旬刊シリア情勢(2016年2月上旬)

1.シリア政府、リヤド最高交渉委員会双方が「前提条件」に固執し、ジュネーブ3会議が中断

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表とシリア政府の個別会談が延期される一方、最高交渉委員会の代表団はデミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表との会談で「人道面での進展」を要求(2016年2月1日)
ロシアのラヴロフ外相、「テロ組織」のイスラーム軍とシャーム自由人イスラーム運動のメンバーのジュネーブ3会議への個人参加を認める(2016年2月2日)
リヤド最高交渉委員会は、対話交渉の前提条件履行を求め、デミストゥラ共同特別代表との会談と中止(2016年2月2日)
シリア政府代表はデミストゥラ共同特別代表との会談を「間接対話に向けた準備段階」とみなし、「前提条件なし」の対話を主唱(2016年2月2日)
ロシアのラヴロフ外務大臣「テロ組織が根絶されるまで空爆が止むことはない」(2016年2月3日)
リヤド最高交渉委員会のヒジャーブ元首相「人道に関する諸要求が受け入れられまで、ジュネーブには戻らない」、イスラーム軍のアッルーシュ氏「現政権と統一政府を作ることは不可能だ」(2016年2月3日)
ジュネーブ3会議に代表団を派遣していた野党がリヤド最高交渉委員会を非難(2016年2月4日)
国連安保理でジュネーブ3会議中断に関する非公開会合:米露による非難の応酬のなか、デミストゥラ共同特別代表はシリア政府、反体制派双方の対応を非難(2016年2月5日)
ロシアのラヴロフ外務大臣は「シリア危機解決に向け米国に新提案を行った」ことを明かす一方、ケリー米国務長官はロシアの空爆でジュネーブ3会議の対話が阻害されていると非難(2016年2月9日)
リヤド最高交渉委員会は、ロシア、シリア軍の空爆停止、包囲解除をジュネーブ3会議の交渉参加の前提条件として改めて提示(2016年2月10日)

2.米、ロシアのPYD、YPGへの政治的、軍事的支援強化にトルコが反発

米大統領特使マクガーク氏が西クルディスタン移行期民政局実効支配入り:「自治はあなた方の権利だ。なぜなら、あなた方は過激派ダーイシュと戦い、彼らをこの地域から放逐したからだ」(2016年2月1日)
フランス外務省声明「国連は民主連合党のジュネーブ3会議への参加を決定」(2016年2月3日)
ケリー米国務長官「有志連合の支援がシリア民主軍の進軍を可能とした。シリア民主軍は対トルコ国境の完全掌握に近づいている」(2016年2月3日)
西クルディスタン移行期民政局幹部は10日にモスクワに初の代表部を開設することを決定したと発表(2016年2月6日)
トルコのエルドアン大統領「我々とPYDのどちらが米国のパートナーなんだ!…必要とあればシリア人避難民を受け入れる」(2016年2月7日)
西クルディスタン移行期民政局の在外代表部がモスクワに開設(2016年2月10日)
トルコのエルドアン大統領「米国が民主連合党をテロ組織とみなすことを拒否したことで、地域は血の海と化した」(2016年2月10日)

