がトゥーズ・フールマートゥー村(クルド人の村)を空爆し、18歳の少女1人が死亡、8人が負傷したほか、住宅などが倒壊した。

この空爆に関して、イラク軍戦闘機がイラク・クルディスタン民主党の事務所を狙っていたとの情報が流れているという。

また、マダー・プレス(7月7日付)によると、ザウィーヤ地方、マスハク地方で、ダーイシュ(イスラーム国)と部族民兵が激しく交戦し、ダーイシュ戦闘員35人と部族民兵3人が死亡、ダーイシュ戦闘員70人が負傷した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月7日付)によると、ジュルフ・サフル地方のアンバール県境の地域でイラク軍・警察合同部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

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ラマーディー県では、マダー・プレス(7月7日付)によると、ラマーディー市東部のマラーヒマ地区で、イラク軍・警察合同部隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、兵士3人が死亡、5人が負傷した。

AFP, July 7, 2014、AP, July 7, 2014、ARA News, July 7, 2014、Champress, July 7, 2014、al-Hayat, July 8, 2014、Kull-na Shuraka’, July 7, 2014、al-Mada Press, July 7, 2014、Naharnet, July 7, 2014、NNA, July 7, 2014、Reuters, July 7, 2014、SANA, July 7, 2014、UPI, July 7, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月6日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線の一大拠点シュハイル市を制圧したダーイシュ(イスラーム国)は、住民約3万人以上を市外に強制移住させた。

ダーイシュはまたシュハイル市に先立って制圧したヒシャーム村の住民約1万5,500人と、タービヤ村の住民約1万5,000人も追放し、帰宅を認めていない。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているシャッダーディー市一帯を空爆した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市のマルトゥー広場で、ダーイシュ(イスラーム国)が、「ヌサイリー体制(アサド政権のこと)と協力」した罪で男性2人を公開処刑した。

またジャラーブルス市郊外のズール・マガール村、バイヤーダ村、ズィヤーラ村の奪還をめざす西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、ダーイシュと交戦した。

一方、ARA News(7月6日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、ダーイシュが占拠していたジュッブ・ファルジュ村、ハッラーブ・アトゥー村を奪還した。

このほか、シリア人権監視団によると、アフタリーン市郊外では、ジハード主義武装集団がダーイシュ戦闘員2人を拘束した。

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シリア人権監視団によると、ワルド油田を除くダイル・ザウル県内の油田を掌握したダーイシュ(イスラーム国)は、原油の販売を開始した。

ダーイシュは業者に1バレルあたり12ドル(2,000シリア・ポンド)で原油を販売するとともに、業者に対しては「シリア国民の人道的危機を考慮」し、ダーイシュ制圧地区で1バレルあたり18ドル(3,000ポンド)で流通させるよう求めているという

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シリア・ムスリム同胞団のイスラーム法源解釈委員会は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言に関して、「無効であり、シャリーアに則したものとはみなし得ない」と批判した。

同胞団はまた、ダーイシュについては、「イスラーム教徒、民革命家さらには自由シリア軍の英雄への背教宣告」によって、無実の人々を殺害したと断罪し、「これらの者に忠誠」を誓うことはないと強調した。

そのうえで「カリフとは、弱肉強食でも流血でもなく、至高なるアッラーの法に根ざした政治・宗教職」だと主張、イスラーム国のカリフ制が「独裁者を別の独裁者にとりかえること」だと非難した。

イラク国内の戦況

キルクーク市に駐留するイラク・クルディスタン地域のペシュメルガ第1旅団司令官のシールクー・ファーティフ・シャワーニー准将は、ダーイシュ(イスラーム国)の侵入を防ぐため、キルクーク県南部に全長50キロの土塁を建設すると発表した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、サラーフッディーン県バイジ製油所一帯、アンバール県、バービル県ジュルフ・サフル地方、ニナワ県タッルアファル郡などでのイラク軍による掃討作戦で、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員82人を殺害、車輌18台を破壊したと発表した。

AFP, July 6, 2014、AP, July 6, 2014、ARA News, July 6, 2014、Champress, July 6, 2014、al-Hayat, July 7, 2014、Kull-na Shuraka’, July 6, 2014、al-Mada Press, July 6, 2014、Naharnet, July 6, 2014、NNA, July 6, 2014、Reuters, July 6, 2014、SANA, July 6, 2014、UPI, July 6, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月5日)

イラクの戦況

イスラーム国のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏がモスル市のモスクで説教を行う映像(https://www.youtube.com/watch?v=0PjTSKOMpGk)がインターネットを通じて公開された。

バグダーディー氏が姿を現したのは、モスル市内のヌーリー大モスクで、ラマダーン月に合わせて説教を行った。

Youtube
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説教のなかでバグダーディー氏は「アッラーは、我々にアッラーの敵と戦い、アッラーのためにジハードを行い、そうすることで宗教を確立するよう命じられた…。アッラーは、あなた方の同胞であるムジャーヒディーンの勝利と制服を祝福された。彼らが長年にわたりジハードを行い耐える力を与え、彼らが目的を実現できるようになさった。それゆえ、彼らは迅速にカリフ制を宣言し、イマームを指名できた。これは数世紀にわたって失われてきたイスラーム教徒にとっての義務なのだ」と述べた。

なおイラクの複数のメディアは、バグダーディー氏がアンバール県での空爆によって負傷したと報じていた。 

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アンバール県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、サクラーウィーヤ地方ファッルージャ郡で、ラマーディー市と首都バグダードを結ぶ国際幹線道路に架かる橋を爆破、破壊した。

また同地ではイラク軍とダーイシュが交戦し、ダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

このほか、ラマーディー市では、ダーイシュが警察と覚醒評議会の検問所を襲撃し、警官と覚醒評議会メンバー7人が死傷した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、イラク軍がバイジ製油所に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を撃退、12人を殲滅した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、ジュルフ・サフル地方で、イラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を続け、ダーイシュの南部州司令官ムハンマド・ジャナービー氏を含むダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月5日付)によると、ラシャード地区近郊で、部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)の司令官の一人サッターム・ジャッブーリー氏が乗った車を攻撃、同氏を殺害した。

またダーイシュはウバイド部族のシャイフ1人をスース村近くで拉致、連行した。

シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するラッカ市北部のサッカ地区をシリア軍戦闘機が空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するカスラ村各所、ジュダイダ・アカイダート村をシリア軍戦闘機が空爆、またダイル・ザウル市各所をシリア軍が砲撃した。

またアブー・ハマーム市では、ハムザ大隊、イブン・カイイム旅団が、ダーイシュと交戦した。

一方、同監視団によると、ガラーニージュ市、アブー・ハマーム市、カシュキーヤ村で、停戦とダーイシュへの忠誠の宣誓のための交渉が続けられた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が展開するアフタリーン市郊外のバフーリタ村の丘陵地、バルアーン村、ワーシュ山に対して、ジハード主義武装集団が手製の迫撃砲で攻撃、ダーイシュ戦闘員2人が死亡した。

AFP, July 5, 2014、AP, July 5, 2014、ARA News, July 5, 2014、Champress, July 5, 2014、al-Hayat, July 6, 2014、Kull-na Shuraka’, July 5, 2014、al-Mada Press, July 5, 2014、Naharnet, July 5, 2014、NNA, July 5, 2014、Reuters, July 5, 2014、SANA, July 5, 2014、UPI, July 5, 2014などをもとに作成。

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最新論考「カリフ制樹立を宣言した「イラクとシャームのイスラーム国」の過去・現在・将来」(Synodos)

髙岡豊「カリフ制樹立を宣言した「イラクとシャームのイスラーム国」の過去・現在・将来」
Synodos、2014年7月4日
http://synodos.jp/international/9659

2014年6月、「イラクとシャームのイスラーム国」[*1]の攻勢を前にイラク軍が脆くも敗走、イラク中部の諸都市や、西部のシリアやヨルダンとの国境通過地点が「イスラーム国」などの武装勢力の手に落ちた。・・・

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月4日)

シリア国内の戦況

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア委員会が占拠していたタナク油田(シュアイタート砂漠)をダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

またマヤーディーン市西部にあるブクルス遺跡からヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団が撤退し、ダーイシュが同地を制圧した。

同地制圧に際して戦闘はなかったという。

一方、ダイル・ザウル県で活動するジュンド・ラフマーン旅団総司令部が声明を出し、イスラーム国のカリフの支配を受け入れると発表した。

他方、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するジュダイド・アカイダート村をシリア軍が砲撃した。

