シャーム解放機構のジャウラーニー指導者はシリア救国内閣、シューラー総評議会などとの会合で総合治安機関の再編、選挙の呼びかけなどを決定するとともに、退任を示唆(2024年3月12日)

シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者は、支配地の自治を委託しているシリア救国内閣(執行機関、行政機関に相当)の閣僚、シューラー総評議会(意思決定機関、立法機関に相当)のメンバー、部族評議会の代表らと会合を開いた。

会合は、支配地各所で続く抗議デモへの対応などについて協議するもので、革命ラジオ(https://t.me/RadioAlthawra/)やメディア活動家のムハンマド・ジャマール氏がテレグラムのアカウント(https://t.me/ammamai)を通じて明らかにしたところによると、以下7項目が決定された。


1. 解放区全般にかかる政策や戦略的決定を検討することへの関心、意見、そして専門知識を有する住民からなる最高諮問評議会の設置。
2. 総合治安機関のシリア救国内閣内務省所轄組織への再編。
3. 解放区におけるシューラー総評議会選挙の呼びかけ、選挙法の見直し、住民、各階層、住民活動の代表性の拡大、現地で活動する各執行(行政)機関の規律、効率性、健全性を実現するためのシューラー機関の監督機能の強化。
4. 苦情清算庁(ディーワーン)の設置
5. 最高監督機構の設置。
6. 経済政策の見直し。
7. 地元評議会、組合の役割の活性化。

会合において、ジャウラーニー指導者は、ダーイシュ(イスラーム国)との戦い、解放区統合に向けた動き、制度的環境整備に向けた取り組みの進捗についての詳細について説明したのち、以下の通り述べた。

権力をめぐる争いは存在しない。あなた方は、60、あるいは70%の大多数が、話を聞いてくれる人について合意できる。私もその人を支持する。私はその人に私が持っているものすべてを引き渡す。その人に解放区を指導してもらい、解放区を安全な場所へと導いてもらおう。もしあなた方がこの会合でその人を誰にするかに合意すれば、私はその人を支持する。私たちが話しかけることができる人を誰にするかに合意すれば、我々は妨げられることなく自らの路を進むことが義務となる。

イナブ・バラディー(3月13日付)が伝えた。

なお、シリア人権監視団によると、ジャウラーニー指導者は、支配地内で続く抗議デモに関して、レッドラインを踏み越えないよう警告した。


AFP, March 13, 2024、ANHA, March 13, 2024、‘Inab Baladi, March 13, 2024、Reuters, March 13, 2024、SANA, March 13, 2024、SOHR, March 13, 2024、 Syria TV , March 13, 2024などをもとに作成。

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