シリア国内の暴力(2014年8月4日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、4日に予定されていたダーライヤー市での休戦に関する交渉が延期された。

同市の反体制勢力が見解のとりまとめに遅れているというのが延期の理由だという。

また、イスラーム戦線やヌスラ戦線が「まこと困難とともに快楽あり」の戦いと銘打ったムライハ市への攻撃を本格化させ、市の包囲を24日ぶりに解除した。

ムライハ市包囲解除に際して、ヌスラ戦線らはシリア軍装甲車に対して自爆攻撃を行ったという。

これを受け、軍は少なくとも12回にわたって空爆、また軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

このほか、ドゥーマー市、カフルバトナー町に対してもシリア軍は空爆を行い、ドゥーマー市では16人が死亡、カフルバトナー町では女性4人と子供3人を含む29人が死亡した。

その後、シリア人権監視団はドゥーマー市とカフルバトナー町に対する軍の空爆での民間人死者数が64人に達したと発表した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ、マガッル・ミール市、シャイフーニーヤ農場、ムライハ市周辺、ナースィリーヤ町、カラムーン地方無人地帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がサラミーヤ市郊外を襲撃するなか、ジハード主義武装集団が県西部のシール地方にある軍拠点複数カ所を攻撃、これに対して軍はトゥルール・ハムル村の複数カ所を砲撃した。

また軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の兵站路を寸断するため、ムーリク市西部一帯に進軍、同市南西部で両者が交戦した。

さらに、ARA News(8月4日付)によると、ジハード主義武装集団はこのほか、サルハブ市のシリア軍拠点複数カ所に対してGradミサイル15を発射した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ハマー市・ムハルダ市街道、シール村、マジュダル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ムスタファーの盾大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ軍事基地北部のザアラーナ検問所で、軍とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(8月4日付)によると、アルバイーン山周辺、クマイナース村、サラーキブ市、アブー・ズフール航空基地周辺などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区を軍が「樽爆弾」などで空爆・砲撃した。

またシャイフ・ナッジャール市工業団地地区第1、2区画周辺、アレッポ中央刑務所北西部で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団(パレスチナ人)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、軍が同地一帯を空爆した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ハーン・トゥーマーン村一帯での交戦の末、軍が「テロ集団」を殲滅、バーズー丘、Syriatel地区、タッラト・ズィードなど同村周辺の丘陵地帯などを制圧した。

またアレッポ市ハナーヌー地区、スッカリー地区、ジャービリーヤ地区、マアーッラト・アルティーク村、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ村、カスキース村、クワイリス村、バシュカーティーン村、マンスーラ村、カラースィー村、ワディーヒー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(8月4日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月4日付)によると、ハズラジーヤ村、ダイル・マーキル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月4日付)によると、マスカル・ヒサーン村、ウンク・ハワー村、ラッフーム村、マッラーン村、クーズ山、サムアリール村、アイン・フサイン村、ザアフラーナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月4日付)によると、サムリーン村西部、ラジャート高原一帯、タッル・フドル一帯、ブスラー・シャーム市、アトマーン村、インヒル市、ハッラーブ・シャフム村・ヤードゥーダ村街道、フィキーア村、スラヤー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(8月4日付)は、反体制組織シリア民主人民党(旧シリア共産党政治局派)の幹部ファフミー・ユースフ氏(アッシリア教徒)がラタキア県の殉教者バースィル・アサド国際空港で2日に治安当局に逮捕されていた、と報じた。

AFP, August 4, 2014、AP, August 4, 2014、ARA News, August 4, 2014、Champress, August 4, 2014、al-Hayat, August 5, 2014、August 6, 2014、Kull-na Shuraka’, August 4, 2014、al-Mada Press, August 4, 2014、Naharnet, August 4, 2014、NNA, August 4, 2014、Reuters, August 4, 2014、SANA, August 4, 2014、UPI, August 4, 2014などをもとに作成。

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