またダイル・ザウル市郊外の航空基地周辺で、シリア軍の狙撃によりジハード主義武装集団戦闘員1人が死亡した。

このほか、シリア人権監視団によると、シュハイル市に隣接するハワーイジュ村にヌスラ戦線が設置していた拘置所から、ダーイシュ戦闘員約30人が脱走した。

ダーイシュ戦闘員らは、ヌスラ戦線の撤退を受け、拘置所の壁を破壊し、脱走したという。

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シリア人権監視団は、インターネットにアップされた映像や複数の消息筋からの情報を総合し、7月3日にダイル・ザウル県シュハイル市で交わされたダーイシュ(イスラーム国)と市内を占拠していた反体制武装集団の停戦合意の詳細を明らかにした。

それによると、ダーイシュは、シャームの民のヌスラ戦線の拠点とされる同市を掌握するにあたって、①住民の改悛、②戦闘員および住民の武器引き渡し、③同市の安全をダーイシュが確認するまで、住民は10日間市外に退去、④ダーイシュの安全が確保されたのち住民の帰宅、を条件としたという。

これに対して、シュアイタート砂漠、とりわけガラーニージュ市で、住民がダーイシュへの忠誠拒否を訴えるデモを呼びかけたという。

しかし、シュハイル市では、シュハイル市、ハリージー村、ナムリーヤ村の各住民、イスラーム軍、イスラーム・ムウタ軍、イフラース旅団、イスラーム・ターリバーン運動が共同声明を出し、ダーイシュへの忠誠を誓ったという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団、ARA News(7月4日付)によると、ジャラーブルス市東部の対トルコ国境沿いズール・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、クルド人戦線旅団、ラッカ革命家旅団との3日間の戦闘のすえ、同村およびバイヤーダ村、ズィヤーラ村を制圧した。

両者の戦闘で、民主統一党隊員11人とダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

またアフタリーン市郊外のヤールーザ村、ズィヤーディーヤ村一帯で、ダーイシュがシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺でシリア軍とダーイシュが交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市近郊のダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所をシリア軍が空爆する一方、イスラーム軍などならなるジハード主義武装集団がバーターヤー村でダーイシュと交戦した。

イラク国内の戦況

トルコのイェニ・シャファク・サイト(7月4日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がイラクのモスル市で独自のパスポートを発効し、同市およびシリア・イラク国境地帯の制圧地域住民役1万1,000人に配布したと報じた。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、イラク軍戦闘機がフワイジャ郡のダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して空爆を行った。

また同郡のアッバースィー地区、タッル・アリー地区で、部族民兵がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員17人が死傷した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ラブタ郡周辺、カダー郡入口一帯、ハディー砂漠でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員8人を殺害、9人を逮捕した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員17人が死亡した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ダリー・アッバース地方ダワーリーブ地区で、イラク警察部隊とアフガン服に身を包んだダーイシュ(イスラーム国)戦闘員が交戦し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

諸外国の動き

AFP(7月4日付)は、フランスのニース市で、数ヶ月前にシリアから帰国した17歳の青年が、シリア国内で「テロ集団」に参加し、犯罪を犯した容疑で取り調べを受けていると報じた。

AFP, July 4, 2014、AP, July 4, 2014、ARA News, July 4, 2014、Champress, July 4, 2014、al-Hayat, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 4, 2014、al-Mada Press, July 4, 2014、Naharnet, July 4, 2014、NNA, July 4, 2014、Reuters, July 4, 2014、SANA, July 4, 2014、UPI, July 4, 2014、Yeni Safak, July 4, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月3日)

シリア政府の動き

ラッカ県では、ARA News(7月3日付)によると、シリア軍戦闘機がラッカ市内のダーイシュ(イスラーム国)のシャリーア法廷(ラッカ市文化センタ-)、タッル・アブヤド市東部、フナイダ市のダーイシュ拠点に対して空爆を行った。

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シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア学者のアブー・マーリヤー・カフターニー氏はツイッターで、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言を「幻想のカリフ制宣言」と批判した。

シリアの反体制組織の動き

シリア国内最大の反体制政治連合、民主的変革諸勢力国民調整委員会はフェイスブックを通じて声明を出し、ダイル・ザウル県でのダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に関して「シリア国家の存在、領土の一体性と保全を脅かす…危険な動き…。国際社会がこれに対抗するために早急に行動しなければ、深刻な結果をもたらす」と警鐘を鳴らした。

調整委員会はそのうえで「国を危機から脱出させる唯一の方途は政権が政治的解決を受け入れ、安保理が外国人戦闘員の潜入や武器の流入阻止、テロ組織の資金源の根絶、ジュネーブ合意に基づく政治プロセスの再生のため、断固たる措置を即座に講じることで、政権に義務を履行させること」だと主張した。

シリアの反体制武装集団の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が占拠していたシリア国内最大の油田ウマル油田を、ダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

制圧に際して、ヌスラ戦線らとダーイシュとの間に戦闘はなく、ヌスラ戦線などの戦闘員は、ダーイシュの進軍を前に敗走したという。

また、ウマル油田制圧により、ダーイシュはダイル・ザウル県の油田のほぼすべてを手中にし、またダイル・ザウル県の対イラク国境に位置するブーカマール市から、ラッカ市、アレッポ県バーブ市にいたるユーフラテス河畔のほぼ全域(ダイル・ザウル市を除く)を掌握したという。

またこれに先立ち、ダーイシュは同日早朝、ウマル油田に近いマヤーディーン市にも「無血入城」し、ヌスラ戦線などは同市から退去した。

さらに、ヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市、アシャーラ市、および周辺の村落でも、ダーイシュとの戦闘が停止、これに関して、シリア人権監視団は、ヌスラ戦線とダーイシュが部族の仲介のもと停戦交渉を行っているとの情報があると指摘した。

これに関して、ARA News(7月3日付)は、ダイル・ザウル市の複数の活動家の話として、シュハイル市一帯で活動するイスラーム軍など複数の武装集団がダーイシュに忠誠を誓い、同市へのダーイシュの進入を受け入れたと報じた。

ダーイシュに忠誠を誓った武装集団は、イスラーム軍のほか、イフラース軍、イスラーム・ムウタ軍などで、ヌスラ戦線だけは忠誠を拒否しているという。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月3日付)によると、イラク軍ヘリコプターが、キルクーク市西75キロに位置するサフラー村近くで、燃料を積んだトレーラー3台を破壊した。

トレーラーはダーイシュ(イスラーム国)によって盗まれたもの。

またフワイジャ郡などの複数の部族長(スンナ派)は、マダー・プレスに対し、ダーイシュに忠誠を誓わなければ殺すと脅されていると述べた。

なおマダー・プレスによると、これに先立ち、ダーイシュは、自らの支配を拒否した部族長や政治家の邸宅などの没収を開始したという。

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バービル県議会は、県北部のジュルフ・サフル地方各所で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員40人を殺害したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

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ディヤラ県警察のジャミール・シャムリー署長は、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方で、イラク軍と部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員70人を殲滅、同地方の2カ所(ダワーリーブ地区、シューハーニー地区)の浄化を完了したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

レバノンの動き

ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったバアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、「特殊部隊が、レバノン、とりわけベカーア・イスラーム国のキリスト教教会を浄化する任務についた…。我々は同国(ベカーア)およびレバノンで、教会の鐘を沈黙させるべく、十字軍を標的にする」と発表、キリスト教徒へのテロを予告した。

諸外国の動き

ロイター通信(7月3日付)は、コロラド州デンバーの米連邦当局高官の話として、シリアとイラクで活動するダーイシュ(イスラーム国)への資金援助に関与している容疑で、女性1人が逮捕されたと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、6月10日にモスル市でダーイシュ(イスラーム国)によって拉致されたトルコ人貨物車輌運転手32人が解放され、アルビル市のトルコ領事館に身柄を保護されたと発表した。

AFP, July 3, 2014、AP, July 3, 2014、ARA News, July 3, 2014、Champress, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014、Kull-na Shuraka’, July 3, 2014、al-Mada Press, July 3, 2014、Naharnet, July 3, 2014、NNA, July 3, 2014、Reuters, July 3, 2014、SANA, July 3, 2014、UPI, July 3, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月2日追記)

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、イラクのアルビル市を訪問し、イラク・クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領と会談した。

会談では、ダーイシュ(イスラーム国)の台頭などシリア・イラク情勢について意見が交わされたという。

ARA News(7月3日付)などが伝えた。

ARA News, July 3, 2014
ARA News, July 3, 2014

ARA News, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月2日)

シリア国内の動き

アレッポ県北部、ラッカ県、ダイル・ザウル県で活動するジハード主義武装集団など11組織は共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立、同暫定政府、自由シリア軍参謀委員会といったトルコ在留の反体制組織に対して、ダーイシュ(イスラーム国)に対抗するための武器を増援しなければ、武器を放棄する、と脅迫した。

共同声明を発表したのは以下の組織:

