アル=カーイダ系のシャーム・ファトフ戦線(旧ヌスラ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動がヌールッディーン・ザンキー運動(米国が支援)などと統一組織結成に向けた協議を続ける(2016年9月3日)

ARA News(9月3日付)は、シャーム自由人イスラーム運動に近い消息筋の話として、アル=カーイダ系組織のシャーム・ファトフ戦線(旧シャームの民のヌスラ戦線)がイドリブ県で活動する複数の武装集団と、組織逃亡に向けた会合を重ねていると伝えた。

この会議の進捗に詳しいこの消息筋は匿名を条件に「この会合には、アブドゥッラー・ムハイスィニー氏が無所属として出席、またシャーム・ファトフ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏も参加しているが、すべての武装集団が参加しているわけではない」と述べた。

なお、ムハイスィニー氏はファトフ軍の事実上の統括者のサウジアラビア人説教師。

同消息筋によると、一部の「大規模」な組織は、ジャウラーニー氏が新組織の指導者になることに慎重な態度を示す一方、シャーム・ファトフ戦線はジャウラーニー氏を指導者とし、なおかつ新組織の軍事、治安、経済関連の部局の運営を担うことを主張しているという。

またシャーム・ファトフ戦線とムハイスィニー氏は統合を最優先事項としているのに対して、そのほかの組織は、統合前に憲章を採択すべきだと主張しているという。

こうした状況を受け、シャーム自由人イスラーム運動は、両者の妥協点を探るかたちで、統合をめぐる障害を克服するための共同委員会の設置を提案したが、ジャウラーニー氏はこの提案も却下、そのことが米国の支援を受ける「穏健な反体制派」のヌールッディーン・ザンキー運動などの不快感を露わにしたという。

AFP, September 3, 2016、AP, September 3, 2016、ARA News, September 3, 2016、Champress, September 3, 2016、al-Hayat, September 4, 2016、Iraqi News, September 3, 2016、Kull-na Shuraka’, September 3, 2016、al-Mada Press, September 3, 2016、Naharnet, September 3, 2016、NNA, September 3, 2016、Reuters, September 3, 2016、SANA, September 3, 2016、UPI, September 3, 2016などをもとに作成。

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