国連のシリアに関する独立国際調査委員会のピネイロ委員長は、沿岸部でのアラウィー派住民らを狙った殺戮や略奪、ダマスカス県ドゥワイラア地区のマール・イリヤース教会に対する自爆テロ事件に懸念を表明(2025年6月28日)

UNニュースによると、国連のシリアに関する独立国際調査委員会のパウロ・ピネイロ委員長は、スイスのジュネーブで開催された国連人権理事会の報告において、前政権の軍や治安部隊が解体されたことで生じた治安の空白と、司法制度の枠組みの不明確さが、3月の沿岸部でのアラウィー派住民らを狙った殺戮や略奪など、前政権関係者への報復の機運を煽る一因となったと指摘した。

また、アラウィー派に対する憎悪の扇動や誤情報がSNSや国外からの投稿を通じて広まり、宗派間の緊張が深まっていると述べた。

こうした事態を受けてアフマド・シャルア移行期政権が前政権時代の人権侵害に対処するために講じた一連の措置に歓迎の意を示しつつも、ダマスカス県ドゥワイラア地区のマール・イリヤース教会に対する自爆テロ事件にも言及し、礼拝所や少数派コミュニティの保護は国家の責務であり、実行者・幇助者の責任追及が必要であると述べた。

さらに、「シリアにおける外国勢力の介入が国内の複雑な課題を一層悪化させているとして、イスラエルによる国際人権法、国際人道法の侵害への懸念を表明した。

一方、報告によれば、2024年12月以降、約200万人のシリア人が帰国、このうち60万人近くは近隣国から、約150万人は国内避難民(IDPs)だった。

しかし、700万人以上の避難民が今も帰還できていないとい。

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