Kull-na Shuraka', July 2, 2014
Kull-na Shuraka’, July 2, 2014

アッラーのためのジハード旅団

ラッカ革命家旅団

マンビジ大隊連合

アレッポ北部農村作戦司令室

ジャラーブルス大隊

カラーマ大隊

バーズ大隊

アフタリーン大隊

マンビジ東部戦線革命家大隊

シリア・クルド人戦線

シリア自由人東部戦線

声明において、11組織は、「1週間以内に(アブー・バクル・)バグダーディーの組織(ダーイシュ)に対抗し、同組織を我々の領土から放逐し、解放された都市への進軍を食い止めるための武器が増援されない場合…、武器を放棄し、これらの地域からムジャーヒディーンを撤退させるだろう。そうすれば皆は…我々がハワーリジュどもに抵抗していたことを知ることになる。我々は銃弾が尽きるまで抵抗を続ける」と表明した。

そのうえで「我々の革命、我々の人民と家族の革命、我々の若者や子供たちの血が失われた革命は、バグダーディーの組織がカリフ制樹立を宣言して以降、同組織によって危機に曝されている」と付言した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が1日に制圧したブーカマール市内で、強制家宅捜査を行い、多数の市民を逮捕した。

ダーイシュはまた、シャームの民のヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市を砲撃、同地北部入口付近でヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、ブーカマール市から撤退したヌスラ戦線らは、同じくダーイシュによって制圧されたブサイラ市郊外の農場、ザッル村に対して砲撃を行った。

この砲撃によりザッル市では子供2人、女性2人を含む6人が死亡した。

このほか、ブクルス遺跡一帯の砂漠地帯で、ダーイシュとジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員6人が死亡した。

他方、シリア軍はクーリーヤ市、ブサイラ市近郊を空爆し、クーリーヤ市では市民2人が、ブサイラ市ではダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

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アレッポ県では、ARA News(7月2日付)によると、ルーズ・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)がアイン・アラブ市郊外を襲撃し、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦し、市民2人が死亡、4人が負傷した。

**

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(7月2日付)が、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立を受けて、カリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した住民(若者ら)に、「かたちだけ」の報酬と食糧を援助していると報じた。

またシリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺で、シリア軍とダーイシュが交戦した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イスラーム軍がイスラーム国家(ダーイシュ)との戦闘の末、マイダアー町を制圧した。

シリア、イラク、レバノンの有識者らの動き

シリア、イラク、レバノンの有識者約260人が共同声明を出し、三国におけるダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に異議を唱え、「宗教に基づく支配は、本質において人間が作った加工場であり…、エリート主義に基づく人種差別支配、ファシズム支配を作り出す…。このような政体は自由、女性、美、近代教育に敵対し…、奴隷制を作り出す」と批判、カリフ制樹立への拒否の姿勢を示した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍が県内をバイジ郡方面に向かって逃走中だったダーイシュ(イスラーム国)の車輌を取り押さえ、リビア人司令官のアブー・アフマド・アフガーニー氏と副官2人の合わせて3人を逮捕した。

またティクリート市北部の複数地区で、イラク軍がダーイシュの掃討作戦を行い、チェチェン人狙撃手2人、北アフリカ出身者2人、自爆ベルトを着用した湾岸出身者1人を殺害した。

さらにダーイシュが占拠・使用していたティクリート病院の燃料倉庫をイラク軍ヘリコプターが攻撃・破壊した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍戦闘機がジュルフ・サフル地方を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員40人が死傷した。

また同地区でのダーイシュとイラク軍の戦闘で、イラク軍中尉が撃たれて重傷を負った。

諸外国の動き

イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構の指導者の一人アブー・アブドゥッラー・ウスマーン・アースィミー氏は音声声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)に関して「我々とあなた方の間に友愛の綱を結びたい。あなた方は、家族や部族よりも我々にとって愛すべき存在で、我々は常にあなた方のために、祈りを捧げている」と述べ、支持を表明した。

『ハヤート』(7月3日付)が伝えた。

AFP, July 2, 2014、AP, July 2, 2014、ARA News, July 2, 2014、Champress, July 2, 2014、al-Hayat, July 3, 2014、Kull-na Shuraka’, July 2, 2014、al-Mada Press, July 2, 2014、Naharnet, July 2, 2014、NNA, July 2, 2014、Reuters, July 2, 2014、SANA, July 2, 2014、UPI, July 2, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月1日)

バグダーディー氏声明発表

ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏はイスラーム・カリフ制樹立後初となる音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=_kjajeNX-84)を発表した。

19分にわたる声明は「ムジャーヒディーンとイスラームのウンマへのラマダーン月のメッセージ」と題され、そのなかでバグダーディー氏は、イスラーム教徒に対して「イスラームの家へのヒジュラ(聖遷)」が義務だと主張、結集を呼びかけた。

バグダーディー氏は「科学専攻の学生、法学者、説教師、とりわけカーディー、軍事、行政、福祉に関する技能を持つ者たち、医師、さまざまな専門・分野の技師に呼びかける…。彼らへの号令は…、イスラーム教徒の必要に応えるための義務である…。イスラーム国の兵士たちよ、各地にいるあなたたちの同胞は、あなたたちの助けを待っている。あなたたちの前衛に期待している。中央アジア、そしてそれ以前にはビルマであなたたちに行われたことだけで十分だ…。アッラーに誓って、復讐しようではないか。今でなくとも復讐しようではないか」と述べた。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', July 1, 2014
Kull-na Shuraka’, July 1, 2014

イスラーム戦線のシャリーア評議会などイスラーム主義組織9団体が共同声明を出し、「カリフ制の条件は、とりわけ国家機関という面で、現時点においてまだ達成されていない」と表明し、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制を「ハワーリジュのカリフ制」と非難し、「無効」と断じるとともに、ダーイシュを「ビドア(婉曲)と誤導」の組織と糾弾し、参加を禁じた。

声明において9団体は、「カリフ制国家樹立宣言が、アサド政権の打倒をめざす革命家に対抗するためパワー・バランスの転換を望む外国諸勢力の口実として利用され、西側において合法的な指導者としての彼(アサド大統領)のイメージを改善することに資してしまう」と警鐘をならした。

共同声明を出したのは以下の団体:

東部ムジャーヒディーン・シューラー評議会

ムジャーヒディーン軍シャリーア委員会

イスラーム連合シャリーア委員会

アレッポ・シャリーア委員会

シリア・イスラーム教ウラマー総合委員会

地域中央シャリーア委員会

イスラーム戦線シャリーア評議会

イドリブ・イスラーム委員会

海岸イスラーム委員会

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との交戦の末、早朝にブーカマール市の大部分を制圧したと発表した。

ブーカマール市攻防戦では、ヌスラ戦線側の司令官2人を含む多数の戦闘員が死亡した。

また同市の複数の消息筋によると、ダーイシュはブーカマール市を完全制圧、早朝から戦闘は行われていないという。

一方、ARA News(7月1日付)によると、ブーカマール市でのダーイシュとヌスラ戦線らとの戦闘激化、シリア軍による空爆、ダーイシュの同市制圧を受け、住民約4,000人が市外に避難した。

ブーカマール市はヌスラ戦線などジハード主義武装集団のダイル・ザウル県における拠点と目されており、ダーイシュは同県を「ハイル州」と自称し、制圧をめざしている。

ブーカマール市を制圧したダーイシュはまた、ヌスラ戦線などとの交戦の末、キサール村も制圧し、同村の南部に位置するヌスラ戦線の拠点シュハイル市に進軍を続けたという。

さらにダーイシュは、ザッル村に進軍し、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

これを受け、シリア軍がダーイシュの拠点などを狙い、ブーカマール市各所に4度、ブサイラ市に2度、カスラー村に2度、県西部の製塩工場周辺を1度、空爆を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方でダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団が未明に交戦し、後者の戦闘員2人が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するラッカ市各所およびその周辺をシリア軍が空爆した。

またARA News(7月1日付)によると、ラッカ市各所をシリア軍が空爆、また同市南部郊外にスカッド・ミサイルが着弾した。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、モスル市郊外の新市街で、武装した何者かがダーイシュを要撃し、アフガン人戦闘員ら3人を殺害した。

また、モスル市北部のモスル大学入口のダーイシュ(イスラーム国)の拠点をイラク軍戦闘機が空爆した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、イラク軍がジュルフ・サフル地方で特殊作戦を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所、車輌2台を破壊、戦闘員6人を殺害した。

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マダー・プレス(7月1日付)は、内務省筋の話として、バグダード県北部のマシャーヒド地区で、イラク軍および義勇兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、義勇兵2人が死亡、5人が負傷、ダーイシュ戦闘員3人が負傷したと報じた。

ヨルダンの動き

ヨルダンのジハード主義潮流の理論家アブー・ムハンマド・マクディスィー氏(本名イサーム・バルカーウィー)は、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立について「きちんと目を通していない…。イラク・シャーム・イスラーム国を自称していた組織は私に危害を与えるものではないが…、時間を割いて批判するまでもなかろう…。時期尚早にことを急いだ者は、自らの禁忌を罰せられる」と消極的な姿勢を示した。