3.シリア軍、YPGがロシア軍の航空支援のもと事実上連携し、アレッポ県北部国境地帯とアレッポ市の兵站路の寸断に成功

シリア軍がヌスラ戦線との交戦の末にアレッポ市北部のドゥワイル・ザイトゥーン村、タッル・ジャビーン村を制圧する一方、反体制武装集団はダマスカス郊外県ダーライヤー市・ムウダミーヤト・シャーム市間で反転攻勢(2016年2月1日)
イドリブ県フーア市、カファルヤー町の人民防衛諸集団とアル=カーイダ系のファトフ軍が捕虜交換(2016年2月1日)
ロシア国防省は、ロシア軍機が領空侵犯したとするトルコ政府の主張を「幻想」と一蹴(2016年2月1日)
ロシア空軍の先週1週間のシリアでの出撃回数は468回、対する米主導の有志連合は73回(2016年2月1日)
シリア軍がアレッポ市北部のハルダトニーン村、ラトヤーン村を制圧し、ヌッブル市、ザフラー町包囲解除をめざす(2016年2月2日)
シリア軍がアル=カーイダ系組織と「穏健な反体制派」の連合との戦闘の末、アレッポ市北部のヌッブル市、ザフラー町の包囲を3年ぶりに解除(2016年2月3日)
ロシア軍の誤爆によるアレッポ市アフリーン市郊外でクルド人2人が死亡(2016年2月3日)
アレッポ県ヌッブル市、ザフラー町を包囲解除した親政権民兵が同地住民、人民防衛諸集団の歓迎を受ける(2016年2月4日)
ロシア国防省はロシア軍が2月1~4日に237回出撃したと発表する一方、トルコ軍がシリア領内への侵攻を準備していると非難(2016年2月4日)
YPG主体のシリア民主軍がロシア軍、シリア軍の航空支援を受け、アレッポ県北部のヌッブル市に隣接する複数の村を制圧、シリア軍と共同検問所設置で合意(2016年2月5日)
シリア軍がダルアー市北部の反体制派の拠点アトマーン村を完全制圧(2016年2月5日)
アレッポ県北部に対するロシア軍の空爆とシリア軍によるヌッブル市、ザフラー町包囲解除戦を受け住民数千人が避難、トルコ国境地帯で足止め(2016年2月5日)
イラン・イスラーム革命防衛隊の准将、ヒズブッラー司令官がアレッポ県で死亡(2016年2月5日)
シリア軍とYPGの攻勢を受け、アレッポ県の活動家ら反体制武装集団15組織に対して、72時間以内に「アレッポ軍」として統合するよう要請(2016年2月6日)
アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構のシャリーア委員会が、司令官らの「ハワーリジュ派の思想への傾倒」を理由に離反(2016年2月6日)
シリア軍はアレッポ市北部のラトヤーン村、ダマスカス郊外県ダーライヤー市・ムウダミーヤト・シャーム市回廊などを奪還(2016年2月6日)
シリア軍、YPGはアレッポ市北部でヌスラ戦線らへの攻勢を続ける(2016年2月7日)
ダルアー県イブタア町で政府当局と地元名士が停戦協議を行い和解(2016年2月8日)
シリア軍とYPGは、アレッポ県北部の反体制派拠点都市タッル・リフアト市近郊のカフィーン村を制圧する一方、シャーム自由人イスラーム運動はラタキア県カルダーハ市を砲撃(2016年2月8日)
アレッポ革命家評議会は「アレッポ軍」結成の呼びかけに応じ、組織の解体を宣言(2016年2月8日)
YPG主体のシリア民主軍に参加する革命家軍は「シリアのために武装集団を統合すべき」とする声明を出し、「アレッポ軍」結成の動きに異議(2016年2月8日)
アレッポ県北部、ダマスカス郊外県でロシア軍、シリア軍が空爆・砲撃、ヌスラ戦線らとの戦闘を続ける(2016年2月9日)
アレッポ県北部のシリア軍、シリア民主軍の進軍をロシア軍が航空支援するなか、シリア軍はイドリブ県での空爆を強化(2016年2月10日)
「自由シリア軍」のラッカ革命家戦線が西クルディスタン移行期民政局主導のシリア民主評議会に正式加入(2016年2月10日)
シリア人権監視団「アレッポ県北部へのロシア軍の空爆で500人以上が死亡、うち民間人は89人、ヌスラ戦線などの外国人戦闘員は105人(2016年2月10日)

