ロシアは、ダーイシュに対する「テロとの戦い」でロシアとの共同作戦実施への意思を表明したトルコの姿勢を歓迎する一方、米国は両国の協力がダーイシュとの戦いに限定されるべきと慎重な対応(2016年8月12日)

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、トルコがダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」でロシアとの合同作戦の実施を検討する用意があるとメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣が述べたことに歓迎の意を示した。

ボグダノフ外務副大臣は「もちろん、トルコは極めて重要なパートナーであり、もし彼らがそうした方針を持つのであれば、我々はチャヴシュオール外務大臣の発言を歓迎しないはずない。これは、我々はトルコのパートナーとハイレベル、そしてそのほかのレベルで連絡をとりあったことの結果だ」と述べた。

TASS通信(8月12日付)が伝えた。

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チャヴシュオール外務大臣はこれに先立ち、NTV(8月12日付)で「我々は詳細についての検討を行っている。我々が、共通の敵である…ダーイシュに対する作戦の実施をロシアによびかけており…こうした提案を今も行っている」と述べていた。

一方、アサド政権に関して、チャヴシュオール外務大臣は「多くの人々を殺戮した政権が国を指導できるはずもない。しかし、アサドの処遇をめぐって合意に達していないという理由だけで、ロシアとの対話を無視することなどできない…。我々はともに戦い、ダーイシュを根絶し…、シリアなどの国における病が流行らないようにせねばならない」と述べた。

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米国務省のエリザベス・トルドー報道官は、こうしたロシアとトルコの歩み寄りに関して、「我々は今も、ダーイシュと戦うため、同盟国であるトルコと連絡をとり合っている。ダーイシュに対する行動は我々みなにとって最優先事項だ。(ロシアとトルコの)協力がこの方向に実質的に向かうものであれば、我々はそれを歓迎する」と述べた。

トルドー報道官はまた「ロシアがダーイシュとの戦いを望むのであれば、我々はそれを支援する」と付言した。

一方、アレッポ市内でシリア軍が塩素ガスを装填した「樽爆弾」で攻撃を行ったとする現地活動家を守る者たち張に関しては「アレッポで化学兵器が使用されたことを示す情報について精査してお…、この情報を深刻に受け止めている」と述べた

AFP, August 12, 2016、AP, August 12, 2016、ARA News, August 12, 2016、Champress, August 12, 2016、al-Hayat, August 13, 2016、Iraqi News, August 12, 2016、Kull-na Shuraka’, August 12, 2016、al-Mada Press, August 12, 2016、Naharnet, August 12, 2016、NNA, August 12, 2016、Reuters, August 12, 2016、SANA, August 12, 2016、TASS News Agency, August 12, 2016、UPI, August 12, 2016などをもとに作成。

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