『ハヤート』(7月2日付)が伝えた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年7月1日)

ARA News(7月1日付)は、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首がイラク・クルディスタン地域の独立を是非に関して、クルディスタンの複数のメディアに対し、「民族国家の時代は終わった」と述べたと報じた。

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民主統一党幹部のフサイン・クージャル氏はフェイスブックで、イラク・クルディスタン地域の独立に反対の意思を表明した。

一方、民主統一党欧州広報委員会のイブラーヒーム・イブラーヒーム氏は、ARA News(7月1日付)に、イラク・クルディスタン地域の独立の是非に関して、「党ではなく個人の見解」だと前置きしたうえで、「南クルディスタン(イラク・クルディスタン)のクルド人民の意思、そして彼らが決めることを我々は支持する」と述べた。

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イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領は、BBC(7月1日付)に対し、「イラクは現在、事実上分裂している」としたうえで、「クルディスタン独立の是非を問う国民投票を行う日にちを確定するため、クルディスタン地域議会と現在折衝中だ…。国民投票日の決定には数ヶ月を要しないだろう」と述べた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、BBC, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(旧イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月30日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言にもかかわらず、ブーカマール市でダーイシュとシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

また、ARA News(6月30日付)によると、ダーイシュがブーカマール市各所を迫撃砲で攻撃し、複数の市民が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アフタリーン市周辺、マスウーディーヤ村周辺、バールーザ村周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)が、クルド人戦線旅団やジハード主義武装集団と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マイダアー町にあるダーイシュ(イスラーム国)本部にイスラーム軍が突入、イスラーム軍戦闘員、広報関係者ら7人の遺体を発見した。

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Reuters, June 30, 2014
Reuters, June 30, 2014

ロイター通信(6月30日付)などによると、ラッカ県ラッカ市では、29日のカリフ制樹立と、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のイスラーム・カリフ制樹立を祝うパレードがダーイシュ戦闘員らによって行われ、その写真がインターネット上に公開された。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、イラク軍がトゥーズ郡の複数の村にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員19人を殺傷した。

またイラク・クルディスタン地域ペシュメルガは、バシーラ村でダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員数十人を殺害したという。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、カーイム市、ルトバ市、アーナ市、ラーワ市、ウバイディー市一帯で、イラク軍がダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員7人を殺害、9人(いずれも外国人)を逮捕した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、ティクリート市北部のスパイカー軍事基地近郊でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

レバノン国内の動き

バアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、29日のダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立に関して「全面的に支持する」としたうえで、カリフに就任したアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した。

諸外国の動き

ロシア外務省は、ロシア・イラク政府間の合意に従い、攻撃用戦闘機Su-25を5機の納品を完了したと発表した。

イタルタス通信(6月30日付)が伝えた。

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、シリア政府の管理下にないシリア産の原油の輸出入が違法であることを改めて確認し、ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線によるシリア産石油の密売と取引を禁止する国連決議の採択を呼びかけた。

『ハヤート』(7月1日付)が伝えた。

AFP, June 30, 2014、AP, June 30, 2014、ARA News, June 30, 2014、Champress, June 30, 2014、al-Hayat, July 1, 2014、Itar-tass, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 30, 2014、al-Mada Press, June 30, 2014、Naharnet, June 30, 2014、NNA, June 30, 2014、Reuters, June 30, 2014、SANA, June 30, 2014、UPI, June 30, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月29日)

イスラーム・カリフ制樹立、イスラーム国建国

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官(元シャームの民のヌスラ戦線報道官)は音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=AycoYAdtmFs)を出し、「名望家、指導者、司令官からなるアフル・ハッル・ワ・アクドおよびシューラー評議会によって代表される国家(ダーイシュ)は、イスラーム・カリフ制樹立、ダーイシュの指導者アブー・バクル・バクダーディー氏のイスラーム教徒の国家のカリフへの就任と同氏への忠誠を決定し、同氏はこの忠誠を受け入れ、イスラーム教徒のイマーム、カリフとなった」と発表した。

またアドナーニー報道官は「イラクとシャーム」という名を廃し…、本声明よりイスラーム国家を名乗る」と付言、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)」という組織名を改め、「イスラーム国」を名乗ると発表した。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', June 29, 2014
Kull-na Shuraka’, June 29, 2014

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ハーフィル市およびバーブ市で、男性8人を「覚醒評議会」(反体制武装集団のこと)に所属していた罪で、広場で貼り付けにしたうえ、処刑した。

またスマート・ニュース(6月29日付)は、シャームの民の合同作戦司令室が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の県北部での攻勢がシリア軍によるマクバラ村とラフマーニーヤ村攻略を後押しする動きだと批判している、と報じた。

同報道によると、ヌスラ戦線などからなるシャームの民の合同作戦司令室は、29日にシリア軍との戦闘の末、ラフマーニーヤ村を奪還していた。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)本部一帯をシリア軍が3度にわたって空爆した。

これに対して、ダーイシュは第17師団基地を砲撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(6月29日付)によると、ラッカ市内のマカッス検問所で、ダーイシュが、男性11人を「民間人を徴兵し、国防隊に協力した」容疑で拘束した。

ARA News, June 29, 2014
ARA News, June 29, 2014

またARA News(6月29日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の女性部隊「ハンサー大隊」が、「組織の法に反した女性」の追跡を行い、少女1人を拘束した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハムーリーヤ市周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム軍(イスラーム戦線)が交戦した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ダマスカス郊外県でダーイシュとジハード主義武装集団が交戦するのはこれが初めてだという。

また両者の戦闘は、シリア軍が攻略を進めるムライハ市郊外でも発生したという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が対立するブサイラ市(ダーイシュが制圧中)各所をシリア軍が空爆した。

シリア軍はまたダーイシュが占拠するカスラ村に対しても空爆を行った。

また、ARA News(6月29日付)によると、ブーカマール市で、ダーイシュとヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、4人が死亡した。

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シリア人権監視団は、2014年1月3日以降のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団のシリア各地での戦闘による死者数が、5,641人に達したと発表した。

このうち605人が民間人の犠牲者、ダーイシュ戦闘員の死者が2,196人、それ以外の武装集団の死者が2,764人。

またダーイシュによる処刑者は68人、またダーイシュの本部などで発見された身元不明の遺体が76体にのぼるという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、イラク軍部隊がティクリート大学周辺地域からイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を掃討、同地を解放した。

これに対し、ダーイシュはイスハーキー地方で、サーマッラー市警察の高官の邸宅3件を爆破し、家族6人を拉致した。

またシャルカート郡北部では、軍の士官1人を含む軍・治安部隊隊員20人を拉致した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、キルクーク市南部のタマース地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク・クルディスタン地方ペシュメルガが交戦し、ダーイシュ戦闘員1人が死亡、双方に14人の負傷者が出た。

またバシーラ村のトルクメン人義勇兵数十人が、同村を占拠するダーイシュと交戦したが、10人がダーイシュによって殺害された。

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バービル県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方での2日間にわたるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘で、ダーイシュ戦闘員70人を殺害した。

また治安部隊は、イスカンダリーヤ地方でダーイシュの車列を要撃し、車2台を破壊、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、過去24時間でイラク軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員14人を殺害、車輌51台を破壊、また軍ヘリコプターによる攻撃が102回に及んだと発表した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月29日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関する捜査で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアブドゥッサラーム・ウルドゥンニーを名乗る活動家をレバノンのアミールに任命したとの情報を捜査当局が掴んだと報じた。

LBCIによると、捜査当局は、アブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)への取り調べにより、このウルドゥンニー氏が、レバノン人仲介者のマズハル・ハサン氏を教練し、彼を介して、シュナイフィー容疑者とドゥロイ・ホテルで自爆したアブドゥッラフマーン・フマイキー氏がトルコのイスタンブール経由で送り込まれたことが明らかになったという。

AFP, June 29, 2014、AP, June 29, 2014、ARA News, June 29, 2014、Champress, June 29, 2014、al-Hayat, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 29, 2014、LBCI, July 29, 2014、al-Mada Press, June 29, 2014、Naharnet, June 29, 2014、NNA, June 29, 2014、Reuters, June 29, 2014、SANA, June 29, 2014、SMART News, June 29, 2014、UPI, June 29, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月28日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団は、ダイル・ザウル県で戦闘を続けるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が「県内での停戦に向けた非公式交渉」を行っていると発表した。

しかし同監視団によると、シュアイタート地方からヌスラ戦線が拠点を置くブサイラ市郊外シュハイル村に、100台からなるダーイシュの車輌が入ったことを受け、シュアイタート地方で活動する武装集団は停戦を拒否する姿勢を示したという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がブーカマール市に増援部隊を派遣、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