4.シリア軍はダルアー県北部のアトマーン村を制圧する一方、イブタア町で反体制派と和解合意

シリア軍がヌスラ戦線との交戦の末にアレッポ市北部のドゥワイル・ザイトゥーン村、タッル・ジャビーン村を制圧する一方、反体制武装集団はダマスカス郊外県ダーライヤー市・ムウダミーヤト・シャーム市間で反転攻勢(2016年2月1日)
イドリブ県フーア市、カファルヤー町の人民防衛諸集団とアル=カーイダ系のファトフ軍が捕虜交換(2016年2月1日)
ロシア国防省は、ロシア軍機が領空侵犯したとするトルコ政府の主張を「幻想」と一蹴(2016年2月1日)
ロシア空軍の先週1週間のシリアでの出撃回数は468回、対する米主導の有志連合は73回(2016年2月1日)
シリア軍がアレッポ市北部のハルダトニーン村、ラトヤーン村を制圧し、ヌッブル市、ザフラー町包囲解除をめざす(2016年2月2日)
シリア軍がアル=カーイダ系組織と「穏健な反体制派」の連合との戦闘の末、アレッポ市北部のヌッブル市、ザフラー町の包囲を3年ぶりに解除(2016年2月3日)
ロシア軍の誤爆によるアレッポ市アフリーン市郊外でクルド人2人が死亡(2016年2月3日)
アレッポ県ヌッブル市、ザフラー町を包囲解除した親政権民兵が同地住民、人民防衛諸集団の歓迎を受ける(2016年2月4日)
ロシア国防省はロシア軍が2月1~4日に237回出撃したと発表する一方、トルコ軍がシリア領内への侵攻を準備していると非難(2016年2月4日)
YPG主体のシリア民主軍がロシア軍、シリア軍の航空支援を受け、アレッポ県北部のヌッブル市に隣接する複数の村を制圧、シリア軍と共同検問所設置で合意(2016年2月5日)
シリア軍がダルアー市北部の反体制派の拠点アトマーン村を完全制圧(2016年2月5日)
アレッポ県北部に対するロシア軍の空爆とシリア軍によるヌッブル市、ザフラー町包囲解除戦を受け住民数千人が避難、トルコ国境地帯で足止め(2016年2月5日)
イラン・イスラーム革命防衛隊の准将、ヒズブッラー司令官がアレッポ県で死亡(2016年2月5日)
シリア軍とYPGの攻勢を受け、アレッポ県の活動家ら反体制武装集団15組織に対して、72時間以内に「アレッポ軍」として統合するよう要請(2016年2月6日)
アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構のシャリーア委員会が、司令官らの「ハワーリジュ派の思想への傾倒」を理由に離反(2016年2月6日)
シリア軍はアレッポ市北部のラトヤーン村、ダマスカス郊外県ダーライヤー市・ムウダミーヤト・シャーム市回廊などを奪還(2016年2月6日)
シリア軍、YPGはアレッポ市北部でヌスラ戦線らへの攻勢を続ける(2016年2月7日)
ダルアー県イブタア町で政府当局と地元名士が停戦協議を行い和解(2016年2月8日)
シリア軍とYPGは、アレッポ県北部の反体制派拠点都市タッル・リフアト市近郊のカフィーン村を制圧する一方、シャーム自由人イスラーム運動はラタキア県カルダーハ市を砲撃(2016年2月8日)
アレッポ革命家評議会は「アレッポ軍」結成の呼びかけに応じ、組織の解体を宣言(2016年2月8日)
YPG主体のシリア民主軍に参加する革命家軍は「シリアのために武装集団を統合すべき」とする声明を出し、「アレッポ軍」結成の動きに異議(2016年2月8日)
アレッポ県北部、ダマスカス郊外県でロシア軍、シリア軍が空爆・砲撃、ヌスラ戦線らとの戦闘を続ける(2016年2月9日)
アレッポ県北部のシリア軍、シリア民主軍の進軍をロシア軍が航空支援するなか、シリア軍はイドリブ県での空爆を強化(2016年2月10日)

5.シリア軍がアレッポ県バーブ市近郊、アレッポ市東部の発電所近郊でダーイシュ(イスラーム国)を掃討する一方、ダーイシュはダマスカスでの自爆テロで対抗

米主導の有志連合がシリア領内で6回の空爆を実施(2016年2月1日)
ダーイシュ(イスラーム国)はフランス軍の無人航空機を撃墜したと発表(2016年2月1日)
ロシア空軍の先週1週間のシリアでの出撃回数は468回、対する米主導の有志連合は73回(2016年2月1日)
米主導の有志連合がシリア領内で11回の空爆を実施(2016年2月2日)
ヒムス県東部の油田地帯でダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍の戦闘激化(2016年2月2日)
トルコ国境に面するジャラーブルス市(アレッポ県)近郊でトルコ軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦(2016年2月2日)
米主導の有志連合はシリア領内で2回の空爆を実施(2016年2月3日)
シリア軍がアレッポ県にあるダーイシュ(イスラーム国)拠点都市バーブ市郊外の複数の村を新たに制圧(2016年2月3日)
シリア政府代表団のジャアファリー国連シリア代表はサウジアラビア、トルコ、カタールの指示を受けるリヤド最高交渉委員会がジュネーブ3会議を失敗に追い込んだと非難(2016年2月3日)
デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表はジュネーブ3会議を中止し、2月25日に再開すると発表(2016年2月3日)
米軍主導の有志連合はシリア領内を9回にわたり空爆(2016年2月4日)
シリア軍はアレッポ県東部、ダイル・ザウル市一帯で、YPGはハサカ県、ラッカ県でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける(2016年2月4日)
ダーイシュ(イスラーム国)の砲撃でロシア軍顧問1人が死亡(2016年2月4日)
ロシア国防省はロシア軍が2月1~4日に237回出撃したと発表する一方、トルコ軍がシリア領内への侵攻を準備していると非難(2016年2月4日)
米軍主導の有志連合がシリア領内で2回の空爆を実施(2016年2月5日)
シリア軍がダイル・ザウル市一帯、タドムル市一帯でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける(2016年2月5日)
アレッポ県北部でダーイシュ(イスラーム国)とシャーム戦線が交戦(2016年2月5日)
米軍主導の有志連合がシリア領内で7回の空爆を実施(2016年2月6日)
シリア軍がアレッポ市東部各所などでダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける(2016年2月6日)
米軍主導の有志連合がシリア領内で1回の空爆を実施(2016年2月7日)
シリア軍はアレッポ市東部の戦略的要衝バルハヒーン丘をダーイシュ(イスラーム国)から奪取(2016年2月7日)
米軍主導の有志連合がシリア領内で3回の空爆を実施(2016年2月8日)
シリア軍がアレッポ県東部、ヒムス県東部でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける(2016年2月8日)
カナダ政府は有志連合からの戦闘機撤退を決定(2016年2月8日)
米軍主導の有志連合がシリア領内で20回の空爆を実施(2016年2月9日)
首都ダマスカスでの自爆テロで9人死亡、ダーイシュ(イスラーム国)が犯行を認める(2016年2月9日)
ダーイシュ(イスラーム国)がアレッポ県南東部などでシリア軍に反撃(2016年2月10日)
米軍主導の有志連合はシリア領内で1回の空爆を実施(2016年2月10日)

