シャーム解放機構の法務官を務めていた元幹部メンバーの1人アブー・ヤフヤー・シャーミー氏は、テレグラム(https://t.me/ablsham)のパブリッシング・ツールTelegra.phを通じて「イドリブはバッシャールとマーヒル…シャルアの手に握られている」と題した記事を公開、アブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者(本名アフマド・フサイン・シャルア、1982年、サウジアラビアの首都リヤド生まれ)の兄で、シリア救国内閣の保健副大臣を務めるマーヒル・フサイン・シャルア氏(1974年、首都ダマスカス生まれ)がシリア政府の支配地で長らくクリニックを運営していたことを暴露、同氏の副大臣への任命が、政府支配地での職務経験のある人物の登用を禁じたシリア救国内閣の決定に反していると批判した。
アブー・ヤフヤー氏によると、シャルア氏は、クナイトラ県ハーン・アルナバ市のハドル通りで2020年末まで泌尿器科のクリニックを経営、その後UAEを経て、ロシアに入国、2022年夏頃まで同国に滞在したのち、トルコに入り、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所を経由して、シャーム解放機構の支配地に入った。
ジャウラーニー指導者は2016年にシャルア氏が兄で、シャーム解放機構のメンバーであることを明かしていたが、シリア政府当局は同氏を取り締まることはしなかった。
これに関して、イナブ・バラディー(5月4日付)は、シリア救国内閣が、シャーム解放機構の支配地における医療スタッフなどの不足に対処するために、シャルア氏を登用したと釈明していると伝えた。
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なお、シリア救国内閣の発表によると、シャルア氏は1973年に首都ダマスカスで生まれ、1999年に女性外科、生殖補助医療、手法外科、形成外科の医学博士号を取得、医療システム管理学科を修了した。
その後2004年から2012年まで保健省の産婦人科部長を務めたが、2012年に当局によって逮捕され、その後脱獄し、女性外科の顧問としてアラブ諸国や西欧諸国に定在、2022年から2023年にシリア北部で、トルコ・シリア大地震の被害対応などに従事したという。
AFP, May 4, 2024、ANHA, May 4, 2024、‘Inab Baladi, May 4, 2024、Reuters, May 4, 2024、SANA, May 4, 2024、SOHR, May 4, 2024、Telegra.ph, May 1, 2024などをもとに作成。