ヌスラ戦線らは、市内の複数カ所に検問所を設置し、外出禁止令を発し、ダーイシュに武器引き渡しと、市外への退去を要求しているという。

これに対し、ダーイシュはブサイラ市郊外のクーア・イタール地方を砲撃した。

またマヤーディーン市で未明に、大きな爆発が2回発生した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、シリア軍が、ダーイシュとヌスラ戦線などが争奪戦を続けるブサイラ市を空爆した。

この空爆において、シリア軍はダーイシュの本部などを攻撃したが、女性、子供を含む10人が負傷した。

シリア軍はまた、ハトラ村、マズルーム村に対しても同様の空爆を行った。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市郊外で、シリア軍と国防隊が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)および部族民兵と交戦し、5つの村を制圧した。

軍はまた同地一帯を砲撃し、ダーイシュ戦闘員11人が死傷、また戦闘でシリア軍側も6人が死傷した。

このほか、アブー・カサーイブ村とハッラーブ・アスカル村間で爆発が発生した。爆発の原因は不明。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市内の市場で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、数十人が死傷した。

この爆弾テロに関して、反体制活動家はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の犯行だと疑っているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するバーブ市郊外のアアブド村をシリア軍が砲撃し、子供2人が死亡した。

またダーイシュが包囲するフライターン市周辺をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、アイン・アラブ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が地元名士らとの交渉の末、拘束していた学生15人を解放した。

このほか、シャフバー・プレス(6月28日付)は、フライターン市郊外のカースティールー街道検問所で2013年11月に拘束された反体制記者のムアイイド・サッルームがダーイシュによって処刑されたと報じた。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が包囲する第17師団基地周辺をシリア軍が空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、ダーイシュがラッカ市郊外のマアダーン地方で住民に対して、7歳から14歳の子供をラマダーン月の「イスラーム教教育」のためにキャンプに差し出すよう呼びかけた。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がモスル市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点複数カ所を5回にわたり空爆した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍によるマンスーリーヤ地方での掃討作戦で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とナクシュバンディー教団戦闘員40人が死亡し、車輌20台が破壊された。

一方、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方での戦闘では、イラク軍、部族民兵の兵士18人が死傷した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員37人が死傷した。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がファッルージャ市北部のハーミディーヤ地方にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点を攻撃市、ダーイシュ戦闘員6人を殲滅した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍部隊がティクリート市内に2方面から突入し、南部および西部の地区の一部を制圧した。

またサーマッラー市南西部のラッカ地方では、イラク軍とダーイシュが交戦し、ダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月28日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関連して逮捕されたアブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)が、レバノンの捜査当局の取り調べに対して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシリアやイラクで石油を密売し、テロ活動のための資金を得ていると証言した、と報じた。

AFP, June 28, 2014、AP, June 28, 2014、ARA News, June 28, 2014、Champress, June 28, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 28, 2014、LBCI, June 28, 2014、al-Mada Press, June 28, 2014、Naharnet, June 28, 2014、NNA, June 28, 2014、Reuters, June 28, 2014、SANA, June 28, 2014、Shahba Press, June 28, 2014、UPI, June 28, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月26日追記)

シリア軍ヘリコプターによるカーイム市空爆に関して、イラクのヌーリー・マーリキー首相はBBC(6月26日)に対して、対シリア国境のダーイシュ拠点を空爆したことを明らかにした。

マーリキー首相はこの空爆がイラク軍との連携によるものではないとしつつ、「シリアによる空爆はいつでも歓迎する」と表明した。

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ハサカ県では、ARA News(6月27日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線が、マルカダ市とラカーウィー市を結ぶ橋に爆弾を仕掛け爆破した。

爆破はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員を狙ったものだったがダーイシュ側に死傷者はなかった。

ARA News, June 27, 2014、BBC, June 26, 2014をもとに作成。

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イラク・シャームのイスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月26日)

シリア国内の動き

イスラーム戦線を主導するイスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官は、ダマスカス郊外県東グータ地方内の某所で反体制活動家や反体制記者らを前に記者会見を行い、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との徹底抗戦を誓約した。

アッルーシュ司令官は、25日に東グータ地方でシャームの民のヌスラ戦線などとともに設置した統一司法評議会に関して、「発足に際してダーイシュに連絡をとったが、回答はなかった」と述べ、「我々は東グータ地方の住民にこの見にくい悪党どもから離反するよう呼びかけている」と述べた。

そのうえで、アッルーシュ司令官は、イスラーム軍がイドリブ県、ダイル・ザウル県でダーイシュと戦っていると述べるとともに、他の武装集団とのコンセンサスのもとダマスカス郊外県でもダーイシュとの戦闘を開始したことを明らかにした。

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シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム軍などからなる統一司法評議会は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイスラーム戦線、イスラーム連合、ラフマーン旅団、シャームの民のヌスラ戦線の指導者、メンバーに背教宣告をしたと避難、「ダーイシュは法的にも知覚的にも国家としての要素を有しておらず、国家としては承認しない。ゆえに、我々はお前たちに、この「国家」の解体を宣言する明確な声明を出すよう求める」と宣言した。

また統一司法評議会は別の声明で「イスラーム教徒に流血をもたらした件でこの集団(ダーイシュ)はアッラーの裁定、すなわちアッラーのシャリーアのもと裁定に服させねばならず、東グータ地方で活動する同組織(ダーイシュ)は、自らの呼称から「国家」という語を削除せねばならない」と主張した。

さらに統一司法評議会は声明で、ダーイシュに対して、①東グータ地方で活動する組織に対する姿勢の明示、②組織の解体、③統一司法協議会の承認、を求めていたとしたうえで、回答のために与えていた猶予期間が終了したと宣言した。

また声明において、統一司法評議会は、ダーイシュのメンバーに対して評議会への出頭、改悛の意思表明を通じて、ダーイシュからの離反を要求した。

一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は、ヌスラ戦線、イスラーム軍などからなる統一司法評議会の声明に対して、「アッラーの法ではない」と一蹴した。

『ハヤート』(6月27日付)が伝えた。

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ダイル・ザウル県で活動する自由シリア軍事評議会のイスマーイール・ムッラー・アミール副司令官はAKI(6月26日付)に対して、自身がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によって殺害されたとの一部報道を否定するとともに、ダーイシュに忠誠を尽くした同評議会士官らが「ムーハサン市住民を裏切った」と批判した。

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イスラーム戦線を主導するイスラーム軍は、21日にダマスカス郊外県ザマルカー町でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の前筆頭カーディーのアナス・クワイディル氏(アブー・ハマーム)が暗殺された事件に関して、東グータ地域で活動するダーイシュのシャリーア学者の一人アブー・アッバース・トゥーニスィー氏が電話での会話でダーイシュの関与を否定したと発表、その音声データをユーチューブ上で公開した。

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ダイル・ザウル県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、「自由シリア軍」とジハード主義武装集団がダイル・ザウル市郊外のダイル・ザウル航空基地周辺の拠点複数カ所から撤退、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が同地を制圧、航空基地に駐留するシリア軍に対して砲撃を加えた。

またダーイシュは、シャームの民のヌスラ戦線などからなるムジャーヒディーン・シューラー評議会が占拠するドゥマーン村、マーシフ村、タキーヒー村を戦闘の末に制圧するとともに、ハリージー村に無血入城した。

これに対して、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団は、ダーイシュが占拠するブサイラ市を砲撃、これにより男性1人とその妻、孫2人の合わせて4人が死亡した。

一方、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区では、シリア軍とヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦、またブーライル村郊外の砂漠地帯でヌスラ戦線戦闘員が、爆弾が仕掛けられた車に発砲、爆破した。

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ラッカ県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ラッカ市郊外のシリア軍第17師団拠点複数カ所を砲撃し、軍兵士複数が死傷した。

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アレッポ県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、アフタリーン市郊外のバールーザ村、マスウーディーヤ村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイスラーム戦線と交戦した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、アラム地方に進入していたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はティクリート市クスール地区大統領宮殿方面への撤退を開始した。

これを受け、イラク軍ヘリコプターが大統領宮殿一帯を空爆した。

またティクリート病院の医療筋によると、同病院で治療を受けていたダーイシュ戦闘員50人以上が、命令を受けて撤退(撤退先は不明)したという。

一方、アフマド・アブドゥッラー・ジャブーリー県知事によると、イラク軍は空挺作戦を実行し、ダーイシュによって占拠されていたティクリート大学キャンパスを奪還した。

またティクリート市北部のカーディスィーヤ地区へのイラク軍の空爆で、民間人4人が死傷した。

このほか、サーマッラー市北部のラサース川をわたって潜入しようとしたダーイシュの狙撃手3人を治安部隊が射殺した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、バイジ製油所(サラーフッディーン県)に近接するフワイジャ郡ザルバート村のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)拠点をイラク軍が空爆し、ダーイシュ戦闘員5人を含む13人を殺害した。