6.各国がシリア避難民への資金拠出を約束するなか、アレッポ県北部での戦闘激化を受け、避難民が増加

Oxfamはシリア紛争に対する富裕国の支援額、受け入れ表明難民数の一覧をまとめた報告書を発表(2016年2月1日)
シリア避難民支援に向けた国際会議がロンドンで開催され、各国合わせて100億ドルの拠出を約束(2016年2月4日)
アレッポ県北部に対するロシア軍の空爆とシリア軍によるヌッブル市、ザフラー町包囲解除戦を受け住民数千人が避難、トルコ国境地帯で足止め(2016年2月5日)
西クルディスタン移行期民政局は、トルコが避難民問題に乗じてロシア軍の空爆停止を求めることを阻止すべく、アレッポ県北部の避難民受け入れ準備を本格化(2016年2月6日)
シリア軍と共闘するYPGがファトフ軍増援部隊の移動を黙認する一方、トルコ軍は西クルディスタン移行期民政局支配下のアフリーン市郊外を攻撃(2016年2月7日)
トルコのエルドアン大統領「我々とPYDのどちらが米国のパートナーなんだ!…必要とあればシリア人避難民を受け入れる」(2016年2月7日)
国連調査委員会はシリア政府の非人道的犯罪が「戦争犯罪」にあたるとする報告書を提出(2016年2月8日)
トルコのダウトオール首相「必要が生じたらシリア人避難民3,000人の入国を認めるだろう」(2016年2月8日)
トルコのチャヴシュオール外相はシリア人避難民1万人を新たに受け入れたことを明らかにする(2016年2月9日)
ロシア大統領府報道官「ロシアの空爆で避難民が増加している証拠はない」(2016年2月9日)

7.サウジアラビア、バハレーン、UAEが米主導のもとでシリアへの地上部隊を派遣すると意思表明

サウジアラビア国防省顧問「有志連合がシリア国内で地上作戦を行えば、積極的に貢献する」(2016年2月4日)
レイダー有志連合報道官はサウジアラビア軍高官がシリアへの地上部隊の派遣の意思を表明したことに関して歓迎の意を表し「現在検討中」と付言(2016年2月5日)
ジャアファリー・イラン・イスラーム革命防衛隊司令官「昔ながらのサウジ軍がシリアに地上部隊を派遣することはないと思う」(2016年2月6日)
ムアッリム外相はサウジアラビア軍高官がシリア領内への地上部隊派遣の意思を示したことに関して「サウジアラビアの狂気はトルコの狂気に伴われている」と酷評(2016年2月6日)
駐英バハレーン大使もサウジ軍高官に続いてシリアへの地上部隊の派遣の意思を表明「派遣部隊はダーイシュ(イスラーム)とだけ戦うわけではない」(2016年2月6日)
UAEのカルカーシュ外務担当国務大臣「ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦闘は地上部隊を必要としている」(2016年2月7日)
ケリー米国務長官がサウジアラビアのジュバイル外相と会談し、シリア情勢への対応を協議(2016年2月8日)
サウジアラビアのジュバイル外務大臣「シリアへの地上部隊派遣は米国主導の有志連合の指揮下で行われるべき」(2016年2月9日)