2014年1月30日のシリア情勢:諸外国の動き

PFLP-GCのアンワル・ジャラー報道官は、PFLP-GCがシリア政府の支援のもと、ダマスカス県ヤルムーク区に人道支援物資を搬入した、と発表した。

 

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブの国連本部で、シリア政府代表団とシリア革命反体制勢力国民連立代表団の会合(直接会談)を開催した。

SANA, January 30, 2014

SANA, January 30, 2014

 

前日に引き続き、シリア政府代表団はバッシャール・ジャアファリー国連代表大使によって、連立代表団はハーディー・バフラ氏によって率いられた。

SANA(1月30日付)は、会合で政府代表団が、テロとの戦いに関する声明案を提示し、国連安保理決議第1267号(1999年)、第1373号(2001年)などに準じた国際社会によるテロ撲滅支援の必要性を訴えたと報じ、声明案のコピーを転載した。

声明案では、テロ行為を行う組織・個人への物心面での支援阻止、煽動活動阻止、タクフィール主義思想など宗教過激主義の普及阻止などを求めるとともに、シリア全土における治安と平和を回復するための支援、シリアの主権、独立の尊重、領土保全、内政不干渉をジュネーブ2会議参加各国に求めた。

ジュネーブ報道チームによると、対するシリア革命反体制勢力国民連立は「テロ国家を自由シリアへと転換することで殺戮停止をめざしているが、政権はテロについて云々することを望んでいる」と主張、「「樽爆弾」こそがテロだ、住民を餓死させることがテロだ、拷問と逮捕もテロだ」と主張し、政府代表団が提出した声明案の審議を拒否した。

そのうえで、連立代表団は、アサド政権の人道犯罪、戦争犯罪に関する国際機関の報告書(ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書など)や情報を開示するとともに、レバノン、イラク、イエメンなどの「宗派的アイデンティティを有する」民兵による政権支援の実態を報告した。

連立はさらにイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアサド政権とつながりを持っていることを示す情報を開示したという。

しかし、これに関して、SANA(1月31日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立の代表団がいかなる文書も提出していないとのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣の談話を速報で伝え、これを否定した。

SANA, January 30, 2014

SANA, January 30, 2014

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は会談後の記者会見で「今日の会合後もシリアの両代表団の姿勢に変化はない…。我々はテロがシリアで広まっている点で意見が一致している…。最後の会合は明日(31日)朝に開かれる…。これまで行ったことから教訓を得ることになろう」と述べた。

また「両代表団の協議では、困難な瞬間もあれば、期待ができる瞬間もあった…。引き続き次回の会合に向けた準備が行われるだろう」と付言した。

一方、人道支援物資の配給に関しては「今日、ヤルムーク区に600箱の人道支援物資を搬入することに成功した」ことを明らかにした。

なお31日で一旦閉会となる両者の会合は、『ハヤート』(1月31日付)によると、2月11日に再会される予定。

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SANA(1月30日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立代表団はテロとの戦いに関する政府代表団の声明案を拒否したことに関して「連立がテロを支援していることの明らかな証拠」だと批判的に伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官はテロとの戦いの審議を求める政府代表団の姿勢に関して「移行期統治機関のしくみについての審議を交渉の最後に延期し、ジュネーブ合意のすべての項目から免れようとしている。しかし、移行期統治機関の結成は、国際社会が合意したすべての項目を実施に移す唯一の手段だ。この点に関して我々と政権の意見の相違は大きい」と述べた。

また「政権は暴力の問題…から始めたいと考えている。我々は今日、暴力の問題について話したが、この方法は本末転倒で、馬の前に馬車を置くようなものだ。馬車はジュネーブ合意に記された発砲停止、逮捕者釈放、包囲解除で、これらは重要な項目だが、その実現には馬が必要だ。この馬こそが移行期統治機関だ。移行期統治機関がなければこれらの項目は進展し得ない」と述べた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、シリア化学物質の国外への搬出作業の遅れに関して「アサド政権が化学物質の国外への搬出に責任を負っている。我々は政権が自らの義務を履行することを期待する」と述べた。

化学兵器禁止機関の米国代表を務めるロバート・ミクラーク氏は、シリア化学物質の国外への搬出作業の遅れに関して「シリアは、これらの化学物質の搬出の遅れが治安上の問題によると述べ、コンテナ車輌、電気機器、爆発物発見装置など、さらなる機器が必要だと主張している。この要求は留意するに値しない。交渉の意思が見え見えだ」と述べた。

『ハヤート』(1月31日付)が伝えた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣はシリア化学物質の国外への搬出作業の遅れに関して「動きが鈍化しているようだ。国際社会は目を覚ましてシリアに制約を守らせるため真剣に迫るべきだ」と述べた。

AFP, January 30, 2014、AP, January 30, 2014、Champress, January 30, 2014、al-Hayat, January 31, 2014、Iraqinews.com, January 30, 2014、Kull-na Shuraka’, January 30, 2014、Naharnet, January 30, 2014、NNA, January 30, 2014、Reuters, January 30, 2014、Rihab News, January 31, 2014、SANA, January 30, 2014, SANA, January 31, 2014、UPI, January 30, 2014などをもとに作成。

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