またキルクーク市南部のバシール村近郊をダーイシュが砲撃し、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガ隊員5人が死傷した。

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ニナワ県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、モスル市南部のハマーム・アリール地方にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点をイラク軍ヘリコプターが空爆し、8人が死傷した。

ダーイシュはまた、モスル市内のハドバー警察署を破壊した。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、ラマーディー市南部のタアミーム地区でイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

またイラク軍部隊が、ダーイシュによって占拠されていたラマーディー市南部のドゥッバート地区を解放した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が数時間にわたって占拠したが、治安部隊がこれを解放した。

ダリー・アッバース地方の戦闘ではダーイシュ戦闘員5人が死亡、またダーイシュが警官1人を処刑した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、軍、警察、民兵の合同部隊がイスカンダリーヤ地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討を行い、ダーイシュ戦闘員15人を殺害、逮捕した。

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ヌーリー・マーリキー首相は、BBC(6月26日付)に対して、ロシア、ベラルーシから中古のスホーイ戦闘機複数機を購入したと明かす一方、米国がF-16戦闘機36機の供与を遅らせていることが事態混乱につながっていると批判した。

AFP, June 26, 2014、AKI, June 26, 2014、AP, June 26, 2014、ARA News, June 26, 2014、BBC, June 26, 2014、Champress, June 26, 2014、al-Hayat, June 27, 2014、Kull-na Shuraka’, June 26, 2014、al-Mada Press, June 26, 2014、Naharnet, June 26, 2014、NNA, June 26, 2014、Reuters, June 26, 2014、SANA, June 26, 2014、SMART News, June 26, 2014、UPI, June 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月25日)

シリアの反体制勢力の動き

シリア人権監視団によると、シリアのダイル・ザウル県ブーカマール市で活動するシャームの民のヌスラ戦線所属の「ジュヌード・ハック」は24日深夜から25日未明にかけて、イラクのニナワ県ラビーア地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に忠誠を誓った。

これに関して、ダーイシュ(ヒムス州)はツイッター(https://twitter.com/homs_isis)で「アッラーのおかげで、ブーカマール市は戦闘なくしてダーイシュ(イスラーム国)の支配下に入った。アッラーのおかげで、同地では、(アブー・ムハンマド・)ジャウラーニーの戦線(ヌスラ戦線)がイラク・シャーム・イスラーム国に忠誠を誓った」と綴った。

またダーイシュを支持するアブー・ハフス・アサリー氏もツイッター(https://twitter.com/abohafsalathare)で、ダーイシュの司令官のひとりウマル・シーシャーニー氏とヌスラ戦線の報道官アブー・ユースフ・ミスリー氏が握手を交わす写真を公開した。

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これに関して、AFP(6月25日付)は、複数の活動家の話として、ヌスラ戦線(ミスリー報道官)によるダーイシュへの忠誠は、ダイル・ザウル県内で共闘していたヌスラ戦線とそれ以外の武装集団(部族など)の関係悪化と内部対立をもたらしていると報じた。

シリア政府の動き

SANA(6月25日付)は、24日にシリア軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するイラクのアンバール県カーイム市を空爆したとの報道に関して、報道筋の話として「事実無根」と否定した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するラッカ市の複数カ所(ダーイシュの本拠地周辺)をシリア軍が空爆し、女性1人、子供1人を含む12人が死亡した。

またシリア軍地上部隊がラッカ市各所で重火器による攻撃を行った。

諸外国の動き

米国家安全保障会議のベルナデット・ミーハン報道官は、24日にシリア軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するイラクのアンバール県カーイム市を空爆したことに関して「イラクが直面する脅威の解決策は、ダーイシュを最初に繁栄させたアサド政権による介入ではない…。イラクの安全保障に対する挑戦の解決策は、民兵や残忍なアサド政権を関与させることではなく、イラクの治安部隊を強化することにある」と述べた。

AFP(6月25日付)が伝えた。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月25日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ティクリート市北東部のハムリーン地区にあるアジール油田を制圧した。

またテロ撲滅部隊筋によると、ダーイシュが侵入したバイジ製油所の警備に当たっていた部隊80人が降伏後も、テロ撲滅部隊の大佐が率いる部隊員25人が製油所の制圧を阻止するため抵抗を続ける一方、イラク軍はヘリコプターが同地一帯を空爆、増援部隊を派遣、武器弾薬を補給したという。

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ニナワ県では、マダー・プレス(6月25日付け)によると、モスル市東部のカッラ・クーシュ村に接近しようとしたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク・クルディスタン地域ペシュメルガが交戦し、撃退した。

またダーイシュは未明、トルクメン人が多く住むシュライハーン村とクッバ村に進軍し、フサイニーヤ2カ所を破壊、村の青年数十人を一時拘束した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月25日付け)によると、ジュルフ・サフル地方で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員6人を殺害、武器庫と爆弾製造所を発見・破壊した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、アンバール県各所で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討を続け、ダーイシュ戦闘員34人を殺害、車両12台を破壊したと発表した。

またアター大将はサラーフッディーン県ティクリート市一帯などでもダーイシュ戦闘員25人を殺害、車両13台を破壊したと付言した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月25日付)によると、フワイジャ郡マーフーズ村近郊で、「フワイジャ解放大隊」がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車を銃撃し、ダーイシュ戦闘員3人を殺害した。

これに対して、ダーイシュは報復として、フワイジャ解放大隊メンバー2人を拉致、連行したという。

またダーイシュは、フワイジャ覚醒評議会の司令官1人を含む4人をハワーイジュ村に連行し、銃殺処刑した。

AFP, June 25, 2014、AP, June 25, 2014、ARA News, June 25, 2014、Champress, June 25, 2014、al-Hayat, June 26, 2014、Kull-na Shuraka’, June 25, 2014、al-Mada Press, June 25, 2014、Naharnet, June 25, 2014、NNA, June 25, 2014、Reuters, June 25, 2014、SANA, June 25, 2014、UPI, June 25, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月24日)

イラク国内の戦況

『ハヤート』(6月25日付)は、シリア軍戦闘機が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠する対シリア国境の都市カーイム市(アンバール県)内の市場を空爆した。

シリア東部の複数の活動家によると、シリア軍の空爆は、カーイム市を占拠するダーイシュに対するイラク政府の掃討作戦を支援するかたちで行われ、これにより45人が死傷したという。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、アンバール県でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によって占拠されたトゥライビール国境通行所、ワリード国境通行所をイラク軍が奪還したと発表した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月24日付)によると、サーマッラー市北部のジャッラーム地方で、イラク軍が地上部隊とヘリコプターを動員して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員40人を殲滅した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月24日付)によると、イラク軍と警察からなる合同部隊が、イスカンダリーヤ地区、ジュルフ・サフル地区でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員24人を殺害、爆弾製造工場を破壊した。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月24日付)によると、ファッルージャ市東部入口、ザガーリード村で、イラク軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の狙撃手らを殺害した。

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ニナワ県では、マダー・プレス(6月24日付)によると、モスル市内にあるシャイフ・ファトヒー廟をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が破壊した。

シリア国内の動き

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県ブーカマール市で活動するジハード主義武装集団の戦闘員が声明を出し、同地の反体制武装集団が「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に忠誠を誓ったとのすべての噂と無関係」だと主張した。

またこれらの武装集団は、ブーカマール市で活動するシャームの民のヌスラ戦線に対して、「ブーカマール市でダーイシュとヌスラ戦線の協調関係が存在するとの報道を受けるかたちで、ヌスラ戦線はダーイシュへの明確な姿勢を発表」するよう求めた。

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ザマーン・ワスル(6月24日付)は、ダマスカス郊外県東グータ地方に潜伏していたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、シリア政府に対する反体制運動から「完全撤退した」と報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するムーハサン市各所で、ダーイシュとシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がラッカ市ジャズラ地区で、男性2人を「道路封鎖し、地区住民の財産を奪った」罪で処刑した。

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アレッポ県では、スマート・ニュース(6月24日付)によると、ガイトゥーン村でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が子供1人を殺害した。

またマスウーディーヤ村では、ダーイシュと「自由シリア軍」が交戦した。

AFP, June 24, 2014、AP, June 24, 2014、ARA News, June 24, 2014、Champress, June 24, 2014、al-Hayat, June 25, 2014、Kull-na Shuraka’, June 24, 2014、al-Mada Press, June 24, 2014、Naharnet, June 24, 2014、NNA, June 24, 2014、Reuters, June 24, 2014、SANA, June 24, 2014、SMART News, June 24, 2014、UPI, June 24, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月23日追記)

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月24日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するムーハサン市で活動していた自由シリア軍事評議会の士官を、シャームの民のヌスラ戦線(ムジャーヒディーン・シューラー評議会)が処刑した。

