シリア軍事作戦局総司令部(「攻撃抑止」軍事作戦局)のアフマド・シャルア司令官(シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者)は、『シャルク・アウサト』(12月21日付)の単独インタビューに応じた。
ビーサーン・シャイフ女史が大統領府で行ったインタビューのなかでのシャルア司令官の主な発言は以下の通り。
もちろん、アラブ諸国には伝えるべきことがある。特にシリアは、イランがアラブ諸国の四つの首都を操作し、関与した国々に戦争と腐敗をもたらし、湾岸地域の安全を不安定にし、地域を麻薬やカプタゴンで溢れさせる拠点となっていた。このような状況の中、我々が行ったことは、イランの民兵を排除し、シリアを完全にイランの手先の拠点として閉鎖することであり、それが地域全体にとって大きな利益をもたらした。これは外交的手段や圧力では達成できなかった成果である。
旧体制がアラブ諸国との関係を再開し、アラブ連盟に復帰する際に若干の譲歩が行なわれたが、我々はこの試みが失敗に終わるだろうと確信していた。それは、この体制がいかなる譲歩も行わず、善意をもってこれを受け入れることはないと知っていたからである。例えば、ヨルダンとの会談では、なぜカプタゴンを輸出し続けるのかという質問に対し、「制裁が解除されるまでは止めない」と答えた。だが、体制はこうしたやり方はしない。
湾岸地域の戦略的安全保障が今日より安全になったと言えるのは、域内でのイランの計略が40年後退したからである。
我々は現在、国家建設の段階にある。シリア革命は体制の崩壊とともに終わり、これを他国に輸出することは許さない。また、シリアはアラブ諸国や湾岸諸国に対する攻撃や不安を引き起こすための拠点とはならない。革命には多くの人々が参加したが、現在は新しい段階、すなわち国家建設の段階にある。我々はこれらの国々と戦略的かつ効果的な関係を築くことを目指している。シリアは戦争や他国の利益のための拠点として疲弊しており、自国の再建と信頼の構築が必要である。シリアはアラブ世界の中心に位置する国である。
ダマスカスでの我々の存在は誰にとっても脅威ではない。我々は湾岸諸国が達成した先進的な発展に注目し、シリアもそれを目指している。特に、サウジアラビアは非常に大胆な計画を立てており、開発ビジョンを持っている。我々もそのビジョンに注目しており、多くの共通点がある。その共通点を基に、経済協力や発展的な取り組みを進めることができる。
確かに、我々がダマスカスに到着したことを受け、レバノンの兄弟たちから多くの懸念が寄せられた。彼らは、これがレバノン内の一部勢力を強化するのではないかと心配した。しかし、我々は隣国レバノンを支配するような関係を求めているわけではなく、尊重と交流に基づく関係を望んでいる。レバノンの内政に干渉するつもりはない。我々は自国で非常に多くの仕事を抱えている。良好な関係を築き、すべてのレバノン人に等しい距離を保ち、彼らが満足することが我々の満足につながる。
(穏健化したシャルア司令官の姿勢に賛同しない勢力が少なからずいるとの主張には)賛成しかねるが、全体的には私の個人的な意見をシリア人に押し付けるつもりはない。むしろ、法律家や専門家に委ね、法律が人々の関係を形成する基準となるべきである。シリアのように多様な構成要素を持つ国で、一つの意見だけが支配することは期待できない。この多様性は良いことであり、健全である。今回の勝利は特定のグループのためではなく、すべてのシリア人のための勝利である。かつて体制を支持していたと考えられた人々でさえ、彼らの喜びを見ることができた。人々は感じていることや考えていることを自由に表現することができなかったのだ。私は、シリア人が異なる立場を持ちながらも、自国を守るのに十分な意識を持っていると確信している。
つまり、私が目指すのは包括的な合意と法治国家を通じて我々の紛争を解決することである。
我々が対峙していたのは政治体制ではなく、あらゆる意味で犯罪的で残忍な悪党だった。彼らは平時であれ、戦時であれ、逮捕、強制失踪、殺人、追放、飢餓、化学兵器使用、組織的な拷問を行ってきた。しかし、原因は排除された。我々は報復の視点でこれを見るつもりはない。ただし、サイダナーヤー刑務所の責任者や化学兵器を使用した者、その他の著名な犯罪者については追及が必要である。彼らの名前は知られており、彼らを裁くことが必要である。また、無名の個人についても、被害者の家族が訴えを起こして裁きを求める権利を有している。重要なのは、我々が拘束の鎖を断ち切り、この任務を支援する専門組織が設立されたことである。また、行方不明者の状況を追跡し、彼らの生存や死亡の状況を明らかにし、家族のために死亡証明書や相続手続きなどの問題を解決する専門省庁が設立される予定である。これは多くの仕事を伴うが、我々は真実に到達しなければならない。
(大統領府でインタビューに応じることについて)正直に言うと、まったく快適ではない。しかし、この場所は、国民に開かれた訪問先となるべきであり、子どもたちがこの庭で遊べるような場所であるべきだと考えている。
AFP, December 20, 2024、ANHA, December 20, 2024、‘Inab Baladi, December 20, 2024、Reuters, December 20, 2024、SANA, December 20, 2024、Sham FM, December 20, 2024、al-Sharq al-AwsatSOHR, December 20, 2024、al-Watan, December 20, 2024などをもとに作成。
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