2014年3月22日のシリア情勢:国内の暴力

ラタキア県では、『ハヤート』(3月23日付)が、複数の反体制消息筋の話として、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線が21日にカサブ国境通行所および周辺の監視ポストを制圧したと報じたうえで、軍が奪還のため、タルトゥース県、イドリブ県ザーウィヤ山から増援部隊を派遣したと伝えた。

同報道によると、ヌスラ戦線などは第45電波塔を攻撃する一方、ナブア・ムッル村とタッラト・ナスルの支配を強化し、またカサブ町内と同市周辺の丘陵地帯で戦闘が行われたという。

またシリア人権監視団は、カサブ国境通行所での戦闘に関して、「依然として激しく行われている」としたうえで、軍、国防隊の戦闘員16人、反体制武装集団13人、民間人5人がカルサーナー村への反体制武装集団の砲撃で死亡したと発表した。

一方、SANA(3月22日付)によると、カサブ町周辺で軍が反体制武装集団と交戦し、武器弾薬庫、拠点、重火器などを搭載した車輌を破壊するなど甚大な被害を与えるとともに、アンサール・シャームを名乗る武装集団の司令官アブー・イスラーム・タミーミー氏(サウジ人)らを殺害した。

SANA特派員によると、反体制武装集団は、トルコ領内から迫撃砲で後方射撃を行う一方、カサブ国境通行所のトルコ領側から発砲を行っているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シュワイフナ山の軍拠点をシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が襲撃したが、軍の反撃によって武装集団戦闘員13人が死亡した。

またアレッポ市ラーシディーン地区、シャイフ・ナッジャール市、同工業団地地区、ヒーラーン村、アレッポ中央刑務所周辺、ハンダラート・キャンプ周辺などを軍が砲撃・攻撃し、アレッポ市旧市街(アレッポ城、ウマイヤ・モスク付近、ライラムーン地区)、シャイフ・ナッジャール市周辺で、軍、バアス大隊、クドス旅団が、ヌスラ戦線などと交戦した。

一方、SANA(3月22日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、ジャンドゥール交差点地区、裁判所西部、サイイド・アリー地区、ライラムーン地区、アイン・ハマーミマ村、クワイリス村西部、ブライジュ村、ウワイジャ地区、ハンダラート・キャンプ、ダーラト・イッザ市、カフルサギール村、アッザーン村、ヒーラーン村、カフルハムラ村、マアーッラト・アルティーク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ザマルカー町、ムライハ市、ダーライヤー市を軍が空爆・砲撃し、反体制武装集団と攻撃した。

一方、SANA(3月22日付)によると、ヨルダン国境を経由してシリア領内に潜入したシャームの民のヌスラ戦線をアドラー市ウンマーリーヤ地区で要撃、複数の殺傷、逮捕した。

またアドラー市旧市街、ハラスター市、ランクース市郊外、ラアス・アイン市郊外では、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ハラスター市で、反体制武装集団が旅客マイクロ・バスを狙撃し、運転手1人が死亡、乗客2人が負傷、またハラスター市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、住宅などが被害を受けた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、ヤルムーク区を軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(3月22日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(3月22日付)によると、バーブッラー村、アルマナーズ村、ビンニシュ市近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(3月22日付)によると、ウンム・ワラド村、マアルバ町、ジーザ町西部、ファトヤート村郊外、ジャドル村、タスィール町、ラジャート高原周辺、ダワーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(3月22日付)によると、カルカス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(3月22日付)によると、ティールマアッラ村、ガントゥー市、マヌーフ村、シャンダーヒーヤ村、シャルシューフ村、サウラ村、タルビーサ市、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、ヒムス市ワアル地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市旧市街に立て籠もっていた武装集団メンバー21人が投降した。

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ラッカ県では、ARA News(3月22日付)によると、民主統一党人民防衛隊とクルド戦線旅団がタッル・アブヤド市郊外で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

クルド戦線旅団のアフマド・ハッスー報道官によると、この戦闘で、ダーイシュ戦闘員50人(チェチェン人ら)以上が死亡、20人が負傷する一方、民主統一党戦闘員35人、戦線戦闘員15人が死亡した。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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