ヌスラ戦線のツイッター・アカウントによると、処刑されたのは「アブー・ハールーン」を名乗る離反中尉で、最近になってダーイシュに加入し、ダーイシュのムーハサン市制圧に参加していたという。

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Kull-na Shuraka', June 23, 2014
Kull-na Shuraka’, June 23, 2014

ダイル・ザウル県で活動するジハード主義武装集団のムジャーヒディーン・シューラー評議会(シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団によって構成)は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のムーハサン市制圧に際して、自由シリア軍事評議会のメンバーが離反し、ダーイシュに忠誠を誓ったとの情報について、「ユーフラテス川およびハーブール川のイスラーム教徒部族の分断を狙った」プロパガンダと批判しつつ、「(アブー・バクル・)バグダーディーに忠誠を誓った者どもは…ダイル・ザウル航空基地解放のための資金を略奪した者ども」で、「処罰を逃れるために…ダーイシュに与した」と批判した。

 

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チュニジアのルトフィー・ベンジッドゥー内務大臣は国会で、シリア国内で活動するジハード主義武装集団に参加しているチュニジア人の数が2,400人に達し、うち8割がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に参加していると答弁した。

ベンジッドゥー内務大臣はまた、治安当局がシリアに戦闘目的で不法入国を試みようとしていたチュニジア人8,800人の出国を阻止してきたと強調した。

ARA News, June 24, 2014、al-Hayat, June 25, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月23日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月23日付)によると、ティーム油田を掌握していた自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会がダーイシュに「忠誠」を誓い、ダーイシュが同油田を再制圧した。

ティーム油田は、22日にシャームの民のヌスラ戦線、ムジャーヒディーン・シューラー評議会などからなるジハード主義武装集団の襲撃を受けていたが、これらの武装集団は油田地帯から撤退したという。

また、シリア人権監視団によると、ダーイシュは、フシャーム町、タービヤト・ジャズィーラ村一帯を「軍事地区」に指定し、住民に退去を要請した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市東部のタッル・マディーク村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

また両者はアフタリーン市周辺でも交戦、ダーイシュがヌスラ戦線などに対して砲撃を行った。

さらにSMART News(6月23日付)によると、タッル・シャイール村では、クルド人戦線旅団がダーイシュと交戦の末、ダーイシュ戦闘員8人を殲滅し、同村を制圧した。

戦闘には、北の太陽大隊、イスラーム軍も参加し、クルド人戦線旅団を支援した。

なお戦闘に先立ち、ダーイシュはアレッポ市と対トルコ国境のラーイー村を結ぶ街道に位置するアブラ村、タッル・ジージャーン村、カッサール村、サルサーナ村、サラースィーナ村、バールーザ村を制圧したという。

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ARA News, June 23, 2014
ARA News, June 23, 2014

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が制圧するラッカ市内のユーフラテス川推理管理局ビルをシリア軍が空爆し、5人が死亡した。

イラク国内の戦況

ジョン・ケリー米国務長官がイラクを訪問し、ヌーリー・マーリキー首相、ホシェル・ゼバリ外務大臣らと会談し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻勢への対応などについて協議した。

AP(6月23日付)は、イラクの複数の高官の話として、マーリキー首相はケリー国務長官に対し、米軍によるシリア領内のダーイシュの拠点、基地、車両を空爆するよう要請した、と伝えた。

しかしケリー国務長官は、民間人を巻き込み兼ねない空爆によって、米軍が「スンナ派を標的にしている」との非難を受けかねないとして、慎重な姿勢を示したという。

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アンバール県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍参謀委員会東部戦線元司令官でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のブーカマール地区アミールのサッダーム・ジャマル氏が率いるダーイシュ部隊が、シリアのダイル・ザウル県ブーカマール市郊外の砂漠地帯(カム地方)からイラクのアンバール県カーイム地方に進入した。

シリア人権監視団によると、カーイム地方でのイラク軍とダーイシュの戦闘激化を受けて、イラク領内から多数の避難民がシリアのダイル・ザウル県ブーカマール市に流入した。

また、同監視団によると、カーイム地方でイラク国境警備隊が拘束・興隆していたシリア人戦闘員、密輸業者、民間人の遺体約30体が発見された。

彼らは、イラク国境警備隊がカーイム市から撤退する際に処刑したものと思われる。

一方、『ハヤート』(6月24日付)によると、カーイム国境通行所に続いて、ダーイシュが対シリア国境のワリード国境通行所と対ヨルダン国境のトゥライビール国境通行所を掌握した。

イラク治安筋によると、ダーイシュはまた対サウジアラビア国境に位置するアルアル国境通行所の制圧も試みているという。

これに関して、アンバール県議会のファーリフ・イーサーウィー副議長はマダー・プレス(6月23日付)に、「トゥライビールは国防省が制圧している」と述べ、ダーイシュによるトゥライビール国境通行所制圧を否定する一方、ワリード国境通行所についてはイラク軍が技術的撤退を行ったと述べ、ダーイシュによって制圧されたことを認めた。

他方、マダー・プレス(6月23日付)によると、イラク軍と部族民兵からなる合同部隊が、ファッルージャ市東部のカルマ郡、同市南部のヌアイミーヤ地方などでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員32人を殺害、車両16台を破壊した。

またイラク軍はハディーサ郡とアンバール県南部を結ぶフジャイミー橋を破壊した。

ダーイシュの東進を阻止するのが目的だという。

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ワースィト県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、サラーフッディーン県サーマッラー市奪還をめざすイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が県内各所で交戦し、ダーイシュ20人以上が死亡した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、アクラブ刑務所から収監者を乗せて移動中の車両をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃し、乗っていたダーイシュ・メンバーら22人が殺害された。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、イラク軍がヤアクーバ市北部のアズィーム地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦、ダーイシュ戦闘員6人を殲滅し、同地を奪還した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、アラム地区での戦闘の逃れて、フワイジャ郡に避難しようとしていた住民57人がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に拉致された。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、SMART News, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月22日追記)

イスラーム戦線に所属するイスラーム軍報道官のアブドゥッラフマーン大尉はツイッターで、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「革命家たちの首都ダマスカスへの進軍を頓挫させようと計画している」と綴った。

Kull-na Shuraka', June 22, 2014
Kull-na Shuraka’, June 22, 2014

アブドゥッラフマーン大尉はまた、アレッポ県の対トルコ国境地帯でのダーイシュの攻勢について「ジハードを腐敗させた」と非難するとともに、ハサカ県やダイル・ザウル県での攻勢によって「革命家の南北の兵站路が寸断された」と述べた。

Kull-na Shuraka’, June 22, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月22日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が対トルコ国境のアアザーズ市近郊に位置するアクサール村とマアラーン村で、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、両村を制圧した。

これに対して、軍はフライターン市、ジャバル・アッザーン村、バラース村、アッサーン村、アブティーン村・ハーディル村分岐点、バヤーヌーン町を「樽爆弾」などで空爆した。

なお同監視団によると、この戦闘で、米国製のハンヴィー(HMMWV:High Mobility Multipurpose Wheeled Viechle、高機動多用途装備輪車両)が初めて使用されたという。

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ハサカ県では、ARA News(6月22日付)によると、シリア軍が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によって占拠されているカーミシュリー南部のタッル・ハミース村、タッル・ブラーク町などを砲撃した。

またこれを受け、カーミシュリー市ハラーリーヤ地区に何者かが撃った迫撃砲弾2発が着弾した。

これに関して、SANA(6月22日付)は、カーミシュリー市郊外のタッル・サティーフ村、タッル・ハミース村にある「テロリスト」の拠点を軍が攻撃し、武器庫を破壊したと報じた。

また、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がカッリー・バッリー村近郊で交戦した。

またハブーワ村、カッリー・マルキー村一帯に展開していたダーイシュは、人民防衛隊の攻勢を受け撤退、さらにムハンマド・ズィヤーブ村では、人民防衛隊がダーイシュの車列を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ザウル市とハトラ村を結ぶユーフラテス川の中州ハウィージャト・サクルの通行所を閉鎖した。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がヨルダン国境に近いラトバ郡、カーイム市のリン酸塩工場を制圧した。

制圧に際して、イラク軍との戦闘はなかったという。

一方、ラマーディー市北東部のマーヒディーヤ地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と治安部隊が交戦、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

またイラク内務省によると、ファッルージャ市のサクラーウィーヤ橋でイラク軍第8師団がダーイシュの司令官ハーミド・イスマーイール・スバイヒー氏を含む4人を殺害することに成功した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、ティクリート市東部に対するイラク軍ヘリコプターの空爆で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員32人が死亡した。

また、ドゥジャイル郡南部のナバーイー地方で、部族(スンナ派)民兵がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

さらに、アラム地区では、イラク軍と部族民兵の合同部隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員2人を殺害、3人を逮捕した。

