フサーム・ルーカー総合情報部長がアサド大統領に対するクーデタを画策か?(2024年11月30日)

マシュハド・ニュース(11月30日付)は、首都ダマスカスで11月30日晩、銃声が複数回確認され、ロシアの首都モスクワへの電撃訪問を終えて空路で帰国したとされるアサド大統領に対するクーデタ未遂が発生したとの憶測が拡がっていると伝えた。

銃声が確認されたのは、首都ダマスカス中心部のシリア軍参謀本部や放送テレビ公社(ウマウィーイーン広場)近く。

また、カフルスーサ区では共和国護衛隊とシリア軍第4師団が政府関連施設一帯で交戦し、アサド大統領が「安全な場所」に移されたとの未確認情報も流れているという。

シャロ・マアルーフを名乗るクルド人活動家は、11月30日午後9時1分、Xのアカウント(https://x.com/ScharoMaroof)で、フサーム・ルーカー総合情報部長によるクーデタが首都ダマスカスで確認されたとするポストをアップ、銃声音が鳴り響く市内の画像を公開した。

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トルコを拠点とする反体制派系テレビ・チャンネルのシリア・テレビ(12月1日付)は、アサド大統領のモスクワへの電撃訪問が行われたことを確認したとしつつも、ルーカー総合上部長がロシアの支援を受けてクーデタを画策したとの情報があるとしたうえで、事実確認は取れていないと伝えた。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、アラビーヤ(12月1日)の取材に対して、ダマスカスでのクーデタは発生していないとの見方を示した。

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また、UAEを拠点とするニュース・サイトのイリム・ニュース(12月1日付)によると、ホセイン・アクバリー駐シリア・イラン大使もクーデタに関する情報を否定した。

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タアッカド(12月1日付)は、複数の公式メディア、反体制系メディアがクーデタ発生についての情報を否定、SNSで拡散された映像についても、住民らが平穏に歩いていることが確認されていることから、銃声は後から編集で加えられたものである可能性が高いとし、フェイクニュースだと発表した。

AFP, November 30, 2024、Alarabia, December 1, 2024、ANHA, November 30, 2024、Erem News, November 30, 2024、‘Inab Baladi, November 30, 2024、al-Mashhad News, November 30, 2024、Reuters, November 30, 2024、SANA, November 30, 2024、Sham FM, November 30, 2024、SOHR, November 30, 2024、Syria TV, November 30, 2024、Mansa Ta’akkud, December 1, 2024などをもとに作成。

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