なおこの戦闘で、サラーフッディーン県女性問題担当顧問のナージー・ジャッバーラ氏も死亡した。

このほか、サーマッラー市・バラド市を結ぶ街道で、ダーイシュとの戦闘によって殺害された治安部隊および義勇兵の遺体17体が発見された。

一方、トウズ・フールマートゥー郡のシャッラール・アブドゥール首長は、同郡でのイラク・クルディスタン地域ペシュメルガとダーイシュの戦闘で、ペシュメルガ戦闘員2人、ダーイシュ戦闘員14人を含む21人が死亡した、と発表した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、県北部のイスカンダリーヤ地区で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員9人を殺害した。

またジュルフ・サフル地区各所での戦闘でもダーイシュ戦闘員25人が死亡したという。

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イラク内務省は、サラーフッディーン県アズィーム村郊外で、対空兵器を搭載したサウジ・ナンバーの車輌複数台をイラク軍第5機械化師団の部隊が攻撃、破壊したと発表した。

AFP, June 22, 2014、AP, June 22, 2014、ARA News, June 22, 2014、Champress, June 22, 2014、al-Hayat, June 23, 2014、Kull-na Shuraka’, June 22, 2014、al-Mada Press, June 22, 2014、Naharnet, June 22, 2014、NNA, June 22, 2014、Reuters, June 22, 2014、SANA, June 22, 2014、UPI, June 22, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月21日)

シリア国内の動き

Syria Newsdesk(6月21日付)は、フサーム・ムハンマドを名のるラッカ県の市民活動家の話として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が治安当局元士官2人を解任し、外国人戦闘員を後任として任用している、と報じた。

同報道によると、解任された2人は、離反士官で、当初は自由シリア軍のメンバーだったが、その後、ダーイシュに参加していたという。

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県で活動する反体制武装集団のブラーク大隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対し、今後は抵抗せず、ダイル・ザウル航空基地制圧のためにシリア軍との戦闘に専念する旨、告知した。

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ハサカ県では、ARA News(6月21日付)によると、シリア軍ヘリコプターが前日に引き続き、タッル・ハミース村、タッル・ブラーク町などのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)拠点を空爆した。

また、カーミシュリー市空港に隣接するハラーリーヤ地区に迫撃砲が3発着弾した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月21日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するムーハサン市、ブー・ウマル村をシリア軍が砲撃し、「テロリスト」の武器弾薬庫を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が19日に拘束された「自由シリア軍」司令官3人の遺体がムーハサン市郊外のユーフラテス川岸で発見された。

遺体で発見されたのは、自由シリア軍ムーハサン地区軍事評議会のハサン・ハーフィズ副議長ら3人で、いずれもムーハサン市でダーイシュに拘束されていた。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がユーフラテス川沿いの対シリア国境に位置するカーイム市の国境通行所を制圧、同市を中心とするカーイム郡をほぼ完全に制圧した。

またダーイシュは同県西部のワーラ郡、アーナ郡を制圧した。

さらにラマーディー市西部のハディーサ郡に侵入を試みるダーイシュがイラク軍と交戦した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、トゥーズ・フールマートゥー郡・スライマーン・ベク村間で、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガとイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、ダーイシュ戦闘員多数が死亡した。

ペシュメルガ側にも複数の負傷者が出たという。

またイラク軍ヘリコプターがティクリート大学農学部内のダーイシュの拠点を空爆する一方、ダーイシュ戦闘員8人がアラム地方サムラ村を掌握した。

一方、バイジ製油所周辺でイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘が続いた。

このほか、サーマッラー市西部での掃討作戦で、治安部隊がダーイシュの司令官1人を逮捕した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、首都バグダードとバスラ市を結ぶ国際幹線道路に侵入、占拠を試みたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と治安部隊が交戦、ダーイシュ戦闘員5人を殲滅した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、ヤアクーバ市北東部のカッバーシー地方とマイヤーフ地方で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、戦闘員15人を殲滅した。

AFP, June 21, 2014、AP, June 21, 2014、ARA News, June 21, 2014、Champress, June 21, 2014、al-Hayat, June 22, 2014、Kull-na Shuraka’, June 21, 2014、al-Mada Press, June 21, 2014、Naharnet, June 21, 2014、NNA, June 21, 2014、Reuters, June 21, 2014、SANA, June 21, 2014、Syria Newsdesk, June 21, 2014、UPI, June 21, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月20日)

シリア政府の動き

ハサカ県では、ARA News(6月20日付)によると、シリア軍ヘリコプターが、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠しているタッル・ハミース村、タッル・ブラーク町を空爆した。

空爆と前後して、カーミシュリー市の空港、ハイムー村が砲撃を受けたという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「無血入城」したムーハサン市を軍が6回にわたって空爆し、女性2人を含む15人が死亡した。

シリアの反体制勢力の動き

ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(6月20日付)によると、ムーハサン市を占拠していた「自由シリア軍」がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と無血開城に合意して撤退、ダーイシュが同市を掌握した。

ダーイシュはまた、ムーハサン市とともに、ブー・ウマル村、ブー・ライル村にも無血入城した。

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イスラーム戦線シューラー評議会のアフマド・イーサー・シャイフ議長は、ツイッターでイラク人にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を信用するな、と警鐘を鳴らした。

シャイフ議長(イスラーム戦線所属のシャームの鷹旅団司令官)は「勝利のイラクにおける同胞よ、あなたたちに忠告しよう。たとえダーイシュがよいことをしたとしても彼らを信用するな。彼らは求愛しておきながら、その後どれだけ矛盾したことをしてきたことか」と綴った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の前筆頭カーディーのアナス・クワイディル氏(アブー・ハマーム)が武装した何者かに襲撃され、暗殺された。

これに関して、イスラーム軍は、ダーイシュによって粛清されたとの見方を示し、関与を否定しているという。

複数の活動家によると、クワイディル氏は、ダーイシュの振る舞いに異議を唱えて、ダーイシュを離反し、東グータ地方で活動するイスラーム戦線に身を寄せていたという。

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ARA News(6月21日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がラッカ県タッル・フドル村に残っていたクルド人農民を脅迫し、追放したと報じた。

イラク国内の戦況

ARA News(6月20日付)は、イラク・クルディスタン地域で活動するというシリア・クルド人戦闘員の話として、同地域内のシリア人避難民の多くが軍事教練を受け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘に動員されている、と報じた。

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ロイター通信(6月20日付)によると、「ジハードなくして命なし」とのタイトルで、インターネット上で公開されたビデオ映像において、英国出身のアブー・ムサンナー・ヤマニーを名乗る戦闘員を含む英国人3人とオーストラリア人2人が、イラクとシャームにおけるシャリーアの適用を呼びかけた。

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サラーフッディーン県治安筋によると、バイジ製油所一帯でのイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘で、軍兵士10人、ダーイシュ戦闘員10人が死亡した。

この戦闘でイラク軍はバイジ製油所周辺からダーイシュを放逐したという。

またイラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は、治安部隊がティクリート市南部のムウタリム村でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の浄化を完了したと発表した。

マダー・プレス(6月20日付)が伝えた。

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ニナワ県のフナイン・カッドゥー議員は、マダー・プレス(6月20日付)に、イラク軍と部族民兵の合同部隊はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘の末、タッルアラフ郡ほぼ全域を奪還したと述べた。

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ワースィト県警察は、サラーフッディーン県に派遣中の部隊が、イスハーキー市、サーマッラー市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘で、ダーイシュ戦闘員32人を殲滅、7人を逮捕したと発表した。

マダー・プレス(6月20日付)が伝えた。

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ディヤラ県消息筋によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠していたミクダーディーヤ郡、アズィーム村をイラク治安部隊が奪還、サラーフッディーン県に接する西部一帯をほぼ完全制圧した。

またイラク・クルディスタン地域ペシュメルガがヤアクーバ市北東のジャルーラー村でダーイシュと交戦、ダーイシュの狙撃手2人を殺害、同地を制圧した。

マダー・プレス(6月20日付)が伝えた。

諸外国の動き

デンマーク外務省はHPを通じて声明を出し、2013年5月17日にシリア国内で取材中に拉致されたデンマーク人カメラマンのダニエル・ラーイ・オトセン(Daniel Rye Ottosen)氏が解放されたと発表した。

ロイター通信(6月20日付)によると、オトセン氏は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と思われる戦闘員に拉致され、身代金を支払い解放されたという。

AFP, June 20, 2014、AP, June 20, 2014、ARA News, June 20, 2014、Champress, June 20, 2014、al-Hayat, June 21, 2014、June 22, 2014、Kull-na Shuraka’, June 20, 2014、al-Mada Press, June 20, 2014、Naharnet, June 20, 2014、NNA, June 20, 2014、Reuters, June 20, 2014、SANA, June 20, 2014、UPI, June 20, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.